理論20ページの例題で、重ね合わせの原理は、理解できましたが、テブナンの定理での解き方が、いまいち理解できません。テブナンの定理で、i1、i2、i3の解き方を教えて下さい。
テブナンの定理は、複数の電源や抵抗の組み合わせ回路を、等価的な1個の電源と1個の抵抗に置き換える定理ですので、これを使って解いた例を如何に示します。なお、I3については、抵抗がつながる端子を開放したときの電圧がゼロですから、テブナンの定理を用いるまでもなく電流値はゼロであることが分かります。
P79~P80 三相交流電力
電源側を公式にはめて⊿→Y変換をしたところ教材では電源200/√3となっていますが自分の200/3になります。なぜ200/√3になるか教えてください。
対称三相交流は、互いに120°ずつ位相がずれた3個の単相発電機を、Δ型やY型に結線したものです。負荷側も同様に、3本の線で送られてきた互いに120°ずつの位相差を持つ交流に対し、Δ型やY型に3個の負荷を入れています。Δ結線とY結線の、一相あたりの単相発電機の電圧と線間電圧の関係は次の通りです。
したがって、200Vの発電機を3個Δ結線にした場合の線間電圧は200Vですし、Y結線にした場合は200√3Vになります。
逆に、発電機をY結線として線間電圧を200Vにするためには、発電機の電圧は200÷√3Vにしなければいけません。
恐らく、掛け算と割り算を逆にしたために200/3になってしまったのではないでしょうか。
電験三種テキスト理論編032Aのページ137でオペアンプについての解説があるのですが、最後の3行の「結局20kΩの両端の電圧は~出力電圧は6Vであることが求まります。」までがどうしても分かりません。途中まではわかるのですが、最後駆け足で解説してる感じです。-入力端子が5Vになったときどの方から、電流が流れ、また、20kΩと10KΩの抵抗への電圧降下、もしくわ電流の向き等あと2行ほど解説があると助かります。
まず、オペアンプの働きについておさらいします。これは、
の3つです。逆に言うと、安定状態(正常稼働状態)においては、必ず-入力端子の電圧=+入力端子の電圧である、と言いますか、そのように回路を構成して使うのがオペアンプ回路です。
出題の回路を見ると、+入力端子が5Vに固定されています。上記の理由により、正常動作状態において必ず-入力端子も5Vの状態になっている、ということを意味します。出題の条件より、Vinが3Vですから、入力端子の20kΩの抵抗は右側が5V、左側が3Vとなり、差し引き2Vの電圧が掛かります。したがってオームの法則から、0.1mAの電流が右から左に向かって流れます。
オペアンプの入力端子の入力抵抗(入力インピーダンス)は理想的には無限大ですから、この0.1mAの電流は、全量がオペアンプの出力端子から10kΩを通して流れてきたものとなります。したがって、10kΩにも右から左に向かって0.1mAの電流が流れ、オームの法則から右側を+として1Vの電圧が発生することになります。
したがって、入力端子が3V、オペアンプの-入力端子が5V、出力端子が6Vとなり、これが答えとなります。
電験3種講座の理論テキストP68の解説の欄で37.5×(cosΦーjsinΦ) とあるのですが(cosΦーjsinΦ)の部分はどこから導きだせばよろしいですか? プロセスの説明も含めてお願いします。
まず37.5は、力率0.6の誘導性負荷に流れる見かけ上の電流、すなわち抵抗に流れる電流とコイルに流れる電流の2乗平均値です。
cosφは、負荷の力率です。負荷にかかる電圧を位相の基準として、それと同位相つまり力率が1の成分がcosφ、そして電圧と90°で力率が0の成分がsinφとなります。cosφとsinφの間には、cosの2乗+sinの2乗=1という関係がありますから、cosが0.6ならsinは±0.8と決定されます。
何故-jsinθになったかというと、「誘導性負荷」とあるからです。誘導性負荷は、コイルのせいで力率が悪化しています。つまり、遅れ力率の電流が流れるということを暗に言っていますから、そこから-jsinφとなるわけです。
37.5 x (cosφ – jsinφ) = 37.5 x・・・とありますが、なぜ無効電流はマイナスになっているのでしょうか?
この問題の回路図には、「誘導性負荷」とあります。誘導性というのはコイルが入っているということですから(コンデンサの場合は容量性負荷です)、コイルの性質より遅れ電流、すなわち-j方向になります。
また、その下の((22.5 + Ir) ^ 2 + 30 ^ 2) ^ (1 / 2) = 50とありますが、22.5と30はSが開放の時の誘導性負荷に流れる有効電流と無効電流であって、Sが短絡の場合は違うのではないでしょうか?それとも同じなのですか?
