「理論」カテゴリーアーカイブ

SAT電験3種講座 理論 質問回答(コイルに発生する電圧と流れる電流のグラフ)

御質問頂いた点につきまして、改めて整理し直すと、次のようになります。

  • 電池…+の電圧が掛かる端子から電流が外部に流れ出し、他方の端子から戻ってくる。
  • 抵抗…+の電圧が掛かる端子から電流が素子内に流入し、他方の端子から流れ出す。

というように、エネルギーを生み出す電池と、エネルギーを消費する抵抗では、電圧のプラス・マイナスに対して電流の流れが逆になっていることが分かります。これはすなわち、その素子から見て、+端子から電流が流出すれば、その素子は電力が流出、+端子から電流が流入すれば、その素子は電力が流入していることになります。

ここでコイルの電圧と電流のグラフを見てみます。①と③では、電圧と電流が逆方向、②と④では電圧と電流が同方向ですから、①②③④の順に、電圧・電流が抵抗と同じ向き・電池と同じ向き・抵抗と同じ向き・電池と同じ向き・・・・と繰り返していることになります。これはどういうことかというと、コイルは1/4周期ごとに、電池と同じように発電する向きに電圧・電流が発生する状態と、抵抗と同じように電力を消費する向きに電圧・電流が発生する状態を繰り返している訳です。要するに、コイルは1/4周期のうちに流れ込んだ電力を、次の1/4周期で吐き出し、そして次の1/4周期でまた電力が流れ込み、1/4周期で吐き出す…という働きを繰り返している訳です。

なので、疑問で頂いたように、何も実際の電池や抵抗の接続が逆になるわけではありません。コイルを「ある一個の回路素子」と見立てて、そこに発生する電圧や電流に注目すると、このように考えられる、ということです。

SAT電験3種講座 質問対応改善

SATさんの方で、質問対応の専門人員を確保してくださることになりました。

これまで、長いと一週間ほど質問を貯めてしまっていたので、だいぶ状況は改善されるかと思います。もちろん、そちらで回答できない質問については私に回ってくると思いますが、何卒よろしくお願い申し上げます…。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(デジタル測定器の性能)

理論のテキスト(直流電力の測定と誤差)のP88の三行目、「近年は、内部抵抗が非常に大きくて事実上無視できるほどの値を持ったデジタル測定器が主流になっている」とありますが、確かに電圧計は内部インピーダンスが高いほど正確だとわかります。
しかし電流を測定する場合、内部インピーダンスが高いと測定器による電圧降下が大きくなるので、正確な測定ができないのでは?と思いました。講義内容から少し離れた質問ですが、疑問に感じたので質問させていただきます。

御指摘の通り、内部抵抗が非常に高いのが有利なのは電圧計の場合です。もちろん電流計の場合は逆で、内部抵抗が非常に小さい方が有利です。これは説明しなくとも分かっているだろうという前提で、

「内部抵抗が非常に高い測定器が主流なので、性能の良い電圧計が容易に手に入ります(そして電流計の場合も同様に、内部抵抗が低い測定器が手に入るようになりました)」

のカッコ内の部分を省略しておりました。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電流が作り出す磁界の様子)

環状鉄心にコイルを巻いた時の磁界がどのように発生するか、また同様に円形に巻いたコイルの磁界がどのように発生するのか教えて下さい。
公式がどのような磁界が発生しどのような形で磁界の力が発生するか
教えて下さい。宜しくお願いします

まず、電線一本だけについて考えると、電線を中心とした同心円状に磁界が発生します。

これを鉄心に巻いた場合、隣り合う電線一本一本の互いに反対向きとなる磁界成分は打ち消し合うので、全体でみると鉄心の中をまっすぐ磁界が通過するような形になります。環状鉄心の場合は、環状鉄心の中だけをぐるぐる回転するような磁界となります。

私が分かりやすく絵を描ければいいのですが、私は殺人的に絵が下手なため余計に分かりにくい図しか掛けませんから、検索結果で申し訳ありませんが以下のリンクの検索結果をご覧いただけば分かりやすいかと思います。

https://www.google.co.jp/search?q=%E9%89%84%E5%BF%83%E3%80%80%E7%A3%81%E7%95%8C&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwiSldrry-7SAhVCe7wKHZ9tDNEQ_AUIBigB&biw=1846&bih=1290

