「2017年理論」カテゴリーアーカイブ

平成29年度電験3種問題解説・理論問18

【解答】(4)(2)

(a)

これは演算増幅器を利用した基本的な非反転増幅回路ですから、基本中の基本と言えるでしょう。

例えば入力電圧viに1Vの電圧を加えたとすると、回路が正常に動作している限り演算増幅器の-入力端子の電圧も1Vになります。抵抗Rの両端に1Vの電圧を発生させるための電流は、オペアンプの出力端子→αR→R→接地と流れますから、出力端子の電圧voを3Vにするαの値は2となります。

(b)

出力端子から非反転入力端子に対してRC回路が入っているので、出力端子の波形位相と入力端子の波形位相が同じになる条件を求めれば発振条件になります。

ここで5kΩの抵抗をR、0.1μFのコンデンサのリアクタンスをXとすると、

ですから、この式を展開すると、

となります。この最後の式は、分母は有理化してあるので実数ですから、分子の虚数分

  • jRX(R2-X2)

がゼロとなれば、出力端子の波形位相と入力端子の波形位相が同じになります。つまり、

  • R2=X2

が発振条件です。ここにX=1/ωCを代入すると、

  • ω2C2R2=1
  • ∴ω=1/CR

ですから、C=0.1μFとR=5000Ωを代入すると、ω=2000が求まります。

発振周波数fに対してω=2πfですから、

  • f=2000/2π≒318

となり、約0.3kHzと求まります。

平成29年度電験3種問題解説・理論問17

【解答】(2)(2)

(a)

この回路に流れる磁束Φを磁路の断面積で割ったものが磁束密度Bで、磁束密度と磁界の強さHの間には、透磁率をμとして

  • B=μH

の関係があります。

題意より、鉄心と空隙の断面積はどれも一定なので、H=B/μより、ある部分での磁界の強さは透磁率μに反比例することが求まります。ここで、空隙における磁界の強さをH0とすると、

  • 比透磁率2000の鉄心1では、磁界の強さはH0の1/2000
  • 比透磁率1000の鉄心2では、磁界の強さはH0の1/1000

ですから、正解のグラフは(2)と分かります。

(b)

磁気回路において、透磁率μは電気回路における導電率と対応します。ここでは真空中(≒空気中)の透磁率μ0に対する比透磁率で定義されているので、この磁気回路は、磁気回路の断面積をSとして

  • 鉄心1…抵抗率1/2000μ0Sで長さ200mm
  • δ…抵抗率1/μ0Sで長さ1mm
  • 鉄心2…抵抗率1/1000μ0Sで長さ98mm
  • δ…抵抗率1/μ0Sで長さ1mm

の周回回路と見なすことができます。これらの合成磁気抵抗を求めると、

  • (0.2/2000μ0S)+ (0.001/μ0S)+ (0.098/1000μ0S)+ (0.001/μ0S)= 0.002198/μ0S

となります。

電気回路の電源電圧Vに対応する起磁力Fは、コイルの巻数をN、電流をIとして

  • F=NI

で表されます。また、磁気回路に流れる磁束Φと磁気抵抗Rを用いると、

  • F=NI=ΦR

ですから、題意よりNI=ΦRを用いて

  • Φ=NI/R=N×1/(0.002198/μ0S)= μ0SN/0.002198

と書き表せます。磁束密度は、磁束Φを断面積Sで割ったものですから、

  • B=Φ/S=μ0N/0.002198

と求まります。ここでH=B/μの関係から、

  • H=(μ0N/0.002198)/ μ0= N/0.002198

であり、題意よりH=2×104を代入して、

  • 2×104= N/0.002198

から、N=43.96が求まります。

平成29年度電験3種問題解説・理論問16

【解答】(3)(4)

(a)

三相交流の相電圧は200/√3Vで、一相当たりの負荷はRとLの直列ですから、合成インピーダンスは

  • √{52+(2π×50×0.005)2}=√(27.47)≒5.24[Ω]

従って、一相当たりの皮相電力は

  • (200/√3)2/5.24≒2544[var]

力率は、

  • 5/5.24≒0.95

三相分の有効電力は、

  • 2544×3×0.95≒7250[W]

と求まります。なお、計算誤差が積み重なった結果、選択肢の値と少々ずれましたが、電卓を用いて極力四捨五入を行わずに計算すると選択肢と同じ値が得られます。

(b)

まず負荷一相分について考えます。RとLの直列インピーダンスZは

  • Z=R+jωL

ですから、この逆数のアドミタンスYを求めると、

  • Y=1/(R+jωL)

です。これと並列になるコンデンサを投入し、アドミタンスの虚数分をゼロにするためには、

  • 1/(R+jωL)+jωC

の虚数分がゼロとなればいいので、分母を有理化して

  • 1/(R+jωL)+jωC={R−jωL+(R22L2)C}/(R22L2)

となることから、分子の虚数項がゼロとなるためには、

  • R2ωC+ω3L2C−ωL=0

となればよいので、これをCについて解くと、

  • C=L/(R22L2)

