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SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成27年 理論 問2 コンデンサの性質)

理論 平成27年 問2の問題のイですがQ÷Cの Cを代入してどうしてLが消えたか理解出来なく宜しくお願いします。

まず、コンデンサの静電容量は、

  • C=ε×(A/l)

で求められる(設問のア)ことは大丈夫かと思います。このコンデンサに電荷Qクーロンを充電すると、

  • V=Q/C

より、極板間の電圧は、

  • (Ql/εA)

となります。距離xの2地点の間の電位差(電圧差)がVだった場合、電界E=V/xで求められますから、極板の間の電圧差(Ql/εA)を極板間距離lで割って、電界の値は(Q/εA)となるわけです。

これは電界の単位からも分かるかと思います。電界の単位は、V/mですから、

  • 「1mの距離当たり何ボルトの電位差があるか」

という値です。従って、電界×距離=電位差ということになります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成28年 理論 問1 複数の電荷と等電位面の関係)

計算結果が(2d)2得られますがこの式が座標上で(-2d,0)で半径2dの円の方程式を表すのか理解できません。教えてください。

この問題は、高校の数学で学んだ、円の方程式の知識を前提としている出題です。中心が原点にある円の方程式は、

  • x^2+y^2=r^2

で表せます。rは円の半径です。この円を、x軸方向にaだけ移動させた場合の方程式は、

  • (x-a)^2+y^2=r^2

です。さらに、これをy軸方向にbだけ移動させた場合の方程式は、

  • (x-a)^2+(y-b)^2=r^2

です。出題の条件から方程式を立てていくと、

  • (x+2d)^2+y^2=(2d)^2

という式が出てきた思います。これは、円の半径が2dで、x軸方向に-2dだけ移動させた円の方程式となるわけです。従って、答えは(4)と求まります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成25年 理論 問8 抵抗の組み合わせ回路の計算)

右上20Ω 右10Ω 右下20Ω それにつながる中下10Ωと50Ωぐるっと一周回って両端が短絡されている。この部分が理解できません。なぜ短絡しているのでしょうか?

理論P14-例題の、この回路が短絡している。の意味がわかりません。回路の一部分が繋がっていないのならわかりますが、全て回路が繋がっているのに、どうして短絡しているのですか?よろしくお願い致します。

電験3種の理論のテキスト14ページでぐるっと一周回って両端が短絡されているとはどういうことですか?

解説に、「右上の20Ω、右の10Ω、右下の20Ω~ぐるっと一周回って両端が短絡されているため~切り離すことができます」とありますが、何故切り離すことができるのですか?

例題において解説文がいまいち理解出来ません。電流の流れと、短絡との関係をより簡単に教えてください。

理論4の2つ目の例題について、どうして簡単で電源から無関係とかが、まったく理解出来ません。→DVDの中で説明もなく、テキストで短絡しているとの説明もどうして無視できるかも理解できません。

電気回路は、つながっている電線をどこまで伸ばしても、あるいは変形させても、部品が同じようにつながっていれば同じ回路になります。従って、下図のように回路を書き直してみます。

すると、5Vの電源につながった5Ω・10Ω・40Ωの抵抗と、何の電源にもつながっていない5本の抵抗に区分けすることができることが分かります。この5本の抵抗は、ぐるっと回って両端が短絡されている=電源がない部分であり、ここは当然電流も流れませんから、無視することができ、切り離して考えることができます。

その結果、この回路は、単に5Vの電源に、5Ωの抵抗と、10Ωと40Ωの並列抵抗が接続されているだけの回路と考えることができるわけです。

(2017/3/9 1:40 図が誤っていたで差し替えました。)

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成23年 理論 問7 テブナンの定理)

質問です。H23年理論 問7過去問解説の中で抵抗Rxの所で2端子を取り出して計算するとの解説がありますが、計算方法が分かりません。計算式を教えていただけますでしょうか?

まずテブナンの定理をおさらいすると、

「電源や抵抗などで構成されたある回路網の中から2点を取り出し、その2点から回路側を見ると、1つの電圧源+1本の抵抗に置き換えることができる」

というものでした。これをRxの両端の2点に適応して考えてみます。まず条件1のとき、Rxを取り外してその2端子間に発生する電圧を求めると、

  • 6E/96=E/16

次に、この2端子から回路側を見た抵抗値を求めると、電圧源の内部抵抗はゼロですから、R1とR2が並列接続されたものと同じことになり、

  • (90×6)/96=540/96=135/24[Ω]

