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SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成25年 理論 問15b 過去問解説 力率改善コンデンサのΔ-Y変換)

P81の解説を詳しく教えてください。まず、コンデンサの場合デルタからスターにした場合に3倍になるのか後RL直列+コンデンサ並列の場合の展開をわかりやすく教えてください。急に解説なしにアドミアタンスやサセプタンスが出てきて意味がわかりませんまずアドミタンス、サセプタンスとは何ですか。またどのような時に使うのですか

まず、コンデンサをデルタからスターにした場合に3倍になる理由ですが、これは、35ページの例題と全く同じですので、35ページも併せてご覧ください。抵抗のΔ-Y変換では、Δ型をY型にする場合、抵抗値は例えば

  • Ra=RabRca/(Rab+Rbc+Rca)

で求められました。これは抵抗値(=電圧÷電流)に注目しており、コンデンサでも同様にリアクタンス(=1/jωC)を用いて変換できます。しかし、コンデンサのリアクタンスは、1/jωCの式から分かるように静電容量の逆数に比例します。

したがって、Δ-Y変換で抵抗値が1/3になるところであれば、コンデンサは逆数なので3倍の値になるわけです。

http://wp.khz-net.co.jp/?p=712

も併せて参照頂ければと思います。

RL直列+コンデンサ並列の場合の展開をわかりやすく教えてください。

この問題の回路において、Y型の1素子のインピーダンスは、7.96mHと6Ωですから、6+j2.5Ωです。これをY→Δに変換すると、インピーダンス値は3倍になりますから18+j7.5ΩのΔ型回路となります。

ここでΔ型の一素子について考えると、18+j7.5Ωと並列に(1/jωC)を入れた合成インピーダンスの虚数分がゼロとなればいいことになります。しかし、並列回路なのでインピーダンスでは考えにくいため、逆数を取ってアドミタンスで計算します。

急に解説なしにアドミアタンスやサセプタンスが出てきて意味がわかりません
まずアドミタンス、サセプタンスとは何ですか。またどのような時に使うのですか

アドミタンスはインピーダンスの逆数サセプタンスは、リアクタンスの逆数です。電気の世界では「~タンス」が色々と出てきて最初は訳が分からなくなるのですが、以下にそれらをまとめます。

  • 抵抗…電圧÷電流がレジスタンス、レジスタンスの逆数がコンダクタンス
  • コイル・コンデンサ…電圧÷電流がリアクタンスその逆数がサセプタンス
  • 抵抗とコイル・コンデンサの直列・並列回路…電圧÷電流がインピーダンス、その逆数がアドミタンス

なお、レジスタンス=抵抗値、コンダクタンス=導電率です。単位は、

  • レジスタンス・リアクタンス・インピータンスが[Ω](オーム)
  • コンダクタンス・サセプタンス・アドミタンスが[S](ジーメンス)

となります。

これらの使い分けですが、レジスタンス・リアクタンス・インピータンスは「電圧÷電流」で定義されていますから、抵抗やコイル、コンデンサなどの直列回路の場合に使いやすい値です。なぜかと言えば、直列回路では各素子に流れる電流が同一ですから、値を求める計算で割り算の分母が共通になるからです。もし分母が共通にならないと、通分する必要が出てきて、できない訳ではないですが計算が面倒になります。

コンダクタンス・サセプタンス・アドミタンスは、回路が並列になっている場合に使いやすい値です。理由は同じで、並列回路では各素子に掛かる電圧が同じですから、「電流÷電圧」を計算する場合、割り算の分母となる電圧が共通だと計算しやすいからです。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成27年 理論 問17b 過去問解説 アドミタンス計算)

平成27年の問17のbですが、アドミタンスを計算すると1/30-j1/30になり、答えは1.06×10^-4になってしまいよくわかりません。

この問題は、電源側がV結線になっているものの、実質的に電源側が三相Δ結線、負荷側が三相Y結線負荷という事になります。

コンデンサを接続したときiaの波形はeaに対して30度位相が遅れているということは、三相ΔーY結線の性質から、負荷の力率が1であることを意味します。したがって、Δ結線のCをY結線に変換して1相分のR-Lと並列に接続したとき、リアクタンス分が0になればいいわけです。

ここで1相分のインピーダンスを考えると、Rが5Ω、Lが2πfL=約+j5Ωより(5+j5)Ωですから、このRL直列部分のアドミタンスを計算すると、

  • 1/(5+j5)=(5-j5)/(5+j5)(5-j5)=(1/10)-j(1/10)

となります。これが1相分のリアクタンスですから、コンデンサはこの虚数分を打ち消せばよいので、並列コンデンサのサセプタンスは+j(1/10)となり、

  • 2πfC=(1/10)

を解くと、C=3.18×10^-4が求まります。このCは、Δ結線をY結線に変換した際の静電容量ですから、YからΔに戻すと静電容量は1/3となり、約1.06×10^-4≒1.1×10^-4が答えとなります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成17年 理論 問7 負荷インピーダンスの計算)

