SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成23年 理論 問15 Δ-Y変換を用いて力率1の条件を求める)

今回、私は三相負荷のRをY→Δ変換してインピーダンスを求めましたが、答えが(4)になりました。どこがおかしいのでしょうか?

●一相の等価回路は、次のようになります。

線間電圧V(V)、直列接続コイル(L)に並列にC(F)と抵抗3R(Ω)が接続されている

合成インピーダンスを求めると、

Z=JWL+(3R×(1/JWC)/3R+(1/JWC))=3R/(1+(W3CR)²)+JWL-(JW9CR²/1+(W3CR)²)

より、

JWL-(JW9CR²/1+(W3CR)²)=0

L=9CR²/1+9(WCR)²

CをΔ→Y変換なら答えは(2)になるのですが、上記方法でもいいはずです。少し引っかかるのは、Δにした場合中性点がないので、一相を考えた場合、コイルLは2つが直接接続されていると考えるのですか?やはり、三相負荷以外に直列に負荷が入っている場合はY変換の方が導きやすいのでしょうか?

この問題は、確かにおっしゃるように、抵抗をΔ型に変換しても求められないことはありません。

しかし、

Z=JWL+(3R×(1/JWC)/3R+(1/JWC))

という式のうち、

(3R×(1/JWC)/3R+(1/JWC))

これは、Δ回路の一辺についてについての合成インピーダンスですが、このときコイルLには隣り合う二辺の合成電流が流れるはずです。したがって、

Z=JWL+(3R×(1/JWC)/3R+(1/JWC))

という式から力率1の条件を求めることはできません。

もちろん、隣り合う二辺のインピーダンスと、三相交流の位相差120°を考慮してベクトル図を描くなりすれば負荷側をΔ結線にしても答えを求めることはできますが、負荷側をY結線にしてしまえば、コイルと(抵抗・コンデンサ)は純粋に直列と見なすことができ、比較的簡単に答えを求めることができるようになります。

したがって、結果的には

Y変換の方が導きやすいのでしょうか?

そういうことになります。

 

SAT電験3種講座 理論 質問回答(トランジスタ増幅回路の動作)

〜トランジスタ増幅回路の例〜 についての質問になります

V be が 約0.6㌾ と言われてますが、エミッタ〜アース間に抵抗がつながっているので(コレクタ接地回路)と言うことになる。よって、約0.6㌾という認識でよろしいのでしょうか?

トランジスタのエミッタ~ベース間に発生する電圧VBEは、トランジスタの構造であるP-N半導体接合の接合部分に生じる電圧です。この電圧は、その回路の接地方式やトランジスタの使い方に関わらず、動作している場合は常に0.6V程度の電圧を生じさせているとお考え下さい。

ちなみに、この増幅回路のトランジスタはコレクタ接地回路と言う認識でよろしいのでしょうか?

トランジスタ増幅回路において、どの端子を接地しているかというのは、直流ではなく交流の立場で考えます。

このとき、接続されているコンデンサは直流を阻止し交流のみを通すために設けられていますから、交流で考える場合はコンデンサを短絡して考えます。すると、この回路は、入力がB-E間に接続され、Eは直接接地され、Cから出力を取り出していることが分かります。したがって、エミッタ接地回路になります。

1つの増幅回路に対して、トランジスタの特性全ての特性(エミッタ接地、ベース接地、コレクタ接地)が組み込まれていることはあるのでしょうか?

例えばトランジスタが3個使われている増幅回路で、一段目がベース接地、二段目がエミッタ接地、三段目がコレクタ接地という例は考えられますが、1つのトランジスタに対して全ての接地方式が同時に存在することはありません。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(テブナンの定理の活用方法)

テブナンの定理について質問があります。

理論 テブナンの定理P26-P27

① テブナンの定理でDVDで説明がありましたP26の例題ですが、切り離した60V-40Ω-40Ωの回路は、抵抗が直列でそれぞれの40Ωの抵抗にかかる電圧は30Vで電流が0.75A流れている。

はい、その通りです。

② ショートさせた回路は抵抗が並列になるので、それぞれ40Ωの抵抗に60Vの電圧がかかっていて、全体では3A流れているが、分流しているので、60/40=1.5Aの電流が40Ωの抵抗には流れている。

