SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成25年 理論 問8 抵抗の組み合わせ回路の計算)

中下の10Ωと50Ωについては両端が短絡されているために切り離して考えればいいと書いてありますが着眼点がわかりません。電験は同じ問題は出ませんがどのような回路図が出たらこれは切り離して考えればいいんだなとか考え方の着眼点を教えてください。

この質問を頂いて、はたと考えてしまいました。

私はこの回路を見て、瞬時に回路右半分は切り離せると分かったのですが、それは何故分かったか?と言われても、さて?何故だろう?としばらく考え込んでしまいました。

結論としては、

http://wp.khz-net.co.jp/?p=334

に書いた通りなのですが、この回路図に持っていく過程を知りたいということですよね。

私が着目したのは、画像の赤線の部分、つまり電池のマイナス端子につながる一本の線です。

電線は常に等電位ですから、静電遮蔽と同じ理屈で、この線の右と左とでは回路は完全に切り離して考えることができます

すると、この線の右側にある抵抗5本について、電圧源はどこにもありませんから、この抵抗軍には一切電流が流れないことが分かります。つまり、完全に無視して考えることができ、左上の5Ω、10Ω、40Ωだけを考えれば良いことになります。

このような接地側電源線の引き回しに関する考え方は、電子回路設計でプリント基板を設計する場合の定番でして、私の直感的感覚もそこから来ているように思います。「この点に注目しこのように考えれば絶対できる!」というような歯切れの良い答えが出来ず申し訳ありませんが、何卒ご容赦頂ければと思います。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(電験3種平成25年問13 完全地絡事故発生時の電圧から求めたD種接地抵抗)

過去問380ページ 法規 問13の(b)問題で答えが、33.3Ωになったので、答えの選択肢は、(5)35 の方が近い答えだと思うんですが、なぜ(4)30 が正解になるのでしょうか?

この問題は、平成25年の問13かと思いますが、出題文の条件として「完全地絡事故が発生した場合の対地電圧を25V以下としたい」とあります。計算値では33.3…となりますが、これをもし35Ωにしてしまうと、完全地絡事故発生時の対地電圧が25Vを超えてしまいます。したがって、計算値に最も近く、かつ計算値よりも下の値として30Ωが正解ということになります。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(電験3種 平成25年 機械 問13 過去問解説 ブロック線図の伝達関数)

平成25年度 機械 問13の解説で、ブロック線図の、あるところに1を置くは何とか理解できましたが、それからの式の立て方がよくわかりません。もう少し解説して頂けないでしょう。宜しくお願い致します。

ブロック線図の入出力特性は、任意の点を「1」と置いて特性を求めればよいのですが、このブロック線図では入力V1から出力V2に至る経路と、外乱Dから出力V2に至る経路が別ですから、これらを分けて考えたうえで重ね合わせることで求めます。これを分けずに計算しても一見上手く行くように見えるのですが、これは誤った答えが出てしまいます。何故誤ってしまうかというと、ひとつの計算式の中に外乱Dと入力V1を入れた式は、DとV1が互いに影響を与え合うという前提になってしまうからなのです。

  • D=0と置いた場合

V2=1として各部の値を求めます。すると、G2の出力はG2、そしてD=0ですから、G1の入力は 1/G1となります。V1の右の白丸(加減算点)は、

入力がV1、そこからG2を引いた出力が1/G1

となればいいので、このときのV1の値は 1/G1+G2です。

したがって、全体としては、「 1/G1+G2を入力したとき、出力は1」

なので、

V2={G1/(1+G1G2)}V1

が求まります。

  • V1=0と置いた場合

同じ手法でDとV2の間の関係を求めます。V2=1として各部の値を求めると、G2の出力はG2、そしてV1=0ですから、V1の右の白丸(加減算点)は、

「入力がV1=0、そこからG2を引いた出力」

が出てくるので、G1への入力は-G2です。したがって、G1の出力はG1G2で、G1の右の白丸(加減算点)は、

「入力がG1G2、そこにDを足した出力がV2=1」

ですから、このときのDは1-G1G2です。

この式を変形して、

V2={1/(1+G1G2)}D

という関係式が求まります。

あとは、重ね合わせの原理で、この2つの式を足したものが答えとなります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成23年 理論 問9 RC直列回路の基本的性質)

理論の平成23年の問9なのですが式の立て方と 解き方を教えてくださいよろしくおねがいします

まず、電圧と電流の位相差がπ/3であることから、負荷の位相角がーπ/3であることが求まります。これは回路を見れば一目瞭然で、1000Ωの抵抗を実数分、CのリアクタンスXcを虚数分としてインピーダンス合成し、これらの間のtanθがtan(π/3)になることを意味します。tan(π/3)は√3ですから、コンデンサのリアクタンスは1000√3Ωと求まります。

