SAT電験3種講座 電力 質問回答(電験3種 平成25年 電力 問13 過去問解説 配電線路の電圧降下計算)

H25電力過去問題、問13について質問です。

A-B間の電圧降下E=√3×100×(0.3×0.8+0.2×0.6)は問題ないのですが、S-A間の電圧降下を求める際に、A点での電流が150+100=250Aで算出すると回答が導かれるのですが、なぜ250Aになるのでしょうか?どのように解釈すればよいのでしょうか?お手数ですが、ご教授お願いします。

この問題の図は、電源SからA点までの電線1km、そしてA点からB点までの電線1kmが引かれ、B点での負荷電流はS~A~Bと2km流れ、A点での負荷電流はS~Aと1km流れて供給されています。

従って、S~Aの間は、A点での負荷電流とB点での負荷電流が一緒に流れることになります。

 

 

SAT電験3種講座 理論 質問回答(コイルの自己インダクタンスと相互インダクタンスの計算)

理論37 磁気回路のオームの法則内の質問です。テキスト77ページの冒頭にある自己インダクタンスと末にある相互インダクタンスの変換後の式の過程を教えてください。

まず、76ページのコイルにおいて、鉄心に磁束を発生させる源はコイルの電流と巻数の積、Niです。電気回路でいうと、これは発電の電圧と同じです。

このとき、ソレノイド内に流れる磁束(電気回路でいうと電流)は、このNiを磁気抵抗で割った値です。

磁気抵抗は、電線と同様、ソレノイドの長さに比例して断面積に反比例します。また、電線の抵抗率に対して磁気は透磁率の逆数ですから、流れる磁束φは、磁路長をIとして

  • φ=Ni÷(l/μS)=μNSi/I

で表されます。

コイルの自己インダクタンスLは、コイルに流れる磁力をφ、巻数をN、流れる電流をiとすると、

  • L=Nφ/i

で求められるので、ここに上記のφを代入すると、

  • L= Nφ/i=N(μNSi/l)/i=μSN^2/l

となります。これがP.77二段目の式です。

コイルの自己インダクタンスは、その作用の大きさを意味します。式中の巻数の2乗は、「コイルに流した電流によって自分で作り出した磁束が、今度はコイル自身に戻ってきて自分自身に影響を与える」ことを意味しています。巻数Nが大きいほど、電流によって作り出す磁束が大きくなり、その磁束がコイル自分自身にまた大きく作用する、ということになります。

さて、コイルが自分が自分自身に影響を与える度合いではなく、一次側と二次側の巻線があり、一次側のコイルが作った磁束が二次側に与える影響を考えるときは、上記の式の(μS/l)に一次側と二次側のN1とN2を掛けた値になり、これが相互作用を意味する相互インダクタンスの式になります。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(変圧器の等価回路)

機械編P11

巻線比を用いて一次側に換算して表現しているとありますが巻線比とはどういうことですか?この回路は変圧器の働きのどこを等価にしたものなのでしょうか?

変圧器というのは、理論編の合成インダクタンスのところで出てきた、相互インダクタンスを持つ2組の巻線のことです。

より具体的に言うと、鉄心を介して磁気的に結合した2組の巻線で、片方の巻線に電流を流すと、その電流によって鉄心内には磁束変化が発生し、その磁束が他方の巻線を通過することで、その巻線に電圧を発生させるものです。我々の身近で、高圧の6600Vを100Vや200Vに変換するための装置として、あるいは100Vの交流から携帯電話の充電などに使う低い電圧を作り出すためなどに広く利用されています。

巻数比は、一次側と二次側の巻数の比のことで、例えば一次側巻線が10000回、二次側巻線が500回巻いてあるとすると、10000:500=20:1となります。コイルを貫く磁束変化は電圧を発生させることから、巻数比が20:1の変圧器は、一次側電圧:二次側電圧=20:1となります。