これは27ページの真ん中の図のことかと思いますが、ちょっと解釈がおかしいようです。

ショートさせた回路は、60V-40Ωー40Ωの2つ目の40Ωを完全に短絡してしまい、その時に流れている電流を考えれば良いわけですから、60V-40Ωー0Ωという回路に流れる電流は1.5A、という事になります。

③ 簡単にした等価回路ですが、20Ωはショートさせた時の並列の合成抵抗。電圧の30Vは、(直列の40Ωにかかっていた30Vは理解できます。)ショートさせた部分には電流が素通しで流れるので、ショートさせた近くの40Ωの抵抗には、電流が流れない。よって、残りの40Ωの電圧が30Vなので、簡単にした等価回路の電圧は30Vである。

結果的にはそういう事になります。

テブナンの定理は、「ある2端子を取り出し、その端子を開放したときの電圧と短絡したときの電流から、それと全く同じ挙動を示す1個の電圧源と、1個の抵抗に置き換えることができる」というものですから、上記のように「開放したら30Vが発生し、短絡したら1.5Aが流れる」のと同じ状況を作り出せばいいわけです。これは、30Vの電圧源と、20Ωの直列抵抗という事になります。

④ テブナンの定理は、P20の例題には使用できない。

適用出来ないわけではありませんが、5Ωを開放したとき、その両端に発生する電圧を求めるとゼロVになってしまいますから、その時点で回路全体の挙動が決定されてしまうため、「1個の電圧源と1本の直列抵抗に置き換え」るまでもない、ということになります。

と理解していますが、大丈夫でしょうか?どこの電圧と、どこの抵抗を使用すれば、簡単な回路になるのかが、きちんと理解ができません。

テブナンの定理は、複雑な線形回路網を単純な回路に置き換えるというものです。そのため、回路中から2端子を取り出し、その挙動から1個の電圧源と1個の抵抗に変換しているわけです。

どのように適用するかは問題によるのですが、抵抗の組み合わせ回路についての過去問を解いていけば比較的容易に勘所は分かるのではないかと思います。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(電験3種 平成24年 機械 問7 過去問解説 電圧変動率の近似計算の利用)

平成24年度機械問7で、近似計算を利用して、どのように式を組み立てて解けばいいのか解りません。よろしくお願いします。

まず、「ベクトル図を用いた電圧変動率の計算によく用いられる近似計算」ですが、これは

  • V=I(rcosθ+xsinθ)

という式になります。この式は知っているものを前提として出題されますから、必ず覚えておかなければなりません。

力率0のとき、sinθ=1、cosθ=0ですから、

  • V=I・x

となり、題意からこれは5%、すなわち0.05と仮に置いてしまいます。I・x=0.05です。

次に、力率1のとき、sinθ=0、cosθ=1ですから、

  • V=I・r

となり、リアクトルの場合と同じ電流を流した、という題意から、I・r=0.02です。

以上のことから、

  • I・x=0.05
  • I・r=0.02

と置けます。

ここで、「一次巻線抵抗と一次換算した二次抵抗の和が10Ω」ですから、I・r=(I・10)=0.02より、I=0.2が求まります。そして、I・x=0.05となるxを求める、という題意から

  • x=0.05/0.02=25

したがって、25Ωが答えであることが求まります。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(定格出力の意味)

三相誘導電動機において、定格出力や定格電圧などの記述があります。この定格というのがどの部分にあたるのか教えて下さい。例としましては定格出力200KW、定格出力3000V、周波数50HZ、8極のかご形三相誘導電動機がある。などこれは定格出力=機械的出力部分にあたるのでしょうか。よろしくお願いします。

結論から言うと、そのように考えて頂いて差し支えありません。

「定格出力」「定格電圧」などというのは、その電気機器を設計・製造する人が決めた運転条件です。

電動機は、軽負荷であれば電気的・機械的出力が小さくなり、重負荷であればそれらが大きくなります。どちらの状態でも運転することは可能ですが、当然ながら重負荷であれば回路電流も多くなり、巻き線の発熱も大きくなり、そしてベアリングなど機械的構造部分の負荷も大きくなります。当然、無理な運転をすると機械の寿命は著しく短くなってしまいます。

