「仕事」カテゴリーアーカイブ

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成26年 理論 問1 過去問解説 コンデンサの基本的性質)

電験3種の理論のテキストP104の「直列接続されたコンデンサの極板間電位差は静電容量比の逆数となることから、C1とC2の極板間電位差比は2:1となるため、求める導体板の電位はVo/3となる」とありますが、なぜ逆数になるのか。また、Vo/3の求め方がわかりません。教えていただけますでしょうか。

コンデンサというのは、電流=電子が流れ込むと、極板間に静電エネルギの形で電子を蓄えるという素子です。流れ込んだ電子を蓄えた結果、極板間には電圧が発生し、流れ込んだ電荷量Qと静電容量Cを使ってV=Q/Cと表せます。何故電子を蓄えると電圧が上がるかというと、極板に電子をため込んだコンデンサは、その両端を抵抗や導線などでショートすると、ため込んだ電子を吐き出して中和する性質があるからです。外部に電子を吐き出すためには、電子を押し出す力である電圧が必要となるわけです。

コンデンサの性質を水に例えると、静電容量は容器の底面積、容器に流れ込む水が電子、容器に貯まった水の高さが電圧に相当します。そして、流れ込んだ電荷量Qは電流×時間で求められますが、水の場合も同じで、容器に注ぎ込む水の量×注いだ時間が、容器に注ぎ込まれた全水量になります。底面積が異なる(=静電容量が異なる)容器に同量の水(=同じ電荷量)を入れた場合、溜まる水の高さ(=電圧の高さ)は、容器の底面積に反比例します。

したがって、静電容量の比が2:1のコンデンサを直接につなぎ、同じ量の電荷を流すと、極板間電圧は静電容量の逆の比で1:2となるわけです。これが求まれば、2つの直列コンデンサにつながる電池の電圧がVoのとき、Vo/3と2Vo/3であれば1:2の電圧比になることが分かります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(導電率の定義、勉強の進め方)

理論のテキストp8の下から3行目、1/R+1/Rx=I/Vに何故なるのかの説明がありません。「抵抗が並列であることに着目して導電率で計算」だけでは、そもそも導電率の計算が分からない人には理解ができません。返品条件を考えて、猫電基礎や猫電数学をやる前に、まず理論のDVDの一枚目を見て質問しています。どのような授業でどのようなテキストでどれくらい理解しやすいのかを、まず理論から見たいと思ったからです。

基礎をやってからなら理解できるのならいいのですが、もしそうなら基礎のどのページに説明があるかまで教えて頂きたいです。また、毛馬内先生の授業で使用されている背景の文字はテキストに載っていないので、もし記録として残したいのであれば毎回テキストの空きスペースにメモを取らなくてはならないのでしょうか。ご回答よろしくお願い致します。

御質問承りました。導電率につきましては、猫電の14ページに説明がございます。

また、毛馬内先生の授業で使用されている背景の文字はテキストに載っていないので、もし記録として残したいのであれば毎回テキストの空きスペースにメモを取らなくてはならないのでしょうか。

この辺りの経緯について説明いたします。

電験の講座は、収録時間数も膨大となり、2週間ほど出張して収録しております。したがって、毎年新規に収録して更新、となると難しく、現在のところ2年おきに収録というペースで更新しております。それに対して、テキストの方はその年に出題された問題や、改善点などについて後から修正できますので、こちらは1年おきの更新という形になっています。

そういった状況により、DVDの中には出てこない部分が本にはあったり、その逆だったりという部分が存在します。「お宅の講座の内容とテキストだけで絶対に合格できるものを作れ」という気持ちも分かるのですが、資格試験という性質上、過去の出題から想定できないような形の応用問題が出る可能性は常にありますし、では過去出題された問題を全て頭に叩き込め、と言ったところで労多くして得るものは少ないはずです。(私事ながら、DVDではない実際の電験の講座で、「この問題は(ほとんど出題されたことはないので)飛ばしてしまって良いです」と話したところ、「実際に出題されたことがある、この講師はうそを言う低レベルの人間だ、もう顔も見たくない!」という苦言を頂戴したこともあります)

電験に限りませんが、この分野の勉強で最も大切なのは、公式を暗記することでもなく、過去問の回答を覚える事でもなく、電気の流れがイメージできるようになることだと思います。そのために、講座の中でも、水の流れや小学校の理科の実験などを引き合いに出し、身近で具体的な例との相似性を通して電気とは何か、どんな挙動をするのか、を掴んでいただこうと思って話を進めております。

電験3種の講座を開始して数年になりますが、お客様からの声が上がってきますと、やはりどうしても事前に想定しえなかった問題点や改善点などが見つかってきます。

この資格は、第二種・第一種電気工事士の上に位置する資格ですから、最低限でも第二種電気工事士を持っている、或いはその程度の前知識がある方が受講されることを前提として考えておりました。しかし、実際には様々な方がいらっしゃいますので、後から「猫電」を作りまして、まずは第二種電気工事士レベルの確認をしたうえで本講座、という形の編成といたしました。

