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SAT電験3種講座 機械 質問回答(電験3種 平成27年 機械 問4 過去問解説 同期発電機の同期インピーダンスによる電圧降下)

機械 H27問4発電機の端子電圧を求める問題

詳しい解説をおねがいします。解説では√1^2+0.85^2=1.3と説明されています。問題文に、定格電圧に対して、端子電圧は何倍か?とあります。イメージとして、定格電圧・端子電圧を求めて、端子電圧/定格電圧 を計算するといった ような手順でとくように感じますが、先生の解説だと、とくに定格電圧を求めていないような気がします。

この問題ですが、具体的な定格電圧(=定格運転時の端子電圧)を求める必要はありません。適当にVと置くなり、あるいは勝手に100V、定格電流10Aなどと決めてしまっても構いません。

同期発電機は、純粋な交流電圧源に、直列インピーダンス(=同期インピーダンス)として巻線の抵抗・リアクタンスが直列に入り、出力端子に導き出されているものと考えられます。このとき、出力端子の時点で定格電圧・定格電流が供給できるのであれば、極端な話、電圧源が何ボルトであっても、同期インピーダンスでの電圧降下と出力端子の電圧の辻褄が合っていれば構わないことになります。例えば、ベクトルを考えない単純計算でのイメージですが、出力の定格電圧が100Vだったとして、

  • 電圧源が110Vで同期インピーダンスでの電圧降下が10Vの発電機や、
  • 電圧源が300Vで同期インピーダンスでの電圧降下が200Vの発電機

などがあっても構わないということです。但し、これらを無負荷状態にすると、出力端子の電圧は、前者は110V、後者は300Vとなってしまうわけです。

さて、出題より、同期インピーダンスが85%であり、巻線抵抗が無視できるということは、定格出力電圧・出力電流時に、同期インピーダンス=同期リアクタンスでの電圧降下が、定格出力電圧の85%であることを意味します。したがって、添付のベクトル図の通り、1(これは定格出力電圧を1と置いているわけです)の2乗と0.85の2乗の√を取れば発電機が発生している電圧が求まることになります。

下の図は、具体的に定格電圧が100V、定格電流が10Aと置いてしまった例です。同期インピーダンスが85%ということは、100V÷10A=10Ωに対して85%の8.5Ωが同期インピーダンスですから、定格出力100V・10A時に、コイルでの電圧降下が85Vであり、したがってこれらを合成した131.2Vが電圧源の電圧と求まります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成17年 理論 問7 負荷インピーダンスの計算)

P.75一番下の計算の展開がわかりません。詳しい解説をお願いします。

この計算の展開と結果の導出ですが、下図のようになります。

計算のコツとして、500の2乗などは展開して250000などと置きたくなってしまうのですが、そうするとかえって面倒になってしまうため、そのままで計算していく方が見通しが立ちやすくなります。また、分母・分子に同じ数を掛けて約分したり、両辺から同じ数を引いて移項したりするほか、両辺を2乗したり、両辺の√を取っても基本的にはイコールが成り立つ、ということを使っていけば解答を求めることができます。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(計算式の展開)

理論58ページの上から5行目の 先頭に点が3個付く意味と、22R+121=300の22Rがどこから、導き出されたのか理解できません。教えて下さい。

まず、「∴」の意味ですが、これは数学の記号で一行上の計算式を受けて「ゆえに」とか「したがって」ということを意味しています。つまり、一行上から導かれる式を表すときに使う記号です。

22Rについては、計算式を添付しますのでご確認いただければと思います。

 

SAT電験3種講座 理論 質問回答(トランジスタ増幅回路の接地方式)

電験3種理論のトランジスタ増幅回路に関しての質問です。コレクタ接地回路の図がでてくるのですがコレクタ接地回路の場合、コレクタが共同接地になるものだと思うのですがなぜエミッタから抵抗を挟んだものを接地してるのですか?これだとエミッタ接地回路と出力を取り出す場所が違うだけな気がするのですが。

トランジスタの動作についておさらいしますと、NPNトランジスタの場合、

  • B→Eに流した電流に比例して数百倍の電流がC→Eに流れる

という動作をします。(PNPでは電流の向きが逆になります)

ここで重要なのは、入力が電流で出力も電流であるという点です。

暗黙の了解として、通常、電流ではなく電圧で出力を取り出します。しかし、トランジスタはあくまでも電流を増幅しますから、電流の変化を電圧の変化に直すため、抵抗を挿入して電流の変化を電圧の変化に変換して取り出しているわけです。

したがって、「エミッタから抵抗を挟んだものを接地」しているのは、エミッタから流れ出す電流を電圧に変換して取り出すための負荷抵抗であり、このように負荷抵抗が間に入っているという場合、エミッタが接地されているとは言いません。