P.75一番下の計算の展開がわかりません。詳しい解説をお願いします。

この計算の展開と結果の導出ですが、下図のようになります。

計算のコツとして、500の2乗などは展開して250000などと置きたくなってしまうのですが、そうするとかえって面倒になってしまうため、そのままで計算していく方が見通しが立ちやすくなります。また、分母・分子に同じ数を掛けて約分したり、両辺から同じ数を引いて移項したりするほか、両辺を2乗したり、両辺の√を取っても基本的にはイコールが成り立つ、ということを使っていけば解答を求めることができます。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(計算式の展開)

理論58ページの上から5行目の 先頭に点が3個付く意味と、22R+121=300の22Rがどこから、導き出されたのか理解できません。教えて下さい。

まず、「∴」の意味ですが、これは数学の記号で一行上の計算式を受けて「ゆえに」とか「したがって」ということを意味しています。つまり、一行上から導かれる式を表すときに使う記号です。

22Rについては、計算式を添付しますのでご確認いただければと思います。

 

SAT電験3種講座 理論 質問回答(トランジスタ増幅回路の接地方式)

電験3種理論のトランジスタ増幅回路に関しての質問です。コレクタ接地回路の図がでてくるのですがコレクタ接地回路の場合、コレクタが共同接地になるものだと思うのですがなぜエミッタから抵抗を挟んだものを接地してるのですか?これだとエミッタ接地回路と出力を取り出す場所が違うだけな気がするのですが。

トランジスタの動作についておさらいしますと、NPNトランジスタの場合、

  • B→Eに流した電流に比例して数百倍の電流がC→Eに流れる

という動作をします。(PNPでは電流の向きが逆になります)

ここで重要なのは、入力が電流で出力も電流であるという点です。

暗黙の了解として、通常、電流ではなく電圧で出力を取り出します。しかし、トランジスタはあくまでも電流を増幅しますから、電流の変化を電圧の変化に直すため、抵抗を挿入して電流の変化を電圧の変化に変換して取り出しているわけです。

したがって、「エミッタから抵抗を挟んだものを接地」しているのは、エミッタから流れ出す電流を電圧に変換して取り出すための負荷抵抗であり、このように負荷抵抗が間に入っているという場合、エミッタが接地されているとは言いません。

トランジスタの増幅回路の種類は、「エミッタ接地」「コレクタ接地」「ベース接地」がありますが、これらは全て、それらの端子が直に接地されているか、あるいはコンデンサを挟んで交流的に接地されていること回路である指します。電験3種の試験では、弱電分野であるトランジスタ増幅回路の詳細を突っ込むような問題は余り出題されないとは思いますが、上記のように「~接地」は、その端子が直接あるいはコンデンサを挟んで接地されているということ、そしてコレクタあるいはエミッタに接続されている抵抗は、電流の変化を電圧の変化に変換するための負荷抵抗であり、この端子は接地されているとは言わない、という点を押さえていただければ宜しいかと思います。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成20年 理論 問7 重ね合わせの原理とテブナンの定理)

理論20ページの例題で、重ね合わせの原理は、理解できましたが、テブナンの定理での解き方が、いまいち理解できません。テブナンの定理で、i1、i2、i3の解き方を教えて下さい。

テブナンの定理は、複数の電源や抵抗の組み合わせ回路を、等価的な1個の電源と1個の抵抗に置き換える定理ですので、これを使って解いた例を如何に示します。なお、I3については、抵抗がつながる端子を開放したときの電圧がゼロですから、テブナンの定理を用いるまでもなく電流値はゼロであることが分かります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成25年 理論 問15a 過去問解説 三相交流のΔ-Y変換)

P79~P80 三相交流電力

電源側を公式にはめて⊿→Y変換をしたところ教材では電源200/√3となっていますが自分の200/3になります。なぜ200/√3になるか教えてください。

対称三相交流は、互いに120°ずつ位相がずれた3個の単相発電機を、Δ型やY型に結線したものです。負荷側も同様に、3本の線で送られてきた互いに120°ずつの位相差を持つ交流に対し、Δ型やY型に3個の負荷を入れています。Δ結線とY結線の、一相あたりの単相発電機の電圧と線間電圧の関係は次の通りです。

  • Δ結線…発電機の電圧=線間電圧
  • Y結線…発電機の電圧×√3=線間電圧

したがって、200Vの発電機を3個Δ結線にした場合の線間電圧は200Vですし、Y結線にした場合は200√3Vになります。

逆に、発電機をY結線として線間電圧を200Vにするためには、発電機の電圧は200÷√3Vにしなければいけません

恐らく、掛け算と割り算を逆にしたために200/3になってしまったのではないでしょうか。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成26年 理論 問13 過去問解説 オペアンプを用いた回路の動作)