したがって、この2端子から回路側を見ると、

  • E/16ボルトの電圧源と135/24Ωが直列

になっているものと等価になります。
次に条件2のとき、Rxを取り外して2端子間に発生する電圧を求めると、

  • 4E/74=2E/37

次に、この2端子から回路側を見た抵抗値を求めると、

  • (70×4)/74=140/37

したがって、この2端子から回路側を見ると、

  • 2E/37ボルトの電圧源と140/37オームが直列

になっているものと等価になります。
この2つの等価変換回路に抵抗値Rxをつないで電流Iが等しくなるわけですから、オームの法則により回路電流Iを求めて、

  • (E/16)/(135/24+Rx)=(2E/37)/(140/37+Rx)

これを解くことによりRxが求められることになります。
まず、両辺に(135/24+Rx)(140/37+Rx)を掛けると、

  • (140/37+Rx)(E/16)=(135/24+Rx)(2E/37)

両辺をEで割り、さらに両辺に(16×37)を掛けると、

  • 37(140/37+Rx)=(2×16)(135/24+Rx)

これを展開して、

  • 140+37Rx=(32×135)/24+32Rx

32Rxを左辺に、140を右辺に移項して、

  • 5Rx={(32×135)-140×24}/24

両辺を5で割り、分数の計算をすると、Rx=8が求められます。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(コイル・コンデンサ・抵抗のベクトル図)

理論のディスク7のRLCの並列回路のベクトルで、電流を基準にした場合、コンデンサは電流が進むので上方向に書くのはわかりますが、ーjが付いているので下方向に書いても問題(何かの支障) はありますか?上下変わっても、ベクトルの大きさは変わらないのですが、今後の勉強を進めていく上で、何か問題があれば教えてください。

上記の質問でRLC並列回路でコンデンサは電流を基準と書きましたが、電流ではなく電圧でした。電圧を基準とした場合、コンデンサは電流が進むので上方向に書くのはわりますすがーjが付いていても、下方向ではなく、上に書くべきでしょうか?と言う内容でした。

お手数をおかけして、申し訳ありませんが、ご回答をよろしくお願いいたします。

おっしゃる通り、RLC回路のベクトル図は、何を基準にしてベクトル図を描くかによって、コンデンサを上に書いたり(+j)下に書いたり(-j)が変わってきますので、今描いているベクトルが何を基準にしていているかを、良く気を付けなければいけません。

もう一度改めて基本を確認しますと、

  • コイルは、両端にかかる電圧に対して、流れる電流が90°遅れる。
  • コンデンサは、両端にかかる電圧に対して、流れる電流が90°進む。

これが基本となります。ですから、RLC並列回路において、(電圧と同位相の電流が流れる抵抗の)電流を基準にしてベクトル図を描くと、コンデンサに流れる電流は上向き90°(+j)、コイルに流れる電流は下向き90°(-j)となり、これらを合成したものが回路に流れる全電流となります。

次に、RLC直列回路についてベクトル図を描くときは、(流れる電流と同位相の電圧が発生する抵抗の)電圧を基準にしてベクトル図を描くことになりますから、

  • コイルは、流れる電流を基準にすると、両端に発生する電圧は90°進む。
  • コンデンサは、流れる電流を基準にすると、両端に発生する電圧は90°遅れる。

ことになり、抵抗の両端に発生する電圧を右に、コイルに発生する電圧を上向き90°(+j)、コンデンサに発生する電圧を下向き90°(-j)にとってベクトルを描いて合成したものが、RLC直列回路の両端に発生する電圧になります。

最後に、RLC直列回路の合成インピーダンスを求める場合です。インピーダンスは、素子にかかる電圧を流れる電流で割ったものですから、

  • コイルは、両端にかかる電圧Vを、遅れ電流(ーj)で割るので、複素数の性質から+jのリアクタンス値
  • コンデンサは、両端にかかる電圧Vを進み電流+jで割るので、計算結果はーjのリアクタンス値

となります。したがって、RLC直列回路の合成インピーダンスは、抵抗が実数軸、コイルのリアクタンスは+j、コンデンサのリアクタンスはーjに取って合成することになります。

なお、RLC並列回路の合成アドミタンスを求める場合は、リアクタンスの逆数のサセプタンスで和を取りますから、コイルがーj、コンデンサが+jとなります。しかしRLC並列回路の計算は面倒なので、その計算を伴う問題が出題されることは余りなく、実際上はRLC並列回路においての電流値の合成、RLC直列回路においての電圧値の合成、そしてRLC直列回路においてのインピーダンス合成を押さえておけば大丈夫かと思います。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成24年 理論 問10 RLC回路のアドミタンス計算)

