「平成30年理論」タグアーカイブ

電験3種過去問解説 平成30年理論問18

(a)

  • 150Vの端子で測定した場合、計器に流れる電流は101/15000[A]
  • 100Vの端子で測定した場合、計器に流れる電流は99/10000[A]

であることはすぐに求まります。ここで重要なのは、電源が電流源ですから計器をつなぎ変えたことによって計器側に分流して流れる電流が変化し、その変化分がRに流れることで測定値2[V]の差が生まれているという点です。

ものすごく単純化して分かりやすい話をすると、電流源に接続されている未知の抵抗に対して、

  • 内部に1A流れる計器を並列にして測定したら計器の読みが20V
  • 内部に2A流れる計器を並列にして測定したら計器の読みが10V

だったとします。このとき、前者と後者では未知抵抗に流れる電流に1Aの差が生まれ、この差によって20Vと10Vの測定値の差が生まれた…したがって抵抗は10Ω、ということは直感的に分かるかと思います。これと同じ原理です。

したがって、本問では(99/10000-101/15000)[A]の電流差に対して2Vの電圧差が生じていることより、

R=2÷(99/10000-101/15000)≒631.6

となり、答えは(5)と求まります。

(b)

Rが求まったので、あとは余裕です。

  • 631.6Ωと15000Ωの並列抵抗に電流を流したら101V発生した

ということより、オームの法則から約0.17Aと求まります。答えは(2)です。

 

ふー、ようやく理論終わった~。

電験3種過去問解説 平成30年理論問17

(a)

コンデンサの静電容量は、極板間距離に反比例して誘電体の誘電率に比例します。したがって、極板間距離4dで比誘電率4のコンデンサと、極板間距離dで比誘電率1(空気)のコンデンサは同一静電容量となるので、全体で見ると同一静電容量のコンデンサが2個直列になったものと見なせます。このことより、誘電体コンデンサと空気コンデンサの境目である、距離4dの部分の電位はV0/2となるので、これを満たすグラフは(3)です。

(b)

空気ギャップ長が1mmですから、この部分の電界が2.5kV/mmということは、空気コンデンサの電圧が2.5kVであることを意味します。したがって、誘電体コンデンサには10kV-2.5kV=7.5kVの電圧が掛かっていることになります。コンデンサの直列の場合、電圧配分は静電容量の逆比になるので、このときの誘電体コンデンサの静電容量は空気コンデンサの1/3ということになります。

誘電体コンデンサの極板間距離は4dなので、これを等価的に3dと見せる比誘電率の誘電体を挿入すれば良いことになるので、比誘電率は4/3≒1.33となり、答えは(3)です。

電験3種過去問解説 平成30年理論問16

(a)

トランジスタは、もっとも単純に考えれば、B→Eに流れる電流のhFE倍の電流がC→Eに流れる素子です。また、B→E間はPN接合と同様、約0.7Vの電圧降下を持ちます。

これを念頭に置いて問題の条件を見ると、「ベース電流はR2を流れる直流電流より十分小さく無視できる」ため、トランジスタのベース電圧は、単純にR1とR2の分圧で決定されることが分かります。したがって、ベース電圧は

  • 10×82/(18+82)=8.2[V]

と決定されます。また、B→Eの電圧降下を考えると、REの両端の電圧は7.5Vです。

したがって、

  • 7.5V÷1mA=7.5kΩ

となり、答えは(3)と求まります。

(b)

理論計算でも求められますが、エミッタホロワ回路のトランジスタの入力インピーダンスは非常に高いということを知っていれば、入力から見たインピーダンスは、事実上ほぼR1とR2の並列抵抗となり、(82×18)/(82+18)=14.76≒15[kΩ]となり、答えは(2)と求まります。

【理論計算をする場合】

トランジスタの入力インピーダンスを求める方法は次の通りです。(図にしました)

まずhieである2.5kΩの両端をvとすると、ib=v/2500となります。また、REには題意より101ibが流れるので、REの両端に発生する電圧v’は101ib×7500=757500ibとなります。

トランジスタの入力インピーダンスは、(v+v’)をibで割ればいいので、これを求めると760000となり、約760kΩと求まります。この760kΩと18kΩと82kΩの並列が入力インピーダンスですから、14.48≒15kΩとなり答えが求まります。

電験3種過去問解説 平成30年理論問15

(a)

スイッチS1だけを閉じた場合、EbとEcと10Ωが環状に接続された回路となります。題意より、EbとEcは120°の位相差があり、さらに電圧の基準点(EbやEcのベクトルの開始点。回路図でいうと下側の端子)同士が接続されていることから、EbとEcの関係は三相交流のY結線のうち2相を取り出したものと同じ関係であることが分かります。

従って、R1に掛かる電圧はY結線の線間電圧と同じですから、100√3Vになるので、R1に流れる電流は10√3≒17.3Aであり、答えは(4)です。

(b)

スイッチS2だけを閉じた場合、電圧の向きを考えるとEa+Eb-Ecの電圧がR2に掛かることになります。ここでEa・Eb・Ecは互いに120°ずつ位相差がある電圧なので、ベクトル図は次のようになります。

 

 

つまり、Ea+Ebは、Ea・Ebの間の角度が120°なので正三角形の二辺となり、Ea+EbはEaの始点からEbの終点に至るベクトルになります。正三角形なので、この電圧は100Vです。また、-Ecは、Ecの始点と終点を逆にしたベクトルを足せば良いのでEcの逆ベクトルを求めると、これはEa+Ebと同じベクトルになります。したがって、Ea+Eb-Ecの大きさは200Vとなるので、R2には200Vの電圧が掛かることになります。したがって、電力は2000Wと求まります。答えは(4)です。

