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SAT電験3種講座 法規 質問回答(電験3種 平成19年 法規 問12 変圧器の全日効率計算)

法規23章の例題について解説をお願いします

変圧器の基本的な性質については、機械や電力で出てきた通りです。鉄損は通電中変化せず、銅損は負荷電流の2乗に比例することを利用します。

まず、1日の鉄損を求めます。これは150Wとありますから、

  • 150×24=3600[W・h]=3.6[kW・h]

とすぐに求めることができます。

次に銅損です。これは変圧器の巻線抵抗によるジュール熱ですから、P=I^2Rより、負荷電流の2乗に比例します。変圧器の二次側電圧が一定であり、電力は電圧×電流で求められますから、銅損は負荷電力の2乗に比例すると言い換えることができます。したがって、グラフの各時間帯の銅損を求めると、

  • 0~6時は負荷電力4kWより、270×(4/20)^2
  • 6~12時は負荷電力12kWより、270×(12/20)^2
  • 12~18時は負荷電力16kWより、270×(16/20)^2
  • 18~24時は負荷電力6kWより、270×(6/20)^2

で、各時間帯の銅損による損失電力量を求めることができます。

これを計算し、鉄損である3.6[kW・h]と合計すると、1日の総損失は5.43[kW・h]と求められます。

変圧器の全日効率とは、1日を通して出力した電力量の、入力電力に対する割合を示しますから、1日の総出力電力量は、

  • 0~6時は負荷電力4kWより、4×6=24[kW・h]
  • 6~12時は負荷電力12kWより、12×6=72[kW・h]
  • 12~18時は負荷電力16kWより、16×6=96[kW・h]
  • 18~24時は負荷電力6kWより、6×6=36[kW・h]

以上の総合計が228[kW・h]となります。

したがって、全日効率は、228/(228+5.43)で求められることになります。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(電験3種 平成17年 法規 問13 水力発電所の水量と発電電力計算)

法規22章の例題について解説をお願いします

この問題は、1日を通じて1秒間に12立方メートルの水が流れてくる川に水力発電所を設置した場合の問題です。

  • 1日当たりの総流入量

1秒あたりに流れ込む水の量に、1日の時間を掛けることで求められます。1分が60秒、1時間は60分、1日は24時間ですから、60×60×24=86400秒が1日の秒数です。したがって、12×86400で1日の水の総流量を求めることができます。

  • 発電電力

問題文より、この発電所は24時間に流れ込む水の全量を12時~18時に使用して発電していることが分かります。1日の総流量は、前問の答えより1036800立方メートルですから、これを6時間で使い切って発電することより、発電中の1時間当たりの水使用量は1036800/6=172800立方メートルということになります。

電力は、1秒あたりの電気エネルギー(単位はジュール)を表しますから、発電中の1秒あたりの水使用量を求めます。すると、172800/3600=48立方メートルということになります。(1時間=60分×60秒=3600秒で割りました)

この水が、有効落差80mを流下して発電機を回します。水の位置エネルギーはmghで与えられ、mは質量(単位:㎏、1立方メートルの水は1000㎏)、gは重力加速度で固定値9.8、hは高さで80mですから、

  • mgh=(48×1000)×9.8×80=37632000

となり、1秒間に37632000ジュールすなわち37632000Wの電力が得られることが求まります。但し、実際に取り出せる電力は、この値に効率0.85を掛けて、31987200W、つまり31987.2kWとなります。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(電験3種 平成24年 法規 問10 B種接地抵抗の計算)

法規21章の例題について解説をお願いします

B種接地抵抗は、電技解釈に規定されているように、C種やD種のような固定値ではなく計算して求めた値となります。B種接地は、高圧から低圧に変圧する変圧器において、万が一高圧側と低圧側の巻線がショートしてしまった場合、二次側に現れる電圧を一定以下に抑えるために設けられます。例えば100Vのコンセントに、変圧器のショートで1000Vや2000Vが発生したら大変なことになります。

