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電験3種過去問解説 2019年理論問18

デジタルテスタ等で幅広く使われている二重積分型AD変換の基本原理に関する問題です。

(a)

1…解説文と図より、kVxT1と容易に求まります。

2…時刻T1の段階でVmまで充電された電荷をkVr(t-T1)で放電していくことになります。解説文と図から容易に求まります。

3…動作原理より、入力電圧が高いほどT1におけるVmの値は大きくなるため、それを0Vまで放電していくのにかかる時間T2は長くなることになります。解説文より、T1は固定ですから、例えば入力電圧Vx=VrならT2=T1、Vx=2VrならT2=2T1…となることが読み取れます。したがって(T2/T1)Vrと分かります。

4…周期と周波数は反比例の関係です。

以上より、正解は(1)です。

(b)

(a)が求まればそれに当てはめて求めるだけです。基準電圧が2Vで、測定電圧で充電された電荷を放電するのに充電の2倍の時間がかかっていることは、測定電圧は2×2=4Vです。正解は(4)です。

 

電験3種過去問解説 2019年理論問17

(a)

図1を見ると、上側がPchMOSFET、下側がNchMOSFETですから、入力が0のとき出力が1、入力が1のとき出力が0となるインバータとして動作します。

図2を見ると、NANDゲートは「11のとき出力が0、それ以外は出力が1」ですから、インバータとして動作するのはイとハです。正解は(5)です。

(b)

デジタル回路が苦手だと解析が難しい!と思うかもしれませんが、実はラッキー問題です。

性質Iを満たすには、入力端子が無くても自動的に動作し続ける(発振し続ける)必要がありますから、これは回路ニです。性質Ⅱを満たすには、入力が2つある必要がありますから、これは回路ヘです。したがって正解は((2)です。

電験3種過去問解説 2019年理論問16

電源側がY結線、負荷側もY結線、そしてコイルやコンデンサのリアクタンス値も既に書かれているので、ラッキー問題です。一問前が少し難しかったので調整したかな?但し、電圧が線間電圧で与えられているため、相電圧は√3で割った115Vで考える点にだけ注意が必要です。

(a)

負荷一相当たりで考えます。LCの並列サセプタンスは|1/10-1/20|=1/20[S]なので、リアクタンスは20Ω、したがってLC並列部分に流れる電流は5.77Aです。抵抗に流れる電流は115÷10=11.5Aですから、5.77Aと10Aの二乗平均を取ると約13Aとなり、答えは(3)です。

(b)

第2種電気工事士レベルの超ラッキー問題です。電力を消費するのは抵抗だけですから、一相当たり115V×11.5A≒1.33kW、これが3本で合計約4kWです。正解は(4)です。

電験3種過去問解説 2019年理論問15

(a)

電気力線は、電界の様子を可視化した線です。電気力線と電界面とは垂直に交わるので、導体床面(=電位がゼロ)に対しては垂直に入らなければいけないはずです。これに合致するのは(5)です。

(b)

本来は、力学の仕事の定義を理解していないと解けない問題です。仕事は(力)×(距離)で求めますので、クーロン力と移動距離の積で求めます。題意より、点Oに固定した電気量ーQ/4のクーロン力からhの距離にあるQの電荷が受ける力は、クーロンの法則より

F=Q^2/(16πε0h^2)

ですから、求める仕事は∫Fdxとなり、xをhからzまで積分したものとして求められます。これを計算すると(3)の式が求まります。

しかし、これは積分の知識が必要ですから、電位の定義と電位を求める公式から解いてくださいということだと思います。Qクーロンから距離rの点の電位は、

V=Q/4πε0r

で求められますが、電位とは「単位電化を無限遠からその位置まで持ってくるのに必要な仕事」を意味しますから、この式を用いてQ/4クーロンからhの点とzの点での電位差を求め、その値にQを掛けた値として解答を導き出してくださいという問題です。

いずれにしても答えは(3)となります。

電験3種過去問解説 2019年理論問13

一般に増幅回路増幅度は、低い周波数と高い周波数で落ち込み、中間の周波数が最も増幅率が高いという山型の特性を持っています。負帰還を掛けることによって、この中間部分の増幅度の山を抑えて平らに均すという働きをします。したがって、負帰還率が高ければ高いほど見かけの増幅度は小さくなりますが、周波数特性は広い範囲にわたって均一となります。もちろん、電源電圧や周囲温度などの変動による増幅回路の特性変化も、負帰還率によって抑え込まれる利得以上の暴れであれば抑え込まれます。

