「電験3種」カテゴリーアーカイブ

SAT電験3種講座 理論 質問回答(抵抗・コイル・コンデンサのベクトル)

理論RLC回路の電流と電圧のベクトル図を書いてみました。ご指摘をお願い致します。

図を拝見しましたが、特に問題ありません。

交流回路において、各部の波形(電圧、電流)が三角関数のsinあるいはcos波形で表されること、そしてそれらの間には時間的な位相差があるということ、そしてその位相差を保ったまま各部の波形は周期的に変化するため、どれかの波形を基準として(お描きいただいたベクトル図で言うと、抵抗に発生する電圧や抵抗に流れる電流)他者との関係を矢印で表しているということを踏まえていることが大切ですので、この調子で進めていただければ全く問題ないものと思います。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(同期発電機の三相電力・線電流・短絡比の計算)

機械のテキストP23の例題の質問です。三相発電機なので相電圧は1/√3であることを考慮して5000000/6600×√3=437.4Aとなるとあるのですが、6600×√3は線間電圧ですか?Y結線になっているのですか?回路図はどのようになっているのですか?よろしくお願いいたします。

おっしゃる通り、同期発電機の内部結線はY結線になっていることを前提としています。何故Y結線かというと、

  • 巻線の中性点がゼロV(接地電位)なので、巻線と発電機の外箱との間の絶縁耐圧が低くて済む
  • 一相当たりの誘導起電力を、線間電圧の1/√3にでき、これも絶縁耐圧的に有利である
  • 誘導起電力が低くて済むということは、界磁電流も少なくて済む

といった利点があるからです。

三相電力は、線間電圧(三相電圧)をV、線電流(三相電流)をIとして、P=√3VIで求められます。何故そうなるかというと、Y結線の一相当たりの発電電圧がV/√3、電流はI、そしてそれが三相分有りますから、3×(V/√3)×I=√3×V×Iだからです。したがって、I=P/(√3V)で電流が求まり、これよ5000000/6600√3で電流を求めています。

回路図は、三相同期発電機内部がY結線で、その一相当たりの発電電圧が(6600/√3)ボルトとなっています。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(計算式の展開)

理論78ページ上の200/√(12/3)2乗+(9/3)2乗の答えが、40になりません。8になってしまいます。計算方法を教えて下さい。


計算の順序は、まず分母の√の中の2乗から計算します。この例では12/3と9/3なので、どちらも整数にできて4と3、したがって4の2乗と3の2乗を計算し、次いでそれらの足し算、ルート、最後に分数の計算、という順序になります。

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(電気の勉強の進め方)

猫電基礎P12の件です。
標題頁等の進め方の件です。 例題 単位説明の約分の説明(なぜ単位と電線の抵抗式の約分の発想がでるのか?、又、約分出来るのか?等)が理解出来ない時は、(先生の説明は重要なので)あちこち調べて理解出来るようにしたほうが良いのか、とりあえず公式を使って進む方が良いのか?...。発想方法?と飛ばす所の判断の仕方をご教授願います。

この辺りの勉強の進め方は、人それぞれ向き不向きがありますので、絶対にこれが良い・これがダメというものはありません。理屈は良く分からないけどとにかく覚えてガンガン進めていき、なんとなく問題が解けるようになってから振り返って理屈が分かるようになる、という方も居ない訳ではありません。

しかし、特に電気の基礎理論においては、ひとつひとつ理解してイメージを掴みながら進めていく方が、結果的には良いのではないかと思います。特に、昨今はインターネットの普及により、分からない事柄でも検索サイトやWikipediaなどを頼りにしてすぐに調べることができます。これらを活用しないのは勿体無いですから、あちこち調べて理解しながら進めていただければと思います。

電気は目に見えないものですから、どうしてもイメージが掴みにくいところがあります。しかし、オームの法則のところで、水の圧力や流れの例を持ち出して話しましたように、実は身の回りの似たような事象に置き換えて考えれば分かりやすい点は多々あります。諦めることなく(と口で言うのは簡単でも、実際はなかなか難しいものですが…)勉強を進めていただければ幸いに存じます。

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(オームの法則のイメージ)