さて、この時二次側に発生する対地電圧は、当然ながらオームの法則より、

  • 対地短絡電流×接地抵抗

となります。ということは対地短絡電流を求める必要があるのですが、これを求める式は出題文中にある通りです。この式に従って値を求めると、1.13Aが地絡電流となります。しかし、電技解釈には、

1線地絡電流の計算結果が2A未満の場合は2Aとして計算すること

という項目があるため、これを2Aとして計算します。

電技解釈の条文中、

1秒以内に自動的に動作する遮断器を設置した場合のB種接地は、

600÷(1線地絡電流値)

で計算する

という項目があるため、これに従って計算することで600÷2=300Ωが答えとなります。電技解釈の条文は、インターネットで検索することですぐに見ることができますので、条文に目を通して確認することをお勧めしております。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(電験3種 平成21年 法規 問13(b) 遮断機の遮断電流計算)

法規20章の例題について解説をお願いします

この問題は、配線用遮断器に求められる遮断電流を求める問題です。

電源をショートしてしまうと非常に大きな電流が流れますが、この遮断器は万が一その下流で配線がショートした場合でも安全に電流を遮断できる性能が求められます。

ショート時は非常に大きな電流が流れることは分かっているので、それなら1000000000000…アンペアでも遮断できるような設備を設置すれば理論上問題はないのですが、そんな超巨大な設備を設置したところでショート時にそんな巨大な電流が流れることはないですから、結論として理論上考えうる最大電流が遮断できる性能を持っていれば良いことになります。

というわけで、CB1、CB2ともに、その直下で配線がショートした場合に流れる短絡電流を求める問題です。

まず、CB1について考えてみます。もしCB1直下で配線のショートが起きた場合、そこに流れる電流を決定するのは、変圧器内部の巻線によるインピーダンス値になります。変圧器に発生する電圧とインピーダンスのオーム値が求まっていれば、電圧÷インピーダンスで電流は求められるのですが、ここでは基準容量、基準電圧、百分率抵抗降下、百分率インピーダンス降下の値しか与えられていませんので、この値からどのように短絡電流を計算するのか知らなければなりません。

「百分率インピーダンス」というのは、

変圧器や発電機が定格運転しているとき、定格電圧・定格電流から求められる負荷の定格インピーダンスに対して、変圧器や発電機の内部巻線のインピーダンスがどの程度の割合なのか、という指標の値

です。もし、定格負荷インピーダンスに対して、変圧器などの内部巻線のインピーダンスが1%であったとすると、短絡したときに流れる電流は定格電流の100倍であることが分かります。百分率インピーダンスは、このようにして使います。

例題の変圧器は、

  • 基準容量200kVA
  • 基準電圧210V

ですから、流れる電流は

  • 200×1000÷210

で、暗黙のうちに三相交流ですからこれを√3で割り、約550Aと求められます。

この電流を百分率インピーダンスで割ることにより短絡時の電流が求められますが、問題では百分率抵抗降下と百分率リアクタンス降下の値しか提示されていませんので、抵抗とリアクタンスの合成インピーダンスの求め方に従い、これらの2乗和を求めます。すると

  • √((1.4%)^2+(2.0%)^2)=約2.44%

の百分率インピーダンス降下ですから、

  • 550÷0.0244=約22.5kA

が短絡電流として求められます。

CB2も同じです。CB2に関しては、CB2直下でショートが起きたとき、変圧器の巻線とCB1~CB2をつなぐ電線の合成インピーダンスにより短絡電流が求められます。もちろんCB1~CB2間のケーブルが増えた分、CB1に比べて短絡電流は小さくなります。