さて、このような変圧器ですが、現実問題として巻線に使う銅の直列抵抗、そして導線を巻いてあることによるインダクタンスとそのインダクタンスによって生じるコイルとしてのリアクタンス、その他の損失要因などを評価する場合、何らかの等価回路に置き換え、その置き換えた等価回路内の抵抗値やリアクタンス値を用いて変圧器の特性を考えることになります。

ここで、本来変圧器は一次側と二次側は絶縁されていますが、上記のような直列抵抗やリアクタンス等を評価する場合、一次側と二次側が絶縁されているかどうかということは重要ではありません。要は、一次側から見てどのような回路素子に見えるか、というのが論点なわけです。

変圧器の巻数比をn:1とすると、電圧比はn:1です。一次側と二次側で電力は変わりませんから、二次側は電圧が1/n倍になった分、電流はn倍となります。

この変圧器に、仮に二次側に抵抗Rを接続した場合を考えます。二次側に発生する電圧をVとすると、流れる電流はV/Rです。これを一次側に変換すると、

  1. 電圧はnV
  2. 電流はV/nR

となります。したがって、一次側から見ると、

  • 電圧がnVのときに、V/nRの電流が流れる抵抗

と見なせます。この値を計算すると、

  • 電圧÷電流=nV/(V/nR) =n^2R

となり、

  • 巻数比1:nの変圧器の二次側に抵抗Rをつなぐと、一次側からはn^2倍の値に見える

ことが求められます。これを回路図に起こしたものがP11の回路図で、

  1. 一次側の直列抵抗をr1、リアクタンスをx1
  2. 二次側の直列抵抗を一次側に変換したものがa^2r2、リアクタンスを変換したものがa^x2、二次側負荷のZ2を変換したものがa^2Z2

となって、一次側から見た等価インピーダンスになる、ということを示しています。

2017年夏の講座収録

8月2日から大阪に来て、SATの電験3種講座を収録しています。

本来なら毎年改訂するのが望ましいのでしょうけど、なかなかそうも行かず。

テキストは、理論の細かい修正と、電力・機械・法規の大幅改定を行いました。

進行具合は、3~6日で理論編の収録を終え、電力に少し入った所です。早くもテキストの誤植を色々と見つけて(*´Д`*)…

明日の大阪は台風で物凄い荒天になりそうですが、ま、頑張ります。

 

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成25年 理論 問7 過去問解説 RC直列回路のインピーダンス計算)

理論 問7で答えが、20A×1.2倍=24A になるのになぜ、(4)24.0ではなく (3)21.2が正解になるのでしょうか?

この問題は、「4Ωの抵抗とCファラドのコンデンサを直列にした回路」である点がポイントです。もし抵抗がなく、純粋にコンデンサのみであれば、単純に20A×1.2倍になりますが、抵抗は電源周波数が変化しても値が変わらないため、きちんとRC直列回路のインピーダンスを求めなければいけません。

50Hz100Vの電源に対して20Aの電流が流れたということは、RC直列回路のインピーダンスは5Ωです。

抵抗が4Ωであることが分かっているので、このときのコンデンサのリアクタンスをXとすると、

  • √(4^2+X^2)=5

ということになり、両辺を2乗して

  • 16+X^2=25

ですから、X^2=9よりX=3Ωです。

さて、コンデンサのリアクタンスは1/(jωC)ですから周波数に反比例します。したがって、50Hzで3Ωのリアクタンスを持つコンデンサは、60Hzではその1/1.2、つまり2.5Ωのリアクタンスとなります。

以上より、60Hz時のRC直列回路全体のインピーダンスは、

  • √(4^2+2.5^2)≒4.72Ω

ですから、このとき回路に流れる電流は、

  • 100÷4.72≒21.2A

と求まります。

よくわかる 第一級陸上特殊無線技士 合格テキスト

2001年に上梓したUnix本から、消防設備士、電気工事士、電験3種、エネルギー管理士と来て、ようやく最も本業(?)に近い無線関係の本を出すことができました。

http://www.kobunsha.org/book/00411.html

私はもともと電子回路から入って無線通信を通して無線工学を専門としてきたので(大学で研究していたのはレーダーですし)、最も良い本が書けそうな分野は電子回路や無線工学だったのですが、世の中、電気関連書籍の需要といえば電気工事士や電験3種などの強電分野が圧倒的に強く、なかなか機会に恵まれずにおりました。

