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平成29年度電験3種問題解説・機械問17

【解答】(2)(2)

(a)

B方面の光度は、与えられた条件よりθ=45°であることから、

  • Iθ=2000×cos45°≒1414[cd]

と求まります。B点における照度は、逆2乗則より、光度を光源までの距離の2乗で割ったものですから、

  • 1414÷(2.8√2)2≒90.2[cd]

となります。但し、これは光源に対して垂直な面が照らされる照度ですから、床面の照度はこれにcosθを掛けて、

  • 90.2×cos45°≒63.8[cd]

と求まります。

輝度Lは、光源の光度Iと光源の面積S、光源面に臨む角度θから、

  • L=I/Scosθ

で求められるので、値を代入すると、

  • L=1414÷(0.32×π×1/√2)≒7072[cd/m2]

となり、答えは(2)と求まります。

(b)

被照射面の平均照度Eは、Fを光束、Nが台数、Aが照らされる面の面積として

  • E=(F×N×保守率×照明率)÷A

で求められます。出題図より、照明器具一台が照らす面積は3.6×1.8=6.48[m2]となりますから、この式に値を代入すると、

  • E=π×2000×1×0.3×0.7÷6.48≒203.6[lx]

と求まります。

平成29年度電験3種問題解説・機械問16

【解答】(1)(4)

(a)

図のT1とT2は、サイリスタが互いに逆方向に並列接続されているもので、双方向サイリスタと呼ばれ交流電力の制御に用いられます。

サイリスタは、ゲート電流で導通開始点を制御できるダイオードとして振舞いますから、負荷が順抵抗の場合は波形1となります。

誘導性負荷の場合、負荷に発生する電圧vLは負荷電流iLに対して90°遅れ位相となりますから、例えば波形2の2つ目の点弧点直前のように、電圧波形は電流波形よりも遅れた波形になります。したがって、誘導性負荷の場合は波形2となります。

(b)

与えられた式にαを代入して計算するだけです。但し、設問が「負荷の抵抗で消費される交流電力」は何倍になるか、と聞かれている点に気を付けてください。

従って、負荷の抵抗に与えられる電圧の実効値が0.953÷0.707≒1.35倍となるので、消費電力は1.352≒1.82倍と求まります。

平成29年度電験3種問題解説・機械問15

【解答】(3)(3)

(a)

効率が90%であることから、入力電力(有効電力)は

  • 15÷0.9≒16.7[kW]

です。さらに力率が90%であることから、皮相電力は、

  • 16.7÷0.9≒18.6[kW]

です。三相電力は√3VIで求められますから、

  • 18.6×103=√3×400×I

を解いて、線電流Iは約26.8Aと求まります。

(b)

この電動機の同期速度は、120f/pの公式を用いて、

  • 120×60÷4=1800[rpm]

と求まります。回転数が1746rpmのとき、滑りは

  • (1800-1746)÷1800=0.03

となります。

1455rpmのときの滑りは、

  • (1800-1455)÷1800≒0.19

ですから、二次回路に抵抗を挿入したことで滑りは

  • 0.19÷0.03≒6.3[倍]

になったことが分かります。したがって、比例推移より、二次抵抗値は挿入前の約6.3倍になったことが分かるので、外部に挿入した抵抗は5.3倍の値となります。

(端数の四捨五入で数値に若干誤差が出ましたが、電卓を使って極力四捨五入をせずに計算するとほぼ5.4となります)

平成29年度電験3種問題解説・機械問14

【解答】(5)

ExORは、(0,0)と(1,1)の場合に0、(1,0)と(0,1)の場合に1となる演算です。

ORは、(0,0)の場合に0、(1,0)(0,1)(1,1)の場合に1となる演算です。

NORは、ORを否定したものですから、(0,0)の場合に1、(1,0)(0,1)(1,1)の場合に0となります。

以上のことから、(1011)と(0101)のExORは(1110)、NORは(0000)です。

(1110)と(0000)のORは(1110)となり、(0101)と(1110)のExORは(1011)ですから、これを10進数にすると8+2+1=11です。10進数の11は16進数のBですから、答えは(5)と求まります。

平成29年度電験3種問題解説・機械問13

【解答】(4)

