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電験3種過去問解説 平成30年理論問5

P=I2R=V2/Rを使うだけの問題です。これを計算すると、

  • 許容電力1/4Wで100Ωの抵抗…最大電流50mA、最大電圧5V
  • 許容電力1/8Wで200Ωの抵抗…最大電流25mA、最大電圧5V

となるので、直列の最大電流は25mAです。100+200=300Ωの合成抵抗に25mAを流したときの電圧は7.5Vですから、7.5÷5=1.5倍の電圧です。

以上より、答えは(1)です。

電験3種過去問解説 平成30年理論問4

電流は、その進む方向の周囲に右ねじの法則の向きに磁界を作ります。これを円に沿って一周すると、円の中心軸上にはx軸の+の向きに磁界が発生します。また、電流Iが距離rのところに作る磁界はI/2πrで与えられ、離れれば離れるほど距離に反比例して弱くなるほか、電流とx軸との角度によっても小さくなります(O点が最大)。

したがって、答えは(4)です。数学的にこのグラフを求めることは勿論できますが、それ以前に常識として見たらすぐに答えが分からないといけない問題です。

電験3種過去問解説 平成30年理論問3

磁界の場合も、電荷の場合とまったく同じクーロン力が働き、電界に対する磁界としてH=m/(4πμ0r2)と求まります。

  • 点Bによって点Aに作られる磁界の大きさ

H=m/(4πμr2)=1×10-4/16πμ0

向きは、B→Aの方向。

  • 点Cによって点Aに作られる磁界の大きさ

H=m/(4πμr2)=-1×10-4/16πμ0

磁極がマイナスなので、向きは、A→Cの方向。

以上の二つを合成すると、図のようになります。

したがって、

{1×10-4/16πμ0}×1/2+{1×10-4/16πμ0}×1/2=1×10-4/16πμ0

となり、これを計算すると答えは(4)となります。

電験3種過去問解説 平成30年理論問2

題意より、コンデンサには電源が接続されていて、誘電体などを挿入しても極板間電圧が変わりません。

  • 誘電体を入れた場合

極板間距離をd、誘電体の比誘電率をεrなどとして数式を立てれば求まりますが、もっと直接的に、題意に沿う数字を勝手に入れて求めてみます。

極板間距離を1[m]、電源電圧を1[V]とすると、極板間の電界は1[V/m]です。また、極板の面積Sがうまく調整してあって、コンデンサの静電容量が1[F]であるとしてしまいます。ここで、極板の半分の厚さで、比誘電率が9の誘電体を入れたとします。

すると、このコンデンサは、静電容量が2[F]の空気コンデンサと、2×9=18[F]の誘電体コンデンサの直列と同じ状態になります。コンデンサに与えられる電圧は1[V]のままで変わりませんから、各々のコンデンサの電圧は静電容量の逆数を取って0.9[V]:0.1[V]です。

空気コンデンサの極板間電界は、極板間距離0.5[m]、極板間電圧が0.9[V]より、1.8[V/m]となって元より上昇することが分かります。

  • 導体を入れた場合

導体は電線と同じなので、もし極板間距離の半分の導体を入れた場合、実質的に空気コンデンサの極板間距離が短くなったと等価ですから、極板の間の電界は2倍になります。

以上より、答えは(1)です。

電験3種過去問解説 平成30年理論問1

(ア)…反発力

クーロン力は同種電荷間では反発力です。そもそも、吸引力だったら導体球どうしがくっついてしまうのでこの図のようになり得ません。

(イ)…3Q^2/4πε0d^2

クーロン力の式に代入するとこの値になります。

(ウ)…16πε0l^2mg/3Q^2

ちょっと計算がややこしいですが、F^2+(mg)^2=T^2の両辺の√を取るとT=の式になるので、この式をF/T=d/2lに代入します。すると{1-(d/2l)^2}=(mg)^2(d/2l)^2となり、

両辺の√を取って出題文のような形に式を変換するとこの式が求まります。

(エ)…増加

クーロン力の式より、3QとQの積よりも2Qと2Qの積の方が大きくなるため、一旦接触させた後の方がクーロン力は強くなります。

答えは(1)です。

電験3種過去問解説 平成22年機械問16

(a)

