「質問回答」カテゴリーアーカイブ

SAT電験3種講座 機械 質問回答(電験3種 平成27年 機械 問17 過去問解説 ブロック線図の伝達関数)

機械の問17 (b)問題で、「10倍大きくなるにつれ-20dB変化する」とあるので、(1)、(2)の2択にしぼれますが、なぜ(1)が答えになるのか分からないので、教えて下さい

まず(a)について、1/jωTの出力を1とすると、出力C(jω)はK=10より10になります。

また、逆算すると1/jωTの入力がjωTですから、R(jω)は1+jωTと求まります。

ここでT=0.2なので、これを代入するとR(jω)=1+j0.2ωとなり、答えは(1)が求まります。

これを踏まえて考えます。このブロック線図は低い周波数を通し高い周波数を遮断するLPFですが、フィルタの遮断周波数は出力が入力の半分となる点として定義されますから、周波数伝達関数10/(1+j0.2ω)においてω=0の場合に比べて出力電力が半分となるωを求めることになります。これは式より、ω=5において10/(1+j0.2ω)= 10/(1+j1)になることが分かりますから、変曲点のω=5である(1)が正解となります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成27年 理論 問3 磁性体材料の磁化特性と透磁率)

空欄イの箇所ですが、B/Hの最大値を見るとグラフではHが1〜2のあたりが一番大きくなると思うのですが、なぜ0〜2で考えるのでしょうか。

透磁率B/Hは、「外部から、Hの磁界を与えたときに、磁性体の内部にはBの磁束密度が生じるとき、Hに対するBの割合」を意味しています。したがって、H=0の原点からあるHまでの値を使って求めます。

確かにB/Hの曲線自体の傾きは、H=1.5~2程度の部分が最も傾きが大きいことになりますが、もし仮にこの部分を使って透磁率を定義した材料があったとすると、その透磁率を発揮できるのはH=1.5~2.0の間だけという事になってしまい、これでは磁性材料の特性を示す指標として余り意味がなくなってしまいます。

SAT電験3種講座 電力 質問回答(電験3種 平成27年 電力 問14 過去問解説 磁性体材料の特性と利用方法)

正解より、鉄心材料は、保持力が大きく、飽和磁束密度が小さくヒステリシス損が小さい材料が選ばれる、とのことです。この理由(関連付け)がわかりません。また、磁性材料は下記2種類に大別されますが、それぞれ、なぜそのものを選ぶのかも、よくわかりません。併せて、教えてください。

(1)磁心材料

透磁率、抵抗率、飽和磁束密度→大きいものを選ぶ

保持力、残留磁気→小さいほうが有利

(2)磁石材料

保持力、残留磁気→大きいものを選ぶ

鉄心は、変圧器において、巻線で作り出した磁束を効率よく低損失で通過させる必要があります。そして、変圧器は50Hzや60Hzの交流で使用されますから、鉄心の中も一秒に50回や60回、磁束の向きが変化します。したがって、磁束を効率よく低損失で通過させる=透磁率が高い必要があります。

また、出来るだけ大量の磁束を通すことが出来る方が好ましいですから、飽和磁束密度が大きいものが有利です。

鉄心の中を磁束が変化して流れると、それによって鉄心には渦電流が発生しますが、鉄心の電気抵抗が小さいと、この渦電流が大きくなり損失が増えますから、抵抗率は大きい方が有利です。

 

磁石材料は、永久磁石を思い浮かべて頂ければ結構です。

磁性体材料は、鉄心なども同じですが、金属の内部には極めて微小な磁石が大量に存在しています。これを外部からの磁界によって一方向に揃えると、その材料は永久磁石になります。このとき、外部からの磁界で揃えられた微小磁石について、その方向の保ちやすさの指標が保持力です。つまり、保持力が大きい材料は、時間が経ってからも強い磁力を保つことができます。

残留磁気は、上記のように外部からの磁界によって与えられた磁気が、外部磁界を取り去った後にどのくらい残留するかという値ですから、これも大きいほうが永久磁石の材料として好都合です。

問題の正解は(2)ですが、この問題は「誤っているものを選べ」という問題ですから、記述中の「飽和磁束密度が小さく」が誤りで、「保持力が小さく、飽和磁束密度が大きく」とあれば正しい記述になります。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(界磁電流・励磁電流の意味)

機械編テキスト 10P 直流電動機(2)

励磁電流と界磁電流は同じ意味なのでしょうか?

