SAT電験3種講座 理論 質問回答(重ね合わせの原理の計算)

理論の12ページの重ね合わせの原理の計算の流れを教えてください。お願いいたします。

重ね合わせの原理というのは、線形回路において成立する法則です。線形回路というのは、回路を構成する素子(抵抗やコンデンサ、コイルなど)において、電圧対電流特性が比例関係になっているものを指します。従って電圧対電流特性が直線ではないダイオードなどの素子を含んでいる場合は、この原理を使うことができません。

重ね合わせの原理は、複数の電圧源や電流源を含む回路において、回路各部の電圧や電流の値は、複数の電圧源や電流源のうち1個だけを残し、他の電圧源は短絡、電流源は開放して求めた値を、電圧源や電流源の個数だけ繰り返して求めた値の和になる、というものです。

テキストP.12の下の回路について具体的に解説します。

まず、左側の4Vの電圧源を残し、右の2Vの電圧源は短絡した回路を考えます。すると、電池のプラス端子-4Ω-(2Ωと5Ωの並列)-電池のマイナス端子という回路になり、4Ωには左から右に14/19アンペア、5Ωには上から下に4/19アンペア、2Ωには上から下に10/19アンペアの電流が流れることが求められます。(オームの法則を用いて計算します)

次に、右側の2Vの電圧源を残し、左の4Vの電圧源は短絡した回路を考えます。すると、電池のプラス端子-(5Ωと4Ωの並列)-2Ω-電池のマイナス端子という回路になります。抵抗に流れる電流を求めると、4Ωには左から右に5/19アンペア、5Ωには下から上に4/19アンペア、2Ωには左から右に9/19アンペアが流れることが求まります。

以上の二つの場合を合計することで回路に流れる電流を求めると、4Ωは左から右に1アンペア、5Ωには0アンペア、2Ωには左から右に1アンペアの電流が流れることがわかります。なお、13ページの下の図において、5Ωに流れる電流がI2bとありますが、これはI3bの誤植です。ご迷惑をお掛けし申し訳ございません。

重ね合わせの原理は、このような電圧源・電流源・抵抗の回路以外にも、平成26年の理論問5のような、電源とコンデンサの組み合わせ回路においても利用することができ、キルヒホッフの法則を用いて解くよりも劇的に簡単に求めることができる場合もあります。

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