  V        水を押し流す勢いの多きさ
I=― 水が流れる量=―――――――――――
R        ホースの水の流れにくさ
はイメージできますが

V             水を押し流す勢いの大きさ
R=― ホースの水の流れにくさ=――――――――――――
I             水が流れる量

をイメージできないのですがどのように考えたらよいですか。

水道の口に細いホースを取り付けた場合と、太いホースを取り付けた場合を考えます。そして、水道の栓を開けて、ホースの先端から出てくる水の量を観察することにします。このとき、ホースが太ければ大量の水が出てきますし、ホースが細ければ水はちょっとずつしか出てきません。

ここで、観察者が、ホースの太さを知らず、どちらも水道の栓をひねった量は一定であることと、出てくる水の量だけしか分からないとすれば、当然ながら大量に水が出てくる方はホースが太くあるいは短く、水が少しずつしか出てこない方はホースが細くあるいは非常に長いことが想定できると思います。

これを数式で表すと、水が流れてくる量とホースの抵抗は反比例することが分かりますから、R=V/I、つまりRはIに反比例することが想定できるかと思います。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成25年 理論 問15b 過去問解説 力率改善コンデンサのΔ-Y変換)

P81の解説を詳しく教えてください。まず、コンデンサの場合デルタからスターにした場合に3倍になるのか後RL直列+コンデンサ並列の場合の展開をわかりやすく教えてください。急に解説なしにアドミアタンスやサセプタンスが出てきて意味がわかりませんまずアドミタンス、サセプタンスとは何ですか。またどのような時に使うのですか

まず、コンデンサをデルタからスターにした場合に3倍になる理由ですが、これは、35ページの例題と全く同じですので、35ページも併せてご覧ください。抵抗のΔ-Y変換では、Δ型をY型にする場合、抵抗値は例えば

  • Ra=RabRca/(Rab+Rbc+Rca)

で求められました。これは抵抗値(=電圧÷電流)に注目しており、コンデンサでも同様にリアクタンス(=1/jωC)を用いて変換できます。しかし、コンデンサのリアクタンスは、1/jωCの式から分かるように静電容量の逆数に比例します。

したがって、Δ-Y変換で抵抗値が1/3になるところであれば、コンデンサは逆数なので3倍の値になるわけです。

http://wp.khz-net.co.jp/?p=712

も併せて参照頂ければと思います。

RL直列+コンデンサ並列の場合の展開をわかりやすく教えてください。

この問題の回路において、Y型の1素子のインピーダンスは、7.96mHと6Ωですから、6+j2.5Ωです。これをY→Δに変換すると、インピーダンス値は3倍になりますから18+j7.5ΩのΔ型回路となります。

ここでΔ型の一素子について考えると、18+j7.5Ωと並列に(1/jωC)を入れた合成インピーダンスの虚数分がゼロとなればいいことになります。しかし、並列回路なのでインピーダンスでは考えにくいため、逆数を取ってアドミタンスで計算します。

急に解説なしにアドミアタンスやサセプタンスが出てきて意味がわかりません
まずアドミタンス、サセプタンスとは何ですか。またどのような時に使うのですか

アドミタンスはインピーダンスの逆数サセプタンスは、リアクタンスの逆数です。電気の世界では「~タンス」が色々と出てきて最初は訳が分からなくなるのですが、以下にそれらをまとめます。

  • 抵抗…電圧÷電流がレジスタンス、レジスタンスの逆数がコンダクタンス
  • コイル・コンデンサ…電圧÷電流がリアクタンスその逆数がサセプタンス
  • 抵抗とコイル・コンデンサの直列・並列回路…電圧÷電流がインピーダンス、その逆数がアドミタンス

なお、レジスタンス=抵抗値、コンダクタンス=導電率です。単位は、

  • レジスタンス・リアクタンス・インピータンスが[Ω](オーム)
  • コンダクタンス・サセプタンス・アドミタンスが[S](ジーメンス)

となります。

これらの使い分けですが、レジスタンス・リアクタンス・インピータンスは「電圧÷電流」で定義されていますから、抵抗やコイル、コンデンサなどの直列回路の場合に使いやすい値です。なぜかと言えば、直列回路では各素子に流れる電流が同一ですから、値を求める計算で割り算の分母が共通になるからです。もし分母が共通にならないと、通分する必要が出てきて、できない訳ではないですが計算が面倒になります。

コンダクタンス・サセプタンス・アドミタンスは、回路が並列になっている場合に使いやすい値です。理由は同じで、並列回路では各素子に掛かる電圧が同じですから、「電流÷電圧」を計算する場合、割り算の分母となる電圧が共通だと計算しやすいからです。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成27年 理論 問17b 過去問解説 アドミタンス計算)

