「電験3種」カテゴリーアーカイブ

SAT電験3種講座 機械 質問回答(誘導電動機に関する記述の誤植)

機械P25の例題の解答で「誘導電動機では空隙を小さくすると効率が悪くなる」とテキストには書いてありますが、DVDの毛馬内先生の解説だと誘導電動機では空隙が広いと効率が悪くなるという内容だったと思います。どちらが合っているのでしょうか?当方の聞き間違いでしたらご容赦下さい。

確認したところ、テキストの方が誤植です。「誘導電動機では、空隙を小さくしない効率が悪くなる」が正しい記述です。

誘導電動機は、固定コイルから回転コイルを貫いて流れる磁界によって回転コイルに電流を誘起しますので、空隙が大きいと磁気抵抗が大きくなってしまい、効率が悪くなってしまいます。

以上、ご指摘いただくまで誤植に気付かず大変失礼いたしました。上記のように訂正いたします。

SAT電験3種講座 電力 質問回答(電圧降下について)

電験3種の電力編p36の1行目に電圧降下とありますが、電圧降下=電圧発生という認識でよろしいでしょうか?理論にも何度か出てきたのですがここで明確にしておきたいと思いました。

質問の通り、電圧降下が発生する=電圧が発生するという認識で合っています。

電気理論で、オームの法則とキルヒホッフの法則がありました。オームの法則は、電圧・電流・抵抗の間にV=IRの関係があるというもので、キルヒホッフの法則は、電圧や電流の合計値に矛盾が無いという事を言っているものです。

したがって、電圧降下が発生する→抵抗によってV=IRの電圧が発生する→その電圧の分だけ電圧が落ちるという事になります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成27年 理論 問15 メートルブリッジを用いた電位差計による起電力測定)

過去問、平成27年度、理論、問15に関してです。

毛馬内先生が非常に簡単だとおっしゃっていた問題なのですが、どうしても納得できないところがあります。

まずこの問題の(a)で、私は単純に図2を見て30Ωの50mAなのでExの起電力は30×0.05=1.5Vなのかと思いました。しかし答えを見ると1.8Vだったので、『あ、電池の内部抵抗は無視しちゃダメなのか。』と思いながら解答を確認しました。

するとまずE0の起電力は30Ω×200mA=6V…『この電池は内部抵抗関係ないのか?』と思いながらも解答の確認を続けると、図1でExの起電力を求める時も内部抵抗は考慮されていませんでした。

色々求め方はあるとは思いますが、Rが4.5cmの時の抵抗9Ω、これに電流200mAをかけて1.8VがExの起電力とのことですが、この時なぜ(b)で得られるExの内部抵抗6Ωは考慮されていないのですか?問題文の読み解き方の問題でしょうか?それとも電気的に説明できる話なのでしょうか?ご教授願います。

まず、何故図1のような面倒な方法でExの起電力を求めるかというと、これはExの内部抵抗に影響されず、真の起電力を求めるために行っています。

おっしゃるように図2の回路において、抵抗×電流で起電力を求めることはできるのですが、この時の抵抗は、外部に接続したRと電池の内部に存在する内部抵抗の和となります。電池の内部抵抗が未知なので、図2の方法では真の起電力は求まらない訳です。

図1の回路では、滑り抵抗のa-c間に発生している電圧とExの起電力が完全に一致したときに検流計の針がゼロとなりますから、このとき電池の内部抵抗に電流は流れず、したがって内部抵抗による電圧降下がゼロですから、真の起電力を測定することができます。これが、Exの起電力を求めるときに内部抵抗が考慮されていない理由です。

Exの真の起電力1.8Vが求まり、図2の回路で50mA流れたことから、(30Ω+内部抵抗)に1.8Vの電圧をかけたときに50mA流れることを利用し、内部抵抗6Ωを求めます。

E0については、「30Ωの抵抗に対して200mAの電流が流れる」という条件を満たしてさえいれば、内部抵抗はどうだって良いので、安直に6Vとしているだけなのです。もしかすると、E0の起電力が66Vで、内部抵抗が300Ωの電池かも知れません。しかし、そのような電池でも、「30Ωの抵抗をつないで200mAが流れる」ことには変わりは無く、それによってExの測定には何ら影響を及ぼしません。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(電験3種 平成24年 機械 問13 過去問解説 オペアンプ増幅回路の増幅率計算)