電験3種という資格の性質を考えますと、乾電池や豆電球・オームの法則も知らない方に向けて、それこそ小学校レベルからの教材を作ってしまいますと、とんでもない分量になってしまいますし、そうなればお値段も何十万円~百万円ということになってしまいます。そんなものを作るのは無理ですし、望まれてもいないと思うのです。

そういったことを踏まえまして、受講生様からの質問を受け付け、返答するという対応を取っております。大量の質問が一気に来た時など、返答まで一週間ほど掛かってしまう事もあるのですが、無理難題でない限り対応しておりますので、何卒事情等御勘案いただき、ご理解いただけましたら幸いです。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(抵抗・コイル・コンデンサのベクトル)

理論RLC回路の電流と電圧のベクトル図を書いてみました。ご指摘をお願い致します。

図を拝見しましたが、特に問題ありません。

交流回路において、各部の波形(電圧、電流)が三角関数のsinあるいはcos波形で表されること、そしてそれらの間には時間的な位相差があるということ、そしてその位相差を保ったまま各部の波形は周期的に変化するため、どれかの波形を基準として(お描きいただいたベクトル図で言うと、抵抗に発生する電圧や抵抗に流れる電流)他者との関係を矢印で表しているということを踏まえていることが大切ですので、この調子で進めていただければ全く問題ないものと思います。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(同期発電機の三相電力・線電流・短絡比の計算)

機械のテキストP23の例題の質問です。三相発電機なので相電圧は1/√3であることを考慮して5000000/6600×√3=437.4Aとなるとあるのですが、6600×√3は線間電圧ですか?Y結線になっているのですか?回路図はどのようになっているのですか?よろしくお願いいたします。

おっしゃる通り、同期発電機の内部結線はY結線になっていることを前提としています。何故Y結線かというと、

  • 巻線の中性点がゼロV(接地電位)なので、巻線と発電機の外箱との間の絶縁耐圧が低くて済む
  • 一相当たりの誘導起電力を、線間電圧の1/√3にでき、これも絶縁耐圧的に有利である
  • 誘導起電力が低くて済むということは、界磁電流も少なくて済む

といった利点があるからです。

三相電力は、線間電圧(三相電圧)をV、線電流(三相電流)をIとして、P=√3VIで求められます。何故そうなるかというと、Y結線の一相当たりの発電電圧がV/√3、電流はI、そしてそれが三相分有りますから、3×(V/√3)×I=√3×V×Iだからです。したがって、I=P/(√3V)で電流が求まり、これよ5000000/6600√3で電流を求めています。

回路図は、三相同期発電機内部がY結線で、その一相当たりの発電電圧が(6600/√3)ボルトとなっています。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(計算式の展開)

理論78ページ上の200/√(12/3)2乗+(9/3)2乗の答えが、40になりません。8になってしまいます。計算方法を教えて下さい。


計算の順序は、まず分母の√の中の2乗から計算します。この例では12/3と9/3なので、どちらも整数にできて4と3、したがって4の2乗と3の2乗を計算し、次いでそれらの足し算、ルート、最後に分数の計算、という順序になります。

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(電気の勉強の進め方)

猫電基礎P12の件です。
標題頁等の進め方の件です。 例題 単位説明の約分の説明(なぜ単位と電線の抵抗式の約分の発想がでるのか?、又、約分出来るのか?等)が理解出来ない時は、(先生の説明は重要なので)あちこち調べて理解出来るようにしたほうが良いのか、とりあえず公式を使って進む方が良いのか?...。発想方法?と飛ばす所の判断の仕方をご教授願います。

この辺りの勉強の進め方は、人それぞれ向き不向きがありますので、絶対にこれが良い・これがダメというものはありません。理屈は良く分からないけどとにかく覚えてガンガン進めていき、なんとなく問題が解けるようになってから振り返って理屈が分かるようになる、という方も居ない訳ではありません。

しかし、特に電気の基礎理論においては、ひとつひとつ理解してイメージを掴みながら進めていく方が、結果的には良いのではないかと思います。特に、昨今はインターネットの普及により、分からない事柄でも検索サイトやWikipediaなどを頼りにしてすぐに調べることができます。これらを活用しないのは勿体無いですから、あちこち調べて理解しながら進めていただければと思います。

電気は目に見えないものですから、どうしてもイメージが掴みにくいところがあります。しかし、オームの法則のところで、水の圧力や流れの例を持ち出して話しましたように、実は身の回りの似たような事象に置き換えて考えれば分かりやすい点は多々あります。諦めることなく(と口で言うのは簡単でも、実際はなかなか難しいものですが…)勉強を進めていただければ幸いに存じます。

