「2013年電力」カテゴリーアーカイブ

電験3種過去問解説 平成25年電力問9

高校物理の力学の問題です。

「力」とは何かというと、運動方程式a=F/mから求まるように、力は物体を加速させる働きがあります。そして、その加速度の大きさは力の大きさに比例し、力が及ぶ物体の質量に反比例します。

これはちょうど、荷物を載せていない自転車と荷物を満載した自転車をこぐとき、荷物を載せていない方がすぐに加速する(=質量mが小さい)ことからも体感できます。また、同じ自転車であれば、力が強い人がこいだ方が(=力Fが大きい)鋭く加速することからも分かります。

ある物体に複数の力が働くときは、その力のベクトル和が正味の働く力になります。この典型例が綱引きで、綱の右側から引く力と左側から引く力が釣り合っていれば、綱は右にも左にも動きません。

さて、この問題について考えると、まず架線の張力Tだけが働いていて支線が無い場合、電柱は左側に加速度を持って倒れてしまいます。これを防ぐためには、架線の張力Tと同じ大きさ・真逆の向きに力を与えれば良いわけです。水平からの支線の角度をθとすると、支線が引っ張る力のcosθがTとなれば良いわけです。

この問題では、さらに追支線があるため、一見計算がすごく面倒な気がします。しかし、架線の張力Tと釣り合うように図の水平右方向の力を支線・追支線で受け持てば良く、その力は釣り合っている(=架線・支線・追支線・支持物・支線柱の全てに加速度が生じていない)訳ですから、求めるべきものは、水平からの追支線の角度をθ’としたとき、T2cosθ’の大きさがTとなれば良いわけです。従って、

  • T2=T/cosθ’

であり、cosθ’は「追支線の長さ分のl2の長さ」ですから、

  • T2=T/cosθ’=T×追支線の長さ/l2=T√(h2^2+l2^2)/l2

より、答えは(1)です。

電験3種過去問解説 平成25年電力問2

コンバインドサイクル発電所というのは、燃料を燃焼させた高温高圧のガスでタービンを回して発電し、その排熱で蒸気タービンを駆動して発電することで総合的な効率を上げる方式です。

従って、このシステムに入力されるエネルギを1、求める効率をηとすると、ガスタービンでの発電量はηでその排熱のエネルギは(1-η)です。題意より、

η+(1-η)×0.2=0.48

ですから、

η-0.2η+0.2=0.48→0.8η=0.28

これを解いて、η=0.35が求まります。

電験3種過去問解説 平成25年電力問1

知識問題は、知っていれば即座に解けるし知らなければ解けないという問題です。電力では比較的知識問題の比率が高く、知っていれば確実に得点源にできるので是非覚えておいて頂きたいものです。

発電用水車は、水車の周りが全て水で満たされていて、その水が移動することによる圧力で回転する反動水車と、空中でノズルから発射された水がぶつかることで衝撃力を受けて回転する衝動水車に大別されます。衝動水車の代表例がペルトン水車です。反動水車の代表的なものは、プロペラ水車やカプラン水車、フランシス水車などです。流水が軸方向に通過するのはプロペラ水車で、詳しくは「プロペラ水車」「フランシス水車」「ペルトン水車」などの語句でネット検索して構造図を見ておくとよいでしょう。

主に小出力発電用として小水量・低落差で使用する水車の代表的なものはクロスフロー水車です。これもネット検索で図や写真を見ておくとよいでしょう。答えは(4)です。