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SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成24年 理論 問7 RLC直列回路の挙動と直列共振)

H24-7 理論 の解説についてです。

掲題の解答ですが、インピーダンスが小さくなれば、抵抗Rのみ残り、電流は小さくなるとおもうのですがどうして大きくなるのでしょうか?

この直列共振回路は、暗黙の前提として、

電圧源からーR-L-C-電圧源に戻る

という回路になっているわけです。したがって、LとCの直列リアクタンスがちょうど打ち消しあってゼロになってしまえば、RLC直列部分に残るのは抵抗成分Rだけとなり、電流が最大になります。

もしこれより周波数が低ければ(極端な場合、電源がゼロHz、つまり直流電源であれば)、Lのリアクタンスは小さくなるものCのリアクタンスが大きくなり、回路全体としてのΩ値は大きくなるため、直列共振状態よりも回路電流は小さくなります。周波数が高ければ、今度はLのリアクタンスが大きくなり、やはり電流は小さくなっていきます。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(コイルが作り出す磁界と電磁誘導)

理論のテキストp116の図について質問です。

インダクタンスL1に流した電流I1によって、環状鉄心に時計周りの磁界が発生するかと思います。しかしインダクタンスL2では、最初の段階では、過度現象によって磁界の変化を妨げる向き(反時計回り)に磁界を発生させると思います。つまり最初の段階では電流I2の赤い矢印の向きは右向きになると思います。その後、発生し続ける時計回りの磁界にだんだんと根負けして、インダクタンスL2では赤い矢印どうりの電流I2が流れるかと思います。以上が図を見たときに私が考えたことなのですが、どこか誤りはございますでしょうか。あれば、何が間違っているのか教えて下さい。

まず、電流の向きの定義ですが、電気の世界においては、実際にその向きに流れる電流を正として定義するとは限らない場合があります。

例えば4端子回路網の場合、入力・出力ともに、回路の中に流れ込む電流の向きを正と定義したうえで、出力端子にはマイナスの向きの電流が流れる、として計算していくことがあります。

したがって、(感覚的には妙な感じがしますが)実際に流れる電流や発生する電圧の正負とは関係なく定義してある場合もある、とご承知おきください。

さて、それを踏まえてこの図を見ます。

電線に流れる電流が作る磁界は右ねじの法則がありますから、この図でI1の正の向きに電流が流れるとすると、おっしゃる通り鉄心には時計向きの磁界が流れます。

コイルL2に流れる電流は、鉄心に流れる磁界が増加していくときはそれを減少させるように流れ、磁界が減少していくときはそれを増加させるように流れます。

したがって、

「L1の電流が増加していく間は、I2は図の矢印と逆側に流れ、L1の電流が減少していく間は、I2は図の矢印の向きに流れる」

が正解ということになります。

そして、これに関連した疑問なのですが、理論テキストp112下図についてです。磁界の向きはN極からS極へ矢印が向くと思うのですが、電磁誘導を考えるときは、磁界の向きよりも磁界の動きの向きを考えることが正しいということでしょうか?

その通りです。上にも書きましたように、コイルに流れる電流は、そのコイルを通過して流れる磁界の増加や現象を打ち消すように流れます。

そして、これが正しいとすればp116の図において、電流によってコイルから発生する磁界は動いている磁界、逆に永久磁石に発生している磁界は動きが無い磁界ということになるのでしょうか?(実際には動いている磁界、動きが無い磁界、という言葉はないかもしれませんが…

はい、とても鋭い着眼点です。その通りです。もちろん、コイルに流れる電流を一定に保てば「動きがない磁界」になります。

要するに、磁界の強さの変化がない、ということですね。

(なので、永久磁石の場合は、永久磁石自体を物理的に動かしたり回転させることで「動きのある磁界」を作るわけです)

もし、永久磁石から発生している磁界とコイルから発生している磁界が同じものであれば、コイルの両端に永久磁石のN極、S極を置けば永久にコイルには電流が流れてしまいかねないのでは、と思いまして…

永久磁石もコイルも磁界そのものは同じですが、ここまで書いたように、その磁界の変化が電流を生み出すわけです。

なお、何故交流の波形が正弦波かというと、これは磁石を回転させることで磁界の変化を作り、それを元にしてコイルで電流を作っているからです。

SAT電験3種講座 質問回答(勉強方法)

数学理論と学習し、問題に取り組んでいますが、なかなか自分の力で答えまでたどり着けません。わかるまで何度もやればいいのかもしれませんが、なにか方法はありますか。教えてください。よろしくお願いします。