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(オームの法則のイメージ)

  V        水を押し流す勢いの多きさ
I=― 水が流れる量=―――――――――――
R        ホースの水の流れにくさ
はイメージできますが

V             水を押し流す勢いの大きさ
R=― ホースの水の流れにくさ=――――――――――――
I             水が流れる量

をイメージできないのですがどのように考えたらよいですか。

水道の口に細いホースを取り付けた場合と、太いホースを取り付けた場合を考えます。そして、水道の栓を開けて、ホースの先端から出てくる水の量を観察することにします。このとき、ホースが太ければ大量の水が出てきますし、ホースが細ければ水はちょっとずつしか出てきません。

ここで、観察者が、ホースの太さを知らず、どちらも水道の栓をひねった量は一定であることと、出てくる水の量だけしか分からないとすれば、当然ながら大量に水が出てくる方はホースが太くあるいは短く、水が少しずつしか出てこない方はホースが細くあるいは非常に長いことが想定できると思います。

これを数式で表すと、水が流れてくる量とホースの抵抗は反比例することが分かりますから、R=V/I、つまりRはIに反比例することが想定できるかと思います。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成25年 理論 問15b 過去問解説 力率改善コンデンサのΔ-Y変換)

P81の解説を詳しく教えてください。まず、コンデンサの場合デルタからスターにした場合に3倍になるのか後RL直列+コンデンサ並列の場合の展開をわかりやすく教えてください。急に解説なしにアドミアタンスやサセプタンスが出てきて意味がわかりませんまずアドミタンス、サセプタンスとは何ですか。またどのような時に使うのですか

まず、コンデンサをデルタからスターにした場合に3倍になる理由ですが、これは、35ページの例題と全く同じですので、35ページも併せてご覧ください。抵抗のΔ-Y変換では、Δ型をY型にする場合、抵抗値は例えば

  • Ra=RabRca/(Rab+Rbc+Rca)

で求められました。これは抵抗値(=電圧÷電流)に注目しており、コンデンサでも同様にリアクタンス(=1/jωC)を用いて変換できます。しかし、コンデンサのリアクタンスは、1/jωCの式から分かるように静電容量の逆数に比例します。

したがって、Δ-Y変換で抵抗値が1/3になるところであれば、コンデンサは逆数なので3倍の値になるわけです。

http://wp.khz-net.co.jp/?p=712

も併せて参照頂ければと思います。

RL直列+コンデンサ並列の場合の展開をわかりやすく教えてください。

この問題の回路において、Y型の1素子のインピーダンスは、7.96mHと6Ωですから、6+j2.5Ωです。これをY→Δに変換すると、インピーダンス値は3倍になりますから18+j7.5ΩのΔ型回路となります。

ここでΔ型の一素子について考えると、18+j7.5Ωと並列に(1/jωC)を入れた合成インピーダンスの虚数分がゼロとなればいいことになります。しかし、並列回路なのでインピーダンスでは考えにくいため、逆数を取ってアドミタンスで計算します。

急に解説なしにアドミアタンスやサセプタンスが出てきて意味がわかりません
まずアドミタンス、サセプタンスとは何ですか。またどのような時に使うのですか

アドミタンスはインピーダンスの逆数サセプタンスは、リアクタンスの逆数です。電気の世界では「~タンス」が色々と出てきて最初は訳が分からなくなるのですが、以下にそれらをまとめます。

  • 抵抗…電圧÷電流がレジスタンス、レジスタンスの逆数がコンダクタンス
  • コイル・コンデンサ…電圧÷電流がリアクタンスその逆数がサセプタンス
  • 抵抗とコイル・コンデンサの直列・並列回路…電圧÷電流がインピーダンス、その逆数がアドミタンス

なお、レジスタンス=抵抗値、コンダクタンス=導電率です。単位は、

  • レジスタンス・リアクタンス・インピータンスが[Ω](オーム)
  • コンダクタンス・サセプタンス・アドミタンスが[S](ジーメンス)

となります。

これらの使い分けですが、レジスタンス・リアクタンス・インピータンスは「電圧÷電流」で定義されていますから、抵抗やコイル、コンデンサなどの直列回路の場合に使いやすい値です。なぜかと言えば、直列回路では各素子に流れる電流が同一ですから、値を求める計算で割り算の分母が共通になるからです。もし分母が共通にならないと、通分する必要が出てきて、できない訳ではないですが計算が面倒になります。

コンダクタンス・サセプタンス・アドミタンスは、回路が並列になっている場合に使いやすい値です。理由は同じで、並列回路では各素子に掛かる電圧が同じですから、「電流÷電圧」を計算する場合、割り算の分母となる電圧が共通だと計算しやすいからです。