電験3種の機械のテキストP7に関しての質問です。直流電動機で2極の場合、90度の箇所で電機子が止まったら回転しないということで、3極使うというふうに説明されてましたが、構造はどのようなものになるのですか?
御質問承りました。
本来なら私がイラストを描くなどして説明申し上げれば良いのですが、私は絵が殺人的に下手なのと、ネット上で実物の分解写真などがたくさんあるため、それを紹介した方がずっと理解しやすいという理由から、以下のような検索ワードを参考までにお伝えいたします。
電験3種の機械のテキストP7に関しての質問です。直流電動機で2極の場合、90度の箇所で電機子が止まったら回転しないということで、3極使うというふうに説明されてましたが、構造はどのようなものになるのですか?
御質問承りました。
本来なら私がイラストを描くなどして説明申し上げれば良いのですが、私は絵が殺人的に下手なのと、ネット上で実物の分解写真などがたくさんあるため、それを紹介した方がずっと理解しやすいという理由から、以下のような検索ワードを参考までにお伝えいたします。
50÷0.94=53.19で機械入力を求めているのですが、どうして定格出力÷効率=機械入力になるのですか?53.19-50-1.89-0.2=1.10で固定損を求めていますがこの式の意味が分かりません。宜しくお願い致します。
発電機や電動機は、電気エネルギと機械エネルギを相互に変換する装置です。機械的なエネルギを入力して電気エネルギを取り出すのが発電機という事になります。
機械にしても電気にしても、機械抵抗や電気抵抗、その他の要因があるため、入力したエネルギが100%変換されるという事はなく、必ず何らかの損失成分が発生します。この損失成分は、抵抗によるジュール熱、空気中を回転することによる風切り損失、ベアリングなどの機械的接触による損失、磁束の一部が漏れ出すことによる損失…細かく言えば、かなり色々な損失要因が挙げられるわけです。
さて、この問題では、定格出力・定格電圧が規定されていますから、その定格出力を得るために入力された機械的エネルギと定格出力との差が損失成分になる、という観点から求めていきます。発電機の効率が94%と分かっていますから、
が、定格出力を得るために発電機に入力される全機械的エネルギになります。つまり、3.19kW分が、電気的・機械的損失の総和です。
この3.19kWから、界磁回路の抵抗による損失を引くと、界磁回路は200Ω、そこに掛かる電圧が200Vであることから、
より0.2kWを引いて2.99kWが残ります。
次に電気子回路の抵抗による損失を引くと、
より
から、1.89kWを引いて1.1kWが残ります。
上記2つは電気回路によって発生するジュール損ですから、残りの1.1kWは、風切りやベアリングなどによる機械的損失分という事が求まります。これを固定損と呼び、問題はこれを求めるというものです。
機械の直流電動機について、機械テキストでいう、p7の他励電動機の回転数は、励磁電流増加に伴い低下するとありますが、磁束が増えて逆起電力が増加すれば比例して回転速度は上がるもしくは変わらないと思うのですが。直流電動機の回転速度=電動機の逆起電力/比例定数×磁束という式から考えて疑問に思いました。
まず、「磁束が増えて逆起電力が増加」するところまではその通りです。
コイルを磁束が横切る時に発生する逆起電力は、ファラデーの電磁誘導の法則ですから、回転数と磁束の大きさと巻き数に比例します。当然、同じ回転数であれば、磁束が増えれば逆起電力も増加します。
さて、このとき、電源電圧は一定ですから、逆起電力が増加するということは、回転子の逆起電力と電源電圧の差の電圧が減少することになります。すると当然、回転子に流れる電流も減少します。回転子に流れる電流が減少すれば、出力のトルクも減少し、回転数が減少することになります。回転数が減少すれば逆起電力も減少し、回転子の逆起電力と電源電圧の差の電圧が増加することで回転子に流れる電流が増加し、出力トルクが増大します。これが均衡する点で回転を維持していくということになります。
電験3種の機械テキストP9についての質問です。
直流直巻電動機で無負荷のとき回転数が∞になるのは数式的にはわかるのですがどのようなイメージで回転数が∞になるのですか?
