「質問回答」カテゴリーアーカイブ

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(抵抗の電圧降下と電位差)

電気基礎講座P44-Q03の問題について

解き方としては、断線部分をまずないものとして直列の回路図として考え

  1. 電圧を100V+100Vで200V
  2. 直列なので、20Ω+30Ω=50Ω
  3. 200Vを50Ωで割り算し4Aを出す
  4. そして20Ωと30Ωの電圧を導き出し80Ω・120Ωとする。

それからa点が100V・b点の電圧200-80=120Vですが、どうしてそうなるのかがよくわかりません。

御質問承りました。考え方として、1~4まで、全く問題ありません。

電圧というのは、相対的なものです。例えば、乾電池は1.5Vの電圧ですが、マイナス端子を基準にすればプラス端子が+1.5V、プラス端子を基準にすれば、マイナス端子がー1.5Vの電圧になります。

1の段階で、「電圧を100V+100Vで200V」としていますが、これは暗黙のうちに、回路の一番下の電線を基準の0Vとし、端子aが+100V、そして上の電池の+端子が+200Vとしています。逆に、a端子を基準にして、上側の電池の+端子を+100V、下側の電池のー端子をー100Vと考えても構いません。

以上のことを念頭に置いて、暗黙のうちに一番下の電線を基準の0Vとして考えます。端子a・b部分を無いものとして考えると、100Vの電池が2個直列、そして負荷に20Ωと30Ωの合計50Ωがつながっています。負荷の30Ωの下側端子が0V、20Ωの上側端子が+200Vですから、ここに流れる電流は、オームの法則から200÷50=4A。すると、20Ωの両端に発生する電圧が4×20=80V、30Ωの両端に発生する電圧が4×30=120V。従って、30Ωの下側の端子が0V、上側の端子が120V。

ここで、端子aは、一番下の線を0Vとして考えると+100Vが出ていますから、a-b間の電圧は120-100=20V、以上答えとなります。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(直流直巻電動機の無負荷特性)

電験3種の機械テキストP9についての質問です。

直流直巻電動機で無負荷のとき回転数が∞になるのは数式的にはわかるのですがどのようなイメージで回転数が∞になるのですか?

まず、電動機が回転力を生む仕組みについておさらいします。これは、固定巻線が
作る磁界と、回転巻線が作る磁界どうしが吸引、もしくは反発の力を発生すること
で回転します。当然、大きな力が必要な時は、固定巻線・回転巻線ともに大電流を
流す必要があるわけです。

さて、直流直巻電動機は、回転巻線の電流=固定巻線の電流となっているのが特徴
です。そして、電源電圧が一定で負荷が軽い(=巻線電流が小さい)とき、回転巻
線の逆起電力は電源電圧とほぼ同じです。

直流直巻電動機を無負荷で回転させたとします。すると、回転が上がり、固
定巻線の磁界×回転巻線の磁界×回転数に比例した逆起電圧が発生します。このと
き、機械的な負荷がゼロということは、回路電流は減少していきますが、回路電流
が減少すれば固定巻線の磁界×回転巻線の磁界も減少しますから、回転数が上昇す
ることで逆起電圧を上昇させます。機械的な負荷がゼロ=出力がゼロ=回路電流も
ゼロに近づいていきますから、結局回転数がどんどん上昇する、そういう仕組みで
す。

単に式や性質を暗記するよりも、このように原理をイメージできることが物凄く大
切な資産になりますので、大変良い質問だと思いました。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(誘導電動機の起動トルク)

電験3種の機械テキストP17に関しての質問です。

誘導電動機で始動時には多くの磁界が2次側に貫くので大電流がながれるのはわかるのですがなぜトルクが小さいのですか?

T=KΦIでトルクは大きくなりそうな気がするのですが。

ご質問承りました。

これは、誘導電動機の力率が悪いから、ということに他なりません。

誘導電動機の二次側回路は、両端が短絡されたコイルとなっています。従って、誘導電動機の一次側:二次側の関係は、二次側が短絡された変圧器と同様にみなせます。

ここに電源を供給すると、二次側回路が短絡されているために大きな電流が流れます。ここで、直流電動機であればT=KΦIで簡単に考えることができますが、交流電動機であるため、一次側コイルと二次側コイルが作る磁界のタイミングを考えなければいけません。つまり、

  • 一次側がN極の時に二次側もちょうどN極(あるいはS極)

になれば、大きな反発力や吸引力が生まれますが、

  • 一次側が磁界最大時に二次側が磁界ゼロ
  • 一次側の磁界がゼロの瞬間に二次側の磁界が最大

というタイミングになってしまうと大きなトルクは生まれません。

このタイミングを左右するのは、二次側回路の力率です。しかし、二次側回路は短絡されているため極めて低抵抗で、有効電力が消費されない=力率が非常に悪いため、そのタイミングのずれが大きく、大電流のわりに大きなトルクが発生しません。