機械 H24問13オペアンプの増幅率を求める問題

シーソーのイメージからの解法がわかりません。

講義では、シーソをイメージして答えが13になるとの答えでした。理論のテキスト44でも、シーソのイメージがでていました。このシーソーのイメージが、よくわからないです。そのイメージとそこからの答えの導き方を教えてください。

 

シーソーのイメージというのは、反転増幅回路を念頭に置いて話をしておりました。すなわち、オペアンプの入力端子の電圧が常に一定に保たれることから、

入力端子(力点)ー抵抗1ーオペアンプの端子(ここが支点)-抵抗2ー出力端子(作用点)

という形のシーソーとなり、入力端子側の電圧の振れの大きさと、出力端子側の電圧の振れの大きさは、それぞれ抵抗1・抵抗2に比例することになります。小学校か中学校の理科で学んだテコの原理と同じで、力点ー支点ー作用点という順番になっています。

非反転増幅回路の場合は、

支点ー抵抗1-入力端子(力点)-抵抗2-出力端子(作用点)

という形になります。したがって、力点の振れは抵抗1に比例し、作用点の振れは(抵抗1+抵抗2)に比例します。

因みに、オペアンプの動作から解くと、下記のように理解しました。

①+端子にV1がかかる

②-端子がV1になるまでV2電圧があがる

③-端子がV1になり、V2電圧上昇がとまる

④R1に流れる電流I=V1/R1

⑤R2に流れる電流I=V2-V1/R2

⑥④=⑤より、V2/V1を求める

また、公式に単純に入力すると、非反転増幅回路より公式は、

R1+R2/R1より、13になります。

この解法はよくないと思いますが、この手順でも正解ですか?

はい、その通りで正解です。特に、順序として書いていただいた①~⑥の手順は全く問題ありませんし、オペアンプ回路の動作の本質を理解した正しい考え方だと思います。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(ブール代数を用いた論理式の計算)

機械のテキストP54~55の「28 論理演算とブール代数」の例題にて、動画では、その後以下の問Bを解説していました。

(X+Y+Z)・(X+ NOT Y +Z)・(NOT X +Y+Z)の和積形式で簡略化する問題

Z=1のとき、必ず1になるので(1)、(4)になるまでは、理解できましたが、Z=0のときの解説が理解できませんでした。Z=0のときの解説を詳しくお願いできますか?

(1) (X+Z)・(NOT Y+Z)

(4)(X+Z)・(Y+Z)

 

 

ブール代数の計算は(ブール代数に限らず、普通の計算式でも同じですが)、例えばX・Y・Zの3つの変数があったとすれば、色々なX・Y・Zの組み合わせに対して同一の答えが出る式を求めれば良いわけです。

X・Y・Zはそれぞれ1か0を取るので、X・Y・Zが取る値の組み合わせは全部で8種類です。これを一気に考えるのではなく、この問題では式の中のZに注目して、

  • Z=0のとき、X・Yの組み合わせに対する答え
  • Z=1のとき、X・Yの組み合わせに対する答え

の2つに分けて考えることにより、それぞれ高々4つの組み合わせを考えるだけで済むようにしたわけです。

さて、Z=0の時についてですが、Z=0ということは、

  • Zと何かを掛けた値は常に0
  • Zと何かを足した値は、常に「何か」の値

になるので、それを念頭に置いて考えると、

(X+Y+Z)・(X+ NOT Y +Z)・(NOT X +Y+Z)

(X+Y)・(X+ NOT Y )・(NOT X +Y)

となります。

解答の選択肢も同様にして考えると、

(1) (X+Z)・(NOT Y+Z)

はX・NOTYとなり、

(4)(X+Z)・(Y+Z)

はX・Yとなります。

 

ここで、

(X+Y)・(X+ NOT Y )・(NOT X +Y)について、X=1とおくと、1・1・Y=Y

となり、

X・NOTYは1・NOTY=NOTY

X・Yは1・Y=Y

ですから、合致するものは(4)となる訳です。

このように、ブール代数は変数がたかだか1と0の2種類しかとらないことを利用し、どれかの値を決めてしまって残りの値を代入して答えを求めることにより、答えを見つけることができます。ブール代数の公式を利用してきちんと数式を展開して結果に至る方法に比べると、このような方法は邪道かもしれませんが、電験3種の試験ではそれほど複雑な問題は出ないことから、実際問題としてこのようにして解くのはアリだと思います。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(同期電動機の始動方法)

電験3種機械テキストP20に関する質問です。同期電動機の始動方法で制動巻線を利用して誘導発電機として始動するという説明があるのですが、この方法でも始動時にはvvvf制御しないと始動しないような気がします。もしvvvf制御で始動させるならわざわざ制御巻線を利用しなくても普通に始動できるとおもうのですがなぜ制御巻線を利用して始動させるのですか?