したがって、1/(2πfC)=1000√3としてf=1000Hzを代入すれば、C=0.09188…μFが導出でき、正解は(2)と求まります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成24年 理論 問1 コンデンサの基本的性質)

平成24年度の理論の問1の図は、4マイクロファラッドと2マイクロファラッドをたして、6マイクロファラッドになると言うことですか?直列の場合、和分の積で求めると思ったのですが、図は並列のあつかいですか。

この回路では、「電源電圧がゼロVの電源による直列回路」とも、「外部電源が切り離されている並列回路」とも見ることができます。

スイッチを入れた後は、「回路電流が流れ、両コンデンサの極板間電圧が等しくなった時の電圧」を求めるわけですから、これは並列条件(極板間電圧がどちらも等しい)となります。

単にコンデンサの直列や並列の静電容量の公式を暗記するだけで物理的な性質を理解していないと解けない問題なのですが、コンデンサと回路の基本的な物理的性質、つまり

  1. スイッチを入れてから両方のコンデンサに流れる電流、そして電荷量は等しい
  2. コンデンサが並列であれば極板間電圧は同じになる
  3. コンデンサの極板間電圧は、V=Q/Cで求められる

という点を理解していれば解ける問題ということが言えるでしょう。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(電験3種 平成23年 機械 問16 過去問解説 直流電動機の界磁電流と負荷特性)

直流電動機の例題二問目について質問です。問題の後半「界磁電流を半分にして~制御し制御ししなければならないか」の部分がわかりません。負荷と釣り合った状態とはどんな状態ですか?イメージがわきません。また、どういう意味かも分かりません。またどこの負荷のことですか?回答よろしくお願いします。

電動機というのは要するにモーターのことです。モーターは、電気のエネルギを回転のエネルギーに変える機械ですから、電動機の問題で「出力」というと、機械的出力のことを意味します。

電動機が電気エネルギを機械エネルギに変換する原理は、回転巻線に電流を流した時に発生する磁力と、固定巻線に電流を流した時に発生する磁力どうしの間の吸引・反発力です。

回転巻線に発生する逆起電圧×回転巻線に流れる電流が出力(単位はワット)となります。

以上のことから、問題の条件を考えます。

誘導起電力が200V、回転巻線の電流が20Aということは電力は4000Wです。機械的出力も4000Wです。

回転速度が600rpmから1320になり、「負荷はトルクが一定で回転速度に対して機械出力が比例して上昇する」ということは、機械的出力は2.2倍になることを意味しています。

トルクというのは簡単に言えば回転に要する力のことです。例えば、人間が手で何かを回転させるとき、重い物体をグルグル回すのには大きな力が要りますが、軽い物体なら軽く回せます。

同じ力の人であれば、物体が重ければ重いほど回転させる速度は遅くなることが分かりますから、力×回転数が正味の出力になるという感覚は掴めるかなと思います。

ここでは、力(トルク)が一定ということなので、出力は純粋に回転数に比例することになります。

さて、「界磁電流が半分」ということは、固定巻線に電流を流した時に発生する磁力が半分ということですから、回転巻線におけるファラデーの電磁誘導則の磁束Φが半分になることを意味します。

ただし、回転数が2.2倍になっているので、これも電磁誘導則の「コイルが磁束を横切る速度」が2.2倍ということになり、結局界磁磁束が0.5倍×回転数が2.2倍で、誘導起電力は元の1.1倍です。

電動機の機械的トルクは、回転巻線に電流を流した時に発生する磁力と、固定巻線に電流を流した時に発生する磁力どうしの間の電磁力ですから、界磁電流が半分で元と同じトルクを作るためには回転巻線の電流は2倍必要です。

したがって電機子電流は40Aとなり、電機子の直列抵抗の電圧降下が40×0.4=16V、これと誘導起電力200×1.1を足して236Vが端子電圧、という流れです。

SAT電験3種講座 電力 質問回答(電験3種 平成23年 電力 問6 出題文の意味)

電験3種電力H23年問6に関しての質問です。(4)、(5)の文章の意味が理解できないので詳細を説明して頂いてもよろしいですか。

(4)ですが、地線とはアースされている電線のことです。つまり、横から見ると、上から電力線・アース線・通信線の順番になっているという意味です。

このとき、電力線とアース線の間がコンデンサ、アース線と通信線との間がコンデンサとなりますが、電力線からの静電誘導はアース線によってアースされてしまい、通信線に対する静電誘導を遮蔽する役割を持ちます。

しかし、文章では「電磁誘導」となっているので誤りです。文中、静電誘導と電磁誘導が逆であれば正しい記述です。

(5)ですが、同軸ケーブルは外皮が接地されて中心線がシールドされている構造になっています。したがって、これは電磁誘導にも静電誘導にも強い構造です。

光ファイバはそもそも電流を通さず光しか通していないので、電磁誘導も静電誘導も受けません。

SAT電験3種講座 電力 質問回答(地中送電線路の性質とフェランチ効果の生じる原理)