トランジスタの増幅回路の種類は、「エミッタ接地」「コレクタ接地」「ベース接地」がありますが、これらは全て、それらの端子が直に接地されているか、あるいはコンデンサを挟んで交流的に接地されていること回路である指します。電験3種の試験では、弱電分野であるトランジスタ増幅回路の詳細を突っ込むような問題は余り出題されないとは思いますが、上記のように「~接地」は、その端子が直接あるいはコンデンサを挟んで接地されているということ、そしてコレクタあるいはエミッタに接続されている抵抗は、電流の変化を電圧の変化に変換するための負荷抵抗であり、この端子は接地されているとは言わない、という点を押さえていただければ宜しいかと思います。

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(真空中の誘電率の値)

猫でもわかる電気数学のp18のクーロンの法則ですが
1/4πε0=9×10の9乗とあるのですがこの値は常に同じなのでしょうか?
そしてこの値は覚えたほうがいいのでしょうか?
アドバイスお願いします。

この値は誘電率といい、その場所(真空中か、空気中か、あるいは水の中など)によって変わる値です。

9×10^9というのは真空中の値で、空気中の値は厳密には少し異なるのですが、ほとんど無視できるほどの差異なので、空気中でも真空中でも一般的にこの値を用います。

出題によっては別の値を用いる可能性がないとは言えませんが、事実上この値だけ覚えておけば良いでしょう。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成20年 理論 問7 重ね合わせの原理とテブナンの定理)

理論20ページの例題で、重ね合わせの原理は、理解できましたが、テブナンの定理での解き方が、いまいち理解できません。テブナンの定理で、i1、i2、i3の解き方を教えて下さい。

テブナンの定理は、複数の電源や抵抗の組み合わせ回路を、等価的な1個の電源と1個の抵抗に置き換える定理ですので、これを使って解いた例を如何に示します。なお、I3については、抵抗がつながる端子を開放したときの電圧がゼロですから、テブナンの定理を用いるまでもなく電流値はゼロであることが分かります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成25年 理論 問15a 過去問解説 三相交流のΔ-Y変換)

P79~P80 三相交流電力

電源側を公式にはめて⊿→Y変換をしたところ教材では電源200/√3となっていますが自分の200/3になります。なぜ200/√3になるか教えてください。

対称三相交流は、互いに120°ずつ位相がずれた3個の単相発電機を、Δ型やY型に結線したものです。負荷側も同様に、3本の線で送られてきた互いに120°ずつの位相差を持つ交流に対し、Δ型やY型に3個の負荷を入れています。Δ結線とY結線の、一相あたりの単相発電機の電圧と線間電圧の関係は次の通りです。

  • Δ結線…発電機の電圧=線間電圧
  • Y結線…発電機の電圧×√3=線間電圧

したがって、200Vの発電機を3個Δ結線にした場合の線間電圧は200Vですし、Y結線にした場合は200√3Vになります。

逆に、発電機をY結線として線間電圧を200Vにするためには、発電機の電圧は200÷√3Vにしなければいけません

恐らく、掛け算と割り算を逆にしたために200/3になってしまったのではないでしょうか。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成26年 理論 問13 過去問解説 オペアンプを用いた回路の動作)

電験三種テキスト理論編032Aのページ137でオペアンプについての解説があるのですが、最後の3行の「結局20kΩの両端の電圧は~出力電圧は6Vであることが求まります。」までがどうしても分かりません。途中まではわかるのですが、最後駆け足で解説してる感じです。-入力端子が5Vになったときどの方から、電流が流れ、また、20kΩと10KΩの抵抗への電圧降下、もしくわ電流の向き等あと2行ほど解説があると助かります。

まず、オペアンプの働きについておさらいします。これは、

  • -入力端子の電圧<+入力端子の電圧…出力電圧が上昇
  • -入力端子の電圧>+入力端子の電圧…出力電圧が下降
  • -入力端子の電圧=+入力端子の電圧=出力電圧の変動が停止

の3つです。逆に言うと、安定状態(正常稼働状態)においては、必ず-入力端子の電圧=+入力端子の電圧である、と言いますか、そのように回路を構成して使うのがオペアンプ回路です。

出題の回路を見ると、+入力端子が5Vに固定されています。上記の理由により、正常動作状態において必ず-入力端子も5Vの状態になっている、ということを意味します。出題の条件より、Vinが3Vですから、入力端子の20kΩの抵抗は右側が5V、左側が3Vとなり、差し引き2Vの電圧が掛かります。したがってオームの法則から、0.1mAの電流が右から左に向かって流れます

オペアンプの入力端子の入力抵抗(入力インピーダンス)は理想的には無限大ですから、この0.1mAの電流は、全量がオペアンプの出力端子から10kΩを通して流れてきたものとなります。したがって、10kΩにも右から左に向かって0.1mAの電流が流れ、オームの法則から右側を+として1Vの電圧が発生することになります。

