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電験3種過去問解説 平成25年電力問1

知識問題は、知っていれば即座に解けるし知らなければ解けないという問題です。電力では比較的知識問題の比率が高く、知っていれば確実に得点源にできるので是非覚えておいて頂きたいものです。

発電用水車は、水車の周りが全て水で満たされていて、その水が移動することによる圧力で回転する反動水車と、空中でノズルから発射された水がぶつかることで衝撃力を受けて回転する衝動水車に大別されます。衝動水車の代表例がペルトン水車です。反動水車の代表的なものは、プロペラ水車やカプラン水車、フランシス水車などです。流水が軸方向に通過するのはプロペラ水車で、詳しくは「プロペラ水車」「フランシス水車」「ペルトン水車」などの語句でネット検索して構造図を見ておくとよいでしょう。

主に小出力発電用として小水量・低落差で使用する水車の代表的なものはクロスフロー水車です。これもネット検索で図や写真を見ておくとよいでしょう。答えは(4)です。

電験3種過去問解説 平成23年機械問15

(a)

定格電圧より、巻数比は20:1であることが分かります。これを用いて二次側の巻線抵抗と漏れリアクタンスを一次側に変換します。インピーダンスは巻数の2乗ですから、

  • 0.0005×400=0.2
  • 0.0015×400=0.6

これと一次巻線抵抗を合わせると、0.4+j1.2Ωと変換できます。

定格運転時、一次電圧・電流は2000V・50Aです。

百分率インピーダンス降下というのは、定格運転時の負荷インピーダンスに対して、変圧器の巻線抵抗・リアクタンスがその負荷インピーダンスの何パーセントであるかという値ですから、まず定格運転時の負荷インピーダンスを求めます。

ここでは巻線インピーダンスを一次側に換算したので、一次側の目線で考えると2000V÷50A=400Ωが負荷インピーダンスです。これに対して0.4+j1.2Ωの割合を考えると、抵抗分が1%、リアクタンス分が3%です。

この二乗平均を求めると、約3.16%と求まります。答えは(2)です。

(b)

電圧変動率の簡易式、pcosθ+qsinθを用います。

1%×0.8+3%×0.6=2.6%と求まります。

電験3種過去問解説 平成28年機械問17

(a)

比熱がcで質量mの物体の温度をt上昇させるために必要な熱量Qは、Q=mctで与えられます。これに則って計算するだけです。

Q=460×4.18×(88-17)=136518.8[kJ]≒137[MJ]

答えは(2)です。

(b)

1W×1秒=1Jという関係を利用します。

また、COP値とは、消費した電力量の何倍の熱量が得られるかという値ですから、この装置は消費電力の4倍の熱量が得られることになります。

以上より、

t×1340×3600×4=136518.8×1000

が成立し、これよりtを求めると約7.07時間となります。答えは(2)です。

電験3種過去問解説 平成24年機械問15

(a)

S1とS4がONになっているときS2とS3はオフなので、S1とS4のトランジスタを導線に置き換え、S2とS3を完全に切り離した回路を考えると、これは電池EとRLの直列回路だということが分かります。したがって、最初は電流が小さく、次第に増加していくはずです。また、idとioは全く同じ波形になるはずですから、波形は(ア)と(エ)しかあり得ません。

S2とS3がオンの場合も同じですが、ただしidとioの波形はプラスマイナスが逆転した波形になります。これも(ア)と(エ)の組み合わせにある通りです。

(b)

誤っている記述は(4)

「ダイオードが導通することによって得られる逆電圧でパワートランジスタを転流させている」というのは誤りです。

トランジスタは、エミッタ・コレクタ間の逆耐圧が大変低いため、このダイオードが入っていないと、スイッチング時にコイルに蓄えられていたエネルギによる逆電圧でトランジスタが破損してしまいます。これを防ぐためにCE間にダイオードを入れ、トランジスタの破損を防いでいます。

電験3種過去問解説 平成24年機械問14

NOT・AND・ORの動作を理解していれば、Xの出力は直ぐに求めることができるかと思います。問題はYの出力です。

Yの出力は、

  • BとCのNAND
  • AとCのNAND
  • AとBのNAND

の3出力のNANDです。真理値表を作れば確かにすぐ求まる問題なのですが、ここではド・モルガンの法則を用いてみます。

ド・モルガンの法則をブール代数の式で表すと何やら難しい式になってしまうのですが、この法則を視覚的?に言えば、

  • ANDは、入力・出力全てを反転させたORに置き換えられる
  • ORは、入力・出力全てを反転させたANDに置き換えられる

という事になります。つまり、Yにつながる3入力NANDは、入力の3本に否定を入れて、出力の否定を取り去ったORに置き換えられることが分かります。

このようにして回路を置き換えると、Y出力はAとBのANDと、BとCのANDと、そしてAとCのANDの3出力を単純にORしただけだと分かります。これより、Y=1が求まり、答えは(1)となります。