結論から言うと同じです。
Sが開放されている場合に回路に流れるのは、37.5×(0.6-j0.8)=22.5-j30アンペアです。
Sが短絡された場合でも、誘導性負荷に流れる22.5-j30アンペアの電流自体に変化はありません。そして、その電流の上に、さらに抵抗Rに流れる力率1の電流が加算されて電源から流れ出すわけです。
このとき、抵抗Rに流れる電流をIRとすれば、
ですから、これらの2乗平均を取って50Aという条件からIRを求める、という理屈となります。
「Sが短絡された場合でも、誘導性負荷に流れる22.5-j30Aの電流自体に変化はありません。」
➡何故でしょうか?負荷が変わると電流が変化すると思うのですが。
これは、交流回路の電源が、140∠0°の電圧源だからです。
電圧源は、どんな電流が流れようとも、その電圧が変化することはありません。
したがって、スイッチSが入り、回路に並列にRの抵抗が挿入されようとも、その前後で電圧が変わることはありません。
したがって、Sの投入前後で力率0.6の誘導性負荷にかかる電圧は全く変わりませんから、その負荷に流れる電流も全く変化しないことになります。
もちろん、電源から流れ出す電流は、Sを投入する前(力率0.6の誘導性負荷のみの状態)と、Sを投入した後(力率0.6の誘導性負荷と、Rの抵抗に流れる電流の合計)では変化することになります。
猫でもわかる電気数学講座6ページの(4)の問題分数の割り算は分子と分母をひっくり返して掛け算にするとのお話しでしたがどういう考え方があってそれが成り立っているのでしょうか。教えてください。
まず、掛け算と割り算の基本的な性質についておさらいします。
例えば、掛け算で6倍するというとき、数式では×6と書きますし、10倍なら×10です。
ここで、6や10をわざと分数にすると、(1分の6)や
次に、割り算で6で割るというとき、数式では÷6と書きますし、10で割るなら÷10です。これを分数で表すと、
(かける6分の1)や
(かける10分の1)とも書けます。
つまり、「nを掛ける」のと「nで割る」のは、ともに分数の掛け算で書くことができ、掛け算なら「1分のn」、割り算なら「n分の1」のように、分母・分子を逆にすれば掛け算と割り算を逆にすることができます。
さて、ここで分数の割り算です。例として、何でもいいのですが
(わる4分の3)を例にします。上記の掛け算と割り算の性質より、この式は、
(かける(4分の3)分の1)と書くことができます。
分数は、分母と分子に同じ数を掛けても成立しますから(例:1/6=2/12=3/18…)、分母と分子に4を掛けます。すると、この式は、
(かける3分の4)となり、分母・分子を逆にした掛け算と表せることが分かります。
これは3/4だけでなくどんな分数でも同じですので、色々と当てはめて試していただければ納得できるかと思います。
猫でもわかる電気基礎P43
2番目の例題ですが解答欄でP=20 ^2 × 6 = 2400wなぜ合成抵抗10Ωでなくて6Ωをかけるのかわかりません。教えていただけますでしょうか?よろしくお願いします。
詳しくは電験3種の理論編で詳しく解説していく内容なのですが、電気回路の抵抗・コイル・コンデンサの性質として、
という性質があります。この回路のように、抵抗とコイルの両方が含まれた組み合わせ回路は、これらの性質が組み合わさることで複雑な挙動を示すのですが、現段階では上に挙げたことを覚えておいていただければ大丈夫です。
したがって、この問題で求める全消費電力、すなわち抵抗で消費されて熱に代わる電力は、電流の2乗×抵抗の値で求められることになります。
電験3種の理論の12過渡現象に関する質問です。コイルは直流に対して電流を流しやすく、コンデンサは直流に対して電流を流しにくいと思うのですが、過渡現象の箇所ではコイルは時間変化を嫌うので最初は電流を流さず、コンデンサは時間0の時に電流を流すと矛盾してるような気がします。どこの考え方が間違ってるのでしょうか。
まず、コイルの性質を厳密に言いますと、
という性質を持っています。つまり、短ければ短い時間の間に電流が変化するほど、そして電流の変化量が大きければ大きいほどコイルの両端に発生する電圧は大きくなります。
例えば、0.1秒の間に2A変化したとすると、1秒では20A変化する計算になりますが、0.001秒の間に2A変化したとすると、1秒では2000A変化することになります。また、0.1秒間に2A変化すれば1秒間に20Aですが、0.1秒間に5A変化すれば、当然1秒間では50Aの変化になります。
これを数式で表せば、V=L(di/dt)となります。
直流回路において、スイッチを入れた瞬間、それまで電流がゼロだったところに電流を流そうという力が働きます。したがって極めて微小の電流は流れ込むのですが、電流がゼロからいきなりある値になるということは、「電流の時間変化」は物凄く大きな値になります。このときコイルの両端には大きな電圧(与えられた電源電圧と同じ電圧)が発生し、電流が流れ込むのを阻止します。これが、「コイルは時間変化を嫌う」性質です。
その後、徐々に電流が流れるようになると、1Aなら1A、5Aなら5Aで時間的に変化しない電流が流れ続けるようになります。コイルは「流れる電流の時間変化に比例した電圧」を発生しますから、時間変化がゼロであれば両端に発生する電圧もゼロ、つまり単なる電線と同じになります。これが、直流に対しては電流を流しやすいという理由です。
コンデンサは、コイルと真逆の性質を持ちます。つまり、
という性質です。数式で表せば、V=(1/C)∫idtです。
直流回路でスイッチを入れた瞬間、それまでゼロだった電圧がいきなり上昇するわけですから、与えられた電圧の時間変化はものすごく大きい値になります。したがってコンデンサは大きな電流を遠し、この瞬間だけは、コンデンサはゼロΩ、つまり導線と同じになります。
しかし、直流回路ですから、だんだんと電圧変化はなくなり、やがて5Vなり10Vなりの一定の電圧になります。こうなると「与えられる電圧の時間変化がゼロ」ですから、電流は通さなくなる=電線が切断されているのと同じ状態、となるわけです。これが「コンデンサは直流を通さない」ということの意味です。
可動鉄片形計器についての質問です。直流で使用するには、鉄ブタ部分が磁化する影響で、交流専用とありました。もし、一度直流で使用してしまうと、交流計器での使用は磁化するので使用出来ないのでしょうか?