平成24年過去問問10について質問です。私はアドミタンスと聞いただけで思考停止してしまいます…

アドミタンスと聞いただけで苦手意識が出てしまうという感覚は、私も良く分かります。電気回路において、電圧を電流で割った抵抗という概念は比較的素直に理解できます。しかし、抵抗の逆数のコンダクタンスや、インピーダンスのの逆数のアドミタンスは、概念がつかみにくく理解しにくいものです。今自分が扱っている値はどんなものであるか、をきちんと把握しつつ慣れていくしかないでしょう。

この問題の場合、10MHzと凄く高い周波数が出てくる為、Xc=1/2πfCより、並列回路の一つにもの凄く小さな抵抗がある。という事は C、L、R2の合成抵抗はほぼゼロと考え、I10MHz=V/20と考えました。

全く問題ありません。もちろん厳密には計算して求める必要があるのですが、

  • 10MHzは非常に高い周波数だから、コンデンサはほぼ電流を素通し

という感覚を持っているのか、それともいちいち計算しないと数字が出ないのかでは、問題を解くスピードも違ってきます。真面目に計算するだけではなく、できれば見た瞬間に出題者の意図をつかむ事ができるのが大切ですが、この問題はその好例です。

回路の並列共振周波数1/2π√(LC)を計算すると10Hzになります。従って10HzではR1とR2の単なる直列回路、10MHzではほぼR1だけの素通し回路になりますので、電流比を求めると1:2.5、したがって答えは(1)ということになります。

個人的に複雑な計算を素早く要領よく計算出来る自信が全くありません…電験3種の場合、極力計算を避ける考え方でも何とかなるでしょうか?

電験3種の試験において、計算問題の比率は思ったほど高くありません。もちろん計算を全くなしでは合格はできませんが、複雑な計算は後回しにしても十分合格の可能性はあります。この問題の場合を例にとると、

  • 並列共振の周波数を求める式(1/2π√(LC))
  • 10MHzではコンデンサーはほぼ素通しであること

の2つが分かれば、すぐに答えが求まります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電流が作り出す磁界の様子)

環状鉄心にコイルを巻いた時の磁界がどのように発生するか、また同様に円形に巻いたコイルの磁界がどのように発生するのか教えて下さい。
公式がどのような磁界が発生しどのような形で磁界の力が発生するか
教えて下さい。宜しくお願いします

まず、電線一本だけについて考えると、電線を中心とした同心円状に磁界が発生します。

これを鉄心に巻いた場合、隣り合う電線一本一本の互いに反対向きとなる磁界成分は打ち消し合うので、全体でみると鉄心の中をまっすぐ磁界が通過するような形になります。環状鉄心の場合は、環状鉄心の中だけをぐるぐる回転するような磁界となります。

私が分かりやすく絵を描ければいいのですが、私は殺人的に絵が下手なため余計に分かりにくい図しか掛けませんから、検索結果で申し訳ありませんが以下のリンクの検索結果をご覧いただけば分かりやすいかと思います。

https://www.google.co.jp/search?q=%E9%89%84%E5%BF%83%E3%80%80%E7%A3%81%E7%95%8C&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwiSldrry-7SAhVCe7wKHZ9tDNEQ_AUIBigB&biw=1846&bih=1290

SAT電験3種講座 理論 質問回答(デジタル測定器の性能)

理論のテキスト(直流電力の測定と誤差)のP88の三行目、「近年は、内部抵抗が非常に大きくて事実上無視できるほどの値を持ったデジタル測定器が主流になっている」とありますが、確かに電圧計は内部インピーダンスが高いほど正確だとわかります。
しかし電流を測定する場合、内部インピーダンスが高いと測定器による電圧降下が大きくなるので、正確な測定ができないのでは?と思いました。講義内容から少し離れた質問ですが、疑問に感じたので質問させていただきます。

御指摘の通り、内部抵抗が非常に高いのが有利なのは電圧計の場合です。もちろん電流計の場合は逆で、内部抵抗が非常に小さい方が有利です。これは説明しなくとも分かっているだろうという前提で、

「内部抵抗が非常に高い測定器が主流なので、性能の良い電圧計が容易に手に入ります(そして電流計の場合も同様に、内部抵抗が低い測定器が手に入るようになりました)」

のカッコ内の部分を省略しておりました。

2015-2016年版 SAT電験3種講座テキスト誤植訂正(理論編)

2016年まで出していたテキストについての正誤表です。2017年頭より新テキストに移行しましたので御注意ください。

  • P.6下から2行目

0.2S→0.02S

  • P.7下から5行目

抵抗率R→抵抗率ρ

  • P.7下から1行目

1×10^-6→1×10^-6×π

15Ω→4.78Ω

  • P.13下図

I2b→I3b

  • P.44下から7行目

37.5-j30→22.5-j30

  • P.44下から4行目

(37.5+IR)→(22.5+IR)