電験3種過去問解説 平成25年機械問13

フィードバック制御のブロック線図についての問題は、どこかを「1」と置き、そこから各部の値を求めていくことで入力と出力の関係を求めれば解くことができます。

ただし、この問題のように入力が複数(フィードバック系から見ると、V1とDの2つが入力、V2が出力)ある場合、それらが互いに独立しているのであれば、

  • D=0としてV1に対する出力V2
  • V1=0としてDに対する出力V2

の重ね合わせが答えとなります。

そんな事をしなくても、V1とDを一つの式に入れてしまっても求まるような気がしてしまいますが、そうやって立てた式は、V1がある値のときにDの値が決定されてしまう、またはDがある値のときにV1の値が決定されてしまうというように互いに相関が発生してしまうので、誤った答えとなります。

 

では、まずD=0としてV1に対するV2の値を求めます。

フィードバック系のどこを「1」と置いてもいいのですが、ここではG1の出力を1とします。するとV2=1で、G1の入力は1/G1です。G2の出力はG2ですから、V1は、「G2を引いたら1/G1になる値」なので、G1の値はG2+1/G1です。この式をV2=の形にすると、V2=G1V1/(1+G1G2)となります。

同様にして、V1=0としてDとV2の関係を求めます。V2=1とすると、G2の出力はG2、そしてG1の入力は-G2です。したがってG1の出力は-G1G2ですから、Dの値は「-G1G2+D=1」となれば辻褄が合うので、D=1-G1G2です。

以上よりDとV2の関係を求めると、V2=D/(1+G1G2)となるので、2つの式を重ね合わせた(5)が答えとなります。

電験3種過去問解説 平成27年機械問10

チョッパ回路には降圧チョッパや昇圧チョッパ、それぞれ複数の回路構成がありますが、各々の回路に対して出力電圧の公式を暗記するのではなく、回路を正しく理解すればすぐに答えが求まります。

まず、この回路で通流率(スイッチがONになっている時間の割合)d=0の場合、当然のことながら負荷抵抗に掛かる電圧はゼロで電流もゼロです。次にd=1の場合を考えると、これは電源電圧がそのまま負荷抵抗に掛かりますから、負荷抵抗に掛かる電圧は400V、つまり抵抗に流れる電流は40Aです。

以上のことから、通流率と抵抗に流れる平均電流は比例することが想定できますから、

d=0でi=0A

d=1でi=40A

d=0.6でi=24A

となり、答えは(4)です。

電験3種過去問解説 平成28年機械問11

電気エネルギは1W×1s=1J、位置エネルギはmghで与えられることを利用します。

題意から、釣合い錘は600kgです。したがって、定格積載質量を載せた状態では、1200kgのかご(エレベータ本体)と600kgの釣合い錘を上下させていることになります。エレベータ上昇時は釣合い錘が下降するので、差し引きすると600kgの質量の物体をモーターで上下させていることと等価です。

さて、このエレベータを90m/minで上昇させているとき、1秒間では1.5mの上昇率であることが分かります。したがって、このエレベータの動力は、

  • 1秒間に600kgの物体を1.5m上昇させるエネルギ

を出せば良いことになります。この時1秒間に増加する位置エネルギは、

  • 600×9.8×1.5=8820[J]

です。題意より機械効率が75%なので、

  • 8820÷0.75=11760[J]

となり、1秒間に11760J、つまり11760Wの電動機を用いれば良いことになるので、答えは(3)となります。

 

電験3種過去問解説 平成28年機械問10

太陽光発電システムは、太陽電池によって得られる直流電力を元にして、直流電力を交流電力に変換するインバータ、各種保護装置などを介して商用電力系統に対して電力を供給します。この時用いられる、インバータと各種保護装置を一体化した装置をパワーコンディショナと呼んでいます。

太陽電池そのものの構造は、PN接合ダイオードと変わりません。このPN接合面に外部から光を照射すると、光のエネルギーを受け取った電子が移動し、電位差が生まれます。この電位差を取り出すのが太陽電池の仕組みです。これを光起電力効果とも呼びます。

太陽電池の負荷特性は、特徴的な性質を持っています。太陽電池から取り出す電流を増加させていくと、ある点まではほとんど電圧が低下しませんが、ある点を超えると一気に電圧が低下してしまうという性質(グラフ図3b)を持ちます。太陽電池から取り出す電力についてのグラフを描くと、グラフは図4aのようになります。

この「ある点」の電流は、そのとき太陽電池に照射している光量によって刻々と変化します。したがって、常に最大電力を取り出すためには、その瞬間瞬間の太陽電池の状態に合わせて取り出す電流を最大公立店にトラッキングする制御が必要となります。このような制御は、昔は難しいものでしたが、現在は高性能な半導体素子(1チップマイクロコンピュータなど)の出現によって安価に実現することができるようになりました。この制御は、MPPT(Maximun Power Point Tracking)と呼んでいます。

 

電験3種問題解説・平成26年・機械・問8

電力でも類似式が出てくる、

  • V=I(rcosθ+xsinθ)

を用いる問題です。Iは負荷電流、rは直列インピーダンスの抵抗分、xは直列インピーダンスのリアクタンス分、cosθは力率、sinθは無効率です。これに題意の値を入力すると、

  • Ir=1000×0.001=1.0V
  • Ix=1000×0.003=3.0V

ですから、定格二次電圧100Vに対してそれぞれ1%と3%です。

電圧変動率は、

  • I(rcosθ+xsinθ)÷100=(0.8+1.8)÷100=2.6%

となり、答えは(5)です。