SAT一陸特講座 質問回答(デジタル変調の概念)

概観的な質問です。

多重通信の流れが分かりません(各セッションの繋がりが掴めません)

アナログ通信(アマチュア無線国家試験で出てくる送受信機のブロック構成図など)との比較で、デジタル変調や多重接続がどの部分にあてはまるのでしょうか。符号化することが、デジタル変調でしょうか?

まず、アナログ情報をデジタル情報に;ここが符号化?ここで符号化したデジタルデータをQAMなどでデジタル変調?デジタル変調した信号を、電波に乗るようにさらに変調(BPSKとかQPSKとか)それを、多重接続方式(TCMAやCDMA、OFDM方式)で電波に乗せて、その信号を復調して、符号化されたデジタル信号へ、これを、さらに、復調(デジタル-アナログ変換;ここの方式名は?)して、アナログ信号???といった順序でしょうか?

できれば、代表的な多重通信で、入力信号が、相手側に出力されるまでのブロック構成図を描いていただけますでしょうか。また、その時の処理している信号がアナログなのかデジタルなのかの区別もお教えください。また、空間を伝送中の搬送波はAM、FM、PM波のいずれかになるのでしょうか(アマチュア無線の経験しかなく、どうしてもSSB単信のイメージと比べると信号処理の手順がわかりません)

まず、デジタル変調とアナログ変調の違いですが、デジタル信号(1か0か、もしくはそれらの組み合わせの00、01、10、11など)で搬送波(平たく言えば高周波信号、要するにアンテナから電波となって飛んでいく高周波信号)を変調すれば、それがAMだろうとSSBだろうと、あるいはFMだろうとデジタル変調になります。

符号化というのは、送りたいデジタル信号を、何らかの規則に従ってデジタル符号に変換する操作です。…と言っても抽象的なので、具体的な例を挙げます。

コンピュータの画面上で、「abcdefg….」といったアルファベットを入力し、それをデジタル無線で相手まで転送することを例に挙げます。

もちろん電波の形が直接「a」とか「b」になる訳ではないので、「a」「b」…に対応したデジタル信号に変換します。良く使われているのはASCIIコードと呼ばれていて、たとえば「a」であれば16進数の61、「b」なら16進数の62といった具合です。これを2進数に直すと、16進数の61は01100001、16進数の62は01100010となります。ここで初めて、例えば「01100001」が送られてくればそれはアルファベットの「a」である、という共通認識ができました。これが「ASCII符号化」です。

この信号をのまま電圧変化に変えて、例えば「0V-5V-5V-0V-0V-0V-0V-5V」として振幅変調や周波数変調を掛けて電波に乗せれば相手にデータが伝わりますが、これでは効率が悪いため、例えば0Vと5Vだけではなく、0Vが00、1Vが01、2Vが10、3Vが11…のような決まりを作れば、「01100001」は「1V-2V-0V-1V」の電圧変化で済みます。つまり信号を圧縮することができ、従来の半分の時間でデータを送ることが出来るようになります。これも符号化の一種です。このように、何かの決まり事を作ってデータの形を返還することが符号化で、符号化の結果データを送るための時間を圧縮できたり、暗号化したりすることができるようになります。

上の例で示したような手法でデータ送信にかかる時間を短くすれば、残りの時間を他の送信者が利用することができます。また、例えば「01100001」の信号を送るとき、ある送信者は0を500Hz、1を750Hzに置き換え、別の送信者は0を1000Hz、1を1250Hzに置き換え、またある送信者は0を1500Hz、1を1750Hzに置き換え…という符号化を行うことにより、同時に複数の送信者が同じ電波を利用して信号を送り、受信側では周波数フィルタ(BPF)を使うことで送信者ごとに信号を分離することができます。このような原理を利用して同じ帯域を複数の伝送路が共用するのが多重接続で、これを多地点から同時に行う(携帯電話の基地局と移動端末との関係がこれです)のが多元接続です。

まず、アナログ情報をデジタル情報に;ここが符号化?

はい、アナログ信号をデジタル信号という「何らかの規則に従って別の信号に変換」していますので、これも符号化です。詳しく言えば、アナログ信号をサンプリングしてデジタルデータに変換し(ここは符号化ではなく標本化です)、その標本化したデジタルデータを何らかの規則で転送しやすいデジタル信号に変えるところで符号化を行っています。

ここで符号化したデジタルデータをQAMなどでデジタル変調?