回転が上がってくると、一次側と二次側の回転数の差が小さくなるため二次側コイルを横切る磁界の時間変化が小さくなり、二次側回路に誘導される電圧が低下します。

すると、極めて低抵抗であった二次側回路の抵抗値が、相対的に無視できない値になってきます。例を挙げると、1000Vの電源回路に1Ωの抵抗が直列に入っていても大した影響はないのに対し、0.1Vの電圧に対して1Ωの抵抗は大きな影響を与える、という感じです。

従って、回転数が上がってくると力率が向上し、その結果大きなトルクが生まれていく、ということになります。

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(コイル・コンデンサのリアクタンスベクトルの誤りと訂正)

P34のRLC直列回路でのインピーダンスで、図ではコイルのリアクタンスのベクトルは下向きのマイナスを向いています。電圧の合成の図ではコイルの電圧のベクトルが上方のプラスだったのに対し、なぜリアクタンスの図では逆を向いているか?ということについて毛馬内先生は詳しく解説されています。虚数を使ってコイルのリアクタンスはXL=VL/-jIになり、=jV/Iでプラスになる。とここまでは理解できるのですが、そのあとで先生は、「だから先ほどとは(電圧のベクトル?)逆になっているんですよ」とおっしゃっています。ここが理解できていません。

私の理解では、XL=VL/-jI なら電圧基準で電流側がマイナス90度遅れているのでベクトルは下向きのイメージですが、本質的にはXL=jV/Iになりプラスになると思うのでベクトルの方向は上向きのプラスになるのではないか?という疑問がぬぐい切れません。なのにどうして図のコイルのリアクタンスのベクトルはマイナスの方向を向いているのでしょうか?ちなみにその直後の説明で、コイルの場合もV/+jI=-jV/Iとご説明されているのはコンデンサのことのように思えます。よろしくお願いします。

ご質問承りました。

まず、この部分につきましては、完全に私のミスでございます。

ご指摘の通り、電圧のベクトルとインピーダンスのベクトル、いずれも上向きがコイル、下向きがコンデンサとなります。

これは、収録時に使用した図をトレースした際、上下がひっくり返っていたことに気付かずにそれをそのまま喋ってしまったことが原因でした。

とはいえ、収録前に精査せず喋ってしまったのは私の落ち度ですので、深くお詫び申し上げます。(そういえば、収録時になんか違和感を覚えていたのは確かです。その時にビデオを停止して良く確認すべきでした。)

今年2017年の夏には、電験3種の講座を再集録する予定でございますので、このようなミスの無いよう十分に気を付けて臨むことにいたします。

ご迷惑をお掛けして誠に申し訳ございませんでした。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成26年 理論 問15(b) Δ型回路とY型回路の変換とコンデンサによる力率改善)

H26、理論、問15(b)誘導性リアクタンスを求める問題です。
DVD講義の中で、全体抵抗を求めて、リアクタンスを算出するとありました。手順通りに計算すると、

  • 全体抵抗=300V÷12.5A=24Ω
  • X÷|Z|=sinΘ

より、

  • X=0.8×24=19.2Ω

となります。答えは30Ωとなりますので、計算過程が間違っていると思います。他の解法ならわかるのですが、上記方法での解法がわかりません。

まず、

  • 全体抵抗=300V÷12.5A=24Ω

これは正しいです。もっとも、RとXの並列なので、全体「抵抗」ではなく「インピーダンス」です。

  • X÷|Z|=SINΘ

ここが違います。

RとLやCの直列回路であればそれで正しいのですが、並列回路というのがミソです。並列回路は、抵抗やリアクタンス、インピーダンスではなく、逆数であるアドミタンで考えます。

コイルのサセプタンスは(1/X)、抵抗のコンダクタンスは(1/R)、RL合成でのアドミタンスは(1/24)ですから、

  • 力率は(1/R)÷(1/24)
  • 無効率は(1/X)÷(1/24)

で求められます。
ここに値を代入すると、

  • (1/X)÷(1/24)=sinθ=0.8

ですから、

  • (24/X)=0.8

となり、

  • X=24/0.8=30

と求まります。

「並列なので、逆数で考える」というのが慣れないと少し難しいですが、計算自体難しくないですので、慣れていただければと思います。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(コイル・コンデンサ・抵抗のベクトル図と誤植訂正)

理論テキストp56のベクトル図ですがRを基準にしてコイルのインピーダンスはjωⅬでjがあるのでベクトルが上を向いており、コンデンサーのインピーダンスは-j/ωcで-jがあるのでベクトルが下を向いていると解釈して良いですか?そしてp60のベクトル図でIRを基準にしておりRに流れる電流はⅤ/Rで、Ⅼに流れる電流は-jv/ωⅬで-jがあるのでベクトルが下を向いており、Ⅽに流れる電流はjωcvでjがあるのでベクトルが上を向いていると解釈してよろしいでしょうか?