電験3種の勉強法ですが、王道は、単なる問題と答えの暗記ではなく、問題から答えに至るまでの理屈を正しく理解して解いていくことになります。もちろん、勉強にあたっての前提知識やその人にとって向いた勉強方法など様々ですから、一口でこうすれば良い、という勉強法はありません。

とはいえ、これでは余り答えになっていませんから、最も実践的な勉強方法をお答えしておこうと思います。

それはまず、直近からの試験過去問に取り掛かることです。もちろん最初は解き方なんて全然分からないとしても、どういう理屈でどのようにすれば解けるのかを、参考書や資料、ネットなどを動員して調べ、答えに至るまでを追う方法です。ハードかもしれませんが、正解に至るまでの筋道を一問ずつ理解していけば、実戦的な知識が身に着いていくかと思います。

電気の理論は難しそうですが、極めて身近にあふれているものですし、日頃使っていて慣れ親しんでいるはずのものです。私の講座でも、極力そういう身近な例を出し、具体例を見ることで直感的に分かりやすいように努めているつもりです…。

また、4科目のうち電力と法規は知識問題の多い科目です。まずはこの2科目の科目合格を確実に狙い、理論と機械は長期計画という手もあります。

どうしても直接分からないところを講師に質問したいという事であれば、メールでの質問も良いのですが、公立の職業訓練校等が開催している電験3種講座などを受講する手もあります。

私は東京都の職業訓練校で講座を持っているので東京都しか分かりませんが、

http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/school/carr_up/index.html

このページに各校で開催されているキャリアアップ講習のガイドがあります。

私は今のところ、来年1月8・14・21日に府中校で開催される「第三種電気主任技術者入門」と、7月2・9・16日に府中校で開催される「第三種電気主任技術者科目合格対策(法規)」の講師を担当します。

あまりお役に立てるような回答ではなく申し訳ありませんが、今後ともよろしくお願いいたします。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(他励式直流電動機の性質)

電験3種電気主任技術者テキスト機械編のP7の項目でテキスト上から3行目「界磁電流は、電機子とは無関係~(省略)~逆起電力が大きくなるため回転数は低下する」と書いてあり、ここの部分は、電機子が強い磁界を通過すると、逆起電力も大きくなって回転数は低下するのかなと思ったのですが、DVDでは(DISK1 34:27)では、励磁増加すると回転数は低下すると書いてあり、励磁は増加するとコイルの磁界が強くなり回転数は増加するイメージがあるのですが、フレミングの左手と右手の法則は同時に存在するので、コイルの磁界が増加した分だけその時に通過する力も大きくなり、逆起電力が上昇して回転数が下がると考えたら いいのでしょうか?

基本的には、その考え方で間違いはありません。

電動機の出力は、電機子の逆起電圧×電機子電流(電圧×電流なので単位はワット)で求められます。さらに、この逆起電圧は、電機子に外部から与えられた界磁磁束の強度×回転数で求められます。(フレミングの右手の法則とファラデーの電磁誘導の法則)

ここで、他励電動機において励磁を増加させると、回転数がそのままであれば逆起電力が増加してしまうため、回転数を下げて逆起電力を下げるように働き、その結果回転数が低下するわけです。

とはいえ、電動機の回転数を決定するのは、現実的にはそれ以外の要素もあります。例えば、機械的負荷が、回転数に関わらず一定トルクなのか、それとも回転数に比例してトルクが必要なのか、あるいはその逆なのかによって電動機の回転特性は大きく異なってきます。

しかし、そこまで考えると複雑になりすぎてしまうため、電験3種の試験では、特殊な状況は考えず、基本的な原理を押さえておけば大丈夫、ということになろうかと思います。

励磁は増加するとコイルの磁界が強くなり回転数は増加するイメージがあるのですが、

はい、確かに電動機の励磁が強くなると回転力が強くなるから回転数も上昇するイメージがあるのは分かります。

フレミングの左手と右手の法則は同時に存在するので、コイルの磁界が増加した分だけその時に通過する力も大きくなり、逆起電力が上昇して回転数が下がると考えたら いいのでしょうか?

