電力 H25-16(b)
題記の問題ですが、解説の方を、詳しくお願い致します。以上、宜しくお願い致します。
まず、この負荷の有効電力が40MW、力率が0.87ということから、電源から供給される皮相電力と無効電力を求めます。
皮相電力をS、有効電力をP、無効電力をQとすると、
ですから、S=P/cosθ=46MV・Aと求まります。cos^2θ+sin^2θ=1より、sinθ=0.49ですから、
で、(a)の答えは(3)と求まります。
さて、電圧降下の計算ですが、良く用いられる簡易式である
を用います。題意より、抵抗成分は無視できる(r=0)ので、電圧降下の値は
で求まります。
この回路において、r=0であることから、電圧変動率は力率1.0の場合の受電端電圧と力率0.87の場合の受電端電圧の差から求めることができます。
したがって、受電端電圧をVとすると、
となります。
ここで、具体的な線路の電流Iは示されていませんが、三相無効電力Qが√3VIsinθで求まることから、
- ε=v/V=(√3I・xsinθ)/V=(√3VI・xsinθ)/V^2=xQ/V^2
となります。電圧変動率ε=0.02を代入して移項すると、
が求まります。
この式中のxは、線路の実リアクタンス値ですが、問題で実リアクタンス値は提示されず、「基準容量10MV・Aで百分率インピーダンスが6.0%」であることしか示されていません。したがって、これらより実インピーダンス(問題文の条件より、抵抗分はゼロなので実リアクタンス分)を求めて代入すればいいわけです。
- 「基準容量10MV・Aで百分率インピーダンスが6.0%、線路の実電圧が66kV」
というのは、
- 「66000Vの電圧の下で10MV・Aの電力を消費する負荷のインピーダンス値に対して、6.0%の値」
であることを意味しますから、電力はV^2/Rで求められることを利用して、負荷のインピーダンスをZ、負荷の皮相電力をSとすると
となり、これより負荷の実インピーダンスZは、オーム値の単位として
と求められます。したがって、出題の送電線路の実リアクタンスxは、オーム値の単位として
と求まります。
このxをQ=0.02V^2/xの式に代入すると、
- Q=0.02V^2/(0.06・V^2/(10×10^6))=(0.02×10×10^6)/0.06=3.33×10^6
となり、正解は(3)の3.3MVarと求まります。
ポイントは、百分率インピーダンスの条件から実インピーダンス値(Ω単位)を求め、それを電圧変動の式に代入する点かと思います。