それが今回、弘文社様とのご縁を頂き、執筆にまるまる一年(いや、それ以上だ…)掛かってめでたく日の目を見ました。

内容ですが、同類他書にはあり得ないレベルで分かりやすく書いたつもりです。レビューによる評価も気になるっちゃ気になるのですが、それ抜きにしても「うわー、これってメチャクチャ難しいと思っていたけど、本質はこんなに簡単なことだったんだ!」と目からウロコが何十枚も落ちる読者様が出てくることを切に願っております。笑。

最初に書いた原稿のデータから、多重通信の概要についての説明と、デシベル計算についての話を置いておきます。

多重通信の基礎

デシベル計算

一陸特とくれば、次は一陸技向けの参考書を…!となりそうな気がするし、個人的にも一陸技向けのすんげー分かりやすい本を書けば多くの人に喜んでもらえそうな気がするんだけど、さてそれをするとなったら執筆期間どれだけ必要なことか…。

(なお一陸特の本、執筆に一年以上掛かっているけれども実質的に作業をしていた期間は正味一か月程度だった模様←)

 

以下販売店リンク。

http://www.yodobashi.com/product/100000009002829795/

https://www.amazon.co.jp/dp/toc/4770327188/ref=dp_toc?_encoding=UTF8&n=465392

http://books.rakuten.co.jp/rb/15059469/

https://lohaco.jp/product/L02083579/

http://www.hmv.co.jp/artist_%E6%AF%9B%E9%A6%AC%E5%86%85%E6%B4%8B%E5%85%B8_000000000651385/item_%E3%82%88%E3%81%8F%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%8B%E7%AC%AC%E4%B8%80%E7%B4%9A%E9%99%B8%E4%B8%8A%E7%89%B9%E6%AE%8A%E7%84%A1%E7%B7%9A%E6%8A%80%E5%A3%AB%E5%90%88%E6%A0%BC%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88-%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E3%83%BB%E8%B3%87%E6%A0%BC%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA411_8077294

 

SAT電験3種講座 機械 質問回答(電験3種 平成24年 機械 問15 インバータ電源回路に低い高周波インピーダンスが求められる理由)

電験3種機械過去問H24年問15テキストP426

(b)の1で直流電源の高周波インピーダンスが低いことが要求されるとありますが理由を教えてもらっていいですか。

この回路はインバータですから、直流電源Eからの電流を半導体スイッチで切り替え、負荷に対して正負交互に電流を流しています。

従って、直流電源Eは、負荷に対して十分な電流を流すことができる電圧源(内部インピーダンスが極小)である必要があります。

しかし、その上であえて「高周波インピーダンスが低い」という条件が追加されている理由は、半導体スイッチの切り替え時に電源には過渡的な電流変動が発生し、その電流変動は高い(半導体スイッチの切り替えに伴う50Hzや60Hzではなく、数~数十kHzにも及ぶ)周波数の成分を含んでいるからです。そのような高い周波数成分に対しても十分に低インピーダンスの電圧源にしないと、負荷に供給される電流波形が歪んでしまい、思ったような電力を供給することが出来なくなります。

これを解消するため、一般的には直流電源Eと並列に複数のコンデンサを挿入するなどして、電源の低インピーダンス化を図ります。

この目的に使用するコンデンサをバイパスコンデンサ(略してパスコン)と呼びます。電子回路設計の上では暗黙の了解として当然挿入されるべき部品なのですが、回路設計に携わっていないと気が付かない、一種の暗黙の了解による落とし穴?のようなものです。

SAT電験3種講座 電力 質問回答(電験3種 平成26年 電力 問7 過去問解説 配電線路の電圧降下と負荷電力の計算)