ここは、電源電圧が一定であるというのがポイントです。

電機子巻線に流れる電流は、電源電圧から電機子の逆起電圧を引いた差の電圧を、回路の巻線抵抗で割った値になります。

従って、何をどうやっても逆起電圧は電源電圧以上にはなりえません。(電動機を発電機として使用する場合は別です)

従って、界磁を強くして逆起電圧を大きくすると、必ず回転数は下がり、電源電圧以下の逆起電圧になるように動くわけです。

SAT電験3種講座 電力 質問回答(電験3種 平成21年 電力 問1 水力発電所のエネルギ計算)

電力のP7の例題ですが、発電機の定格出力がKWになっております。文章からすると通常KVAの記載で負荷が80%ということは力率が0.8ということになり、KWとになると思います。P=WcosΘ W:VA ご回答お願いします。

次にP9の例題ですが、水の密度の記載がもれています。解答から判断し1000kg/m^3と思われます。よろしくお願いします。

この例題ですが、これは電験3種の平成21年問1の出題問題からの引用です。

ご指摘の通り、発電機の定格出力については皮相電力で表されていることが多いですが、この問題については国家試験の出題もkW単位での出題となっておりましたので、難しく考えることなくそのまま2500kW×0.8で2000kWということで宜しいかと思います。

また、水の密度は実際の試験問題ではもちろん記述されておりますが、その前のページに「1㎥の水の質量は1t」と記述しておきましたので、それで宜しいかと思い省略した次第です。

2017年版 SAT電験3種講座テキスト誤植訂正(理論編17ページ)

理論編のテキストの17ページのBのループの方程式についてです。図を見て考えればテキストに書いてある式になるのは分かるのですが、赤い文字の説明を式にすると、80(i2-i3)になると思うのですが、どうでしょか?よろしくお願いします。

テキストの該当箇所を確認しましたが、ご指摘通り、赤文字の解説文の誤植でございます。

  • 「80Ωの抵抗には下から上にi2、上から下にi1

と訂正の上お詫び申し上げます。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成28年 理論 問1 点電荷による電位の計算)

H28年 理論A1

ビデオの解説を見ましたが、何回見てもよくわからないので解説お願いします。両辺をqで割って2乗しての部分が、同じになりません。計算の説明が飛んでいて、自分で再現できないので、詳細おねがいします。そしてその答えが、4番だということですが、どうしてBの電荷のところの形が丸になるのか?よろしくおねがいします。

x,y平面上で、ある点(x1,y1)と(x2,y2)の間の距離は、ピタゴラスの定理から√((x1-x2)^2+(y1-y2)^2)で求められます。

つまり、x座標の差の2乗とy座標の差の2乗を合計し、ルートを取った値になります。

これを念頭に置くと、ある点(x,y)と点Aの間の距離は、

  • √((x-2d)^2+y^2)

点Bとの間の距離は、

  • √((x+d)^2+y^2)

となります。Qクーロンの点電荷から距離r離れた点の電位は、k・(q/r)ですから、ある点における電位は、

  • {2Q/√((x-2d)^2+y^2)} + {-Q/√((x+d)^2+y^2)}

で表されます。電位が0Vとなる条件は、この値がゼロになることなので、

  • {2Q/√((x-2d)^2+y^2)} + {-Q/√((x+d)^2+y^2)}=0

より、

  • {2Q/√((x-2d)^2+y^2)} ={Q/√((x+d)^2+y^2)}

となります。

等式は、両辺に同じ値を掛けても成立しますから、両辺に

  • {√((x-2d)^2+y^2)}・{√((x+d)^2+y^2)}

を掛けると、

  • 2Q√((x+d)^2+y^2) = Q√((x-2d)^2+y^2)

となります。(御質問より、ここまでは大丈夫かと思います)

この両辺をQで割ると、

  • 2√((x+d)^2+y^2) = √((x-2d)^2+y^2)

となり、両辺を2乗すると、

  • 4((x+d)^2+y^2)=(x-2d)^2+y^2

最初の項のカッコを外すと、

  • 4(x+d)^2+4y^2=(x-2d)^2+y^2

となります。

ここで、中心が(a,b)であり半径がrの円の方程式は

  • (x-a)^2+(y-b)^2=r^2

で表されることを念頭に置いて展開しまとめると、解答にあるように

  • (x+2d)^2+y^2=(2d)^2

となり、「中心が(-2d,0)で半径が2dの円の方程式」が導出されるわけです。

 

【2017/7/10追加】

赤字部分の展開を追加で掲載しておきます。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(電験3種 平成19年 機械 問1 過去問解説 直流直巻電動機の性質)

機械編9ページの例題「直流直巻電動機」について理解できないので教えて下さい。電磁誘導の法則ということで E=kφN がでてきてNを巻き数と言っています。ところが機械出力P=EI=k’NI^2のあとは、Nのことを回転数と言っています。巻き数と回転数とはイコールなのでしょうか?また機械出力 P=EI と 逆起電力 E=kφN からいきなり N=E/kI となっています。φが消えてしまっています。これはφとIは比例関係にあるためでしょうか。