界磁電流・・・固定した電磁石に流れる電流を界磁電流。と先生に習いましたが・・・

この場面では、励磁電流=界磁電流という認識で大丈夫です。

励磁電流というのは、電磁石に電流を流して電磁石にするための電流を指します。

界磁電流は、電動機を回転させるための(通常は、一方向のN-S極を持つよう、直流で)電磁石を磁化するための電流です。

例えば直流電動機の場合、内部で回転する電磁石は、ブラシと整流子の作用で回転によってN-S極が入れ替わりますが、これと吸引・反発させるために回転電磁石の外側に置かれた電磁石は一定の磁極を持ちます。したがって、外部の固定された電磁石に流す電流が界磁電流です。

また、同期電動機の場合は、固定された電磁石に三相交流を流し、それによって作られる回転磁界の中で、一方向のN-S極を持つ電磁石が回転するわけですが、この場合は回転する電磁石に流す電流が界磁電流という事になります。

SAT電験3種講座 電力 質問回答(電験3種 平成24年 電力 問7 過去問解説 安定度制約の意味と概念)

電力過去問24年問7

安定度制約とはなんでしょうか?直流、交流の安定度の制約の違いについても教えてください。

「安定度制約」ですが、これは交流送電と直流送電の俯瞰的イメージを正しく持つことが必要になります。

電気回路的には、交流だろうが直流だろうが、発電ー送電ー消費、と電線で結ばれているだけです。しかし実際には、複数の発電所から複数の変電所を通り、ときには結合、時には分岐して最終的な電力消費点まで運ばれています。また、発電所から消費地までの距離は数百kmなどの長距離であることも多く、いくら電気の伝わる速度が1秒間に30万kmという高速であったとしても、途中の対地静電容量、送電線のリアクタンス、変圧器の作用などの様々な影響を受けることで過渡的に電流や電圧の揺らぎが発生し、各発電所からの送電電力や位相などが時間的に脈動するという現象が現れます。これを物理的・数学的に解析するのは非常に大変なのですが、身近な例で何か分かりやすい置き換えがないかと考えたところ、次のような例が思い付きました。

 

色々な方面から道路が集まってきて、大きな一つの道路になるという状況を考えます。このとき、集まってくる道路は各々に様々な性質を持っています。

  • 1車線の道路だけど、ここまでに途中2車線になったり3車線になったり、また1車線に戻ったりして最終的に1車線でやってくる道。
  • 2車線の道路だけど、途中1か所で1車線に絞られて、また2車線に戻ってやってくる道。
  • 3車線の道路で、途中車線が変わることなく3車線のままで来る道。
  • 4車線の道路で、途中8車線に膨らんで、最後でまた4車線に絞られて来た道。

これらが集まって合計10車線になったとします。

この10車線の道が渋滞してあまり進まないとき、ここに至る4本の道からは車線数に比例して車が入ってきます。

適度に流れているときも、まあほぼ車線数に比例して車が入ってくるでしょう。

ところが、この10車線の道に全く車がおらず、4本の道から可能な限り最大の車が流入してくるとしたら、それぞれの道の途中の車線の状況が影響し、1:2:3:4で綺麗に比例して流れ込むことにはならないはずです。つまり、10車線を全速力で車が走ることはできず、そこに至るまでの4本の道の途中の性質が影響として出てきてしまいます。

つまり、交流送電線路の途中のリアクタンスや静電容量、変圧器の特性の影響などが存在する(=道路の途中に幅広部分があったり絞り部分があったりする)場合、多数の送電線路を連結して電力を供給するとき、それらの送電線路の能力100%の電力を供給しようとすると、それぞれの経路に過渡的な偏りが生じてしまい、その結果電力供給が不安定になってしまいます

この不安定さを緩和するためには、合流して10車線になった道路に適度に渋滞がある(=その100%の能力を供給せず、ある程度の所で電力を抑える)ことが必要となります。これが安定度制約です。

