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SAT電験3種講座 機械 質問回答(電験3種 平成28年 機械 問4 過去問解説 誘導電動機の二次入力、滑りと機械出力)

解説の中で、回転速度、同期速度から、滑りを求めています。そこから、下記計算によって、二次入力を求めています。

  • 二次入力×(1-S)=機械出力
  • P×(1-0.045)=20

以上から、二次入力は、20.9W
この部分↓の考え方が分からないです。

  • 二次入力×(1-S)=機械出力

参考書をみると

  • 二次入力:二次銅損:機械出力=1:S:(1-S)

となる、とあります。(覚えるとのこと)

これからすると、確かにそのような式になるのですが、なぜそのようになるのでしょうか?

そのように覚えればいいのですが、納得のいく理解ができていません。テキストを見直しましたが、その理由がいまいちわかりませんでした。解説の方ををお願いいたします。

 

滑りが0のとき、どうして二次回路に誘起される電圧がゼロになるのですか?滑りが1のとき、二次回路に誘起される電圧が最大値になるのはどうしてですか?s=0.1のとき、二次回路に発生する電圧は静止状態のときの0.1倍になるのはどうしてですか?一次側一相に換算した全抵抗分が90Ωになるのはどうしてですか?

それでは、順番に考えていきます。

誘導電動機というのは、三相交流によって作られる回転磁界の中に、両端を低抵抗で短絡された(巻線型誘導電動機の場合は、その抵抗を外部に引き出して特性を調整できます)回転コイルが挿入されているものです。電源が投入されると、回転コイルを横切る磁界が加えられますから、ファラデーの電磁誘導の法則にしたがい、回転コイルである二次側回路にも電圧が誘起されます。

これはちょうど変圧器と全く同じ構造ですが、二次側のコイルが機械的に回転するところが変圧器と異なる部分です。変圧器であれば、一次側に50Hzの電流を流せば二次側も50Hzとなりますが、誘導電動機の場合、もし仮に二次側コイルが、電源周波数によって作られる磁界の回転速度(同期速度)の半分の速さで回転していたとすると、相対的な周波数は25Hzとなり、二次側回路に発生する電圧の周波数は25Hzです。これはちょうど、100km/hで走る車を止まって見れば100km/hですが、60km/hで走る車から見ると相対的に40km/hに見えるのと同じ原理です。

ここで、滑りsを定義します。滑りは、

  • 磁界の同期速度に対して、回転速度の差が同期速度の何割であるか

の値です。s=1なら二次側の回転速度はゼロで、s=0なら、回転速度=同期速度です。例えば、s=0.1であれば、回転速度は同期速度の90%となります。

このとき、二次側に誘起される交流の周波数は、同期速度と回転速度の差になりますから、s=0なら50Hz、s=0.1なら5Hzです。つまり、二次側コイルの回転速度によって、二次側コイルに流れる電流の周波数は50Hz~0Hzまで変化することになります。
以上の事を前提として、誘導電動機の二次側の等価回路を考えます。

二次側回路は、変圧器の二次側巻線に直列抵抗と直列リアクタンスが入ったものですから、下図のように表せます。

s=1、つまり停止時に誘起される電圧をE2、その時のコイルのリアクタンスをxとします。

回転が上がってくるとs値は1~0の間の値になります。ファラデーの電磁誘導則から、コイルに発生する電圧は単位時間あたりに横切る磁束に比例するため、二次側に誘起される周波数だけでなく電圧も低下していきます。

したがって、二次側回路の電圧源をsE2、そしてコイルのリアクタンスも周波数に比例しますからsx、そして抵抗は周波数や電圧・電流に関係なくrとなるため、上図のような回路と見なすことができます。この回路は、

  • 電圧がsE2
  • 負荷がr+sx

なので、二次回路に流れる電流は、図中にも書いたように

  • I=sE2/√(r^2+s^2x^2)

です。電圧・抵抗・リアクタンスを全てsで割っても回路電流は同じはずですから、図で書いたように

  • I=E2/√((r/s)^2+x^2)