です。但し、これは一相分についてのY結線に対しての静電容量ですから、これをY-Δ変換することにより、

  • C=L/3(R22L2)

が導出されることになります。

平成29年度電験3種問題解説・理論問15

【解答】(3)(4)

(a)

ブリッジ回路の平衡条件ですから、対角同士の積が等しくなることより、次の式が成立します。この式において、

と展開できるので、答えは(3)と求まります。

(b)

という式が成立する条件を求めれば良いわけです。

この式の分母は必ず正の実数ですから、

  • (RR1+ωC1R1X)が正の実数
  • (X-ωC1RR12)がゼロ

を満たすためには、R>0、X>0となります。

 

平成29年度電験3種問題解説・理論問14

【解答】(5)

  1. 有効数字2桁+有効数字2桁=有効数字2桁ですが、71は有効数字が3桁となっているので誤りです。
  2. 有効数字3桁÷有効数字2桁=有効数字2桁ですが、558は有効数字が3桁となっているので誤りです。
  3. 有効数字は正しいですが、答えは5×10-3となるので計算が誤っています。
  4. 見た瞬間笑ってください。もちろん電流から電流を引いた値は電流です。
  5. 静電エネルギの計算式です。1/2×C×V2で、単位はジュールとなるので正しい計算です。

 

平成29年度電験3種問題解説・理論問13

【解答】(3)

バイポーラトランジスタは、B~E間に流した電流の数十~数百倍の電流がC~Eに流れる素子です。この出力電流の変化を電圧変化に変換するため、負荷抵抗RLを挿入します。

動作点のVCEが4.5Vということから、図2よりコレクタ電流ICが約1.5mA、ベース電流IBが約6μAと求まります。なお、IC=0のときのVCEが9Vということから、電源電圧は9Vであることが読み取れます。

トランジスタのB~E間電圧は無視できるという条件から、RBは両端に電源電圧9Vが掛かったとき6μA流れれば良いこととなり、

  • 9÷(6×10-6)=1500000=1.5×106=1.5MΩ

と求まります。

平成29年度電験3種問題解説・理論問12

【解答】(5)

紫外線ランプは、殺菌灯として利用されている透明な蛍光灯のことです。外形は一般の蛍光ランプと変わりませんが、石英ガラス管を用いることで紫外線を取り出します。

構造や発光原理も一般の蛍光ランプと変わりません。ガラス管の両端に電極を設け、管内には希ガス(アルゴン)と微量の水銀が封入され、陰極から出た電子が水銀蒸気と衝突することで強力な紫外線を放出します。

平成29年度電験3種問題解説・理論問11

【解答】(2)

  • 表皮効果

導線に交流電流を流すとき、電流が導線表面にのみ流れる現象。

  • ホール効果

電流を通す物体に対して電流に垂直に磁場を掛けると、電流と磁場の両方に直交する方向に起電力が現れる現象。

  • 整流作用

半導体のPN接合が一方向にのみ電流を流す作用。

  • 太陽電池

半導体のPN接合に光を与えると発電する作用。

  • 発光ダイオード

半導体のPN接合に電流を流すと光を発する作用。

  • 超伝導現象

特殊な物性材料において完全に抵抗値がゼロとなってしまう現象。

  • 圧電効果

誘電体に機械的歪みを与えると電子が外部に飛び出す現象。

平成29年度電験3種問題解説・理論問10

【解答】(1)

コイルの基本的な性質を知っていれば即座に解ける問題です。

コイルは、電流が流れていない状態から直流電圧を掛けられた瞬間、内部に電流が流れ込むのを阻止する働きをします。しかし段々と電流が流れるようになっていき、ついには単なる導線と同じになってしまいます。

したがって、スイッチSを閉じた瞬間、コイルに電流は流れませんからコイルは切り離されたのと同じ状態となり、R1に流れる電流は、電源電圧Eに対して抵抗R1とR2が直列に接続されただけの回路となるので、(ア)はE/(R1+R2)です。

十分時間が経って定常状態となったとき、直流に対してコイルは単なる電線となるため、R2は短絡したものと見なせます。したがって(イ)はE/R1です。

平成29年度電験3種問題解説・理論問9

【解答】(3)

考え方を知らないと難しくて投げだしそうな問題ですが、重ね合わせを使えばいいことを知っていればとても簡単な問題です。つまり、

  • 5Ωの抵抗に、6sinωtの電流が流れたときに消費される電力
  • 5Ωの抵抗に、2sin3ωtの電流が流れたときに消費される電力

の2つを足し合わせれば良いわけです。

6sinωtは、正弦波の最大値が6アンペアであることから、実効値は√2で割って求められます。したがって、

  • P=I2R=(6/√2)2×5=90[W]

同様に、2sin3ωtは最大値2アンペアの電流ですから、

  • P=I2R=(2/√2)2×5=1 0[W]

以上を足し合わせて100Wが求まります。