平滑リアクトル(コイル)が挿入されている点がポイントです。

コイルに電流を流した状態にしておき、その電流を減少させようとすると、コイルは電流の変化を嫌い、その内部に蓄えられたエネルギ(=電流によって作られた磁気エネルギ)を使って、それまで流れていた電流を維持する方向に電圧を作り出すという性質を持っています。この性質により、サイリスタブリッジ回路において電源電圧がゼロから負方向に向かうときも(選択肢のグラフでいえば、角度がπを過ぎて電源電圧が負方向に向かい出した部分)、コイルが作り出した逆電圧と交流電源の電圧の合計がゼロになるまではサイリスタは電流を流し続けます。

この性質を念頭に置いて考えると、選択肢(1)(3)(4)のedの波形は、平滑リアクトルが挿入されていない場合の電流波形なので誤りということになります。

選択肢(2)と(5)は、直流電流が流れるタイミングが異なります。この見分け方ですが、まずこのグラフは負荷電流のグラフではなく、回路図左上のサイリスタに流れる電流iTを表したグラフであることに注意なければなりません。制御遅れ角π/3で左上のサイリスタがONとなり、4π/3でOFFになる間に負荷電流が流れるわけですから、当然グラフは(2)のようになります。答えは(2)です。

(b)

制御遅れ角がπ/2の時のedの波形を手書きしました。

ここでπ/2~3π/2の電圧波形を平均すると、このグラフはπを中心とした点対称の波形で、π/2~πとπ~3π/2を足すとゼロになることが分かります。したがって答えは(1)です。

 

電験3種過去問解説 平成28年機械問16

(a)

この回路は、負荷が抵抗しかない(コイルやコンデンサのような、電力を一旦蓄えてから負荷に流すような素子が無い)ので、サイリスタでスイッチングされた波形がそのまま負荷に掛かります。

  • T1・T4のゲート信号が与えられない場合

サイリスタは、ゲート信号が与えられる前は電流が流れず、ゲート信号が与えられた後はダイオードと同じ挙動を示します。したがって、T1・T4のゲート信号が与えられないのであれば、回路からT1とT4を取り去ってしまって構わないことになります。

T1・T4を取り去った回路は、電源から負荷に対してサイリスタが2個入っただけの回路です。このとき、サイリスタの向きを考えると、電源電圧vsが+の時はサイリスタが逆方向になるので電流は流れません。vsがマイナスの時はサイリスタに電流が流れます。サイリスタにゲート信号が与えられるのはπ/2・3π/2・5π/2…ですから、波形3が正解となります。

  • 正しくゲート信号が与えられた場合

この場合は全てのサイリスタが動作するため、回路全体としては「ゲート電流が与えられた点から電流が流れだすダイオードブリッジ回路」とみなせます。したがって波形2が正解です。以上より、答えは(5)です。

(b)

制御遅れ角α=0、つまりサイリスタが完全にダイオードと同じ状態を考えると、cosα=1ですから、

(1)Ed=0.45V

(2)Ed=0.9V

(3)Ed=V

(4)Ed=0.45V

(5)Ed=0.9V

となり、(1)(3)(4)は明らかにおかしいことが分かります。

次に、制御遅れ角α=π、つまりサイリスタが全周期にわたって完全に非導通の場合を考えます。すると、cosα=-1ですから、これを式に代入すると、

(2)Ed=0V

(5)Ed=-0.9V

となり、全波整流なのに出力がマイナスになる(5)は明らかにおかしいことが分かります。以上より、答えは(2)です。

電験3種過去問解説 平成24年理論問17

(a)

単純な倍率器の問題です。電圧計を単なる抵抗と置き、直列抵抗をつないでオームの法則より電圧配分を求めるだけです。

1kΩと14kΩを直列につないで15Vを掛けると、両抵抗に流れる電流は同一であることから電圧比は1:14となり、1kΩには1Vが掛かることになります。答えは(3)です。あまりに簡単な問題と言っていいでしょう。

(b)

重ね合わせの原理、キルヒホッフの法則、テブナンの定理などどんな解き方でも解くことができます。ここではテブナンの定理で考えます。

電圧計Vの両端を切り離して2端子を取り出し、開放した状態で端子間に発生する電圧を求めます。このとき、回路は16Vと4Vが逆接続されて差し引き12V、そこに合計40kΩの抵抗が接続されているので、回路に流れる電流は0.3mAです。したがって10kΩの電圧降下は3Vとなり、端子間には13Vの電圧が発生することが分かります。次に2端子を短絡したときの電流を求めると、1.6mA+0.13mA=1.73mAとなります。以上より、「開放したときに13V、短絡すると1.73mAの電流が流れる」回路と同じですから、13Vの電池と7.5kΩの直列とみなせることが分かります。(もちろん、10kΩと30kΩが並列で7.5kΩでも結構です)