電験三種テキスト理論編032Aのページ137でオペアンプについての解説があるのですが、最後の3行の「結局20kΩの両端の電圧は~出力電圧は6Vであることが求まります。」までがどうしても分かりません。途中まではわかるのですが、最後駆け足で解説してる感じです。-入力端子が5Vになったときどの方から、電流が流れ、また、20kΩと10KΩの抵抗への電圧降下、もしくわ電流の向き等あと2行ほど解説があると助かります。

まず、オペアンプの働きについておさらいします。これは、

  • -入力端子の電圧<+入力端子の電圧…出力電圧が上昇
  • -入力端子の電圧>+入力端子の電圧…出力電圧が下降
  • -入力端子の電圧=+入力端子の電圧=出力電圧の変動が停止

の3つです。逆に言うと、安定状態(正常稼働状態)においては、必ず-入力端子の電圧=+入力端子の電圧である、と言いますか、そのように回路を構成して使うのがオペアンプ回路です。

出題の回路を見ると、+入力端子が5Vに固定されています。上記の理由により、正常動作状態において必ず-入力端子も5Vの状態になっている、ということを意味します。出題の条件より、Vinが3Vですから、入力端子の20kΩの抵抗は右側が5V、左側が3Vとなり、差し引き2Vの電圧が掛かります。したがってオームの法則から、0.1mAの電流が右から左に向かって流れます

オペアンプの入力端子の入力抵抗(入力インピーダンス)は理想的には無限大ですから、この0.1mAの電流は、全量がオペアンプの出力端子から10kΩを通して流れてきたものとなります。したがって、10kΩにも右から左に向かって0.1mAの電流が流れ、オームの法則から右側を+として1Vの電圧が発生することになります。

したがって、入力端子が3V、オペアンプの-入力端子が5V、出力端子が6Vとなり、これが答えとなります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成27年 理論 問8 過去問解説 負荷の力率計算)

電験3種講座の理論テキストP68の解説の欄で37.5×(cosΦーjsinΦ) とあるのですが(cosΦーjsinΦ)の部分はどこから導きだせばよろしいですか? プロセスの説明も含めてお願いします。

まず37.5は、力率0.6の誘導性負荷に流れる見かけ上の電流、すなわち抵抗に流れる電流とコイルに流れる電流の2乗平均値です。

cosφは、負荷の力率です。負荷にかかる電圧を位相の基準として、それと同位相つまり力率が1の成分がcosφ、そして電圧と90°で力率が0の成分がsinφとなります。cosφとsinφの間には、cosの2乗+sinの2乗=1という関係がありますから、cosが0.6ならsinは±0.8と決定されます。

何故-jsinθになったかというと、「誘導性負荷」とあるからです。誘導性負荷は、コイルのせいで力率が悪化しています。つまり、遅れ力率の電流が流れるということを暗に言っていますから、そこから-jsinφとなるわけです。

37.5 x (cosφ – jsinφ) = 37.5 x・・・とありますが、なぜ無効電流はマイナスになっているのでしょうか?

この問題の回路図には、「誘導性負荷」とあります。誘導性というのはコイルが入っているということですから(コンデンサの場合は容量性負荷です)、コイルの性質より遅れ電流、すなわち-j方向になります。

また、その下の((22.5 + Ir) ^ 2 + 30 ^ 2) ^ (1 / 2) = 50とありますが、22.5と30はSが開放の時の誘導性負荷に流れる有効電流と無効電流であって、Sが短絡の場合は違うのではないでしょうか?それとも同じなのですか?

結論から言うと同じです。

Sが開放されている場合に回路に流れるのは、37.5×(0.6-j0.8)=22.5-j30アンペアです。

Sが短絡された場合でも、誘導性負荷に流れる22.5-j30アンペアの電流自体に変化はありません。そして、その電流の上に、さらに抵抗Rに流れる力率1の電流が加算されて電源から流れ出すわけです。

このとき、抵抗Rに流れる電流をIRとすれば、

  • 有効電流…22.5+IRアンペア
  • 無効電流…-j30アンペア

ですから、これらの2乗平均を取って50Aという条件からIRを求める、という理屈となります。

「Sが短絡された場合でも、誘導性負荷に流れる22.5-j30Aの電流自体に変化はありません。」

➡何故でしょうか?負荷が変わると電流が変化すると思うのですが。

これは、交流回路の電源が、140∠0°の電圧源だからです。

電圧源は、どんな電流が流れようとも、その電圧が変化することはありません。

したがって、スイッチSが入り、回路に並列にRの抵抗が挿入されようとも、その前後で電圧が変わることはありません。

したがって、Sの投入前後で力率0.6の誘導性負荷にかかる電圧は全く変わりませんから、その負荷に流れる電流も全く変化しないことになります。

もちろん、電源から流れ出す電流は、Sを投入する前(力率0.6の誘導性負荷のみの状態)と、Sを投入した後(力率0.6の誘導性負荷と、Rの抵抗に流れる電流の合計)では変化することになります。