と書くこともできます。

次に、この回路に機械的出力を生み出す負荷抵抗に相当する抵抗Rを入れます。先ほどの回路でr/sとした二次回路の抵抗をrに戻し、その代わりR=(r/s)-rと置くことで、図の回路の全体的な電圧・電流・抵抗・リアクタンスを同じにすることができます。

何故r/sをrに戻したかというと、二次回路に流れる電流Iは仮想的な値ではなく実電流であり、その実電流の2乗に、仮想的なr/sではなく実抵抗のrを掛けたもの(P=r×I^2)が実銅損になるからです。

Rは、もちろん実際に回路に挿入される実抵抗ではなく、機械出力となる仮想抵抗です。この仮想抵抗はどこに存在するかというと、一次巻線と二次巻線との相互作用により、二次巻線に誘起される力率1の電圧として現れます。

電気回路・交流回路の基本に立ち返って考えてみると、

  • 電流Iが流れたとき、電圧Vが発生すれば、それは抵抗R=V/I
  • 交流電流Iが流れたとき、それと全く同位相の電圧Vが発生すれば、それは実電力を消費する力率1の抵抗R=V/I

だったはずです。したがって、一次巻線との相互作用により、二次巻線に流れる電流Iと同相で電流を妨げる向きの電圧Vが発生すれば、それは仮想的に抵抗V/Iと同じなのです。この仮想抵抗で消費される電力は、もちろん熱となるのではなく、電動機の機械的出力となります。

この抵抗Rを挿入した回路において、実電流Iが流れたときの電力損失を求めると、全電力はI^2(R+r)、銅損はI^2r、そして機械出力はI^2Rとなり、これらの比は1:s:(1-s)となります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成21年 理論 問16 抵抗のΔ-Y変換)

理論P34例題についてですが、解説のデルタ部分をスターにした図で、なぜR/3Ωになるのかがわかりません。またデルタからスターへの変換の仕方がよくわかりません。よろしくお願い致します。

Δ-Y変換あるいはYーΔ変換というのは、抵抗3本がΔ型に接続されている回路とY型に接続されている回路がある場合、その3端子から内部を見た挙動が全く同じに見えるΔ回路とY回路が存在し、それらを相互に変換することができる、というものです。

一例として、例題の前に描いてあるΔ回路やY回路の図について考えます。

もし、仮に30Ωの抵抗3本がΔ型に接続されている場合、a-b端子(もしくはb-c、a-cのいずれでも良い)を外部から見た場合の抵抗値を考えます。

これは、30Ωの抵抗と、a-c-bという経路で30Ω2本が直列に接続された60Ωの抵抗が並列に接続されているように見えます。したがって、a-b間の抵抗値は、並列の計算式を用いて20Ωと求まります。

つまり、30Ωが3本のΔ型回路は、どの2端子間を見ても20Ωに見えるわけです。

次に、Y型回路を考えます。Δ型回路と同様に端子a-b間の抵抗値を求めると、これは端子a-R-中点ーR-bのように、抵抗2本が直列になっている回路に見えます。ということは、端子a-b間、b-c間、c-a間、いずれも2Rの抵抗値を持ちます。

ここでΔ型回路と対比して考えると、R=10Ωであれば、どの端子間も20Ωに見えることになります。

つまり、10Ωが3本のY型回路は、どの2端子間を見ても20Ωに見えるわけです。

以上のように、Δ回路をY回路にする場合、抵抗値は1/3になることが分かります。これを使って、Δ回路の一素子RをR/3に変換してY型にすることで回路を簡略化し、求めやすくしているのが例題の解き方です。

