平成29年度電験3種問題解説・電力問7

【解答】(3)

Y-Y結線は、一次側・二次側共に電圧中性点が物理的に存在するため、その点を接地することで1線地絡時の異常電圧を抑制でき、またその接地線に流れる電流を監視することで確実に保護リレーを動作させられるなどの利点があります。

しかし、現実的に発生する第三調波が還流する経路が無いため、通信線路に対する電磁誘導を起こしやすいという欠点があります。これを解消するため、三次巻線としてΔ結線の巻線を設けることで第三調波を還流させて消滅させる手法が採られています。

平成29年度電験3種問題解説・電力問6

【解答】(2)

自励式交直変換装置とは、外部からの発振信号などを利用せず回路内部で発振を起こして半導体を制御し、電力変換を行うものです。他励式とは、外部からの周波数信号(クロック)を利用して半導体を制御して電力変換を行うものです。これらの差は、外部クロックを必要とするか否かというものですから、他励式だからといってフィルタや調相設備が不要ということにはなりません。

平成29年度電験3種問題解説・電力問5

【解答】(3)

地熱発電は、地下から取り出した蒸気を利用して発電を行うものです。したがって、当然ながら火山地域に適した発電方式です。

バイオマス発電は、植物や動物由来の有機物(=炭素が含まれている=燃焼できる)を燃焼させた熱を利用して発電する方式です。バイオマス発電の燃料として、木くずや廃材などから得られる固形化燃料や、家畜の糞を発酵させた際に得られるメタンガスを利用する方法が実用化されています。

平成29年度電験3種問題解説・電力問4

【解答】(5)

核分裂によって取り出せるエネルギは、欠損した質量をm[kg]としてE=mc2で求められます。また、m[kg]の物体をh[m]の高さまで持ち上げるときの位置エネルギはmghですから、

  • 原子力発電所の発電エネルギ:(M/1000)×09×0.01×9×1016×0.3
  • 揚水発電所の揚水に必要なエネルギ:(90000×1000×8×240)/0.84

となり、これをイコールで結んでMについて解くと答えが求まります。

  • M=(90000×1000×8×240×1000)÷(0.84×0.09×0.01×9×1016×0.3)≒10.37

以上より、約10.4gとなります。

平成29年度電験3種問題解説・電力問3

【解答】(5)

窒素酸化物は、燃焼温度が高くなるほど発生しやすくなります。そこで、排ガスの一部を循環・混合することで燃焼用空気中の酸素濃度を下げることで燃焼温度を下げ、窒素酸化物の生成を抑制することが行われています。

平成29年度電験3種問題解説・電力問2

【解答】(5)

キャビテーションは、流水管内部の流速不均衡などのために管内の一部で圧力が低下し、水の飽和水蒸気圧以下になるとその部分で水が沸騰し気泡を生じる現象です。この気泡は圧力の高い部分で押し潰され、その際に発生する衝撃波で各部が機械的ダメージを受ける可能性があります。

キャビテーションの発生を防ぐためには、管内流速が速くなり過ぎないようにすることが求められますから、吸い込み圧力を作り出す吸出管の高さは高くなり過ぎないようにする必要があります。

平成29年度電験3種問題解説・電力問1

【解答】(4)

アースダムは、もっとも古くから作られてきたダムで、土壌を台形に盛り上げて水をせき止める形式のものです。比較的小型のダムに適していて、一例としては灌漑用の池を造るために広く採用されています。この形式は地盤に土を盛り上げて作るため、基礎深くに杭を打ち込むわけではなく、基礎の地質が強固である必要はありません。

平成29年度電験3種問題解説・理論問18

【解答】(4)(2)

(a)

これは演算増幅器を利用した基本的な非反転増幅回路ですから、基本中の基本と言えるでしょう。

例えば入力電圧viに1Vの電圧を加えたとすると、回路が正常に動作している限り演算増幅器の-入力端子の電圧も1Vになります。抵抗Rの両端に1Vの電圧を発生させるための電流は、オペアンプの出力端子→αR→R→接地と流れますから、出力端子の電圧voを3Vにするαの値は2となります。

(b)

出力端子から非反転入力端子に対してRC回路が入っているので、出力端子の波形位相と入力端子の波形位相が同じになる条件を求めれば発振条件になります。

ここで5kΩの抵抗をR、0.1μFのコンデンサのリアクタンスをXとすると、

ですから、この式を展開すると、

となります。この最後の式は、分母は有理化してあるので実数ですから、分子の虚数分

  • jRX(R2-X2)