平成27年の問17のbですが、アドミタンスを計算すると1/30-j1/30になり、答えは1.06×10^-4になってしまいよくわかりません。

この問題は、電源側がV結線になっているものの、実質的に電源側が三相Δ結線、負荷側が三相Y結線負荷という事になります。

コンデンサを接続したときiaの波形はeaに対して30度位相が遅れているということは、三相ΔーY結線の性質から、負荷の力率が1であることを意味します。したがって、Δ結線のCをY結線に変換して1相分のR-Lと並列に接続したとき、リアクタンス分が0になればいいわけです。

ここで1相分のインピーダンスを考えると、Rが5Ω、Lが2πfL=約+j5Ωより(5+j5)Ωですから、このRL直列部分のアドミタンスを計算すると、

  • 1/(5+j5)=(5-j5)/(5+j5)(5-j5)=(1/10)-j(1/10)

となります。これが1相分のリアクタンスですから、コンデンサはこの虚数分を打ち消せばよいので、並列コンデンサのサセプタンスは+j(1/10)となり、

  • 2πfC=(1/10)

を解くと、C=3.18×10^-4が求まります。このCは、Δ結線をY結線に変換した際の静電容量ですから、YからΔに戻すと静電容量は1/3となり、約1.06×10^-4≒1.1×10^-4が答えとなります。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(電験3種 平成27年 機械 問4 過去問解説 同期発電機の同期インピーダンスによる電圧降下)

機械 H27問4発電機の端子電圧を求める問題

詳しい解説をおねがいします。解説では√1^2+0.85^2=1.3と説明されています。問題文に、定格電圧に対して、端子電圧は何倍か?とあります。イメージとして、定格電圧・端子電圧を求めて、端子電圧/定格電圧 を計算するといった ような手順でとくように感じますが、先生の解説だと、とくに定格電圧を求めていないような気がします。

この問題ですが、具体的な定格電圧(=定格運転時の端子電圧)を求める必要はありません。適当にVと置くなり、あるいは勝手に100V、定格電流10Aなどと決めてしまっても構いません。

同期発電機は、純粋な交流電圧源に、直列インピーダンス(=同期インピーダンス)として巻線の抵抗・リアクタンスが直列に入り、出力端子に導き出されているものと考えられます。このとき、出力端子の時点で定格電圧・定格電流が供給できるのであれば、極端な話、電圧源が何ボルトであっても、同期インピーダンスでの電圧降下と出力端子の電圧の辻褄が合っていれば構わないことになります。例えば、ベクトルを考えない単純計算でのイメージですが、出力の定格電圧が100Vだったとして、

  • 電圧源が110Vで同期インピーダンスでの電圧降下が10Vの発電機や、
  • 電圧源が300Vで同期インピーダンスでの電圧降下が200Vの発電機

などがあっても構わないということです。但し、これらを無負荷状態にすると、出力端子の電圧は、前者は110V、後者は300Vとなってしまうわけです。

さて、出題より、同期インピーダンスが85%であり、巻線抵抗が無視できるということは、定格出力電圧・出力電流時に、同期インピーダンス=同期リアクタンスでの電圧降下が、定格出力電圧の85%であることを意味します。したがって、添付のベクトル図の通り、1(これは定格出力電圧を1と置いているわけです)の2乗と0.85の2乗の√を取れば発電機が発生している電圧が求まることになります。

下の図は、具体的に定格電圧が100V、定格電流が10Aと置いてしまった例です。同期インピーダンスが85%ということは、100V÷10A=10Ωに対して85%の8.5Ωが同期インピーダンスですから、定格出力100V・10A時に、コイルでの電圧降下が85Vであり、したがってこれらを合成した131.2Vが電圧源の電圧と求まります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成17年 理論 問7 負荷インピーダンスの計算)

P.75一番下の計算の展開がわかりません。詳しい解説をお願いします。

この計算の展開と結果の導出ですが、下図のようになります。

計算のコツとして、500の2乗などは展開して250000などと置きたくなってしまうのですが、そうするとかえって面倒になってしまうため、そのままで計算していく方が見通しが立ちやすくなります。また、分母・分子に同じ数を掛けて約分したり、両辺から同じ数を引いて移項したりするほか、両辺を2乗したり、両辺の√を取っても基本的にはイコールが成り立つ、ということを使っていけば解答を求めることができます。