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(コイルとコンデンサの基本的性質)

e-ラーニング講座の猫でもわかる電気基礎の中の⑧コイルとコンデンサ中で、テキストには載っていないが、講師の方が時間にすると16分あたりから右上に説明している青と赤のペンで書かれた図で、電圧と電流の向きの説明の意味がよくわからないです。なぜそのような向きになるのかを、教えてください。お願いします。ちなみに、私は電気は全くの素人で、中学で習ったのが最後ですので、その程度のレベルでもわかるように出来たらお願いします。もしくは、「後々の講座で詳しく説明してあるから、今は流せばいいよ」というのであれば教えてください。よろしくお願いします。
わからなかったのは、電気基礎の講座の中の8②のコイルとコンデンサの中の16分過ぎの右上に書かれた青と赤の図の事でした。よろしくお願いします

交流回路、とくにコイルやコンデンサについては、電機の勉強を本格的に始めた人が必ず引っかかる大きなハードルです。何故そうなるかというと、

  • 電圧は時間的に変化する。
  • 電流も時間的に変化する。
  • 電圧の波形と電流の波形が、時間的にずれることがある。

というイメージが付きにくいことにあります。

乾電池と豆電球、そしてオームの法則のレベルですと、例えば電圧は1.5Vならいつまでも1.5V、電流は2Aなら2Aとなり、電池がだんだん消耗してきて電圧や電流が減ってくるという例を別にすれば、時間的に変化することを考える必要はありませんでした。しかし、交流では、電圧がゼロの瞬間もあれば+50V、+80Vの瞬間もあり、また別の瞬間では-30Vのように、大きさだけでなくプラスマイナスすら常に変化しています。電流も同様です。

そして、電圧と電流の波形が時間的にずれるというのは、電圧が+10Vなのに電流は-4Aの瞬間があったり、またある瞬間では電圧が+40V、電流が2A、ある瞬間では電圧が0Vで電流が-1A…などのように、電圧と電流のプラスマイナスすらあべこべにになってしまう事もあるということです。

何故そんなことが起こるかというと、コイルが流れてきた電流を磁界(磁石)のエネルギとしていったん蓄え、そしてそれを時間的に遅れて放出したり、コンデンサが流れてきた電流を電界のエネルギとしていったん蓄え、それを時間的に遅れて放出…のような働きをしているからです。このように、時間的な波形のタイミングという話をしたくて図を描いたのだったと思います。

もちろん、そんな面倒な話は置いといて公式だけ覚えればいい、という考えもあると言えばあるんですが、先々応用が利くようになるためには、このような基本をおろそかにできないと思います。また、併せて参考書籍として、古い本ではありますが「学研の図鑑・電気」が手に入ればお勧めします。Amazonなどで探すとプレミアがついて非常に高い値段が付いていますが、たまにブックオフで500円程度で見かけることもあります。

今すぐは良く分からなくても、このコイルやコンデンサの働きについては電験3種の本論の話していますので、適宜読み進めたり書籍やネットの情報なども活用して勉強を進めていただければと思います。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(電験3種 平成22年 法規 問12b D種接地抵抗値の計算)

P.28例題
D種接地抵抗値を求めるのに式の展開が分かりません。どのように求めたらいいのでしょうか。

この問題は、理論の基礎で学んでいるオームの法則、抵抗の並列回路の合成抵抗値、流れる電流の計算が基本となります。
接地抵抗と人体の抵抗が並列となった場合、そこに発生する電圧や人体に流れる電流を求めることになります。
抵抗の並列の計算式が入るため、計算が若干面倒になりますが、ひとつひとつ段階を踏んで計算していただければ良いでしょう。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(電験3種 平成23年 機械 問16 直流電動機のトルクと界磁電流・電気子電流・端子電圧)

機械テキスト9ページの2個目の例題の下から三行目の 「200×2.2×0.5」の0.5と一番下の「220+40×0.4」の0.4は、どこか ら出て来たのでしょうか?