がゼロとなれば、出力端子の波形位相と入力端子の波形位相が同じになります。つまり、

  • R2=X2

が発振条件です。ここにX=1/ωCを代入すると、

  • ω2C2R2=1
  • ∴ω=1/CR

ですから、C=0.1μFとR=5000Ωを代入すると、ω=2000が求まります。

発振周波数fに対してω=2πfですから、

  • f=2000/2π≒318

となり、約0.3kHzと求まります。

平成29年度電験3種問題解説・理論問17

【解答】(2)(2)

(a)

この回路に流れる磁束Φを磁路の断面積で割ったものが磁束密度Bで、磁束密度と磁界の強さHの間には、透磁率をμとして

  • B=μH

の関係があります。

題意より、鉄心と空隙の断面積はどれも一定なので、H=B/μより、ある部分での磁界の強さは透磁率μに反比例することが求まります。ここで、空隙における磁界の強さをH0とすると、

  • 比透磁率2000の鉄心1では、磁界の強さはH0の1/2000
  • 比透磁率1000の鉄心2では、磁界の強さはH0の1/1000

ですから、正解のグラフは(2)と分かります。

(b)

磁気回路において、透磁率μは電気回路における導電率と対応します。ここでは真空中(≒空気中)の透磁率μ0に対する比透磁率で定義されているので、この磁気回路は、磁気回路の断面積をSとして

  • 鉄心1…抵抗率1/2000μ0Sで長さ200mm
  • δ…抵抗率1/μ0Sで長さ1mm
  • 鉄心2…抵抗率1/1000μ0Sで長さ98mm
  • δ…抵抗率1/μ0Sで長さ1mm

の周回回路と見なすことができます。これらの合成磁気抵抗を求めると、

  • (0.2/2000μ0S)+ (0.001/μ0S)+ (0.098/1000μ0S)+ (0.001/μ0S)= 0.002198/μ0S

となります。

電気回路の電源電圧Vに対応する起磁力Fは、コイルの巻数をN、電流をIとして

  • F=NI

で表されます。また、磁気回路に流れる磁束Φと磁気抵抗Rを用いると、

  • F=NI=ΦR

ですから、題意よりNI=ΦRを用いて

  • Φ=NI/R=N×1/(0.002198/μ0S)= μ0SN/0.002198

と書き表せます。磁束密度は、磁束Φを断面積Sで割ったものですから、

  • B=Φ/S=μ0N/0.002198

と求まります。ここでH=B/μの関係から、

  • H=(μ0N/0.002198)/ μ0= N/0.002198

であり、題意よりH=2×104を代入して、

  • 2×104= N/0.002198

から、N=43.96が求まります。

平成29年度電験3種問題解説・理論問16

【解答】(3)(4)

(a)

三相交流の相電圧は200/√3Vで、一相当たりの負荷はRとLの直列ですから、合成インピーダンスは

  • √{52+(2π×50×0.005)2}=√(27.47)≒5.24[Ω]

従って、一相当たりの皮相電力は

  • (200/√3)2/5.24≒2544[var]

力率は、

  • 5/5.24≒0.95

三相分の有効電力は、

  • 2544×3×0.95≒7250[W]

と求まります。なお、計算誤差が積み重なった結果、選択肢の値と少々ずれましたが、電卓を用いて極力四捨五入を行わずに計算すると選択肢と同じ値が得られます。

(b)

まず負荷一相分について考えます。RとLの直列インピーダンスZは

  • Z=R+jωL

ですから、この逆数のアドミタンスYを求めると、

  • Y=1/(R+jωL)

です。これと並列になるコンデンサを投入し、アドミタンスの虚数分をゼロにするためには、

  • 1/(R+jωL)+jωC

の虚数分がゼロとなればいいので、分母を有理化して

  • 1/(R+jωL)+jωC={R−jωL+(R22L2)C}/(R22L2)

となることから、分子の虚数項がゼロとなるためには、

  • R2ωC+ω3L2C−ωL=0

となればよいので、これをCについて解くと、

  • C=L/(R22L2)

です。但し、これは一相分についてのY結線に対しての静電容量ですから、これをY-Δ変換することにより、

  • C=L/3(R22L2)

が導出されることになります。

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