(a)
平滑リアクトル(コイル)が挿入されている点がポイントです。
コイルに電流を流した状態にしておき、その電流を減少させようとすると、コイルは電流の変化を嫌い、その内部に蓄えられたエネルギ(=電流によって作られた磁気エネルギ)を使って、それまで流れていた電流を維持する方向に電圧を作り出すという性質を持っています。この性質により、サイリスタブリッジ回路において電源電圧がゼロから負方向に向かうときも(選択肢のグラフでいえば、角度がπを過ぎて電源電圧が負方向に向かい出した部分)、コイルが作り出した逆電圧と交流電源の電圧の合計がゼロになるまではサイリスタは電流を流し続けます。
この性質を念頭に置いて考えると、選択肢(1)(3)(4)のedの波形は、平滑リアクトルが挿入されていない場合の電流波形なので誤りということになります。
選択肢(2)と(5)は、直流電流が流れるタイミングが異なります。この見分け方ですが、まずこのグラフは負荷電流のグラフではなく、回路図左上のサイリスタに流れる電流iTを表したグラフであることに注意なければなりません。制御遅れ角π/3で左上のサイリスタがONとなり、4π/3でOFFになる間に負荷電流が流れるわけですから、当然グラフは(2)のようになります。答えは(2)です。
(b)
制御遅れ角がπ/2の時のedの波形を手書きしました。
ここでπ/2~3π/2の電圧波形を平均すると、このグラフはπを中心とした点対称の波形で、π/2~πとπ~3π/2を足すとゼロになることが分かります。したがって答えは(1)です。