とはいえ、余りに軽負荷で運転してもコストパフォーマンスが悪くなってしまいますから、各種温度条件や機械的条件などを加味し、無理のない範囲での運転条件を決定し、「この電動機は、この運転条件で使ってくださいね」と言うわけです。これが定格運転条件です。

したがって、同じ定格出力の電動機でも、ある会社の製品はコストよりも長寿命を重視して大きく重い、価格も高い製品になっていることもありますし、その逆に極限までコストダウンし、ギリギリまで温度上昇を許容して小さく軽い安価な製品を出す会社もあったりします。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(D種接地抵抗値の計算)

平成25年度法規過去問題13(b)

D種接地抵抗値の33.3Ωは簡単に出せるのですが、回答選択肢の(4)30Ωと(5)35Ωどちらにするか迷いました。近い数値差としては33.3-30=3.3 / 35-33.3=1.7 となり、一瞬35Ωの方が近いのではと思ってしまいましたが、35Ω×0.75A=26.25Vとなり設問の対地電圧25Vを上回ってしまうため×でそれを下回らない30Ω×0.75A=22.5Vが正答という考え方でよろしいでしょうか?初歩的な質問で大変恐縮ですがご回答いただければ幸いです。

結論としてはおっしゃる通りです。

接地は、事故発生時の感電事故を防止するために設けているものですから、選択肢に迷った場合、より低い接地抵抗値の選択肢を選んでいただければOKです。規定よりも高い電圧になっては危険性が増してしまうため、近い値とはいえ計算よりも高い方を選んではいけません。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(単相インバータ回路の動作)

電験3種機械テキストP34に関しての質問です。スイッチS1、S4をONからOFFにしたとき、負荷が誘導性負荷だったら、いままで流れてた方向と同じ方向に電流も流れると思います。このときスイッチS1、S4はいままでと同じ方向に電流が流れていてもOFFになるのでしょうか。

大変すばらしい着眼点だと思います。

おっしゃる通り、スイッチS1-S4をOFFにしてS2-S3をONにした瞬間、誘導性負荷のコイルには誘導起電力が発生しているため、抵抗のように即座に電流が切り替わって流れるようにはなりません。ではどう対策しているかというと、ここで登場するのがS1~S4のコレクターエミッタ間に入っている逆方向ダイオードなのです。

S1-S4がOFFとなった瞬間、誘導性負荷は回路図右向きに電流を流し続けようと電圧を発生させますが、この電圧がたとえ電源電圧Eよりも大きかったとしても、この誘導起電力による電流は

  • 負荷→S3と並列に入っているダイオード→電源の+端子→電源のー端子→S2と並列に入っているダイオード→負荷

という経路で流れ、一瞬のうちに消滅し、S2-S3の導通によって逆方向に電流が流れるようになります。

もしこのダイオードが入っていないと、スイッチングの切り替えの際に発生する逆方向起電力がトランジスタのC-E間に逆に掛かることになり、トランジスタが破損してしまいます。

(トランジスタのC-E間は、C側が+の時は高い耐圧を持っていても、低い逆方向電圧で簡単に壊れてしまうという性質を持っています)

以上、動作原理がお分かりいただければ幸いです。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(三相交流のΔーY変換)

16年度版理論テキスト032A 51ページ例題でY-Δ変換の問題ですが、電源側を変換すると200V→600Vでよいのでしょうか?そうすると答えが3倍になってしまいました。宜しくお願いいたします。

三相交流のΔ→Y変換、あるいはY→Δ変換の式(Zab=ZaZb+ZbZc+ZcZa/Zc、などの式)については、その図の回路図にあるように、負荷側を変換するための式です。

電源側をΔからYに変換する場合は、52ページにありますように1/√3倍、電源側をYからΔに変換する場合は√3倍ということになります。

慣れないとゴチャゴチャになってしまいそうですが、Y型では、線間に2個の電源が挟まり、Δ型では線間に1個の電源だけが挟まっている、したがって1個の電源の電圧に対して、Δ型では線間電圧がそのまま1倍、Y型ではそれより高くなって√3倍になる、と考えれば誤ることは無いかと思います。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(PN接合ダイオードに順方向電流が流れる理由)

