「国家試験過去問解説」カテゴリーアーカイブ

電験3種過去問解説 2019年理論問2

CファラドのコンデンサにQクーロンの電荷が貯まっているとき、極板間電圧は

V=Q/C

で求まります。また、極板面積S、極板間距離d、誘電率εのコンデンサの静電容量は、

C=εS/d

で求まります。

ここで回路を見ると、左の3直列のコンデンサは、極板の形状と大きさは全て同一であることから、静電容量の比は上から順に

3/2:3/3:3/5

となります。一方、V=Q/Cの式より、直列コンデンサ(=流れた電荷量は全て同じ)の極板間電圧は静電容量Cの逆数の比になることが分かりますから、左の3直列のコンデンサの電圧比は、上から順に

2/3:3/3:5/3

となります。ここで電圧比を整数に直すと、分母が全て3なので

2:3:5

と分かります。これらの合計が10kVですから、コンデンサの極板間電圧は上から順に

2kV:3kV:5kV

です。

電界の強さは、二点間の電圧差をその距離で割った値なので、EAの大きさは、

2kV÷2mm=1kV/mm

となり、この時点で正解は(3)しかありません。

EBの求め方も同じです。真ん中の2直列のコンデンサの静電容量比は、

2/4:2/6

ですから、電圧はこの逆比の

4/2:6/2=4:6

です。したがって真ん中上側コンデンサの極板間電圧は4kVです。

これより、EBの値は

4kV÷4mm=1kV/mm

となります。

 

電験3種過去問解説 2019年理論問1

電位を計算する問題です。

点電荷Q[C]があるとき、そこから距離r離れた点における電位の絶対値は、誘電率をεとして

Q/4πrε

で求められます。これは、1Cの単位電荷に発生するクーロン力とその単位電荷を無限遠(r=∞)から距離rの点まで持ってくる仕事(クーロン力×距離)で定義されますが、この計算には積分が必要なため、電験3種の場合は単に式を覚えておけばOKです。

これに則って各々の電位差を求めていきます。(差を比べやすいよう、分母を6にして通分した値にしました)

(a)VAB=(Q/4πr)・|1/2-1/3|=(Q/4πr)・1/6

(b)VAB=(Q/4πr)・|1/1-1/3|=(Q/4πr)・4/6

(c)VAB=(Q/4πr)・|1/0.5-1/1.5|=(Q/4πr)・8/6

(d)VAB=(Q/4πr)・|1/1-1/1.5|=(Q/4πr)・2/6

以上より、電位差が最小のものは(a)、最大のものは(c)と求まります。正解は(2)です。

電験3種過去問解説 2018年機械問15

(a)

変圧器は、電圧が巻数比、電流は巻数の逆数の比、そして抵抗・リアクタンス・インピーダンスは巻数比の2乗で変換します。(理論の基礎です)

したがって、まずは二次側の抵抗・リアクタンスを一次側に変換します。6600V:200Vということは33:1ですから、二次側の値を33^2して、

  • 抵抗値:0.6+0.0005*33^2=1.1445Ω
  • リアクタンス値:3+0.003*33^2=6.267Ω

この2値の二乗の√を取ると約6.3706…となるので、答えは(4)です。

(b)

前問で一次側に変換した直列インピーダンスを使い、「二次側200V、200kVA、力率遅れ0.8」を「二次側6600V、200kVA、力率遅れ0.8」として計算すれば求まります。

6600Vで200kVAの負荷に流れる電流は30.3Aです。

したがって、V=I(rcosθ+xsinθ)の式より、

V=30.3×(1.1445×0.8+6.267×0.6)≒141.67…

従って、一次電圧は6600+141.67≒6740Vとなり、答えは(3)となります。

電験3種過去問解説 平成30年機械問14

出題文にヒントが書いてあるので簡単です。左側の一段目と右側の二段目では、左側がXOR、右側がXNORです。慣れれば真理値表を書かなくても見ただけで分かりますが、そうでなくても右側の部分に(1,1)を入力してみると、上側のANDの出力は1、その出力をORに入れたのが出力ZですからこれはXNORと分かります。