まず、電動機が回転力を生む仕組みについておさらいします。これは、固定巻線が
作る磁界と、回転巻線が作る磁界どうしが吸引、もしくは反発の力を発生すること
で回転します。当然、大きな力が必要な時は、固定巻線・回転巻線ともに大電流を
流す必要があるわけです。
さて、直流直巻電動機は、回転巻線の電流=固定巻線の電流となっているのが特徴
です。そして、電源電圧が一定で負荷が軽い(=巻線電流が小さい)とき、回転巻
線の逆起電力は電源電圧とほぼ同じです。
直流直巻電動機を無負荷で回転させたとします。すると、回転が上がり、固
定巻線の磁界×回転巻線の磁界×回転数に比例した逆起電圧が発生します。このと
き、機械的な負荷がゼロということは、回路電流は減少していきますが、回路電流
が減少すれば固定巻線の磁界×回転巻線の磁界も減少しますから、回転数が上昇す
ることで逆起電圧を上昇させます。機械的な負荷がゼロ=出力がゼロ=回路電流も
ゼロに近づいていきますから、結局回転数がどんどん上昇する、そういう仕組みで
す。
単に式や性質を暗記するよりも、このように原理をイメージできることが物凄く大
切な資産になりますので、大変良い質問だと思いました。
電験3種の機械テキストP17に関しての質問です。
誘導電動機で始動時には多くの磁界が2次側に貫くので大電流がながれるのはわかるのですがなぜトルクが小さいのですか?
T=KΦIでトルクは大きくなりそうな気がするのですが。
ご質問承りました。
これは、誘導電動機の力率が悪いから、ということに他なりません。
誘導電動機の二次側回路は、両端が短絡されたコイルとなっています。従って、誘導電動機の一次側:二次側の関係は、二次側が短絡された変圧器と同様にみなせます。
ここに電源を供給すると、二次側回路が短絡されているために大きな電流が流れます。ここで、直流電動機であればT=KΦIで簡単に考えることができますが、交流電動機であるため、一次側コイルと二次側コイルが作る磁界のタイミングを考えなければいけません。つまり、
になれば、大きな反発力や吸引力が生まれますが、
というタイミングになってしまうと大きなトルクは生まれません。
このタイミングを左右するのは、二次側回路の力率です。しかし、二次側回路は短絡されているため極めて低抵抗で、有効電力が消費されない=力率が非常に悪いため、そのタイミングのずれが大きく、大電流のわりに大きなトルクが発生しません。
回転が上がってくると、一次側と二次側の回転数の差が小さくなるため二次側コイルを横切る磁界の時間変化が小さくなり、二次側回路に誘導される電圧が低下します。
すると、極めて低抵抗であった二次側回路の抵抗値が、相対的に無視できない値になってきます。例を挙げると、1000Vの電源回路に1Ωの抵抗が直列に入っていても大した影響はないのに対し、0.1Vの電圧に対して1Ωの抵抗は大きな影響を与える、という感じです。
従って、回転数が上がってくると力率が向上し、その結果大きなトルクが生まれていく、ということになります。
電験3種機械の過去問H26年問15に関しての質問です。同期電動機の出力を求める時に電圧を端子の相電圧400/ルート3を代入してるのですが、同期電動機の出力は逆起電力を代入するのではないですか?同期発電機の出力を求めるなら端子の相電圧を代入しても良いとおもうのですが。
御質問承りました。
ご指摘の通り、同期電動機が出力を生み出すのは、電機子両端の電圧(電動機自体端子電圧ではなく、電機子に発生する逆起電圧)×電機子電流です。
しかし、出題に「電機子の巻線抵抗、および機械損は無視できて、力率1で運転」いう条件がありますから、電動機の端子電圧=電機子に発生する逆起電圧とみなせるいうことを前提として、端子の相電圧を用いて計算しているわけです。
平成25年度機械問4について、よく理解できないので詳細な解説を教えてください。宜しくお願いします。
電気回路の受動素子には、抵抗・コイル・コンデンサの3種類があり、
流れます。電圧×電流=電力ですが、電圧と電流に90度の位相差が生じるコイルとコンデンサは、いったん電力を受け取るものの、それを磁気エネルギや静電エネルギに変換して蓄え、そしてまた電源側に送り返すことにより、実質的な電力(有効電力)を消費しません。
さて、誘導電動機を始めとした電動機は、電線をコイル状に巻き、そこに発生する磁界を利用して力を生み出しています。したがって、電動機を電気回路に置き換えると、本質的に大きなコイルと、銅線内部の抵抗で表すことができます。ここで、いくら電動機やその他の電気機器といえども、