SAT電験3種講座 理論 質問回答(抵抗の並列計算、導電率の考え方)

並列回路の合成抵抗で

  • 1÷R₀=1÷R1+1÷R2
  • 全体の抵抗の流れやすさR₀=R1の抵抗の流れやすさ+R2の抵抗の流れやすさ

というのは理解できたのですがその後の式の展開で

  • 1/R₀=1/R1+1/R2

両辺にR₀を掛ける

  • 1=(1/R1+1/R2)R₀

R₀=にする為に(1/R1+1/R2)を両辺にかける

  • 1/(1/R1+1/R2)=R₀

と参考書で記載されている式のように理解することができます。

DVDの「抵抗の直列接続と並列接続11分あたりで」で解説して頂いている分母と分子を逆にして1/1/Rを展開すると上記のような公式になりますよと解説して頂いているのですが細かい式の解説は省略されておりますが私の理解は正しいのでしょうか。

もし、他に別の理解の仕方があれば教えて下さい。

ご提示いただいた計算で全く問題ありませんのでご安心ください。

中学校でオームの法則は習いますが、その逆数である導電率は、高校の物理で習うかどうかです。電圧に対する電流の流れにくさ、というイメージは沸きやすいものの、その逆数である導電率はイメージが付きにくいものですが、並列回路の計算で導電率を使いこなせば計算がとても楽になりますので、この調子で理解を進めていただければと思います。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成26年 理論 問1 過去問解説 コンデンサの基本的性質)

電験3種の理論のテキストP104の「直列接続されたコンデンサの極板間電位差は静電容量比の逆数となることから、C1とC2の極板間電位差比は2:1となるため、求める導体板の電位はVo/3となる」とありますが、なぜ逆数になるのか。また、Vo/3の求め方がわかりません。教えていただけますでしょうか。

コンデンサというのは、電流=電子が流れ込むと、極板間に静電エネルギの形で電子を蓄えるという素子です。流れ込んだ電子を蓄えた結果、極板間には電圧が発生し、流れ込んだ電荷量Qと静電容量Cを使ってV=Q/Cと表せます。何故電子を蓄えると電圧が上がるかというと、極板に電子をため込んだコンデンサは、その両端を抵抗や導線などでショートすると、ため込んだ電子を吐き出して中和する性質があるからです。外部に電子を吐き出すためには、電子を押し出す力である電圧が必要となるわけです。

コンデンサの性質を水に例えると、静電容量は容器の底面積、容器に流れ込む水が電子、容器に貯まった水の高さが電圧に相当します。そして、流れ込んだ電荷量Qは電流×時間で求められますが、水の場合も同じで、容器に注ぎ込む水の量×注いだ時間が、容器に注ぎ込まれた全水量になります。底面積が異なる(=静電容量が異なる)容器に同量の水(=同じ電荷量)を入れた場合、溜まる水の高さ(=電圧の高さ)は、容器の底面積に反比例します。

したがって、静電容量の比が2:1のコンデンサを直接につなぎ、同じ量の電荷を流すと、極板間電圧は静電容量の逆の比で1:2となるわけです。これが求まれば、2つの直列コンデンサにつながる電池の電圧がVoのとき、Vo/3と2Vo/3であれば1:2の電圧比になることが分かります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(導電率の定義、勉強の進め方)

理論のテキストp8の下から3行目、1/R+1/Rx=I/Vに何故なるのかの説明がありません。「抵抗が並列であることに着目して導電率で計算」だけでは、そもそも導電率の計算が分からない人には理解ができません。返品条件を考えて、猫電基礎や猫電数学をやる前に、まず理論のDVDの一枚目を見て質問しています。どのような授業でどのようなテキストでどれくらい理解しやすいのかを、まず理論から見たいと思ったからです。

基礎をやってからなら理解できるのならいいのですが、もしそうなら基礎のどのページに説明があるかまで教えて頂きたいです。また、毛馬内先生の授業で使用されている背景の文字はテキストに載っていないので、もし記録として残したいのであれば毎回テキストの空きスペースにメモを取らなくてはならないのでしょうか。ご回答よろしくお願い致します。