誘導電動機は、固定巻線から与えられた回転磁界に対し、回転子が遅れ電流による遅れ磁界を生み出すことで単一方向への回転トルクを生みますから、誘導電動機とすることで回転トルクを得られます。

同期電動機は、確かにおっしゃるようにインバータ制御することができます。最近の鉄道車両のモーターなども、永久磁石で界磁した同期電動機をインバータ制御することで、大変な省エネルギー化を達成しています。しかし、このような大電力制御が可能なインバータ装置が作られるようになったのは、半導体技術が進歩した最近の四半世紀ほどの事でして、それ以前の時代には、同期電動機を容易に制御できるようなインバータ装置が物理的に作成することができませんでした。したがって、そのような時代に工夫して電動機を起動していた方法の一つとして、誘導電動機として回転トルクを得る方法があったわけです。

今の時代は、インバータ装置が安価に入手できますが、そのような時代の流れがあった、とご理解いただければ結構かと思います。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(PNPトランジスタの動作原理)

電験3種理論P130に関しての質問です。半導体npnの動作について説明があり、pnpの動作はnpnの逆という説明がありましたが、逆で考えても電流が流れる原理がわからなかったので順を追って説明して頂けますか?

まず前提として復習しますと、P型半導体は、電子が不足して電子の抜けた穴(ホール)が常に存在している半導体、そしてN型半導体は電子が過剰で常に自由電子が動き回っている状態の半導体です。PNP型半導体は、これらをP-N-Pと接合して作られたもので、真ん中のN型領域は極めて薄く作られています。

さて、この半導体のP-N接合に順方向電圧を掛けます。すなわち真ん中のN型領域(ベース)にマイナス、左側のP型領域(エミッタ)にプラスの電圧を掛けます。すると、ベースに流れこんだ電子はエミッタに向かって動き、エミッタ領域のベース直近にあるホール(電子が不足して抜けた穴)と再結合して電流が流れます。

この状態において、ベースからエミッタに流れ込む電子に対して、それと結合するためのホールがベース直近にどんどん集まってきています。

ホールは電子が抜けた穴ですから、相対的な電位が+であるため、電子が引き寄せられます。ベース領域は極めて薄く作られているため、エミッタ内部のベース領域付近に集まってきたホールは、極めて薄いベースを通り抜けてP型半導体であるコレクタ領域に存在している電子をも引き付けてしまいます。これにより、コレクタ領域に存在している電子がベースを通り抜けてエミッタに流れ込んでしまうため、結果的にコレクタとエミッタの間にも電流が流れることになる訳です。

以上のような感じで、ベース電流の増加→エミッタ領域のベース寄りにどんどんホールが集積→ホールが電子を引き寄せる力がコレクタ領域にまで及び、コレクタ領域の電子がベースを通過してエミッタに流れ込む、というようなイメージを持っていただければ宜しいかと思います。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(Y-Δ結線の位相差、変圧器の接地)

電験3種の機械のテキスト、P28にて、Y-Δ結線が、「一次側に対して二次側の位相が30°遅れる」とあり、動画では、当たり前とおっしゃられておりましたが、理論テキストを復習してもその記述がなく、根拠がわかりません。その理由についてお教えください。

まず三相交流の大前提として、これは3つの単相発電機を3つの単相負荷に接続している回路になるわけです。そして、本来なら、合計6本の電線が必要になるところを、3本の線で接続していることになります。

Y結線は、その3つの単相交流をY型に接続し、発電機側の中点と負荷側の中点を接続する合計4本の電線となるところを、互いに120度ずつ位相をずらすことで中点に流れる電流がゼロとなり、中点同士を接続する線が不要になってしまう方式です。