直流電動機の電機子(回転コイル)に発生する逆起電圧は、ファラデーの電磁誘導の法則により、単位時間当たりに回転コイルを貫く磁束の変化量とコイルの巻き数の積に比例します。コイルの巻き数は回転中に変わりませんから、単位時間あたりにコイルを貫く磁束の変化量に注目すれば良いことになります。

単位時間あたりにコイルを貫く磁束の変化量は、コイル自体の回転数と、外部から与えられる固定磁界の大きさに比例します。外部から与える固定磁界は、他励電動機ですから、励磁巻線に流す界磁電流に比例することになります。

問題の条件より、回転数が600rpmから1320rpmになるという事は、回転数が2.2倍です。もし励磁電流が変わらなければ、巻線に発生する逆起電圧は2.2倍になります。しかし、「界磁電流を半分にして」とありますから、逆起電圧はその半分(0.5倍)になります。これが0.5の数字の元です。

以上をまとめると、600rpmで回転している最初の誘導起電力(逆起電圧)が200Vという事なので、1320rpm回転時の逆起電圧は、200×2.2×0.5=220Vという事になります。

トルクは、電動機の回転軸の出力(平たく言えば、力の大きさ)ですから、巻線の巻き数kと、外部から与えられる磁界の大きさφと、回転コイルに流す電流Iの積で求まります。出題文より、外部から与えられる磁界(界磁)の大きさが半分になっているのに、最初と同じトルクを得る(負荷はトルクが一定、という条件から)ためには、巻き数を2倍にするか電機子電流を2倍にする必要があります。当然巻き数は自由に変えられませんから、電機子電流を2倍の40Aにする必要があることが分かります。

電機子抵抗は、電機子巻線と電動機の端子の間に直列に入っている抵抗成分ですから、電機子自体の誘導起電力が220V、電機子抵抗が0.4Ω、電機子電流が40Aとなれば、電動機の端子に与えるべき電圧は、誘導起電力に電機子抵抗の電圧降下分を足した値となり、220+0.4×40で求めることになります。これが0.4の値の理由です。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成25年 理論 問6 直流回路の計算・テブナンの定理)

60v,80v双方の回路で10Ωに流れる電流値の計算の解説が省かれており、自力では理解できません。詳しい解説をお願いします

まず、60Vを残した回路について考えます。

60Vの電池の+極から順番に見ると、まず40Ωが入り、その次に「40Ωと40Ωの並列抵抗」が入るのと同じことになります。

40Ωと40Ωの並列抵抗は20Ωですから、電池から見ると、これは40+20の60Ωの抵抗が接続されているのと同じに見えます。したがって、電池から流れ出る電流は、オームの法則から1Aと求まります。

さて、この1Aの電流が、「40Ωと、10+30の40Ωを並列にした20Ω」に流れる場合、その両端の電圧は、1A×20Ω=20Vと求まります。という事は、「10+30の40Ω」の両端に掛かる電圧も20Vですから、10Ωに流れる電流は、20V÷40=0.5Aと求めることができます。

80Vの方も同様に考えます。

80Vの電池の+極から見ていくと、まず60Ωが入り、次いで「60Ωと、10+20=30Ωの並列」が入って-極に戻ります。

60Ωと30Ωの並列抵抗を計算すると20Ωですから、電池から見ると60+20=80Ωの抵抗が接続されているように見えます。したがって、流れ出す電流は1Aです。

ここで、「60Ωと30Ωの並列抵抗の20Ω」に流れる電流が1Aということは、その両端に発生する電圧は20Vです。したがって、30Ωに流れる電流は、20÷30=2/3Aですから、10Ωに流れる電流は2/3Aと求まります。

  • 60Vの場合は、10Ωの左→右に1A
  • 80Vの場合は、10Ωの右→左に2/3A

以上を足し合わせることにより、60Vと80Vが両方存在する場合に10Ωに流れる電流は、左→右に1/3Aと求まります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(コイルとコンデンサのベクトル図の誤りについて)

