「国家試験過去問解説」カテゴリーアーカイブ

電験3種過去問解説 平成25年理論問8

回路の右側の20Ω-10Ω-20Ω-10Ω・50Ωの部分には電流が流れず、これを切り離せることに気付くかどうかです。

理論的に言えば、これはキルヒホッフの法則です。すなわち、閉回路をぐるっと一周したときの電圧と電流は辻褄が合うというものです。ここで左上の20Ωの左側端子から、その下の50Ω、真ん中下の10Ωに至る線から右側のループには、電源が1つもありません。したがって、この部分には電流が流れないわけです。

これに気付くと、回路は5Vの電池のプラスー5Ωー(10Ωと40Ωの並列)-5Vの電池のマイナスに至る部分だけを考えればいいので、10Ωと40Ωの並列は8Ωですから、5V÷13Ωで約0.4Aが答えとなります。

電験3種過去問解説 平成26年電力問16

(a)

公称電圧の相電圧は、66kV÷√3≒38kVです。この電圧を掛けたときに、3線一括で115A流れたということは、コンデンサCひとつ当たりに流れる電流は115÷3≒38Aです。

アドミタンスは電流÷電圧ですから、38÷38000=1[mS]となり、答えは(2)です。

(b)

B点のa相と接地との2点間にテブナンの定理を用いて考えます。テブナンの定理は、

2点を開放したときに発生している電圧と、2点を短絡したときに流れる電流から、回路を1つの電圧源と1本の直列抵抗 (交流の場合は直列インピーダンス)に置き換えられる

というものでした。これをもう一歩進めると、直列抵抗(インピーダンス)の値は、

回路内の電圧源は短絡、電流源は開放した状態で、その2端子から回路側を見たときの抵抗(インピーダンス)値

に等しいことが求まります。よく参考書類でテブナンの定理を紹介するときは、この定義をもって内部抵抗(インピーダンス)を求めるという説明が多いように思います。

 

さて、問題の回路で、B点のa相と接地の間に発生する開放電圧は相電圧の38kVです。そして、a相と接地から回路側を見たものは、変圧器の巻線(電圧源)を短絡して考えると、3個のコンデンサCとLが並列に接続されている回路と見なせることが分かります。

地絡電流が零ということは、この3個のコンデンサCとLが並列に接続されている回路のリアクタンスが無限大となれば良いので、3CとLが並列共振すれば良いことになります。共振条件は、コンデンサのリアクタンス=コイルのリアクタンスですから、「38kVを掛けたとき115A流れるリアクタンス値」、つまり38000÷115≒330Ωと求まります(四捨五入をせずに計算すれば、きちんと333になります)。答えは(3)です。

電験3種過去問解説 平成26年電力問15

(a)

流量は、A点での鉄管断面積×流速で求まります。したがって、

  • π×0.6^2×5.3≒6

答えは(4)です。

(b)

与えられた式に入れて計算するだけです。

  • H=0+3000×1000/(1000×9.8)+5.3^2/(2×9.8)≒307[m]

つまり、この水車に与えられるエネルギは、「307mの高さから毎秒6㎥の水が落下するときに失われる位置エネルギ」ですから、位置エネルギmghより、

  • 6×9.8×307×0.885≒15980[kW]

答えは(4)です。

電験3種過去問解説 平成24年電力問13

この問題は、電線の弛みの式

  • L=S+8D^2/3S

を知っているかどうかです。

まず30℃のときの電線の長さLを求めます。題意より、

  • L=100+32/300≒100.107[m]

です。60℃のときの電線の長さは、

  • 100.107×(1+30×1.5×10^-5)≒100.152[m]

となるので、これを元の式に戻して、

  • 100.152=100+8D^2/300

より、Dを求めると約2.39となります。答えは(3)です。

電験3種過去問解説 平成28年電力問9

平成26年問7と基本的には同じ問題です。

まず、題意より送電線路の抵抗は0.91Ω、リアクタンスは1.775Ωです。力率cosθ=0.85で、sinθは√(1-0.85^2)≒0.53、電圧降下は200Vです。

以上より、

  • √3I(0.91×0.85+1.775×0.53)=200

を解くと、I≒67Aと求まります。したがって、

  • 「線間電圧22000V、線電流67A、力率0.85の負荷電力」

を求めればよいので、これを計算すると約2170kWとなり、答えは(3)と求まります。

(電卓を使って途中の四捨五入をせず計算すれば、2189に近い値になります)