誘導加熱は、導電性の被加熱物に対して外部から交番磁界を与え、それによって被加熱物内部に発生する渦電流によるジュール熱を用いて加熱する方法です。誘導加熱の特徴は次の通りです。

  • 渦電流を利用するため、金属の加熱に利用される。
  • 被加熱物の透磁率が高いと、被加熱物内部の磁界が強くなるため加熱されやすい。(銅やアルミよりも鉄やステンレスの方が透磁率が高い)
  • 渦電流の浸透の深さは、導体の抵抗率・透磁率・周波数によって影響を受ける。
  • 印加する交番磁界の周波数が高くなると、表皮効果のため電流が被加熱物表面に集中するため、発熱は表面に集中し内部が加熱されにくくなる。

以上より、誤った記述は(4)となります。

平成29年度電験3種問題解説・機械問12

【解答】(4)

電動機の機械的出力は、仕事の単位で考えるとトルク×角回転数で求めることができます。この回転運動をロープと滑車などで直線運動に変換すると、力学的な仕事は力×距離となります。エレベータなどの鉛直方向の運動体を引き上げるとき、位置エネルギはmghで求められますから、単位時間にした仕事は速度に比例し、トルクは一定であることが分かります。

空気や水などの流体を搬送する場合は、それらの流体に運動エネルギmv2/2を与えることになります。したがって、必要となるトルクは速度の2乗に比例します。

電動機に羽根を設けて送風する場合、空気の流量(体積)は、羽根の断面積×風速で求められますから、風量と風速は比例します。風量と空気の質量は比例しますから、空気に与える運動エネルギがmv2/2であることを踏まえると、電動機に必要な電力は速度の3乗に比例することが求まります

平成29年度電験3種問題解説・機械問11

【解答】(5)

ブリッジ整流回路は、その負荷側に平滑コンデンサが接続されている場合、平滑コンデンサに貯まっている電荷による電圧より、電源側の波形の電圧が高くなっているタイミングでダイオードは通流します。

まずi1ですが、交流電圧波形が正のときに正の電流が流れますから(当然です)、電流波形1しか考えられません。次にi2ですが、回路の電圧と電流の向きを考えると、電流波形3になることが分かります。この段階で答えは(5)と決定されます。

「ダイオードは、その両端の電圧が順方向となっている場合のみ導通して電流を流す」という動作の基本を押さえ、冷静に落ち着いて考えれば易しい問題です。

平成29年度電験3種問題解説・機械問10

【解答】(2)

サイリスタは、電子素子としてはゲート電流で通流開始点を制御できるダイオードとして振舞います。ゲート電流によって点弧すると、ゲート電流を取り去っても順方向電流を流し続けることができますが、当然ながらその後に続く逆方向電流は流れません。

平成29年度電験3種問題解説・機械問9

【解答】(1)

コンデンサの誘電体は、誘電率が高いほどコンデンサを小型化できて有利であるほか、誘電体内部で損失となる誘電正接tanδが小さく、絶縁耐力が高い方が優れています。その他求められる条件についても、出題文の通りです。

電力用コンデンサは、特に高電圧・大電流(大電力)で使用されるため、電子回路用コンデンサと比較して過酷な条件下にあります。コンデンサの劣化要因として主なものは、発熱による誘電体の劣化に伴う損失(熱となる有効電力)の増加ですから、それに伴う内部圧力増加による容器の変形、異常な過熱の有無などは特に気を付ける必要があります。

平成29年度電験3種問題解説・機械問8

【解答】(4)

変圧器が最大効率となる運転条件は、鉄損=銅損のときですから、銅損が250Wとなる条件を求めれば良いことになります。

鉄損は基本的に負荷に関係なく一定の値で、銅損は巻線抵抗のジュール損ですからP=I2Rより負荷電流の2乗に比例します。定格運転時に銅損が1000Wということは、定格の半分の出力(負荷電流が半分)にすれば銅損は1/4の250Wになります。したがって、

  • 出力電力25kW時に入力電力が25kW+250W+250Wであり、その時の運転効率

を求めれば良いことになりますから、効率は

  • 25000÷25500≒0.98

と求まります。