疑問点というよりも、恐らく表記ミスだと思いますが一応その個所について質問という形で確認をお願いします。
前回の質問についてご丁寧なご回答をありがとうございます。確かにRLC直列回路のインピーダンスの説明の結論のところでは少し違和感を感じながら説明されている感じがしますね。それで、理論編の14RLC直列回路も拝聴したところ、コンデンサのインピーダンスの説明のところでもDVD画面の説明文の中で途中から、本来コンデンサとあるべきところだと思うのですが、コイルという表記になっています。テキストではありません。コイルのインピーダンス:jwc/1=-j・wc/1とあるのはコンデンサーのインピーダンスの間違いだと思います。
当初はねこ電のところでもコンデンサとコイルの言い間違いではないかというところがありましたので、相当混乱しましたが理解が進むと簡単な間違いなんだなと自分でもわかるようになりました。質問によって確認してほしいとのことでしたので改めて質問しました。

**様

いつもながら恐れ入ります。メール頂きありがとうございます。

今回の講座では、種本となる「丸覚え!電験三種 公式・用語・法規の超重要ポイント」を元に、まずは書籍内の図を外部業者にトレースしてもらい、そのデータを用いて私がPowerpoint上でビデオ収録用の資料を作成して解説しています。さらに、ビデオ収録が2015年の夏、テキスト執筆が2015年暮に初版、2016年暮に改訂版という流れでして、図のトレースミスや私の勘違いなどもあり、100%完璧な講座とはならなかったことは深く反省し今後の改善につなげていきたいと考えております。

重ね重ね、お付き合いいただき本当に有難うございます。今年2017年の夏に講座ビデオ、テキスト共に全面的に改定する予定ですので、反省を踏まえて出来る限りミスや解説漏れなどの無いように尽くしていきたいと考えております。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成26年 理論 問5 コンデンサ組み合わせ回路の電圧)

10Fの両端が15V、30Vの両端が5Vとなるのは理解できるのですが、「b側を+として5Vとなる」ところで、なぜプラスになるのか理解できておりません。同様にP25のa側をプラスとして2.5Vという符号の部分も理解できておりません。恐らく、電源±の極性とコンデンサの繋がる電極によるもの?と思っているのですが、補足いただけますでしょうか。

上側の20Vの電源だけを残した回路で、10F・30Fともに溜まっている電荷がゼロ(コンデンサの両端の電圧がゼロ)の状態から電池を接続することを考えます。

電流は当然、電池の+端子から-端子に向かって流れますから、10Fのコンデンサは左→右に、30Fのコンデンサは右→左に電流が流れます。コンデンサの極板間に発生する電圧は、電流が流れ込む側が+、電流が流れだす側が-となるため、10Fのコンデンサは左側が+、30Fのコンデンサは右側が+となるわけです。

したがって、a-b間について考えると、b側に+の電圧が発生するわけです。

同様に、10Vの電源だけを残した回路では、電流は電池の+端子から-端子に向かって流れるため、30Fは左側が+、10Fは右側が+になります。

恐らく、電源±の極性とコンデンサの繋がる電極によるもの?

その通りです。電子の流れに沿って正確に言いますと、

  • 電池は-端子から+端子に向かって電子を流す
  • コンデンサの、電池の-端子側につながる極には、電池から電子が流れ込んで溜まっていく。
  • コンデンサの、電池の+端子側につながる極からは、電池の+端子に向かって電子が抜け出ていく。
  • したがって、コンデンサの-端子側につながる極は電子過剰、+端子側につながる極は電子不足になる。
  • 電子はマイナスの電荷をもっているため、電子過剰な極板は-、電子不測の極板は+に帯電する

ということになります。

電験3種講座の理論のテキストP24、25において「すなわち、b側を+として5V、a側を+として2.5Vとなるわけです」とありますがどう考えたらそのような結論に至るのでしょうか。

この問題の解説は、重ね合わせの原理を用いて、

  1. 20Vの電源を残し、10Vの電源を無いものとして(短絡して)求めた、20Fのコンデンサの両端の電圧
  2. 10Vの電源を残し、20Vの電源を無いものとして(短絡して)求めた、20Fのコンデンサの両端の電圧

