「国家試験過去問解説」カテゴリーアーカイブ

平成29年度電験3種問題解説・機械問8

【解答】(4)

変圧器が最大効率となる運転条件は、鉄損=銅損のときですから、銅損が250Wとなる条件を求めれば良いことになります。

鉄損は基本的に負荷に関係なく一定の値で、銅損は巻線抵抗のジュール損ですからP=I2Rより負荷電流の2乗に比例します。定格運転時に銅損が1000Wということは、定格の半分の出力(負荷電流が半分)にすれば銅損は1/4の250Wになります。したがって、

  • 出力電力25kW時に入力電力が25kW+250W+250Wであり、その時の運転効率

を求めれば良いことになりますから、効率は

  • 25000÷25500≒0.98

と求まります。

平成29年度電験3種問題解説・機械問7

【解答】(1)

各変圧器の結線を見ると、

  • 図1はΔ―Y
  • 図2はΔ―Δ
  • 図3はY-Δ
  • 図4はV-V

結線になっていることが読み取れます。これより、図2と図4は位相差ゼロです。

図1のΔ-Y結線は二次側が進み30°、図3のY-Δ結線は二次側が遅れ30°となりますから、答えは(1)と求まります。なお、Y-ΔとΔ-Yのどちらが進み、どちらが遅れとなるかは、暗記しなくても作図によって簡単に求めることができます。

 

(2018年2月4日追記:当初の図に誤りがありましたので訂正いたしました。誠に申し訳ありませんでした)

平成29年度電験3種問題解説・機械問6

【解答】(3)

誘導機は、固定磁極が作る回転磁界中に、二次巻線として両端が低抵抗で終端された回転巻線を入れた構造です。回転巻線に流れる負荷電流は変圧器と同じ原理で誘起されますから、誘導機と変圧器はほぼ同じ等価回路で表せます。これをもって答えは(3)に決定されます。

直流機は、回転巻線に誘起される逆起電力によって回転子に流れる電流が変化するため、出力であるトルクは回転速度に依存します。誘導機は、固定巻線による外部回転磁界と回転巻線の速度差によって二次巻線(回転巻線)に誘起される電圧が変化しますから、やはりトルクは回転速度によって変化します。

直流機と同期機は、界磁磁束と電気子反作用磁束による誘導起電力が発生します。

平成29年度電験3種問題解説・機械問5

【解答】(3)

定格出力10MV・A、定格電圧6.6kVという条件から、定格電流を求めます。三相皮相電力Sは

  • S=√3VI

で求められますから、

  • I=S/√3V

より、

  • I=10000/(6.6√3)≒875[A]

と求まります。

1相分を取り出して考えると、負荷両端の電圧は

  • 6600÷√3=3811V

となり、この負荷に定格電流875Aが流れる時の負荷の値は

  • 3811÷875=4.36Ω

です。百分率同期インピーダンス80%ということは、この値の80%、すなわち

  • 4.36×0.8=3.49Ω

のリアクタンスが同期リアクタンス(同期インピーダンス)となります。したがって、三相短絡電流700Aのとき、発電機が発生している正味の電圧の値は、

  • 700×3.49=2443V

であることが求まります。

端子を解放したときに現れる電圧は、発電機の正味の発電電圧です。これが3811Vになるための界磁電流を求めるわけですから、

  • 50×(3811/2443)=78A

と求まります。(ここでは小数点以下を端折りましたが、電卓を使って省略せずに計算するとほぼ78.1Aになります)

平成29年度電験3種問題解説・機械問4

【解答】(4)

同期発電機(同期電動機)は、励磁電流によって発電電圧の大きさのほか電機子電流の力率(位相)などの特性を変えることができます。したがって、「励磁電流の大きさを変えずに励磁電圧の大きさを調整」が誤りで、「励磁電流の大きさを調整する」が正しい記述です。

平成29年度電験3種問題解説・機械問3

【解答】(1)