以上より、(1)(2)(3)は誤りで、(4)については増幅回路の入力を1、出力をA、帰還回路の出口をβAとおくと、入力は1-βA、出力はAとなるので、回路全体での増幅度は

A/(1-βA)

です。このときβAが1より十分小さいときの回路利得はAとなるので、これも誤りです。

正解は(5)です。

電験3種過去問解説 2019年理論問12

高校物理の力学の基礎の問題です。

電界Eの中でqクーロンの点電荷が受けるクーロン力は

  • F=qE

で求められます。このときの点電荷の加速度は、運動方程式より、

  • a=F/m=qE/m

となります。点電荷はこの加速度を受けて右側に運動します。

初速度v0、加速度aの物体のt秒後の変位は、

  • x=vot+(1/2)at^t

ですから、これにv0=0、a=qE/m、そして点電荷の変位x=d/2を代入することでtが求まります。これを求めると、

  • d/2 = qEt^2/2m
  • → t^2=md/qE
  • → t=√(md/qE)

となり、答えは(1)となります。

電験3種過去問解説 2019年理論問11

太陽電池は、ダイオードと同じPN接合の接合面に光を導入し、光のエネルギによって電子と正孔が生成され、それを外部に取り出すことで電池とするものです。したがって、(ア)はダイオード、(イ)は正孔です。

(ウ)の選択肢は、エネルギ保存の法則から導けます。太陽電池は、降り注いだ光エネルギの一部を電気エネルギに換えて取り出す装置ですから、もし電気エネルギを取り出さなければ、降り注いだエネルギは結局すべて太陽電池内で熱エネルギとなります

したがって、負荷接続後の太陽電池温度は低くなることになります。正解は(1)です。

電験3種過去問解説 2019年理論問10

RC直列回路の時定数は、τ=RCで求められます。

時定数というのは、放射能の半減期のようなもので、どのくらいの早さで減少していくかという目安の値です。RC直列回路の場合、コンデンサCの静電容量が大きいほど大量の電荷が貯まっているので放電に時間がかかりますし、また抵抗Rの値が大きいほど流れる電流も小さくなるため、やはり放電に時間がかかります。これらを考えると、RCの積が時定数となることが分かります。なお、RL直列回路の場合は、コイルLの作用が大きいほど時間変化が緩やかになりますが、抵抗Rが大きいほどそもそも回路に流れる電流自体が小さいためコイルの作用が相対的に弱くなります。したがってRL直列回路の場合の時定数はτ=L/Rとなります。

以上より、この回路の時定数を計算すると、

τ=100×10^-6×1×10^3=0.1

ですので、正解は(1)(2)(3)のどれかになります。

次に、十分時間が経過したときに抵抗で消費されるエネルギは、放電前にコンデンサに蓄えられていたエネルギになります。これは

W=CV^2/2

で計算できますので、これを求めると、

W=(1/2)×100×10^-6×1000×1000=50

となり、50Jと求まります。以上より正解は(2)です。

電験3種過去問解説 2019年理論問9

まず、各々の周波数におけるコンデンサとコイルのリアクタンスを求めます。コンデンサは1/jωC、コイルはjωLです。

  • ω1…コンデンサ-j20[Ω]、コイル+j5[Ω]
  • ω2…コンデンサ-j10[Ω]、コイル+j10[Ω]
  • ω3…コンデンサ-j3[Ω]、コイル+j30[Ω]

以上より、ω2の場合に並列共振となり、回路電流は最小になることが分かります。この時点で正解は(3)か(4)です。

次にω1とω3の比較です。馬鹿正直にコイルとコンデンサの並列合成リアクタンスを計算し、電源電圧1Vを用いて実際に流れる回路電流を計算しても良いのですが、

LC並列部分に流れる電流は、LとCの電流が互いに逆位相であるため、各々の電流の差が合成電流となる

ことを念頭に置いて考えれば、すぐに正解が求まります。

  • ω1…リアクタンス5Ωのコイルに流れる電流から、リアクタンス20Ωのコンデンサに流れる電流を引いたものが合成電流
  • ω3…リアクタンス3Ωのコンデンサに流れる電流から、リアクタンス30Ωのコイルに流れる電流を引いたものが合成電流

なので、ω3の方が合成電流が大きくなることは即座に求まります。(どうしても実際に計算してみないと気が済まないのであれば、電源電圧を30Vにして計算してみると楽です。ω1の合成電流は4.5A、ω3の合成電流は9Aになります)

したがって正解は(3)です。