  • 変圧器の百分率抵抗降下が1.4%
  • ケーブルの百分率抵抗降下が8.8%

ですから、合計すると10.2%、同様にして百分率リアクタンス降下の合計が4.8%です。したがって、合成百分率インピーダンス降下は

  • √((10.2%)^2+(4.8%)^2)=約11.27%

になります。したがって

  • 550÷0.1127≒4.9kA

がCB2における遮断容量となります。

百分率インピーダンスは、普通の電圧・電流・抵抗とはちょっと異なる表現方法ですので、最初は取っ付きにくいと思いますが、考え方や計算に慣れてしまえば単純な計算で求められるかと思います。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(電験3種 平成22年 法規 問13(b) 風圧荷重計算)

法規19章の例題について解説をお願いします

この問題は、まず出題文に

氷雪の多い地方のうち、海岸地その他の低温期に最大風圧を生ずる地方以外の地方において

とありますから、これは電技解釈58条より、乙種風圧荷重を用いるということを読み取らなければなりません。これは条文を覚えておかねばならず、大変面倒な問題のように思えますが、出題のパターンは決まっていますので、過去問の中から類題を確認しておけばある程度は慣れるかと思います。

次に、乙種荷重の計算式です。これも覚えなければならないのですが、パターン化していますので、過去問の類題で慣れるしかないでしょう。乙種荷重は、

  • 厚さ6㎜の氷が電線の周囲に付着した状態

を想定しています。この時に用いる計算式も電技解釈の中に規定されており、これは電線の直径をdメートルとすると、

  • 490×d+490×0.012

という式で求めることとなっています。

さて、問題に提示されている図を見ますと、これは直径3.2㎜の線が19本束ねてある図になっています。電線の直径は、横から見て最も太い部分ですから、真ん中の3.2㎜×5本分=16㎜が直径となり、メートル単位に直すと0.016m、これをdに入れて計算します。すると、

  • 490×0.016+490×0.012=13.72N

が答えとなります。

以上のように、法律の規定と計算式の両方を知らないと絶対に解けない問題なので覚えにくくて面倒ではあるのですが、出題はパターン化されていますので、似たような問題を過去問題の中からチェックし、実際に計算してみることで慣れるしかないかと思います。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(電験3種 平成16年 法規 問11 張力荷重計算)

法規18章の例題の解説を詳しくお願いします。 図解つきで宜しくお願いします。

この電柱は、左側に電線で、上が9000N・下が4000Nの力で引っ張られています。仮に右側の支線が外れてしまったらどうなるかといいますと、電柱が地面に接している点を中心として左側に倒れてしまいます。この運動は、完全に倒れてしまうまで左側に90度の角度分だけの回転運動です。

物体が力によって回転運動をするとき、その回転力のことをモーメントと言います。例えば、電柱の長さが長く、電柱を引っ張る電線の取り付け位置が高ければ高いほど、そして電線が電柱を引っ張る力が強ければ強いほど、電柱は強い力で倒されることが分かります。モーメントの値は、

  • (回転中心から、力が及ぼされる点までの距離)×(回転させようとする力の大きさ)

で求めることができます。以上のことから、2本の電線が電柱を左側に倒そうとする回転モーメントを求めると、

  • 下側の電線・・・4kN×8m=32[kN・m]
  • 上側の電線・・・9kN×10m=90[kN・m]
  • 合計・・・32+90=122[kN・m]

となり、122[kN・m]のモーメントであることが求められます。

支線が、このモーメントと全く同じ値で右側に引っ張ることにより電柱が倒れるのを防ぎますから、支線の取り付け点の高さが8mであることを考えると

  • 8×T=122

となればよいので、支線は電柱から90度右側に

  • 122÷8=15.25kN

の力で引っ張ればちょうど釣り合うことになります。

しかし、支線は電柱をまっすぐ右に引っ張ることはできません。この電柱を斜めに引っ張っていますので、その斜めの力の水平方向右側成分が15.25kNになるためには、添付の図の通り、

  • 5:3=x:15.25

となりまして、これより25.4kNが支線の荷重であることが求まります。
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