を足し合わせることで答えを求めています。

まず1つ目です。上側の20Vの電源だけを残した回路で、10F・(20Fと10Fを並列にした)30Fともに溜まっている電荷がゼロ(コンデンサの両端の電圧がゼロ)の状態から電池を接続することを考えます。電池からの電流は、+端子から-端子に向かって流れますから、10Fのコンデンサは左→右に、30Fのコンデンサは右→左に電流が流れます。

コンデンサの極板間に発生する電圧は、電流が流れ込む側が+、電流が流れだす側が-となるため、10Fのコンデンサは左側が+、30Fのコンデンサは右側が+となるわけです。流れた電荷量をQとすると、コンデンサの極板に発生する電圧はQ/Cですから、コンデンサが直列になっている場合、コンデンサに生じる電圧は静電容量に反比例します。

したがって、10Fの両端に15V、30Fの両端に5Vの電圧が発生し、30Fの両端に生じる5Vは右側が+の電圧です。

2つ目は、下側の10Vの電源を残して30Fと10Fが直列になった回路と見なせます。やはりコンデンサに生じる電圧は静電容量に反比例するため、30Fに2.5V、10Fに7.5Vが生じ、30Fの両端に生じる2.5Vは左側が+の電圧です。

以上より、

  1. コンデンサの右側を+として5V
  2. コンデンサの左側を+として2.5V

を差し引きして、右側が+2.5Vという答えが求まります。出題文に忠実に言うと、「+2.5Vのa点から+5Vのb点を見ると、b点は相対的に+2.5Vに見える」ということです。

「この合計が20Vであるためには10Fの両端が15V、30Fの両端が5Vとなることがわかります」これはどのような方式を用いてこのようになるのでしょうか?例えば、

  • 抵抗の分電圧は比例配分
  • 抵抗の分路電流は反比例配分

のような公式はあるのでしょうか?

コンデンサの性質として、Qクーロンの電流が流れた場合、発生する電圧はQ/Cボルトとなりますから、コンデンサが直列の場合、それぞれに発生する電圧は静電容量の反比例配分になります。

オームの法則でおなじみの電圧・電流・抵抗とは別に、「流れた電荷量Qクーロン」が出てくると、一体これは何なのかと難しく思いがちですが、電流×時間=電荷量であることを覚えておけば大丈夫です。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(コイルが電力を消費しない理由)

電圧と電流の位相差が90°のコイルは電力を消費しないのはどうしてですか?

コイルの電圧・電流の様子について図を描きましたのでご覧ください。

まず、

  • 素子の上側を電圧の+
  • 上から下に電流が流れるのを+の電流

と決めます。

抵抗は、電圧が+であれば電流も+、電圧が-なら電流も-です。つまり、

  • 電圧・電流共に同じ符号なら電力を消費する素子

であることを意味します。

電池は、電圧が+であれば電流が-、電圧が-なら電流は+です。つまり、

  • 電圧・電流が互いに逆符号なら、電力を生み出す素子

であることを意味します。

ここでコイルの電圧と電流の波形を見てみます。すると、

  • 電圧+電流-
  • 電圧+電流+
  • 電圧-電流+
  • 電圧-電流-

を1/4周期ごとに繰り返していることが分かります。これは、コイルは電力を消費せず、受け取っては放出、受け取っては放出…を繰り返していることを意味します。

以上より、コイルは電力を消費しないことが分かります。ちなみに、コイルが受け取った電力はどこに行ったのかというと、磁気エネルギとして蓄えられています。電力を受け取る1/4周期では、電気エネルギを磁気エネルギに変換し、電力を放出する1/4周期では、磁気エネルギを電気エネルギに変換している、それがコイルの動作です。

なお、コンデンサの場合はこの図と電流の波形がプラスマイナス逆ですが、やはり働きとしては同様で、電力を消費せず受け取っては放出するだけであることが分かります。コンデンサの場合、電気エネルギを静電エネルギに変換し、静電エネルギを電気エネルギに変換することを繰り返します。