電力 H26-7 掲題の問題ですが、近似式は。v=√3I(Rcosφ+Xsinφ)と公式暗記しているのですが講義の内容の、解答プロセスがよくわかりません。詳細な解答プロセスを、ご教示お願い致します。以上、宜しくお願い致します。

>v=√3I(Rcosφ+Xsinφ)

この式はその通りです。これを用いて答えを求めます。

まず、1km1線あたりの抵抗が0.45Ω、リアクタンスが0.25Ω、配電線路が2kmですから、

  1. R=2×0.45=0.9Ω
  2. X=2×0.25=0.5Ω

となります。また、遅れ力率85%ということはcosθ=0.85ですから、cos^2θ+sin^2θ=1の関係から、sinθ=0.53が求まります。

以上より、

  • v=√3I(0.9×0.85+0.5×0.53)=1.784I

が求まります。

問題の条件から、負荷の端子電圧6.6kVに対して上記の式で計算できる電圧降下がその5%以下ですから、

  • 1.784I<6600×0.05

となり、これを解くと

  • I<185

が求まります。すなわち線電流が185A以下なら良いことになります。

以上、負荷の端子電圧と線電流、力率が求まりましたから、負荷電力は、

  • √3×V×I×cosθ=√3×6600×185×0.85≒1798kW

と求まります。

問題をパッと見るとどのように解いたら良いのか見当がつかない気もしてしまうかもしれませんが、ゆっくり落ち着いて順番に考えれば、それほど難しくないことがお判りいただけたかと思います。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(電験3種 平成26年 機械 問15 同期電動機の出力計算)

平成26年の機械過去問、問15(a)ですが、回転数1800rpm、機械出力は400/√3÷√3×200×1=26.7kw、角速度×トルク=仕事(26.7kw)から1800/60×T=26.7kT=890Nと考えたのですが、回答と一致しません。解説の動画では、公式に当てはめて〜としか解説がありません。P=3EVsinθ/xの公式かと考えたのですが、力率1=cosθ=1、sinθ=0?となりこの式の展開も不明でした。どこで考え方を間違えているのでしょうか?ご教授お願いします。

まずトルクですが、これは回転運動において、回転中心軸からの距離×その点での力の積です。

力学的な仕事は、力×距離で定義されます。例えば10Nで5mの距離にわたって力を与え続けた場合の仕事は50Jです。回転運動の場合は、常に回転方向が変わるため、円周上での力と、その円周上での回転距離が仕事になります。そこで、回転運動の1秒間の回転数をxとすると、回転中心からの距離をr、その円周上での力をFとして

  • 2πr・x・F

が1秒間の仕事、つまり仕事率(単位:ワット)ですから、この値を電気的な入力とイコールで結んで計算できることになります。

この電動機の電気的入力は、三相なので3×(400/√3)×200=138564Wとなります。また、回転数は120f/pより1800rpmですから、1秒間では1800÷60=30回転です。

したがって、

  • 2πr・30・F=138564

と求まります。トルクTは、この式中のrとFの積ですから、

  • 2π・30・T=138564

となり、これよりT=約735N・mが求まります。

(b)は、提示されているベクトル図で考えるのが最も分かりやすいかと思いますので、図を添付いたします。

まず、出力条件が変わらないので、IM1cosθ=IM、そして図中のVの値も力率変化前と同一値です。

図より、まずIM1を求めます。IM1cosθ=IMより、IM1は231Aと求まります。

IM1が求まれば、次はjxsIM1の値を計算します。xsは1Ωなので、xsIM1は231Vです。

ベクトル図から、この231Vにsinθを掛けたものが同期リアクタンスに発生する電圧の有効分で、これは115Vです。

同様に、231Vにcosθを掛けたものが同期リアクタンスに発生する電圧の無効分で、これは200Vです。

以上より、(400/√3)+115Vと200Vの二乗和がEになりますから、これを求めると約400Vが導き出せます。

添付図に赤丸で計算順序を書きましたので、併せてご覧いただければと思います。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(RLC並列回路が共振周波数で電流最小となる理由)