誘導電動機は、回転磁界を作り出す固定巻線の中に、両端を低抵抗で短絡された回転巻線を置いた構造です。これは変圧器と同じ原理で、二次入力(変圧器の二次巻線とみなせる回転巻線)に与えられる入力は同期ワットと呼ばれます。

二次入力に対して、機械出力と二次銅損の比は(1-s):sです。滑りsが負の値である場合は、外部の機械入力から電力を取り出す発電機として動作していることになります。

平成29年度電験3種問題解説・機械問2

【解答】(2)

電動機は、フレミングの左手の法則にしたがって電流から力を生み出しますが、同時にフレミングの右手の法則も成立しています。電動機として使用する場合、右手の法則にしたがって発生する電圧よりも大きな電源電圧を掛けることで外部から電流を流し込み、発電機として使用する場合は右手の法則にしたがって発生する電圧を外部に取り出しています。

したがって、電動機・発電機ともに、界磁の磁束が逆になるか、回転子の回転方向が逆にならなければ誘導起電力の方向は逆になりません。

平成29年度電験3種問題解説・機械問1

【解答】(4)

静止状態において、回転子の逆起電力はゼロですから、このときの電流は電源電圧を回路の直列抵抗で割った値になります。すなわち、

  • 12÷4=3Ω

と求まります。

定格運転時の回路電流は1Aということから、このときの電動機の入力電力は

  • 12V×1A=12W

であり、回路の直列抵抗の電圧降下は

  • 3Ω×1A=3V

ですから、回転子の逆起電力は9Vです。したがって、回転子で消費される電力は

  • 9V×1A=9W

と求まります。以上のことより、効率は

  • 9/12=0.75

と求まります。

平成29年度電験3種問題解説・電力問17

【解答】(4)(2)

(a)

皮相電力S、有効電力P、無効電力Qの間には、力率角をθとして、

  • P=Scosθ
  • Q=Ssinθ

の関係があります。したがって、

  • 6000kWの負荷の皮相電力…6000×(1/0.9)
  • 3000kWの負荷の皮相電力…3000×(1/0.95)

で求まります。また、

  • cos2θ+sin2θ=1

であることから、各負荷の皮相電力にsinθを掛ければ無効電力成分が求まりますので、求める無効電力は、

  • 6000×(1/0.9)×√(1-0.92)+ 3000×(1/0.95)×√(1-0.952)≒3892

となり、約3900kvarと求まります。

(b)

電圧変動を求める公式

  • I(rcosθ+xsinθ)

を利用しますが、線路インピーダンス分はリアクタンスのみなのでIXsinθのみで計算できることになります。

ここで、10MV・Aベースに対して、1000kvarの無効電力の影響が0.8%の電圧変動を引き起こすということより、

  • 1000/(10×103)・X=0.008

となればよいので、これよりX=0.08が求まります。

平成29年度電験3種問題解説・電力問16

【解答】(5)(1)

(a)

等価回路を考えれば、すぐに答えが求まります。

3線一括の場合、対地静電容量は3Ceです。2線を接地した場合の対地静電容量は、Ce +2Cmです。このとき、

  • 3 Ce…充電電流90A→Ceひとつに対する充電電流は30A
  • Ce +2 Cm…充電電流45A→2 Cmに対する充電電流は15A→Cmに対する充電電流は7.5A

ということが分かります。充電電流はコンデンサのサセプタンスに比例しますから、これはそのまま静電容量に比例します。したがって、静電容量比は30:7.5となり、Ce / Cmの値は4.0と求まります。

(b)

対地静電容量Ceひとつに流れる充電電流は30Aです。

線間静電容量に掛かる電圧は、定格の三相電圧を加えたことから線間電圧はEとなるため、定格電圧の1/√3で測定した場合の√3倍になります。したがって、2か所の線間静電容量に流れる電流は7.5×√3≒約13Aとなります。

これらのベクトル和を求めるのですが、線間静電容量に流れる電流の位相は、対地静電容量に流れる電流に対して±30°であるため、図のようにベクトル合成することで合成電流を求めることができ、

 

30+13cos30°+13cos30°≒52.5と求まります。