という原則が変わることはありません。したがって、もしも誘導電動機の内部回路を100%超伝導のコイルや部材で構成し、電気的にも100%コイル成分のみの回路にしたとすると、これは有効電力が完全にゼロとなり、全く回転しないことになります。
モーターが回転するということは、必ず力×距離の仕事を生んでいますから、無効電力100%の装置が仕事は発生させないのです。つまり、誘導電動機内部の巻線等による抵抗成分が小さければ小さいほど、巻線等に生じるジュール熱による損失は増えますが、それじゃあ完全にゼロΩの超電導材料を使って構成すると、その誘導電動機は回転力を生まないのです。
誘導電動機は、固定されたコイルの中に回転コイルを置き、固定コイルによって生じる磁束が回転コイル内を貫き、それによって回転コイルに生じる電流が二次的に作り出す磁束と、固定コイルが作る磁束の間で力を発生します。上で説明した通り、誘導電動機がどれだけの機械的出力を生み出すかは、回転コイルが持っている抵抗値に依存します。このとき、誘導電動機の一次側から見て、二次側すなわち回転コイルで消費される電力は、滑りの値とイコールになります。滑りが1、つまり回転がゼロのときは、誘導電動機に流れ込む有効電力は全て回転コイルが持っている抵抗に消費されます。軸を固定して回転が止まったままモーターに電源を入れっぱなしにすると、モーターが焼けてしまうのはこれが原因です。
また、滑りが0の場合は、固定コイルが作る回転磁界と二次コイルの回転速度が同一なので、二次コイルに発生する電圧がゼロですから回転コイルで消費される電力も当然ゼロです。
問題を見ましょう。滑り0.01で定格運転をしているので、電動機の入力電力を1とすると、0.99が機械出力、0.01が回転コイルの銅損であることが分かります。二次回路の損失が30倍になったということは、0.01×30=0.3が回転コイルの銅損であり、残り0.7が機械出力ということになります。
したがって、最初が機械出力0.99、後が0.7ですから、0.7÷0.99=約70%が答えということになります。
機械編の28講論理演算とブール代数の例題(b)の質問です。解説でz=1、z=0とおいて選択肢を検討していますが、その解説が理解できませんでした。よろしくお願いいたします。
ブール代数の計算式は、本来であれば論理式を展開して計算した結果、回答の式にたどり着くのが正しい方法ですが、さほど難しくない計算式であることと、電験3種の受験生はブール代数の計算が苦手な方が多いだろう、という推測から、「元の式に値を代入した結果と、答えの選択肢の式に値を代入した結果が同じであればいい」という逆側の発想により解説したわけです。
まず、出題の論理式でZ=0と固定すると、Zとの積は常に0になるので、残るのはX・Yのみです。この段階で、回答選択肢の②③は除外されます。つぎに、Z=1と固定すると、出題の論理式はX・Y+¬X・Y+¬X・¬Yとなるので、¬Xで括るとX・Y+¬X(Y+¬Y)となります。
ここで、(Y+¬Y)は常に1となりますから、結局¬Xが残って、出題の式はX・Y+¬Xとなります。
これは前提条件としてZ=1ですから、回答の選択肢と照らし合わせると、¬X・Zが含まれている⑤が残ることが分かります。
※¬は論理否定の記号で、¬XというのはXの上にバーが付いているものと同じ意味です。
機械H25、問13
フィードバッグ制御についての問題です。
入力と出力の関係がわかりません。
この手の問題は、2入力(V1とD)に対して1出力であり、線形のシステムですから、重ね合わせの原理を用いて計算すると答えを求めることができます。
まず、D=0としてV1とV2の関係を求めます。
どこを1と置いても良いのですが、G1の入力を1とすると、G1の出力はG1、G2の出力はG1G2、したがってV1=1+G1G2です。
つまり、
になるので、V2/V1=G1/(1+G1G2)からV2={G1(1+G1G2)}V1です。
次に、V1=0としてDとV2の関係を求めます。
V2=1のとき、G2の出力はG2、G1の出力は-G1G2ですから、このときのDは1+G1G2です。つまり、
になるので、V2/D=1/(1+G1G2)からV2={1/(1+G1G2)}Dです。
以上2つを足し合わせることで、答えが求まります。
一見、この方法でもV1とDを共に考えて1つの式で答えが求まる気がしてしまいますが、V1とDは完全に独立した入力なので相互作用は発生しません。したがって、入力対出力ごとに式を立てて、それを重ね合わせる(足し合わせる)ことで答えを求めます。
①スイッチSが「開」で運転時の電圧波形(Ed):LがあるためEdの発生時間が長くなるということは理解できますが、ダイオードがあるのになぜ電圧Edがマイナス側になるのですか?
