理論P100 31.コンデンサの静電容量と静電エネルギ
DVDの中で・・・45:08からの説明で、
『 同じ電流を流した時に、極板間に発生する電圧が低くなればなるほど電流を流すことができ、静電容量が小さい場合は、ちょっとの電流でも極板の電圧があがり、ε誘電率が大きければ大きいほど、沢山電気が貯められるので、沢山電気を流し込んでもなかなか電圧が上がらない。』
と、説明されてますが、この説明が理解できません。電圧が低ければ、電流を押し出す力も弱いので、電流を流す力が低く電流が流れにくくなり、静電容量=どれだけ電気を蓄えられるかということなので、静電容量が小さければ、電流を流した分だけ電圧を貯めることができるコンデンサは静電容量が小さいので、電圧はあまり上がらず、誘電率が大きければ、沢山電荷が貯められるので、電流を流したら、誘電率が大きい分だけ、電圧が貯められる。という風にしか理解ができません。
すみませんが、詳細な説明をお願い致します。
コンデンサというのは、電荷を溜め込む装置です。電荷は電流×時間で、例えば2Aの電流を4秒間流せば、その間に流れている電荷量は2×4=8クーロン、という事になります。この電荷を溜め込めば溜め込むほど、コンデンサの極板間の電圧は上昇することになります。
これを水の流れで例えますと、水を溜め込む容器と見なすことができます。
「静電容量=どれだけ電気を蓄えられるか」というイメージは、間違ってはいませんが少し誤解があります。コンデンサの静電容量は、水をためる容器の底面積に相当します。底面積が広い容器は、たくさんの水を入れてもあまり水嵩が上がりませんが、底面積が狭ければすぐに水嵩が上がります。
例えば、一定量の水を容器に入れるとします。底面積が広い容器なら、水を入れても嵩は余り上がりませんが、お皿のように平べったい容器だとするとすぐに水は溢れてしまいます。いっぽう、底面積が狭いけれども高さがある容器であれば、水かさが上がっても容器がそれ以上の高さを持っていれば水の全量を入れることができます。
これを電気回路に置き換えると、容器に溜まっている水の総量が底面積×高さであるのと同様、コンデンサに溜まっている電荷量は静電容量×極板間の電圧です。これが、Q=CVという式に相当します。
極板間の誘電体は、等価的に極板の表面積を大きくする作用があります。比誘電率が5の誘電体をコンデンサの極板間に入れると、本来であれば電荷を溜め込んだ結果たとえば極板間電圧が10Vになるところを、誘電体の作用によって5分の1の2Vにすることができます。この誘電体の作用は、水と容器に置き換えることができない(容器中に投入することで容器の底面積を実質的に増やすような部材が現実にはない…)のですが、なんとなくイメージとしてそういう部材があるんだ、と言う位に思っていただければ結構です。
ちょっと分かりにくい説明になってしまいました。
例として、電気回路において、電池の+極ー抵抗ーコンデンサー電池のー極と接続したRC直列回路を考えます。
コンデンサは、上記のような性質ですので、電流が流れ込むにしたがって極板間の電圧が上昇します。抵抗は、電池の電圧とコンデンサの極板間電圧の差の電圧がかかりますので、回路に流れる電流は、スイッチを入れた瞬間(コンデンサの極板間電圧がゼロVなので、抵抗には電池の電圧がそのまま掛かる)が最大で、回路電流が流れれば流れるほど抵抗両端の電圧が下がっていき、回路電流もそれに従って減少していき…という動作となります。これ、厳密にいうと電流はどんどん減り続けるものの、いつまで経ってもゼロにはならず、無限の時間にわたって電流が流れ続けることになります。
この現象の解析には本来微分方程式が必要なのですが、電験3種ではそこまでのものが出題されることはなく、定性的な性質を知っていれば十分かと思います。