御質問承りました。導電率につきましては、猫電の14ページに説明がございます。

また、毛馬内先生の授業で使用されている背景の文字はテキストに載っていないので、もし記録として残したいのであれば毎回テキストの空きスペースにメモを取らなくてはならないのでしょうか。

この辺りの経緯について説明いたします。

電験の講座は、収録時間数も膨大となり、2週間ほど出張して収録しております。したがって、毎年新規に収録して更新、となると難しく、現在のところ2年おきに収録というペースで更新しております。それに対して、テキストの方はその年に出題された問題や、改善点などについて後から修正できますので、こちらは1年おきの更新という形になっています。

そういった状況により、DVDの中には出てこない部分が本にはあったり、その逆だったりという部分が存在します。「お宅の講座の内容とテキストだけで絶対に合格できるものを作れ」という気持ちも分かるのですが、資格試験という性質上、過去の出題から想定できないような形の応用問題が出る可能性は常にありますし、では過去出題された問題を全て頭に叩き込め、と言ったところで労多くして得るものは少ないはずです。(私事ながら、DVDではない実際の電験の講座で、「この問題は(ほとんど出題されたことはないので)飛ばしてしまって良いです」と話したところ、「実際に出題されたことがある、この講師はうそを言う低レベルの人間だ、もう顔も見たくない!」という苦言を頂戴したこともあります)

電験に限りませんが、この分野の勉強で最も大切なのは、公式を暗記することでもなく、過去問の回答を覚える事でもなく、電気の流れがイメージできるようになることだと思います。そのために、講座の中でも、水の流れや小学校の理科の実験などを引き合いに出し、身近で具体的な例との相似性を通して電気とは何か、どんな挙動をするのか、を掴んでいただこうと思って話を進めております。

電験3種の講座を開始して数年になりますが、お客様からの声が上がってきますと、やはりどうしても事前に想定しえなかった問題点や改善点などが見つかってきます。

この資格は、第二種・第一種電気工事士の上に位置する資格ですから、最低限でも第二種電気工事士を持っている、或いはその程度の前知識がある方が受講されることを前提として考えておりました。しかし、実際には様々な方がいらっしゃいますので、後から「猫電」を作りまして、まずは第二種電気工事士レベルの確認をしたうえで本講座、という形の編成といたしました。

電験3種という資格の性質を考えますと、乾電池や豆電球・オームの法則も知らない方に向けて、それこそ小学校レベルからの教材を作ってしまいますと、とんでもない分量になってしまいますし、そうなればお値段も何十万円~百万円ということになってしまいます。そんなものを作るのは無理ですし、望まれてもいないと思うのです。

そういったことを踏まえまして、受講生様からの質問を受け付け、返答するという対応を取っております。大量の質問が一気に来た時など、返答まで一週間ほど掛かってしまう事もあるのですが、無理難題でない限り対応しておりますので、何卒事情等御勘案いただき、ご理解いただけましたら幸いです。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(抵抗・コイル・コンデンサのベクトル)

理論RLC回路の電流と電圧のベクトル図を書いてみました。ご指摘をお願い致します。

図を拝見しましたが、特に問題ありません。

交流回路において、各部の波形(電圧、電流)が三角関数のsinあるいはcos波形で表されること、そしてそれらの間には時間的な位相差があるということ、そしてその位相差を保ったまま各部の波形は周期的に変化するため、どれかの波形を基準として(お描きいただいたベクトル図で言うと、抵抗に発生する電圧や抵抗に流れる電流)他者との関係を矢印で表しているということを踏まえていることが大切ですので、この調子で進めていただければ全く問題ないものと思います。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(計算式の展開)

理論78ページ上の200/√(12/3)2乗+(9/3)2乗の答えが、40になりません。8になってしまいます。計算方法を教えて下さい。


計算の順序は、まず分母の√の中の2乗から計算します。この例では12/3と9/3なので、どちらも整数にできて4と3、したがって4の2乗と3の2乗を計算し、次いでそれらの足し算、ルート、最後に分数の計算、という順序になります。