電験3種過去問解説 平成21年電力問12

答えは(3)です。

三相4線式と言われてもピンと来ないかもしれませんが、回路図を見れば分かります。これは、単相変圧器2台をV結線した巻線から三相3線を取り出し、V結線の一方の変圧器の中点を接地し、その接地を中点として単相3線を取り出すものです。したがって、V結線の片方の変圧器は純粋に三相3線負荷のみを受け持ち、もう一方は三相3線の負荷プラス単相3線式の負荷を受け持つことになります。したがって、同一容量ではなく異なった容量になるのが一般的です。

電験3種過去問解説 平成22年電力問6

このような問題でコンデンサの容量を求める公式もありますが、別に公式を暗記しなくても、皮相電力・有効電力・無効電力について理解していれば求まる問題です。ポイントは、負荷の有効電力は変化しないという点です。

まず、コンデンサ挿入前の皮相電力・有効電力・無効電力を求めます。有効電力はもちろん50kW。皮相電力は、50÷0.7≒71.4kV・A。無効電力は、71.4×√(1-0.7^2)≒51.0kvarです。

一方、力率が遅れ0.8のときの皮相電力・有効電力・無効電力を求めると、有効電力は50kW、皮相電力は50÷0.8=62.5kV・A。無効電力は、62.5×√(1-0.8^2)=37.5kvar。

したがって、51.0-37.5=13.5kvarがコンデンサが打ち消した無効電力となります。

電験3種過去問解説 平成25年電力問9

高校物理の力学の問題です。

「力」とは何かというと、運動方程式a=F/mから求まるように、力は物体を加速させる働きがあります。そして、その加速度の大きさは力の大きさに比例し、力が及ぶ物体の質量に反比例します。

これはちょうど、荷物を載せていない自転車と荷物を満載した自転車をこぐとき、荷物を載せていない方がすぐに加速する(=質量mが小さい)ことからも体感できます。また、同じ自転車であれば、力が強い人がこいだ方が(=力Fが大きい)鋭く加速することからも分かります。

ある物体に複数の力が働くときは、その力のベクトル和が正味の働く力になります。この典型例が綱引きで、綱の右側から引く力と左側から引く力が釣り合っていれば、綱は右にも左にも動きません。

さて、この問題について考えると、まず架線の張力Tだけが働いていて支線が無い場合、電柱は左側に加速度を持って倒れてしまいます。これを防ぐためには、架線の張力Tと同じ大きさ・真逆の向きに力を与えれば良いわけです。水平からの支線の角度をθとすると、支線が引っ張る力のcosθがTとなれば良いわけです。

この問題では、さらに追支線があるため、一見計算がすごく面倒な気がします。しかし、架線の張力Tと釣り合うように図の水平右方向の力を支線・追支線で受け持てば良く、その力は釣り合っている(=架線・支線・追支線・支持物・支線柱の全てに加速度が生じていない)訳ですから、求めるべきものは、水平からの追支線の角度をθ’としたとき、T2cosθ’の大きさがTとなれば良いわけです。従って、

  • T2=T/cosθ’

であり、cosθ’は「追支線の長さ分のl2の長さ」ですから、

  • T2=T/cosθ’=T×追支線の長さ/l2=T√(h2^2+l2^2)/l2

より、答えは(1)です。

電験3種過去問解説 平成26年電力問7

線路の電圧降下の式、√3I(rcosθ+xsinθ)を知っているかどうかを問う問題です。

題意より、線路の抵抗は0.9Ω、リアクタンスは0.5Ωであることはすぐに求まります。また、cosθ =0.85からsinθを求めると、sinθ=√(1-0.85^2)≒0.53です。端子電圧6600Vに対して電圧降下率5%ということは、電圧値は6600×0.05=330Vです。

以上より、

  • √3I(0.9×0.85+0.5×0.53)≦330

を計算すると、I≦185が求まります。ここまで求まれば、「端子電圧6600V、線電流185A、力率85%の負荷の電力」を求めるだけですから、

  • √3×6600×185×0.85≒1798[kW]

となり、答えは(2)となります。

電験3種過去問解説 平成26年電力問6

冷静に考えれば、全然難しくない問題です。

25MV・Aの変圧器が3バンクということは、定格容量75MV・Aです。このうち1バンクが故障した場合、50MV・Aの容量となります。

50MV・Aの容量を125%まで過負荷運転したときの容量は、50×1.25=62.5MV・Aです。この容量は、「他の変電所に故障発生前の負荷の10%を振り替え」た後の容量ですから、振り替える前の容量は62.5÷0.9≒69.4MV・Aです。この値に力率95%を掛けると、約65.9MWが求まります。答えは(3)です。