その通りです。

これに関連することなのですが理論の17講単相交流電力と力率で講義の32分50秒ごろにベクトル図がでていますが、どうしてコイルのインピーダンスはjωLなのにコイルのインピーダンスのベクトルは下を向いているのですか?そしてp65の例題を解説されている52分34秒にベクトル図がでていますがどうしてコイルのインピーダンスのベクトルは下を向いているのですか?よろしくお願いいたします。

こちらは、大変申し訳ございませんが、講義に使う図版をトレースして起こした際に、上下逆にトレースされていたことに気付かないまま使用してしまったというミスでした。
受講生の皆様には、重要な部分で大きな誤りを含んでしまった件につきまして、まことに申し訳ございませんでした。深くお詫び申し上げます。
何卒よろしくお願い申し上げます。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成27年 理論 問2 コンデンサの性質)

理論 平成27年 問2の問題のイですがQ÷Cの Cを代入してどうしてLが消えたか理解出来なく宜しくお願いします。

まず、コンデンサの静電容量は、

  • C=ε×(A/l)

で求められる(設問のア)ことは大丈夫かと思います。このコンデンサに電荷Qクーロンを充電すると、

  • V=Q/C

より、極板間の電圧は、

  • (Ql/εA)

となります。距離xの2地点の間の電位差(電圧差)がVだった場合、電界E=V/xで求められますから、極板の間の電圧差(Ql/εA)を極板間距離lで割って、電界の値は(Q/εA)となるわけです。

これは電界の単位からも分かるかと思います。電界の単位は、V/mですから、

  • 「1mの距離当たり何ボルトの電位差があるか」

という値です。従って、電界×距離=電位差ということになります。

SAT電験3種講座 質問回答(勉強方法)

猫電基礎のDVDはテキストを読んで進めていくスタイルだったのですが理論のDVDはテキストを読まずに進めているのですが、これはDVDで授業を聞いて、ノートにまとめてテキストを自分で読んで進めていくという勉強方法で良いですか?
もし、オススメのやり方があれば教えて下さい。 お願い致します。

勉強方法につきましては、おっしゃる通りの方法で大丈夫です。
電験三種の講座では、収録後もテキストの手直しなどを入れておりまして、猫電のようにテキストをなぞっていく方式になっておりません。電験の講座は、収録に日数も大分掛かりますので、余り頻繁には講座をリニューアルしにくいという事情もございまして、現状そのようになっております。
なお、インターネット上の情報や、ダウンロードできる過去の出題問題なども大いに参考にしながら勉強を進めていただければと思います。
何卒よろしくお願いいたします。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成28年 理論 問1 複数の電荷と等電位面の関係)

計算結果が(2d)2得られますがこの式が座標上で(-2d,0)で半径2dの円の方程式を表すのか理解できません。教えてください。

この問題は、高校の数学で学んだ、円の方程式の知識を前提としている出題です。中心が原点にある円の方程式は、

  • x^2+y^2=r^2

で表せます。rは円の半径です。この円を、x軸方向にaだけ移動させた場合の方程式は、

  • (x-a)^2+y^2=r^2

です。さらに、これをy軸方向にbだけ移動させた場合の方程式は、

  • (x-a)^2+(y-b)^2=r^2

です。出題の条件から方程式を立てていくと、

  • (x+2d)^2+y^2=(2d)^2

という式が出てきた思います。これは、円の半径が2dで、x軸方向に-2dだけ移動させた円の方程式となるわけです。従って、答えは(4)と求まります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成25年 理論 問8 抵抗の組み合わせ回路の計算)

右上20Ω 右10Ω 右下20Ω それにつながる中下10Ωと50Ωぐるっと一周回って両端が短絡されている。この部分が理解できません。なぜ短絡しているのでしょうか?

理論P14-例題の、この回路が短絡している。の意味がわかりません。回路の一部分が繋がっていないのならわかりますが、全て回路が繋がっているのに、どうして短絡しているのですか?よろしくお願い致します。

電験3種の理論のテキスト14ページでぐるっと一周回って両端が短絡されているとはどういうことですか?

解説に、「右上の20Ω、右の10Ω、右下の20Ω~ぐるっと一周回って両端が短絡されているため~切り離すことができます」とありますが、何故切り離すことができるのですか?

例題において解説文がいまいち理解出来ません。電流の流れと、短絡との関係をより簡単に教えてください。

理論4の2つ目の例題について、どうして簡単で電源から無関係とかが、まったく理解出来ません。→DVDの中で説明もなく、テキストで短絡しているとの説明もどうして無視できるかも理解できません。

電気回路は、つながっている電線をどこまで伸ばしても、あるいは変形させても、部品が同じようにつながっていれば同じ回路になります。従って、下図のように回路を書き直してみます。

すると、5Vの電源につながった5Ω・10Ω・40Ωの抵抗と、何の電源にもつながっていない5本の抵抗に区分けすることができることが分かります。この5本の抵抗は、ぐるっと回って両端が短絡されている=電源がない部分であり、ここは当然電流も流れませんから、無視することができ、切り離して考えることができます。

その結果、この回路は、単に5Vの電源に、5Ωの抵抗と、10Ωと40Ωの並列抵抗が接続されているだけの回路と考えることができるわけです。

(2017/3/9 1:40 図が誤っていたで差し替えました。)