したがって、出力が1となる条件は、

  • (A,B)が(0,0)か(1,1)の場合…XORの出力が0なので、C=0でZ=1
  • (A,B)が(0,1)か(1,0)の場合…XORの出力が1なので、でZ=1

と求まります。これに合致するのは(1)です。

電験3種過去問解説 平成30年機械問13

「どこかを1と置き、そこから辻褄を合わせる」ことで答えが求まります。ここでは、T1/T2と1/(jωT2)の入力部分を1とします。これを基にして各部の値を求めると、入力は1+1/(jωT2)、出力はT1/T2+1/(jωT2)となります。これよりC/Rを求めると、(1+jωT1)/(1+jωT2)と求まり、答えは(4)です。

電験3種過去問解説 平成30年機械問12

リチウムイオン電池の正極はリチウムを含む金属酸化物、負極に黒鉛を用います。電解液は有機電解液で、この中をイオンが移動することで電池として振る舞います。放電時、リチウムイオン(プラスイオン)が負極から正極に移動し、正極で外部回路を流れてきた電子と結合します。セル当たりの電圧は3.7~3.8V程度です。したがって、答えは(1)です。

 

電験3種過去問解説 平成30年機械問11

直流電源からスイッチングによって交流を作り出す装置はインバータと言います。

電力変換器のスイッチングデバイスは、当然ながらオン・オフ制御を行います。オン制御だけしか出来なければ電源が短絡されてしまいます。

バルブデバイスには、逆向きにダイオードを接続し、交流負荷のリアクタンス分に起因する逆電圧を還流させます。

交流電圧を変化させるためには、直流電圧源の電圧を変えることで交流側の波高値を変化させるか、あるいはスイッチングパルス幅を変化させるかという手段があります。この制御はPWM(Pulse Width Modulation)と呼びます。

以上より、答えは(5)です。

電験3種過去問解説 平成30年機械問10

毎分300㎥、全揚程10mということは、一秒あたりに必要なエネルギは位置エネルギmghより、

  • (300÷60)×1000×9.8×10=490[kJ/s]=490[kW]

ポンプ効率が80%という事から、必要な電力は、

  • 490÷0.8=612.5[kW]

従って、6台では若干不足し、7台必要となります。正解は(4)です。

電験3種過去問解説 平成30年機械問9

単巻変圧器は、(一次電圧と二次電圧の差)×(二次電流)の電力を供給します。

消費電力200kW、二次電圧6600V、力率0.8という条件から、二次電流は

  • (200000÷0.8)÷6600≒37.9[A]

と求まります。また、一次電圧と二次電圧の差は600Vですから、自己容量は、

  • 600×37.9≒22740[V・A]=22.7[kV・A]

となり、答えは(1)です。メチャクチャ簡単なラッキー問題です。

電験3種過去問解説 平成30年機械問8

a

誘導電動機は、固定巻線による回転磁界の中に、無給電で両端を低抵抗で短絡した回転コイルを配置したものです。回転コイルは、外部から与えられた回転磁界によって電圧が誘起され、電流が流れます。これは変圧器の一次巻線と二次巻線の関係と同じです。二次側の負荷抵抗値が滑りsによって見かけ上変化するのは誘導電動機ですから、(ア)は誘導電動機、(イ)は変圧器です。

b・c

電動機は回転コイルと固定コイルの間に発生する電磁力を取り出す装置ですが、これらをどちらも外部から制御できるのは直流電動機や同期電動機です。(誘導電動機は回転コイルに誘起される電圧を制御しにくい)

ここで、(エ)の出力に負荷角が関与するという記述より、(エ)は同期電動機、(ウ)は直流電動機と決定できます。以上より、答えは(3)です。