  • P.56上図

Xm→V

V→Vm

  • P.60図

左側のV2→V3

  • P.61下図

左側のA2→A3

右側のA2→A1

  • P.82上から10行目

慣例的にeで表す→慣例的にeやqで表す

P.83下から3行目

クーロン力は電界と同じ向き→クーロン力は電界と平行の向き

  • P.85下図

左側端子のv1→vi

右側端子のv1→vo

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成26年 理論 問5 コンデンサ回路におけるキルヒホッフの法則)

平成26年度 理論 問5について、よく理解できないので詳細な解説を教えてください。宜しくお願いします。

まず、キルヒホッフの電流則の拡張として、電流を電荷量に置き換えて解きます。

上の10μFに左から右に流れる電荷量をQ1、20μFに左から右に流れる電荷量をQ2、下の10μFに左から右に流れる電荷量をQ3とします。

まず、b点において、キルヒホッフの電流則(の拡張、電荷の保存則)より、

  • Q1+Q2+Q3=0

次に、コンデンサの両端に生じる電圧を求めると、コンデンサに流れた電荷量Q、静電容量C、電圧Vの間にはQ=CVの関係があることを利用して、

  • 上の10μF:V1=Q1÷0.00001(左側が+)
  • 20μF:V2=Q2÷0.00002(左側が+)
  • 下の10μF:V3=Q3÷0.00001(左側が+)

の電圧が発生することが求まります。

ここで、接続された電池とコンデンサ両端の電圧の関係から、

  • V1-V2=Q1÷0.00001-Q2÷0.00002=20V・・・①
  • V2-V3=Q2÷0.00002-Q3÷0.00001=10V・・・②
  • V1-V3=Q1÷0.00001-Q3÷0.00001=30V・・・③

という関係が成り立ちます。

  • ①式の両辺に0.00002を掛けると、2Q1-Q2=0.0004・・・④
  • ②式の両辺に0.00002を掛けると、Q2-2Q3=0.0002・・・⑤
  • ③式の両辺に0.00001を掛けると、Q1-Q3=0.0003・・・⑥

ちなみに、④⑤⑥は独立した3式に見えますが、2式から残りの1式を導出できるので、実質は2つの式です。ここでもう一つ、Q1+Q2+Q3=0を利用します。

ここで①式に、Q1+Q2+Q3=0を変形したQ1=-Q2-Q3を代入すると、

  • -2Q2-2Q3-Q2=-3Q2-2Q3=0.0004・・・⑦

⑥式にQ1=-Q2-Q3を代入すると、

  • -Q2-Q3-Q3=-Q2-2Q3=0.0003・・・⑧

⑦式-⑧式を求めると、

  • -3Q2-2Q3+Q2+2Q3=-2Q2=0.0001

となり、Q2は-0.00005クーロンであることが求められます。つまり、20μFのコンデンサには、右から左に0.00005クーロンの電荷量が流れることが分かりますので、コンデンサの両端に発生する電圧は、V=Q/Cより、0.00005÷(20×10^-6)=2.5Vとなります。

 

次に、重ね合わせの原理を用いた解き方です。

まず、上側の20Vの電源を残し、下の10Vをショートさせた回路を考えます。するとこれは、20Vの+端子から上の10μFにつながり、中の20μFと下の10μFが並列になった30μFを経由して20Vの電源のマイナス端子に至る回路になります。コンデンサに電荷Qが流れ込んだとき、その両端に発生する電圧Vと静電容量Cの間にはQ=CVの関係がありますから、10μFと30μFの直列回路に電流が流れた際、コンデンサの両端に発生する電圧は静電容量に反比例します。したがって10μFと30μFの両端に発生する電圧は3:1になりますから、上の10μFには左側を+にして15V、中の20μFと下の10μFには右側を+にして5Vの電圧が発生します。

次に、下側の10Vの電源を残し、上の20Vをショートさせた回路を考えます。するとこれは、10Vの+端子から上の10μFと中の20μFの並列、合計30μFを通り、下の10μFを経由して電源のマイナス端子に至ります。これも上と同様にして、10Vのプラス端子-30μF-10μF-マイナス端子というコンデンサの直列回路になりますから、30μFと10μFの電圧比は1:3となり、上の10μFと中の20μFには左側をプラスとして2.5V、下の10μFには右側をプラスとして7.5Vの電圧が発生することがわかります。

以上の二つを重ね合わせて20μFのコンデンサに発生する電圧を求めると、20Vを残した回路では右側を+として5V、10Vを残した回路では左側を+として2.5Vが発生しますから、それらを差し引きして右側を+として2.5Vが答えとなります。