Δ結線は、3つの単相交流をΔ型に接続するものです。下図にあるように、電源と負荷を接続する線には、隣の相の電流も重なって流れるため、単相発電機:単相負荷を1:1で接続した場合に比べ、線電流は増加し、単相の場合の√3倍の電流が流れます。

さて、ご質問の件ですが、こちらは次の図をご覧ください。ここでは、二次側を基準にして解説します。

 


二次側に発生する電圧が、V1・V2・V3です。これに対して、一次側はY結線になっているので、一次側巻線に発生する相電圧はVA・VB・VCのようなベクトルになります。
ここで一相分として、V1とVAの関係を考えると、ベクトル演算は平行移動できますから、V1の始点をVAの始点と同じ位置に持ってくることにより、V1に対してVAは30°進んでいることが求まります。つまり、一次側電圧は二次側電圧に対して30°の進み、つまり二次側は一次側に対して30°の遅れとなるわけです。

また、機械のテキストP27~28の「三相交流の変圧方法」で「接地」がよく出てきます。いまいち接地について、なぜ接地しなければならないのか?理解できていません。洗濯機など接地するのは、感電を防ぐためとわかりやすいのですが、変圧器についても同様の理由でしょうか?

電圧というのは相対的な概念です。例えば、乾電池の電圧は1.5ボルトですが、これは「-端子に対して+端子が、+1.5Vの電圧を持っている」という事であって、例えば乾電池の+端子を基準にして考えると、この乾電池は「-1.5Vを発生する電池」と言うことも出来るわけです。

これは変圧器など交流の装置でも全く同じです。例えば、200Vのトランスと言っても、それはトランスの端子の間に実効値で100V(最大値では、±141V)の電圧が発生するという意味ですから、例えばそのトランスと直列に500Vの直流乾電池を接続したとすると、合計では「最小値359V、最大値641V」を発生する電源になるわけです。

このように、電圧は相対的概念ですから、どこか一か所をゼロVとして固定しないと、何ボルトの送電線などということが出来ないことになります。極端なことを言えば、人間が100万ボルトの高電圧!と言っても、雷様から見ればマイナス数百万~マイナス数億ボルトに見えてしまう訳ですから、変圧器の中性点など、全体的に見て平衡が取れる点を地面に接続してゼロVとし、電圧の基準点を決めるために設置している訳です。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(コイルに発生する電圧と流れる電流のグラフ)

御質問頂いた点につきまして、改めて整理し直すと、次のようになります。

  • 電池…+の電圧が掛かる端子から電流が外部に流れ出し、他方の端子から戻ってくる。
  • 抵抗…+の電圧が掛かる端子から電流が素子内に流入し、他方の端子から流れ出す。

というように、エネルギーを生み出す電池と、エネルギーを消費する抵抗では、電圧のプラス・マイナスに対して電流の流れが逆になっていることが分かります。これはすなわち、その素子から見て、+端子から電流が流出すれば、その素子は電力が流出、+端子から電流が流入すれば、その素子は電力が流入していることになります。

ここでコイルの電圧と電流のグラフを見てみます。①と③では、電圧と電流が逆方向、②と④では電圧と電流が同方向ですから、①②③④の順に、電圧・電流が抵抗と同じ向き・電池と同じ向き・抵抗と同じ向き・電池と同じ向き・・・・と繰り返していることになります。これはどういうことかというと、コイルは1/4周期ごとに、電池と同じように発電する向きに電圧・電流が発生する状態と、抵抗と同じように電力を消費する向きに電圧・電流が発生する状態を繰り返している訳です。要するに、コイルは1/4周期のうちに流れ込んだ電力を、次の1/4周期で吐き出し、そして次の1/4周期でまた電力が流れ込み、1/4周期で吐き出す…という働きを繰り返している訳です。

なので、疑問で頂いたように、何も実際の電池や抵抗の接続が逆になるわけではありません。コイルを「ある一個の回路素子」と見立てて、そこに発生する電圧や電流に注目すると、このように考えられる、ということです。

SAT電験3種講座 質問対応改善

SATさんの方で、質問対応の専門人員を確保してくださることになりました。

これまで、長いと一週間ほど質問を貯めてしまっていたので、だいぶ状況は改善されるかと思います。もちろん、そちらで回答できない質問については私に回ってくると思いますが、何卒よろしくお願い申し上げます…。