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電験3種過去問解説 平成30年理論問8

「力率1/√2の誘導性負荷」ということから、負荷は絶対値が等しい抵抗とリアクタンスを持ったコイルの直列と分かります。(例:10+j10[Ω])

ここで、V2を基準にして考えると、誘導性で遅れ力率1/√2ということから、回路に流れる電流はV2に対して遅れ45°であることが分かります。

この回路電流をIとすると、負荷に対して直列に挿入されているR+jωLに発生する電圧は、「R=ωL」という条件よりIに対して進み45°の電圧が発生していることになります。つまり、V2を基準にすると、負荷に対して直列に挿入されているR+jωLに発生する電圧は位相差無し(V2と同位相)だということが分かります。

したがって、V2に対して同位相の電圧を足したところで位相はV2と同ですから、V1とV2の位相差はゼロとなります。答えは(1)です。


なお別の考え方として、もしこの回路でV1とV2の位相差がゼロ以外の値だったとすると、このようなRとLを何個も直列に挿入してしまえば、電源と負荷の間の位相差がどんどん変化していってしまうことになります。これはおかしいので、位相差はゼロしかないことが直感的に求まります。

(分布定数回路として考えれば「RとLを何個も直列に挿入してしまえば、電源と負荷の間の位相差がどんどん変化していってしまう」ことが正しくなりますが、ここでは集中定数回路なのでそういう面倒な話ではありません)

電験3種過去問解説 平成30年理論問7

スイッチSを閉じる前、Rには2Aの電流が流れています。

ということは、Sを閉じた後にRに流れる電流は4Aです。もちろん、このとき10Vの電圧源から流れ出る電流は2Aで、電圧源からの2Aと電流源からの2Aの合計4AがRに流れています。

また、Sを閉じた段階でr=1Ωの両端に発生する電圧は、1Ω×2A=2V。電圧源から1Ωでの電圧降下を差し引いて、Rの両端の電圧は10V-2V=8Vです。

以上の事から、Rは「4Aの電流が流れたときに8Vとなる抵抗」ですから、答えは(1)の2Ωです。

電験3種過去問解説 平成30年理論問6

簡単な連立方程式を解くだけの問題です。

  • 実験1…Ra+Rb=25Ω(←1.4V÷0.056A) …①
  • 実験2…Rb+Rc=40Ω …②
  • 実験3…Ra+Rc=35Ω …③

まずRaかRcを消去したいので、③式より

  • Ra=35-Rc …④

④を①に代入して、

  • 35-Rc+Rb=25 → Rb-Rc=-10 …⑤

⑤と②の左辺どうし、右辺どうしを足して、

  • Rb+Rc+Rb-Rc=40-10 …⑥

⑥式を整理して、

  • 2Rb=30 → Rb=15

以上より、答えは(2)です。

 

 

電験3種過去問解説 平成30年理論問5

P=I2R=V2/Rを使うだけの問題です。これを計算すると、

  • 許容電力1/4Wで100Ωの抵抗…最大電流50mA、最大電圧5V
  • 許容電力1/8Wで200Ωの抵抗…最大電流25mA、最大電圧5V

となるので、直列の最大電流は25mAです。100+200=300Ωの合成抵抗に25mAを流したときの電圧は7.5Vですから、7.5÷5=1.5倍の電圧です。

以上より、答えは(1)です。

電験3種過去問解説 平成30年理論問4

電流は、その進む方向の周囲に右ねじの法則の向きに磁界を作ります。これを円に沿って一周すると、円の中心軸上にはx軸の+の向きに磁界が発生します。また、電流Iが距離rのところに作る磁界はI/2πrで与えられ、離れれば離れるほど距離に反比例して弱くなるほか、電流とx軸との角度によっても小さくなります(O点が最大)。

したがって、答えは(4)です。数学的にこのグラフを求めることは勿論できますが、それ以前に常識として見たらすぐに答えが分からないといけない問題です。

電験3種過去問解説 平成30年理論問3

磁界の場合も、電荷の場合とまったく同じクーロン力が働き、電界に対する磁界としてH=m/(4πμ0r2)と求まります。

  • 点Bによって点Aに作られる磁界の大きさ

H=m/(4πμr2)=1×10-4/16πμ0

向きは、B→Aの方向。

  • 点Cによって点Aに作られる磁界の大きさ

H=m/(4πμr2)=-1×10-4/16πμ0

磁極がマイナスなので、向きは、A→Cの方向。

以上の二つを合成すると、図のようになります。

したがって、

{1×10-4/16πμ0}×1/2+{1×10-4/16πμ0}×1/2=1×10-4/16πμ0

となり、これを計算すると答えは(4)となります。

電験3種過去問解説 平成30年理論問2

題意より、コンデンサには電源が接続されていて、誘電体などを挿入しても極板間電圧が変わりません。

  • 誘電体を入れた場合

極板間距離をd、誘電体の比誘電率をεrなどとして数式を立てれば求まりますが、もっと直接的に、題意に沿う数字を勝手に入れて求めてみます。

極板間距離を1[m]、電源電圧を1[V]とすると、極板間の電界は1[V/m]です。また、極板の面積Sがうまく調整してあって、コンデンサの静電容量が1[F]であるとしてしまいます。ここで、極板の半分の厚さで、比誘電率が9の誘電体を入れたとします。

すると、このコンデンサは、静電容量が2[F]の空気コンデンサと、2×9=18[F]の誘電体コンデンサの直列と同じ状態になります。コンデンサに与えられる電圧は1[V]のままで変わりませんから、各々のコンデンサの電圧は静電容量の逆数を取って0.9[V]:0.1[V]です。

空気コンデンサの極板間電界は、極板間距離0.5[m]、極板間電圧が0.9[V]より、1.8[V/m]となって元より上昇することが分かります。

  • 導体を入れた場合

導体は電線と同じなので、もし極板間距離の半分の導体を入れた場合、実質的に空気コンデンサの極板間距離が短くなったと等価ですから、極板の間の電界は2倍になります。

以上より、答えは(1)です。

電験3種過去問解説 平成30年理論問1

(ア)…反発力

クーロン力は同種電荷間では反発力です。そもそも、吸引力だったら導体球どうしがくっついてしまうのでこの図のようになり得ません。

(イ)…3Q^2/4πε0d^2

クーロン力の式に代入するとこの値になります。

(ウ)…16πε0l^2mg/3Q^2

ちょっと計算がややこしいですが、F^2+(mg)^2=T^2の両辺の√を取るとT=の式になるので、この式をF/T=d/2lに代入します。すると{1-(d/2l)^2}=(mg)^2(d/2l)^2となり、

両辺の√を取って出題文のような形に式を変換するとこの式が求まります。

(エ)…増加

クーロン力の式より、3QとQの積よりも2Qと2Qの積の方が大きくなるため、一旦接触させた後の方がクーロン力は強くなります。

答えは(1)です。