一方、直流送電の場合は、その「途中の車線の状況」が存在せず、1車線なら最初から最後まで全部1車線、3車線なら常にずっと3車線の道が合流しますから、たとえ10車線の道が可能な限り最大の車を流していても、それは綺麗に1:2:3:4と配分され、それぞれの道が割合ごとに綺麗に車の量を分担することになります。つまり100%の能力を発揮しても安定して送電ができることになります。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(電験3種 平成25年 法規 問11(a) 過去問解説 高圧進相コンデンサの劣化判断計算)

平成25年度の法規過去問題の問11の(a)の解説におきまして先生は50kvar/(6600V/√3)で無効電流を出してそれぞれの比にあてて計算すればいいと解説がありましたがいくらやっても導き出せません。分母が√3×6600であれば答えが出たのですが、私の勘違いでしょうか。ご教授お願い致します。

まず、内部素子がY結線ですから、一相分について考えてみます。

一相分の相電圧は、(6600/√3)Vです。

また、コンデンサの全容量が50kVarですから、一相分については(50/3)kVarです。

コンデンサの無効電力は、電圧×電流で求められますから、これよりコンデンサに流れ込む電流を求めると、

(50000/3)÷(6600/√3)=約4.37Aとなります。これが定格電流になります。

ここで、S相とT相はその1.15倍ですから、約5.0A、R相は1.5倍で約6.6Aが求まります。

SAT電験3種講座 電力 質問回答(電験3種 平成25年 電力 問13 過去問解説 配電線路の電圧降下計算)

H25電力過去問題、問13について質問です。

A-B間の電圧降下E=√3×100×(0.3×0.8+0.2×0.6)は問題ないのですが、S-A間の電圧降下を求める際に、A点での電流が150+100=250Aで算出すると回答が導かれるのですが、なぜ250Aになるのでしょうか?どのように解釈すればよいのでしょうか?お手数ですが、ご教授お願いします。

この問題の図は、電源SからA点までの電線1km、そしてA点からB点までの電線1kmが引かれ、B点での負荷電流はS~A~Bと2km流れ、A点での負荷電流はS~Aと1km流れて供給されています。

従って、S~Aの間は、A点での負荷電流とB点での負荷電流が一緒に流れることになります。

 

 

SAT電験3種講座 理論 質問回答(コイルの自己インダクタンスと相互インダクタンスの計算)

理論37 磁気回路のオームの法則内の質問です。テキスト77ページの冒頭にある自己インダクタンスと末にある相互インダクタンスの変換後の式の過程を教えてください。

まず、76ページのコイルにおいて、鉄心に磁束を発生させる源はコイルの電流と巻数の積、Niです。電気回路でいうと、これは発電の電圧と同じです。

このとき、ソレノイド内に流れる磁束(電気回路でいうと電流)は、このNiを磁気抵抗で割った値です。

磁気抵抗は、電線と同様、ソレノイドの長さに比例して断面積に反比例します。また、電線の抵抗率に対して磁気は透磁率の逆数ですから、流れる磁束φは、磁路長をIとして

  • φ=Ni÷(l/μS)=μNSi/I

で表されます。

コイルの自己インダクタンスLは、コイルに流れる磁力をφ、巻数をN、流れる電流をiとすると、

  • L=Nφ/i

で求められるので、ここに上記のφを代入すると、

  • L= Nφ/i=N(μNSi/l)/i=μSN^2/l

となります。これがP.77二段目の式です。

コイルの自己インダクタンスは、その作用の大きさを意味します。式中の巻数の2乗は、「コイルに流した電流によって自分で作り出した磁束が、今度はコイル自身に戻ってきて自分自身に影響を与える」ことを意味しています。巻数Nが大きいほど、電流によって作り出す磁束が大きくなり、その磁束がコイル自分自身にまた大きく作用する、ということになります。

さて、コイルが自分が自分自身に影響を与える度合いではなく、一次側と二次側の巻線があり、一次側のコイルが作った磁束が二次側に与える影響を考えるときは、上記の式の(μS/l)に一次側と二次側のN1とN2を掛けた値になり、これが相互作用を意味する相互インダクタンスの式になります。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(変圧器の等価回路)

機械編P11

巻線比を用いて一次側に換算して表現しているとありますが巻線比とはどういうことですか?この回路は変圧器の働きのどこを等価にしたものなのでしょうか?

