(a)
この回路は、負荷が抵抗しかない(コイルやコンデンサのような、電力を一旦蓄えてから負荷に流すような素子が無い)ので、サイリスタでスイッチングされた波形がそのまま負荷に掛かります。
- T1・T4のゲート信号が与えられない場合
サイリスタは、ゲート信号が与えられる前は電流が流れず、ゲート信号が与えられた後はダイオードと同じ挙動を示します。したがって、T1・T4のゲート信号が与えられないのであれば、回路からT1とT4を取り去ってしまって構わないことになります。
T1・T4を取り去った回路は、電源から負荷に対してサイリスタが2個入っただけの回路です。このとき、サイリスタの向きを考えると、電源電圧vsが+の時はサイリスタが逆方向になるので電流は流れません。vsがマイナスの時はサイリスタに電流が流れます。サイリスタにゲート信号が与えられるのはπ/2・3π/2・5π/2…ですから、波形3が正解となります。
- 正しくゲート信号が与えられた場合
この場合は全てのサイリスタが動作するため、回路全体としては「ゲート電流が与えられた点から電流が流れだすダイオードブリッジ回路」とみなせます。したがって波形2が正解です。以上より、答えは(5)です。
(b)
制御遅れ角α=0、つまりサイリスタが完全にダイオードと同じ状態を考えると、cosα=1ですから、
(1)Ed=0.45V
(2)Ed=0.9V
(3)Ed=V
(4)Ed=0.45V
(5)Ed=0.9V
となり、(1)(3)(4)は明らかにおかしいことが分かります。
次に、制御遅れ角α=π、つまりサイリスタが全周期にわたって完全に非導通の場合を考えます。すると、cosα=-1ですから、これを式に代入すると、
(2)Ed=0V
(5)Ed=-0.9V
となり、全波整流なのに出力がマイナスになる(5)は明らかにおかしいことが分かります。以上より、答えは(2)です。