電力編の32ページで、動画の説明で電線は周りが絶縁体に囲まれているから電線はコンデンサーとみなせるとのことでしたが、これは電線と大地が電極で、絶縁体が誘電体とみなすからでしょうか。

その通りです。離れた2点間に導体があり、その間に絶縁体が挟まれている構造になっているものは、全てコンデンサの性質を持ちます。

身近な例は、人間の体とドアノブ(離れた2点間の導体)の間に空気(絶縁体)が挟まれていればコンデンサとなり、そのコンデンサに電荷が溜まることで電位差が発生し、ドアノブに触れた瞬間に放電するのも、人体とドアノブの関係がコンデンサの極板と全く同じだからという事になります。

あと、原理上送電ケーブルの対地静電容量が大きいため、軽負荷時のフェランチ効果による電圧上昇を起こしやすいの部分を詳しく説明いただけないでしょうか。

ケーブルの対地静電容量が大きい場合、それを電源側から見ると、抵抗(送電線路の抵抗成分)とコイル(送電線路の誘導性リアクタンス)とコンデンサ(ケーブルの対地静電容量)が直列に接続されているように見えます。

つまり、これは理論で学んだRLC直列回路そのものです。

例えば、RLC直列回路において、Rが6Ω、Lが+j20Ω、Cが-j12Ω、そして電源電圧が10Vだったとします。

このとき、LCの合成リアクタンスが+j8Ωですから、RLCの合成インピーダンスは√(6^2+8^2)=10Ωです。

電源電圧が10Vでインピーダンスが10Ωですから、この回路には1Aの電流が流れます。

そして、-j12Ωのリアクタンスを持つコンデンサに1Aの電流が流れるということは、その両端に生じる電圧は12Vとなり、なんと電源電圧を超えてしまうことになります。

これは計算上そうなるだけでなく、本当にそうなります。電源電圧を超えるのは一見矛盾するように思えますが、これも理論で解説しました通り、LC直列部分は互いの性質が打ち消し合うため、このような事が起こりえます。

したがって、送電線路においても末端部分の対地静電容量が大きくなると、これと同じことが起こって送電端よりも電圧が上昇し、そのせいで絶縁破壊などの事故が起こる可能性がありますから注意しなければならない訳です。

SAT電験3種講座 電力 質問回答(電験3種 平成23年 電力 問16 過去問解説 三相短絡時の短絡電流と変圧器の二次側電圧計算)

掲題の解答ですが、講義回答のイメージが、まったくつきません。プロセスがわかるような、式、図等を教えていただきませんでしょうか?以上、宜しくお願い致します。

まず、Y-Y結線で66kV:22kVで、一相当たりについて考えると、変圧器を一次側から見たインピーダンスが0.018+j8.73Ω、そして二次側に接続されている短絡線路のインピーダンスが0.10+j0.24Ωであるところまでは宜しいかと思います。

ここで、「一次側から見た0.018+j8.73Ω」を二次側に移すことで短絡線路のインピーダンスと合計できるようになるため、変圧器の巻数比を用いて変換します。

理論で出てきた通り、インピーダンスは巻数比の2乗で変換されますから、一次側から二次側に移すと1/9になり、変換後の二次側インピーダンスは0.102+j1.21Ωとなります。

ここに相電圧の(22/√3)kVが掛かるため、流れる電流は約10460Aと求まります。

(b)問題ですが、これは「二次側の0.10+j0.24Ωに10460Aの電流が流れるときに発生する電圧」そのものを求めれば良いので、

  • 10460×√(0.1^2+0.24^2)=2719.6V

と求まります。しかし、これは一相当たりについて求めた値ですから、三相電圧の場合はこれに√3を掛けて4710Vが答えとなります。(解答選択肢の1番が引っ掛けになっています)

SAT電験3種講座 電力 質問回答(電験3種 平成26年 電力 問16 過去問解説 ケーブルの充電電流からアドミタンスを求める問題)

一相あたりの対地電圧が38.11になる理由がわかりません考え方を教えてください。

三相交流の電圧は、線間電圧をもって表します。

理論の「三相交流のY結線」で示されたように、線間電圧66kVの三相交流であれば、その中性点(=接地点)に対する電圧は√3で割った値になります。

三相一括のリアクタンスから一線あたりのリアクタンスを求めるのになぜ3倍するのですか?

リアクタンスは、コンデンサ(=ケーブルの対地静電容量)に掛かる電圧を流れる電流で割った値です。

したがって、これは抵抗の並列接続と同様、同じ値のものが2本並列であれば合成リアクタンスは1/2、3本並列であれば1/3になります。

ここでは3本並列の合成リアクタンスが求まっていますから、逆算して1本あたりはその3倍という事になります。

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