DVD46P型半導体とN型半導体の25分頃の説明に関して、P型半導体とN型半導体を接合し、そこに電池を繋いだら、マイナスより電子が流れこみ、N型領域に電子が供給されて、N型領域の電子がP型の方へ押し出され、P型のホールと接合部分付近で、カップルが成立する。そして、カップルで成立したものが、電池のプラス極に流れている。と理解しました。

しかし、電池を繋ぐ前の説明では、需要と供給が一致して、不足した穴と余った電子がペアになり、プラスマイナス0となり、消えると説明がありました。なので、接合部分でカップルとなった電子は、消えてなくなるはずで、プラス極に流れないのでは?とも考え、よくわかりません。詳しく、説明をお願い致します。

P型半導体は、電子が不足気味、N型半導体は電子が余剰気味、という性質を持っています。ここでP型半導体に電子を注入すると、電子が不足した孔(ホール)に電子は入り込みますが、それと同時に別の部分から外部に電子が放出されるという動作を行います。

つまり、不足している電子を注入しても常に別の部分から同じだけ流出するので、常に電子不足を維持しています。N型半導体も全く同じで、余っている電子を取り出すと、外部から同じだけ電子が流入し(そもそも、そうしないと回路として電流が流れない)、常に電子余剰を維持します。

さて、外部に回路をつながない状態でPNを接合すると何が起こるかというと、接合面付近で需要と供給が一致し、余剰電子が存在しない、つまり自由に動き回る電子が無いのでそのままでは電流が流れない領域(空乏層)が発生します。

この状態で、外部に回路をつないで、N型領域に電子を流し込み、P型領域から電子を吸い出そうとすると、N型領域から押し出された電子は空乏層に流れ込みます。そしてP型領域に達すると、P型領域内のホールと電子が結合(再結合と呼びます)するのですが、上に書いたような理由で電子が再結合すると同じ分だけ外部に電子が流出するため、P型領域の電子不足は常に維持され、そして回路電流も流れる、という動作になります。つまり、「接合部分でカップルとなった電子は、消えてなくなる」のですが、それと同時に外部に電子が吸い出されるため、P型領域のホールは消滅しない訳です。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(論理演算とブール代数に関するミス)

機械編 28章 論理演算とブール代数にて

最後の例題(教材に記載されていない DVD内での問題)

~(x+y+z)の3連の問題において

教官がDVD内で解答を

①の (x+z)(y+z)  とおっしゃっていましたが何度計算しても ④の(x+z)(y+z)の結果になってしまいます

以下z=0と定義した際の式です

(X+Y)(X+Y)(X+Y)= (XX+XY+XY+YY)(X+Y)  →  XX=X      YY=0

= {X+X(Y+Y)+0}(X+Y)     →    Y+Y=1

= (X+X+0)(X+Y)            →   X+X=X

= (X+0)(X+Y)

=X(X+Y)  =XX+XY                              → XX=0 =XY

Zを代入

(X+Z)(Y+Z)

☆バーは恥ずかしながら上に付ける技術持ち合わせていないのでアンダーバーで表記してます

計算方法変えても同じで どうやら負のドツボ(スパイラル)に陥ってしまい自分ではどこが間違い部分がわからなくなってしまいました。(きっとどっかで単純ミスしてると思うのですが・・・)

外部の冷静な視線で見ればすぐにご指摘いただけるのではと・・・

自力救済諦めて質問してしまいました・・・スミマセン・・・

加えて過去問からの引用であれば 出題年度を教えて頂ければ

自分自身でも調べてミス部分を見つけ出したいと思っております

宜しくご指導の程、お願い申し上げます

 

御質問承りました。返答が遅くなりまことに申し訳ございませんでした。

さて、御質問頂いた件ですが、これは電験3種の平成25年の問18(b)の問題です。

早速問題を確認したところ、御指摘通り正解は(4)です。

恥ずかしながら、講座の中で(4)を(1)と喋ってしまっていたようです…。

ご迷惑をお掛けして誠に申し訳ございませんでした。お詫びの上訂正申し上げます。

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