したがって、入力端子が3V、オペアンプの-入力端子が5V、出力端子が6Vとなり、これが答えとなります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成27年 理論 問8 過去問解説 負荷の力率計算)

電験3種講座の理論テキストP68の解説の欄で37.5×(cosΦーjsinΦ) とあるのですが(cosΦーjsinΦ)の部分はどこから導きだせばよろしいですか? プロセスの説明も含めてお願いします。

まず37.5は、力率0.6の誘導性負荷に流れる見かけ上の電流、すなわち抵抗に流れる電流とコイルに流れる電流の2乗平均値です。

cosφは、負荷の力率です。負荷にかかる電圧を位相の基準として、それと同位相つまり力率が1の成分がcosφ、そして電圧と90°で力率が0の成分がsinφとなります。cosφとsinφの間には、cosの2乗+sinの2乗=1という関係がありますから、cosが0.6ならsinは±0.8と決定されます。

何故-jsinθになったかというと、「誘導性負荷」とあるからです。誘導性負荷は、コイルのせいで力率が悪化しています。つまり、遅れ力率の電流が流れるということを暗に言っていますから、そこから-jsinφとなるわけです。

37.5 x (cosφ – jsinφ) = 37.5 x・・・とありますが、なぜ無効電流はマイナスになっているのでしょうか?

この問題の回路図には、「誘導性負荷」とあります。誘導性というのはコイルが入っているということですから(コンデンサの場合は容量性負荷です)、コイルの性質より遅れ電流、すなわち-j方向になります。

また、その下の((22.5 + Ir) ^ 2 + 30 ^ 2) ^ (1 / 2) = 50とありますが、22.5と30はSが開放の時の誘導性負荷に流れる有効電流と無効電流であって、Sが短絡の場合は違うのではないでしょうか?それとも同じなのですか?

結論から言うと同じです。

Sが開放されている場合に回路に流れるのは、37.5×(0.6-j0.8)=22.5-j30アンペアです。

Sが短絡された場合でも、誘導性負荷に流れる22.5-j30アンペアの電流自体に変化はありません。そして、その電流の上に、さらに抵抗Rに流れる力率1の電流が加算されて電源から流れ出すわけです。

このとき、抵抗Rに流れる電流をIRとすれば、

  • 有効電流…22.5+IRアンペア
  • 無効電流…-j30アンペア

ですから、これらの2乗平均を取って50Aという条件からIRを求める、という理屈となります。

「Sが短絡された場合でも、誘導性負荷に流れる22.5-j30Aの電流自体に変化はありません。」

➡何故でしょうか?負荷が変わると電流が変化すると思うのですが。

これは、交流回路の電源が、140∠0°の電圧源だからです。

電圧源は、どんな電流が流れようとも、その電圧が変化することはありません。

したがって、スイッチSが入り、回路に並列にRの抵抗が挿入されようとも、その前後で電圧が変わることはありません。

したがって、Sの投入前後で力率0.6の誘導性負荷にかかる電圧は全く変わりませんから、その負荷に流れる電流も全く変化しないことになります。

もちろん、電源から流れ出す電流は、Sを投入する前(力率0.6の誘導性負荷のみの状態)と、Sを投入した後(力率0.6の誘導性負荷と、Rの抵抗に流れる電流の合計)では変化することになります。

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(分数の割り算)

猫でもわかる電気数学講座6ページの(4)の問題分数の割り算は分子と分母をひっくり返して掛け算にするとのお話しでしたがどういう考え方があってそれが成り立っているのでしょうか。教えてください。

まず、掛け算と割り算の基本的な性質についておさらいします。

例えば、掛け算で6倍するというとき、数式では×6と書きますし、10倍なら×10です。
ここで、6や10をわざと分数にすると、(1分の6)や

(1分の10)とも書くことができます。

次に、割り算で6で割るというとき、数式では÷6と書きますし、10で割るなら÷10です。これを分数で表すと、

(かける6分の1)や

(かける10分の1)とも書けます。

つまり、「nを掛ける」のと「nで割る」のは、ともに分数の掛け算で書くことができ、掛け算なら「1分のn」、割り算なら「n分の1」のように、分母・分子を逆にすれば掛け算と割り算を逆にすることができます。

さて、ここで分数の割り算です。例として、何でもいいのですが

 

(わる4分の3)を例にします。上記の掛け算と割り算の性質より、この式は、

 

(かける(4分の3)分の1)と書くことができます。

分数は、分母と分子に同じ数を掛けても成立しますから(例:1/6=2/12=3/18…)、分母と分子に4を掛けます。すると、この式は、

 

(かける3分の4)となり、分母・分子を逆にした掛け算と表せることが分かります。

これは3/4だけでなくどんな分数でも同じですので、色々と当てはめて試していただければ納得できるかと思います。