変圧器というのは、理論編の合成インダクタンスのところで出てきた、相互インダクタンスを持つ2組の巻線のことです。

より具体的に言うと、鉄心を介して磁気的に結合した2組の巻線で、片方の巻線に電流を流すと、その電流によって鉄心内には磁束変化が発生し、その磁束が他方の巻線を通過することで、その巻線に電圧を発生させるものです。我々の身近で、高圧の6600Vを100Vや200Vに変換するための装置として、あるいは100Vの交流から携帯電話の充電などに使う低い電圧を作り出すためなどに広く利用されています。

巻数比は、一次側と二次側の巻数の比のことで、例えば一次側巻線が10000回、二次側巻線が500回巻いてあるとすると、10000:500=20:1となります。コイルを貫く磁束変化は電圧を発生させることから、巻数比が20:1の変圧器は、一次側電圧:二次側電圧=20:1となります。

さて、このような変圧器ですが、現実問題として巻線に使う銅の直列抵抗、そして導線を巻いてあることによるインダクタンスとそのインダクタンスによって生じるコイルとしてのリアクタンス、その他の損失要因などを評価する場合、何らかの等価回路に置き換え、その置き換えた等価回路内の抵抗値やリアクタンス値を用いて変圧器の特性を考えることになります。

ここで、本来変圧器は一次側と二次側は絶縁されていますが、上記のような直列抵抗やリアクタンス等を評価する場合、一次側と二次側が絶縁されているかどうかということは重要ではありません。要は、一次側から見てどのような回路素子に見えるか、というのが論点なわけです。

変圧器の巻数比をn:1とすると、電圧比はn:1です。一次側と二次側で電力は変わりませんから、二次側は電圧が1/n倍になった分、電流はn倍となります。

この変圧器に、仮に二次側に抵抗Rを接続した場合を考えます。二次側に発生する電圧をVとすると、流れる電流はV/Rです。これを一次側に変換すると、

  1. 電圧はnV
  2. 電流はV/nR

となります。したがって、一次側から見ると、

  • 電圧がnVのときに、V/nRの電流が流れる抵抗

と見なせます。この値を計算すると、

  • 電圧÷電流=nV/(V/nR) =n^2R

となり、

  • 巻数比1:nの変圧器の二次側に抵抗Rをつなぐと、一次側からはn^2倍の値に見える

ことが求められます。これを回路図に起こしたものがP11の回路図で、

  1. 一次側の直列抵抗をr1、リアクタンスをx1
  2. 二次側の直列抵抗を一次側に変換したものがa^2r2、リアクタンスを変換したものがa^x2、二次側負荷のZ2を変換したものがa^2Z2

となって、一次側から見た等価インピーダンスになる、ということを示しています。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成25年 理論 問7 過去問解説 RC直列回路のインピーダンス計算)

理論 問7で答えが、20A×1.2倍=24A になるのになぜ、(4)24.0ではなく (3)21.2が正解になるのでしょうか?

この問題は、「4Ωの抵抗とCファラドのコンデンサを直列にした回路」である点がポイントです。もし抵抗がなく、純粋にコンデンサのみであれば、単純に20A×1.2倍になりますが、抵抗は電源周波数が変化しても値が変わらないため、きちんとRC直列回路のインピーダンスを求めなければいけません。

50Hz100Vの電源に対して20Aの電流が流れたということは、RC直列回路のインピーダンスは5Ωです。

抵抗が4Ωであることが分かっているので、このときのコンデンサのリアクタンスをXとすると、

  • √(4^2+X^2)=5

ということになり、両辺を2乗して

  • 16+X^2=25

ですから、X^2=9よりX=3Ωです。

さて、コンデンサのリアクタンスは1/(jωC)ですから周波数に反比例します。したがって、50Hzで3Ωのリアクタンスを持つコンデンサは、60Hzではその1/1.2、つまり2.5Ωのリアクタンスとなります。

以上より、60Hz時のRC直列回路全体のインピーダンスは、

  • √(4^2+2.5^2)≒4.72Ω

ですから、このとき回路に流れる電流は、

  • 100÷4.72≒21.2A

と求まります。