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電験3種過去問解説 平成30年機械問7

ステッピングモーターは、与えられたパルスによって一定角度ずつ回転する構造になっています。これにより、パルス数で回転角度を制御でき、パルス周波数で回転速度を制御することができます。以上より、(ア)はパルス数、(イ)は回転角度、(ウ)は周波数です。ここまでの選択肢で正解は(5)と決定されます。

(エ)はステップ角。(オ)は、回転子の永久磁石による磁力が働くため、無通電状態でも外部からの回転トルクに対して保持力が働きます。

電験3種過去問解説 平成30年機械問6

まず、発電機の出力端子の電圧を横向きの基準ベクトル①として描きます。次に、負荷力率が遅れcos30°という条件から、①のベクトルから遅れ側に負荷電流Iのベクトル②を描きます。ここまでがまず第一段階です。

次に、「電機子電流が定格電流の40%」「同期リアクタンスが0.915p.u.」という条件から、同期リアクタンス(電気子巻線と出力端子の間に直列に入っているリアクタンス)の両端に発生している電圧を求めます。

百分率同期リアクタンスというのは、発電機が定格電圧・定格電流で運転している時の負荷のΩ値に対して、同期リアクタンスのΩ値が何%であるかを表しています。従って、定格負荷のとき、同期リアクタンスの両端に発生している電圧は定格出力電圧の91.5%であることが分かります。ここで、「電機子電流が定格電流の40%」という条件より、同期リアクタンスの両端に発生している電圧は定格運転時の40%の値であることが分かります。これを計算すると、0.915×0.4=0.366p.u.ですから、同期リアクタンスの両端に発生している電圧は出力電圧Vの0.366倍と求まり、これを③として描きます。同期リアクタンスの両端に発生する電圧は、流れる電流に対して進み90°となるため、図のようなベクトルになります。

ところで、30°・60°・90°の直角三角形の性質から、④の長さがV/2、⑤の長さが√3V/2であることが求まります。ここで③と④の長さを足すと0.866V=√3V/2ですから、電機子に発生している電圧V’は⑤と(④+③)とV’の直角三角形の関係となり、これは1:1:√2の45°の三角形と求まります。従って、相差角δは15°と求まります。

電験3種過去問解説 平成30年機械問5

(ア)…電機子巻線は、大電流を取り出すための出力巻線ですから、固定子側に巻きます。

(イ)…界磁巻線は、回転しながら電機子巻線に変動磁界を供給するために回転子側に巻きます。

(ウ)…水車発電機は、蒸気タービンに比べて低速度です。ここまでの選択肢で答えは(5)と分かります。

(エ)…蒸気タービンは高速度です。

(オ)…高回転の回転子は、回転軸中心から離れた場所に質量があればあるほど遠心力で大きな力を発生し、振動や破損の原因となりますから、円筒型とします。

電験3種過去問解説 平成30年機械問4

(1)…正しい。

(2)…正しい。

(3)…誤り。

Y-Δ始動法においては、始動時にY結線とすることで相電圧が1/√3になりますが、P=RI^2より、相電圧が1/√3になれば電力(出力)は1/3となります。従って、始動トルクは1/√3ではなく1/3になります。

(4)…正しい。

(5)…正しい。

以上より、正解は(3)です。

電験3種過去問解説 平成30年機械問3

誘導電動機の三相分の二次入力P2は、二次電流をI、滑りをs、二次抵抗をrとして

  • P2=3I2r/s

の関係があり、トルクTと二次入力P2、同期角速度ωsの間には

  • T=P2s

の関係がありますから、電源周波数が定格値で一定ということから同期角速度ωsが一定であり、トルクが一定ということは、二次入力P2も変わらないことになります。P2=3I2r/sの式から、二次入力と二次抵抗が一定であれば、二次電流Iの2乗と滑りsは反比例するので、滑りが3%から6%になったとき、二次電流は√2倍に増えることが分かります。答えは(4)です。


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電験3種過去問解説 平成30年機械問2

(1)…正しい

(2)…誤り

発電電圧は、ファラデーの電磁誘導の法則より、界磁磁束×コイルの巻数×回転数で求まります。直巻発電機は、界磁磁束が出力電流に比例するため、出力電流を大きく変化させるとそれに伴って界磁磁束が大きく変化し、その結果出力電圧も大きく変化する性質を持っています。したがって、負荷電流の変化に対して出力電圧の変動がとても大きいのですが、磁極が磁気飽和した状態にしてしまえば(=その位大きな電流を取り出してしまえば)、出力電流に対して界磁磁束がほとんど変化しませんから、相対的に出力電圧は安定することになります。したがって記述は誤りです。

(3)…正しい

(4)…正しい

(5)…正しい

電験3種過去問解説 平成30年機械問1

静止状態では、電機子巻線には回転による逆起電圧は発生していません。したがって、純粋に電源電圧÷(巻線抵抗+始動抵抗)の電流が流れます。このとき、200Vの電源電圧に対して100A流れたということは、巻線抵抗+始動抵抗=2Ωですから、外部に接続した始動抵抗は1.5Ωです。