電験3種過去問解説 平成30年理論問14

(1)…正しい。Q[C]=C[F]・V[V]より、[F]=[C]/[V]

(2)…正しい。[W]×[s]=[J]より、[W]=[J]/[s]

(3)…正しい。[S]=[1/Ω]=[A]/[V]

(4)…正しい。参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%A9_(%E5%8D%98%E4%BD%8D)

(5)…誤り。参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%90

電験3種過去問解説 平成30年理論問13

ダイオードクリッパ回路やスライサ回路は、必勝法があります。それは、ダイオードが順方向になる条件と逆方向になる条件に分け、順方向の場合はダイオードを単なる導線として短絡した回路に置き換え、逆方向の場合はダイオードを完全に切り離した回路に置き換えることで回路全体の挙動を求めることができます。

  • ダイオードが順方向となる場合

図に描きました。

例えば回路(a)で考えると、

viのマイナス端子を0[V]とする→電池の+端子をE[V]とする→抵抗Rの上側をE[V]とする→ダイオードの左側を「E[V]より大」とする

ことにより、「入力電圧viがE[V]より大のときダイオードが導通する」ことが求まります。

同じ手法で、

  • (b)は入力電圧viが-Eより小でダイオードが導通
  • (c)は入力電圧viがEより小でダイオードが導通
  • (d)は入力電圧viがEより小でダイオードが導通
  • (e)は入力電圧viがEより大でダイオードが導通

することになります。

次に、ダイオードが導通(=導線と同じ)したときと非導通(=ダイオードを回路から切り離し)の時の回路を描くと、

  • (a)はダイオードが導通で入力電圧がそのまま出力
  • (b)はダイオードが導通で入力電圧がそのまま出力
  • (c)はダイオードが導通で入力電圧がそのまま出力
  • (d)はダイオードが導通で出力はEに固定
  • (e)はダイオードが導通で出力はEに固定

となります。これらを組み合わせると、

  • (a)は入力電圧viがEより大で入力電圧がそのまま出力
  • (b)は入力電圧viが-Eより小で入力電圧がそのまま出力
  • (c)は入力電圧viがEより小で入力電圧がそのまま出力
  • (d)は入力電圧viがEより大で入力電圧がそのまま出力
  • (e)は入力電圧viがEより小で入力電圧がそのまま出力

となり、出題の図より回路全体の挙動として「入力電圧viがE[V]より大で入力電圧がそのまま出力」されれば良いので、これに当てはまる回路は(a)と(d)になります。答えは(3)です。

電験3種過去問解説 平成30年理論問12

磁界中で電流が受ける力は、フレミングの左手の法則に従います。ここで、電流の向きと電子の運動は互いに反対ですから、この図において電流は左向きに流れていることと等価です。このことから、左手の人差し指に磁界、中指に電流を対応させると、親指は向って上を向くことから、電子の運動はaの向きになります。

電子が受けるローレンツ力の大きさはBevです。また、等速円運動において、円の中心に向かう加速度はv2/rなので、これとローレンツ力による加速度が等しいとおくと、

  • v2/r=Bev/m

が成立します。これより等速円運動の半径rを求めると、

  • r=mv/Be

となります。電子が円周を一回転するのにかかる時間は、円周長を速度vで割ればいいので、

  • 2πr/v=2πmv/Bev=2πm/Be

が求まります。ここまでの考察で答えは(5)と求まります。

電子を磁界と平行に放出すると、電子は力を受けませんから初速度vのまま等速直線運動となります。

電験3種過去問解説 平成30年理論問11

(1)…誤り 電流はアノード→カソードですから、電子はカソード→アノードです。

(2)…誤り LEDは順電圧で発光します。

(3)…正しい

(4)…誤り 逆電圧が大きいほど空乏層は広がるため、極板間隔が広がるのと等価で静電容量は小さくなります。

(5)…誤り サイリスタはアノード・カソード・ゲートの3端子素子です。

電験3種過去問解説 平成30年理論問10

RC直列回路の時定数はR×Cで求まります。ちなみに、RL直列回路の場合はL/Rです。

数学的には、電流波形がe(-t/τ)の形(もしくは1-e(-t/τ))となる時のτの値なのですが、電験3種の場合はその結果であるR×CもしくはL/Rを覚えておけばよいです。

RCだか1/RCだか、L/RだかR/Lだか分からなくなった時は、RC直列の場合はRが大きいほど、そしてCも大きいほどゆっくり充電されるため、いつまで経っても波形はゆっくり変化し続けること、そしてRL回路ではLが大きいほど、そしてRが小さいほど波形がゆっくり変化することを思い出せばよいでしょう。

したがって、答えは0.5×1=0.5となり、(1)が正解です。

電験3種過去問解説 平成30年理論問9

LCが並列に接続されているので、並列共振の問題です。

共振周波数は1/2π√LCで求まりますから、ここにL=2H、C=1.5Fを代入すると

  • f=1/2√3π

となります。並列共振時、LC並列部分のリアクタンスは無限大となるので、このときの回路はLC部分が切り離され、10Vの電源に1Ω+1Ωが接続されただけの回路となります。したがって流れる電流は5Aです。また、並列共振時はLC並列部分は完全に切り離したものと等価ですので、当然電圧と電流の位相差はゼロです。

以上より、答えは(3)です。