理論テキストP62  並列共振回路

RLC並列共振回路ではインピーダンスが最大、電流は最小、力率1となりますがなぜそうなるのか分かりません。

流れる電流はRのみになるのなら直列共振と同じように電流は最大になるのではないでしょうか?文章解答だけでなく回路図を使用したり、考察なども含めて質問に解答してください。

それではまず、コイルとコンデンサの基本的な性質をおさらいします。

コイルは、電線を輪のように巻いたもので、周波数が低いほどリアクタンスが小さく、周波数が高いほどリアクタンスが大きくなります。

リアクタンスとは、素子に掛かる電圧を流れる電流で割った値で、単位はΩです。

コイルのリアクタンスを式で表すとjωLとなり、角周波数ω=2πfですから、電源の周波数をf(単位はヘルツ)として、リアクタンスはj2πfLとも表現できます。

jは虚数単位ですが、ここでは「コイルに流れる電流は、コイルに掛かる電圧の波形に対して90°遅れている」ことと等価です。したがって、電圧と電流のタイミングを考えずに各々の実効値だけを見て考えれば、コイルに掛かる電圧をV、流れる電流をIとして、V=2πfLIと表すことができます。

コンデンサは、極板を2枚対向させたもので、周波数が低いほどリアクタンスが大きく、周波数が高いほどリアクタンスが小さくなります。コンデンサに流れる電流は、コンデンサに掛かる電圧の波形に対して90°進んでいます。

コンデンサのリアクタンスを式で表すと1/(jωC)となり、こちらもコイルと同様に考えると、コンデンサに掛かる電圧をV、流れる電流をIとして、V=I/(2πfC)と表すことができます。

さて、このような性質を持つコイルとコンデンサを並列に接続すると、コイル・コンデンサに掛かる電圧は同じですから、コイルの電流はそれに対して90°遅れ、コンデンサの電流はそれに対して90°進みとなり、差し引きするとコイルとコンデンサの電流波形は互いに180°の位相差を持つことになります。つまり、コイルが電流を吐き出している間はコンデンサが電流を吸い込み、コイルが電流を吸い込んでいる間はコンデンサが電流を吐き出していることになります。

並列共振は、コイルとコンデンサがやり取りする電流値が同一になっている状態ですから、電流のやり取りがこの2素子間で完結してしまい、外部からは一切電流が流れ込まない状態です。電圧が掛かっているのに電流が流れ込まないということは、リアクタンスは無限大になるわけです。

では、RLC並列回路で電源周波数を変えたときの挙動を考えます。上記の通り、共振状態ではLC並列部分のリアクタンスは無限大ですから切り離して考えることができ、回路に残されるのはRだけですから等価的に抵抗値Rだけとなります。

この状態から周波数を下げてみます。どこまで下げるかと言えば、極端な場合としてゼロHz、つまり直流の場合を考えます。

すると、コンデンサのリアクタンスは1/(2π×0×C)で分母がゼロとなり、無限大つまり電流は全く流れず切り離されてしまうことが分かります。

一方コイルは、2π×0×LでゼロΩです。結局、ゼロΩとRが並列になっているのと同じですから、回路のインピーダンスはゼロとなり、電流はたくさん流れます。

周波数を無限大まで上げた場合は、コイルのリアクタンスが無限大になるものの今度はコンデンサのリアクタンスがゼロとなり、結局ゼロΩとRの並列ですから、回路全体のインピーダンスはゼロΩです。

上記のような極端な例ではなくとも、共振周波数からずれた周波数においては、コンデンサのリアクタンス>コイルのリアクタンスもしくはコンデンサのリアクタンス<コイルのリアクタンスという状態になり、LC並列のリアクタンスの差し引き分は共振状態の無限大のリアクタンスよりも必ず小さくなり、その小さくなったある値のリアクタンスと抵抗Rの合成インピーダンスは、当然共振状態よりも小さくなり、回路に流れる電流は増加することが分かります。

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