この状態で回転が上がり、電機子巻線に逆起電圧が発生して電機子電流が50Aになったとき、(巻線抵抗+始動抵抗)での電圧降下は50A×2Ω=100Vですから、電機子の逆起電圧は200V-100V=100Vであることが分かります。

この運転状態から、始動抵抗を変化させて、「電源電圧200V、逆起電圧100V、電機子電流100A」としたいので、巻線抵抗+始動抵抗は「100Aの電流が流れたときに、200V-100V=100Vの電圧が発生」すればよいことになります。この抵抗値は1Ωですから、電機子巻線抵抗0.5Ωを引いて始動抵抗は0.5Ωと求まります。答えは(4)です。

電験3種過去問解説 平成30年理論問18

(a)

  • 150Vの端子で測定した場合、計器に流れる電流は101/15000[A]
  • 100Vの端子で測定した場合、計器に流れる電流は99/10000[A]

であることはすぐに求まります。ここで重要なのは、電源が電流源ですから計器をつなぎ変えたことによって計器側に分流して流れる電流が変化し、その変化分がRに流れることで測定値2[V]の差が生まれているという点です。

ものすごく単純化して分かりやすい話をすると、電流源に接続されている未知の抵抗に対して、

  • 内部に1A流れる計器を並列にして測定したら計器の読みが20V
  • 内部に2A流れる計器を並列にして測定したら計器の読みが10V

だったとします。このとき、前者と後者では未知抵抗に流れる電流に1Aの差が生まれ、この差によって20Vと10Vの測定値の差が生まれた…したがって抵抗は10Ω、ということは直感的に分かるかと思います。これと同じ原理です。

したがって、本問では(99/10000-101/15000)[A]の電流差に対して2Vの電圧差が生じていることより、

R=2÷(99/10000-101/15000)≒631.6

となり、答えは(5)と求まります。

(b)

Rが求まったので、あとは余裕です。

  • 631.6Ωと15000Ωの並列抵抗に電流を流したら101V発生した

ということより、オームの法則から約0.17Aと求まります。答えは(2)です。

 

ふー、ようやく理論終わった~。

電験3種過去問解説 平成30年理論問17

(a)

コンデンサの静電容量は、極板間距離に反比例して誘電体の誘電率に比例します。したがって、極板間距離4dで比誘電率4のコンデンサと、極板間距離dで比誘電率1(空気)のコンデンサは同一静電容量となるので、全体で見ると同一静電容量のコンデンサが2個直列になったものと見なせます。このことより、誘電体コンデンサと空気コンデンサの境目である、距離4dの部分の電位はV0/2となるので、これを満たすグラフは(3)です。

(b)

空気ギャップ長が1mmですから、この部分の電界が2.5kV/mmということは、空気コンデンサの電圧が2.5kVであることを意味します。したがって、誘電体コンデンサには10kV-2.5kV=7.5kVの電圧が掛かっていることになります。コンデンサの直列の場合、電圧配分は静電容量の逆比になるので、このときの誘電体コンデンサの静電容量は空気コンデンサの1/3ということになります。

誘電体コンデンサの極板間距離は4dなので、これを等価的に3dと見せる比誘電率の誘電体を挿入すれば良いことになるので、比誘電率は4/3≒1.33となり、答えは(3)です。

電験3種過去問解説 平成30年理論問16

(a)

トランジスタは、もっとも単純に考えれば、B→Eに流れる電流のhFE倍の電流がC→Eに流れる素子です。また、B→E間はPN接合と同様、約0.7Vの電圧降下を持ちます。

これを念頭に置いて問題の条件を見ると、「ベース電流はR2を流れる直流電流より十分小さく無視できる」ため、トランジスタのベース電圧は、単純にR1とR2の分圧で決定されることが分かります。したがって、ベース電圧は

  • 10×82/(18+82)=8.2[V]

と決定されます。また、B→Eの電圧降下を考えると、REの両端の電圧は7.5Vです。

したがって、

  • 7.5V÷1mA=7.5kΩ

となり、答えは(3)と求まります。

(b)

理論計算でも求められますが、エミッタホロワ回路のトランジスタの入力インピーダンスは非常に高いということを知っていれば、入力から見たインピーダンスは、事実上ほぼR1とR2の並列抵抗となり、(82×18)/(82+18)=14.76≒15[kΩ]となり、答えは(2)と求まります。

【理論計算をする場合】

トランジスタの入力インピーダンスを求める方法は次の通りです。(図にしました)

まずhieである2.5kΩの両端をvとすると、ib=v/2500となります。また、REには題意より101ibが流れるので、REの両端に発生する電圧v’は101ib×7500=757500ibとなります。

トランジスタの入力インピーダンスは、(v+v’)をibで割ればいいので、これを求めると760000となり、約760kΩと求まります。この760kΩと18kΩと82kΩの並列が入力インピーダンスですから、14.48≒15kΩとなり答えが求まります。