はい、デジタルデータで搬送波に変調を掛けているので、これはデジタル変調です。

デジタルの形にしてしまうと、離散的なデータ(例えば0V、1V、2V…とか500Hz、750Hz、1000Hz…のような飛び飛びの値)にできますので、多重化などが容易にできるわけです。(この例でいえば、0V、1V、2V・・・の間に、0.5V、1.5V、2.5V…などの値をとる別の信号を挿入できる。)

デジタル変調した信号を、電波に乗るようにさらに変調(BPSKとかQPSKとか)

いえ、BPSKとかQPSKは位相変調の方式で、搬送波の位相を変えることで信号を伝送するものです。BPSKやQPSKは位相だけを変調していますが、これに振幅変調も掛け合わて一度に伝送できる信号量を二したものがQAMと思っていただければ結構です。

アマチュア無線の知識でいえば、PM変調(位相変調)した信号をAM変調したものがQAMという感じです。

(アマチュア無線の音声通信で、AM系のSSBとFM変調以外は馴染みが無いですが、実は昭和40年代のFM無線機では、音声信号でPM変調したものを逓倍してFM波にして送信している無線機も存在しました。PM変調波を積分するとFM変調になります)

それを、多重接続方式(TCMAやCDMA、OFDM方式)で電波に乗せて、

多重接続方式は、上に挙げたように「同じ帯域を複数の送信者が共用する方式」のことで、信号を圧縮する符号化を行うことで時間的に余裕を持たせ、その間の時間に別の通信を入れるのがTDMA、複数の信号をそれぞれ別々の符号化を行って混合して送り、受信側で逆符号化を行うことで個別の信号を取り出すのがCDMA、複数の信号をそれぞれ別々の周波数に符号化し、それを合わせて送って受信側で別々の周波数成分を取り出して復調するのがFDMAと思っていただければ結構です。OFDMは理論的にはちょっと難しい概念なのですが、ある周波数帯域を細分化し、細分化した周波数をそれぞれ別個の信号で変調してからそれらを併せて送信し、受信側で細分化された個別の変調波を上手く取り出す技術という感じです。

その信号を復調して、符号化されたデジタル信号へ、これを、さらに、復調(デジタル-アナログ変換;ここの方式名は?)して、アナログ信号???といった順序でしょうか?

はい、そんな感じです。

できれば、代表的な多重通信で、入力信号が、相手側に出力されるまでのブロック構成図を描いていただけますでしょうか。また、その時の処理している信号がアナログなのかデジタルなのかの区別もお教えください。

音声信号をデジタルで多重化して送る場合の基本的な概念は、

アナログ信号ー【A/D変換】ー(デジタル信号)ー【符号化】ー(別の符号化された信号と一緒に)【多重化】ー【デジタル変調】ー(電波)-【デジタル復調】ー【逆符号化】(重なって送られてきた複数の信号から目的の信号を分離抽出)-デジタル信号ー【D/A変換】ーアナログ信号

という感じになります。

また、空間を伝送中の搬送波はAM、FM、PM波のいずれかになるのでしょうか(アマチュア無線の経験しかなく、どうしてもSSB単信のイメージと比べると信号処理の手順がわかりません)

上で説明しました通り、空間を飛んでいる電波は、BPSKやQPSK、16PSKなどで変調されていればPM波、16QAMなどで変調されていればAM+PM波という感じになります。

説明の途中で、例として「ある送信者は0を500Hz、1を750Hz、別の送信者は0を1000Hz、1を1250Hz、またある送信者は0を1500Hz、1を1750Hz」という例を挙げましたが、この方法で単純にFM変調すればそれはFM波となりますが、FM波は周波数の利用効率が悪いという欠点があるため、このような方式は実際に使われることはありません。(アマチュア無線のパケット通信はこの方式ですが、パケット通信は多重化しているわけではないのでちょっと違いますかね。)

以上、返信が大変遅くなってしまったお詫びという訳ではありませんが、具体的な例を挙げて分かりやすく解説してみたつもりです。

参考になりましたでしょうか。

perseus購入

SDR界で有名なペルセウスをとうとう買ってみました。

いや~、これは良いです。素晴らしい。

昔からアマチュア無線やBCLをやっている人間から見ると、どうしても「パソコンにUSB接続?ソフトウェアで復調?そんなオモチャは老舗の無線機製造会社が作る無線機に敵う訳ないだろ!」と言いたくなる気持ちも分からなくはないです。しかし、今のパソコンの処理能力を考えてみてください、数GBのメインメモリ、2GHzを軽く超えるCPUクロックを持つ64ビットCPU…その処理能力にかかってしまえば、一昔前にはあり得ないほどの高度な処理もいとも簡単に行えます。

職場の先輩が一足先に購入し、「これはいいよ~!」と勧められていたのですが、その方が購入後、販売価格が上がってしまったんですよねえ…。以前は10万円を若干切るくらいの価格だったのですが、今は13万円程度。確かに高性能な受信機といえども、13万円は…と二の足を踏んでいた矢先、マルツオンラインで102000円で販売されているのを発見!オーダーして昨日届いたわけなのです。

とりあえず、自宅のルータにVPNの設定を施し、外出先からノートパソコンでも接続してどこからでも聴けるように設定しましたので、これで出張中も楽しめそうです。perseus