電圧計を挿入するということは、ここに15kΩの抵抗を接続するのと同じですから、13Vの電池に22.5kΩの抵抗を接続した回路に流れる電流を求めればよいことになります。これを求めると0.58mAと求まります。

「最大目盛1V、内部抵抗1kΩ」の電圧計は、1V÷1kΩ=1mAの電流が流れたときにフルスケールとなるので、0.58mAの電流が流れたときはフルスケールの58%まで振れることになります。ここでは倍率器を付けて最大15Vの目盛りとしているので、15×0.58=8.7Vが電圧計の指示値です。答えは(2)です。

電験3種過去問解説 平成27年理論問17

(a)

この回路は、負荷側がY結線、負荷に並列に接続されるコンデンサがΔ結線であるところまではすぐ分かりますが、電源側がΔのうち2相しかないV結線となっています。

題意より、eaとebの間の位相が120°ということは、Δ結線から一相分抜けているecはeaに対して-240°となり、負荷から見ると三相Δ結線と同じに見えることが分かります。どうしてecが-240°になるかは、図で示します。

図中で定義されたecについて、ecのベクトルの始点から終点に向けて考えると、ec=-ea+(-eb)となります。ベクトルの引き算は、逆ベクトルの足し算ですから、図のように-ebと-eaを足したものは、eaから+120°(-240°)のベクトルとなり、ea・eb・ecは120°ずつの位相差の三相交流となることが求まります。

電源電圧は、Δ結線の線間電圧がEsin(ωt)の式、ω=2πfであることと照らし合わせると、電圧の最大値が100√6[V]、周波数fが50Hzであることが分かります。したがって、線間電圧の実効値は100√6を√2で割って100√3[V]です。

コンデンサを切り離した回路において、コイルのリアクタンスはjωLで求まります。電源周波数が50Hzなので、リアクタンス値はj×2×π×50×16×10^-3≒j5Ωとなります。したがって、一相当たりのインピーダンスは5Ωとj5Ωの二乗和で5√2Ωとなります。

Y結線負荷の相電圧は、線間電圧の√3分の1ですから、負荷の相電圧は100Vです。したがって負荷に流れる電流は100/5√2[A]=10√2[A]、この電流が5Ωの抵抗に流れるので、抵抗の消費電力は(10√2)^2×5=1000[W]です。これが3相分ですから、答えは3kWと求まります。

(b)

題意より、コンデンサを接続することで負荷の力率が1になるようにすれば良いことが分かります。「iaの波形はeaの波形に対して位相が30°遅れていた」ことがなぜ力率1になるかという説明は、こちらを参照ください。

まずY結線のCで考えます。5+j5Ωのインピーダンスに並列にコンデンサを接続し、虚数分をゼロにすればいいわけです。したがって、1/(5+j5)のアドミタンスとjωCのサセプタンスを足し、これの虚数をゼロにします。この条件からY結線のCが求まり、これをΔ型に変換すれば答えが求まります。計算は図にします。

電験3種過去問解説 平成27年理論問16

(a)

ΔーY変換の公式を知らないと解けないような気がしますが、そんなの知らなくても簡単に解けます。

Δ-Y変換は、要するに外部から見て回路の挙動が全く同じであればいいわけです。ここで図2のb-c間(b-d間、c-d間でもOK)を見ると、3μFのコンデンサと、1.5μF(←3μFのコンデンサが2個直列)が並列になっていると見なせます。つまり、4.5μFの静電容量です。

図3の回路を見ると、b-c間、あるいはb-d、c-d間は、いずれも2個のCが直列になっているように見えます。これが4.5μFであればいいので、Cは9μFと求まります。答えは(5)です。

(b)

(a)の結果を用いて回路のb-c-d間を置き換えると、aから(9μFと9μFの直列)と(18μFと9μFの直列)が並列となり、その次に9μFが直列に入ってdに至る回路となります。あとはコンデンサの並列・直列の式を使って計算するだけです。答えは(3)になります。