一度磁化してしまった鉄片でも、その後交流の交番磁界を与えられているうちに、段々と偏った磁化が消えていくという性質があります。したがって、直流で使用して鉄片が偏って磁化してしまっても、交流で使用しているうちに元に戻ります。
このような性質を積極的に活用したのが消磁器(脱磁器とも言います)という装置で、例えば磁化してしまったドライバの磁化を消したい場合など、消磁器を使って交流磁界を与えることで磁化を中和するということが行われています。
機械編のテキストのP9の例題の質問です。はじめの例題でE=kΦNでこれを機械出力P=EIに代入するとp=(kΦN)Iになり、どうして解答のp=kNI^2になるのですか?
直流直巻電動機は、固定電磁石として回転コイルに対して磁界を与える界磁巻線と、磁界を発生しながら回転し、界磁によって与えられた磁界との間で磁石の吸引・反発力を生み出す回転コイルの巻線とが直列に接続されているのが特徴です。
小学校の理科の電磁石の実験でも分かるように、電磁石の強さは、流す電流に比例します。従って、界磁巻線が作る磁界の強さΦは、比例定数をkとしてΦ=kI(電流に比例する値)として表すことができます。
一方、回転コイルの逆起電圧は、界磁電流をIとして、界磁によって与えられた外部磁界Φ=kIとコイルの巻数Nに比例するのでkNΦ=k’NI(左辺のkとは異なる定数になるのでk’としました)であり、それと回転コイルに流れる電流Iを掛けたものが出力Pとなるのですが、前述のように界磁巻線と回転コイルの巻線は直列ですので、結局k’NI×IでIが2乗になるわけです。
次の例題で逆起電力を求めるのに電動機が600rpmで回転しているときの誘電起電力200Vに2.2と0.5を掛けていますが、電機子に発生する起電力は磁束と回転数に比例するということで2.2をかけているのですか?2.2と0.5を掛けているのはどうしてですか?
2.2を掛けている理由はその通りです。これも小学校の理科の実験で、コイルに棒磁石を入れると電流が流れるという実験があったと思いますが、棒磁石をゆっくり入れると小さな電流、素早く入れると大きな電流が流れました。これは、コイルに発生する電圧は、磁界の変化の速度に比例するからです。電動機の回転数が速いほど、回転コイルから見た磁界の変化速度も速くなりますから、回転数が2.2倍だと逆起電圧も2.2倍ということになります。
0.5は、界磁電流を半分にしたためです。回転コイルに対して与えられる磁界は、固定された電磁石である界磁巻線によって与えられますが、当然この巻線に流す電流が大きければ大きいほど強い磁界を発生するわけです。界磁電流が半分なら、発生する磁界も半分、したがって回転数が同じであれば、界磁電流を半分にした時に回転コイルに発生する逆起電圧も半分です。
そしてトルクT=KΦIより、界磁電流半分で同一トルクをうむためには電機子電流が2倍必要と書いてありますが、ここの意味が理解できませんでした。
最初の項で書きました通り、電動機は、固定された電磁石によって発生する磁界と、回転コイルによって発生する磁界同士が反発したり引きつけ合ったりする力を用いて電力を機械的な力に変えています。したがって、生み出す力は、回転コイルに流れる電流と、固定電磁石に流れる電流の両方に比例することになります。
以上のことより、界磁電流を半分にするというのは、固定電磁石が作り出す磁力を半分にすることを意味していますから、その前と同じだけの力を生み出すためには、回転コイルに流す電流を2倍にしなくてはいけないわけです。