この部分はご指摘の通り、端折り過ぎたり記号の使い方が適切ではなくて混乱を与えてしまっている箇所と認識しています。

改めて、一から解説いたします。

まず、磁束密度φの中をコイルが回転するときに発生する電圧は、磁束密度φと回転速度とコイルの巻き数に比例します。ここで、巻数も回転速度も記号N(もしくはn)とすることが多いため、ビデオ内でE=kφNのNを巻数と言ってしまいましたが、ここでのNは回転数の誤りです。

従って、E=kφNのkは比例定数(もちろんコイルの巻き数にも比例しますし、コイルが磁束内を貫く断面積にも比例するので、これらを合わせた比例定数ということになります)、φは磁束密度、そしてNは回転数と訂正いたします。

次に、P=EIですが、これは「電力=電圧×電流」に対応しています。つまり、機械的出力は、コイルに発生する逆起電圧とコイルに流れる電流の積と等しいことになります。この式にE=kφNを代入すると、P=kφNIとなりますが、「直流直巻電動機は、界磁巻線に流れる電流と電機子に流れる電流が同一」であることから、界磁磁束の密度φは、実は電機子電流Iに比例します。

従って、φ=aI(aは比例定数)として、P=kφNI=akNI^2となり、ここで定数akを新たにk’として、P=k’NI^2が求まります。

この式をNについて解くと、N=P/(k’I^2)となり、P=EIを代入するとN=E/k’Iが求まり、ここで電機子回路・界磁回路の直列抵抗をr、電源電圧をVとすると、電機子の逆起電圧E=V-rIであることから、N=(V-rI)/k’Iと表すことができます。

この電動機を無負荷で回転させるということは、出力電力P=0であることを意味します。P=EIより、E=0かI=0になればこの条件を満たします。

まず、N=E/k’I=(V-rI)/k’IにおいてE=0とすると、これは電機子巻線の逆起電圧がゼロであることを意味するので、E=kφNより界磁磁束がゼロか回転数Nがゼロである必要があります。ここで回転数がゼロの場合、電機子の逆起電圧はゼロなので、回路には電機子回路・界磁回路の直列抵抗をrとしてV/rの電流が流れます。この電流は界磁巻線にも流れますから、必ず界磁磁束が発生し、回転トルクが生まれて電動機は回転を始めます。したがって、回転数Nも界磁磁束もゼロという条件は構造上成立しません。

次に、I=0の条件を考えます。このとき、N=E/k’IにおいてI=0とすると、Nは無限大に発散することが分かります。つまり、直流直巻電動機は、無負荷で電源電圧を与えるとどんどん回転数が上昇し、やがて回転子が遠心力に耐えられなくなり壊れてしまうわけです。

以上、私の喋り間違いのほか詳しい解説を端折ったためご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成24年 理論 問16 Δ-Y回路に流れる線電流と位相差)

平成24年度理論過去問の問16について、下記解説の中に疑問があります。I1が接続されている負荷Z=5√3+j5Ωの両端の電圧(青矢印)を求める際に、図の、スター結線上にベクトルを表現し計算をしていますが、なぜそれが可能なのでしょうか。電源電圧をデルタ結線からスター結線に変換する際に位相を考える時、なぜ上記のようなスター結線上でのベクトル計算が可能になるのかが分かりません。

結論から言いますと、三相各相の位相差120°と、回路図の接続方法が幾何学的に同一になっているからです。

まず前提として、ベクトルは平行移動が可能であるということを念頭に置きます。

交流発電機は、円周上をグルグル回転する円上の点の高さを取った値であるsin波形の電圧を発生しています。そこで、電圧波形などはある瞬間で時間を止め、その時の波形のベクトルを用いて互いの関係を表現します。

ここで例えば、Eaが配線図の角度のように、基準から時計回り120°の電圧を発生させている瞬間を考えます。

このとき、EcはEaに対して-4π/3、つまり-240°ですから+120°をEaに足して240°の電圧を発生していることになります。

同様にして、EbはEaに対して-120°ですから、真右方向の電圧ベクトルになります。

これらは、丁度この回路図の互いの角度関係とぴったり同じになっているため、回路図上にベクトルを立てて負荷側に平行移動し、Δ電源からY負荷を接続した場合の電圧位相の関係を求めることができたわけです。

このように、三相各相の位相差を、回路図上にそのまま表現できることを利用すると、ベクトルを用いた位相計算が直感的に分かりやすくなるのではないかと思います。