「電験3種」カテゴリーアーカイブ

平成29年度電験3種問題解説・理論問2

【解答】(2)

コンデンサの静電容量Cは、極板間距離をd、極板面積をS、極板間の誘電率をεとして、

  • C=ε・S/d

で求められます。

静電容量CのコンデンサにVの電圧を掛けたとき、蓄えられる電荷量Qは

  • Q=CV

で与えられ、この時に蓄えられる静電エネルギWは

  • W=(1/2)QV=(1/2)CV^2=(1/2)(V^2/C)

で求められます。また、距離dの間に電位差Vがある場合、この間の電界の大きさEは、

  • E=V/d

となります。以上の関係式を用いれば答えを導くことができます。

まず、最初の状態でコンデンサに蓄えられた電荷量を求めます。なお、具体的な電源電圧は与えられていないので、コンデンサAの電圧を基準に考えます。

  • コンデンサA…電源電圧V、静電容量εS/d 、蓄えられた電荷量εSV/d
  • コンデンサB…電源電圧V、静電容量2εS/d 、蓄えられた電荷量2εSV/d
  • コンデンサC…電源電圧2V、静電容量εS/2d 、蓄えられた電荷量εSV/d

次いで、これを用いて各コンデンサの静電エネルギを求めれば良いのですが、文字式を用いて計算すると式展開が大変になるので、分かりやすくするためにコンデンサAの静電容量を1F、コンデンサAの電源電圧を1Vと決めてしまいます。すると、

  • コンデンサA…電源電圧1V、静電容量1F、蓄えられた電荷量1C
  • コンデンサB…電源電圧1V、静電容量2F、蓄えられた電荷量2C
  • コンデンサC…電源電圧2V、静電容量0.5F、蓄えられた電荷量1C

と簡単化することができます。これより、各コンデンサの静電エネルギは、

  • コンデンサA…0.5J
  • コンデンサB…1J
  • コンデンサC…1J

となり、合計2.5Jです。これらを並列にした場合、合成静電容量は和になりますから、

  • 1+2+0.5=3.5F

です。また、蓄えられた合計の電荷量は4Cであることから、静電エネルギは

  • Q^2/2C=16/7=2.29J

となります。したがって、

  • 2.29/2.5=0.92

が求まります。

なお電源から切り離されている以上蓄えられた電荷量は変化しませんが、静電エネルギは変化します。これは並列接続されたコンデンサの間で電荷を移動させるエネルギとして消費されます。

平成29年度電験3種問題解説・理論問1

9月17日にSAT社のスタジオにて今年度の電験3種の試験問題解説動画を収録するのですが、それに当たって解説を作成しています。出し惜しみするようなモノでもないので、解説を作り次第ここに上げていこうと思います。

【解答】(2)

電気力線は、電界の様子を表す仮想的な線で、電界の様子を可視化するために考えられたものです。電荷と磁荷、電界と磁界は相似性がありますが、電荷の電気力線に対応するものは磁荷の磁力線ですから、N極からS極に向かう磁力線を思い浮かべれば回答できるでしょう。

  • 同じ向きの電気力線(磁力線)どうしは反発しあう(交差しない)。
  • 電気力線は正の電荷(磁力線はN極)から出て、負の電荷(磁力線はS極)に入る。
  • 電気力線(磁力線)は途中で分岐したり、他の電気力線(磁力線)と交差しない。
  • 任意の点の電気力線(磁力線)の密度は、その点の電界(磁界)の強さを表す。
  • 任意の点における電界(磁界)の向きは、電気力線(磁力線)の接線の向きと一致する。

なお、Qクーロンの電荷から、電気力線はQ/ε本出る、と定義されています。