コイルの特性について確認します。電流が流れていない状態から電圧をかけると、コイル自身に流れる電流が増加するのを嫌い、時間が経つにつれて徐々に電流が流れ出すという性質と、コイルにすでに電流が流れている場合、それを絶とうとしても電流の変化を嫌い、コイル自体が(コイルを貫いて生じている次回のエネルギーをもとにして)電圧を発生し、電流を流し続けようとする性質です。
これをもとにして、交流電源の電圧が0→最大値と増加する部分について考えると、負荷のコイルにかかる電圧も時間とともに増加し、コイルに流れる電流は90度の遅れ位相差をもって増加していきます。交流電源の電圧が最大値→0と減少する部分について考えると、これも90度の遅れ位相差をもってコイルの電流が変化(増加)していきます。
さて、交流電源の電圧が0になった瞬間について考えます。コイルは電源電圧に対して90度の遅れ位相差を持った電流がすでに流れています。コイルは、一度流れた電流を流し続けようとするので、コイルの下側にプラスの電圧を発生させます。すると、コイルの下側端子→(0Vの交流電源)→ダイオード→コイルの上側端子の順で電流が流れ続けることになります。さらに時間が進んで、交流電源が下側に+の電圧を発生させている状態になっても、コイルが発生する、コイルの下側端子をプラスとした電圧よりも、交流電源の電圧の方が低いうちは、回路に電流が流れ続けます。この状態でedの電圧を測定すると、上側端子よりも下側端子の方が高い電圧ですから、答えの波形は波形1のようになります。なお、コイルの発生電圧が交流電源の電圧よりも小さくなった時点で回路に流れる電流はゼロとなります。
(簡単化のために、より具体的に、例えばコイルの逆起電圧が下側に10V、交流電源電圧が下側に5Vとなっている瞬間をイメージしてもらえば、edがマイナスの電圧で、かつ電流が流れ続けるという状況が理解できるかと思います)
②スイッチSが「開」で運転時の電流波形(Id):Edにマイナス電圧が発生するのになぜIdはマイナスの電流が流れないのですか?ダイオードにはマイナスの電圧はかかるけどマイナスの電流は流れないという法則があるのですか?
問題の波形5に関しての疑問かと思います。これも、「コイルにすでに電流が流れている場合、その電流を減らそうとするとコイルはそれに逆らって、電流を継続させる働きをする向きに電圧を発生させる」原理で説明できます。コイルLは下向きに電流が流れるので、その電流を減らそうとする外力(電源電圧が低下する、など)に対して、下側にプラスの電圧を発生させて電流を流し続けようとします。すると、コイル-R-交流電源-ダイオード-コイルの回路が構成されるので、その途中に入っているダイオードに順方向電圧がかかればダイオードは電流を流し、逆方向電圧がかかれば電流はゼロになる、という動作以外の何物でもありません。
③スイッチSが「閉」で運転時の電流波形(Id):なぜスイッチSに電流が流れている間、Edが0Vなのですか?
ダイオードは、あくまでも「順方向に電圧がかかればいくらでも電流が流れ、その両端に発生する順電圧は非常に低い」「逆方向に電圧がかかれば、電流を全く流さない」という性質を発揮しているだけです。なので、スイッチを閉にしてしまえば、「コイルが電流を流し続けようとして下側をプラスとした電圧を発生」している間は、コイルと(スイッチで接続された)ダイオードの間で電流が循環します。ダイオードの順方向電圧は非常に低いので(この問題では、理想的なものとしてゼロVとしている)、この間のコイル両端の電圧はゼロとなります。