機械編のテキストのP9の例題の質問です。はじめの例題でE=kΦNでこれを機械出力P=EIに代入するとp=(kΦN)Iになり、どうして解答のp=kNI^2になるのですか?
直流直巻電動機は、固定電磁石として回転コイルに対して磁界を与える界磁巻線と、磁界を発生しながら回転し、界磁によって与えられた磁界との間で磁石の吸引・反発力を生み出す回転コイルの巻線とが直列に接続されているのが特徴です。
小学校の理科の電磁石の実験でも分かるように、電磁石の強さは、流す電流に比例します。従って、界磁巻線が作る磁界の強さΦは、比例定数をkとしてΦ=kI(電流に比例する値)として表すことができます。
一方、回転コイルの逆起電圧は、界磁電流をIとして、界磁によって与えられた外部磁界Φ=kIとコイルの巻数Nに比例するのでkNΦ=k’NI(左辺のkとは異なる定数になるのでk’としました)であり、それと回転コイルに流れる電流Iを掛けたものが出力Pとなるのですが、前述のように界磁巻線と回転コイルの巻線は直列ですので、結局k’NI×IでIが2乗になるわけです。
次の例題で逆起電力を求めるのに電動機が600rpmで回転しているときの誘電起電力200Vに2.2と0.5を掛けていますが、電機子に発生する起電力は磁束と回転数に比例するということで2.2をかけているのですか?2.2と0.5を掛けているのはどうしてですか?
2.2を掛けている理由はその通りです。これも小学校の理科の実験で、コイルに棒磁石を入れると電流が流れるという実験があったと思いますが、棒磁石をゆっくり入れると小さな電流、素早く入れると大きな電流が流れました。これは、コイルに発生する電圧は、磁界の変化の速度に比例するからです。電動機の回転数が速いほど、回転コイルから見た磁界の変化速度も速くなりますから、回転数が2.2倍だと逆起電圧も2.2倍ということになります。
0.5は、界磁電流を半分にしたためです。回転コイルに対して与えられる磁界は、固定された電磁石である界磁巻線によって与えられますが、当然この巻線に流す電流が大きければ大きいほど強い磁界を発生するわけです。界磁電流が半分なら、発生する磁界も半分、したがって回転数が同じであれば、界磁電流を半分にした時に回転コイルに発生する逆起電圧も半分です。
そしてトルクT=KΦIより、界磁電流半分で同一トルクをうむためには電機子電流が2倍必要と書いてありますが、ここの意味が理解できませんでした。
最初の項で書きました通り、電動機は、固定された電磁石によって発生する磁界と、回転コイルによって発生する磁界同士が反発したり引きつけ合ったりする力を用いて電力を機械的な力に変えています。したがって、生み出す力は、回転コイルに流れる電流と、固定電磁石に流れる電流の両方に比例することになります。
以上のことより、界磁電流を半分にするというのは、固定電磁石が作り出す磁力を半分にすることを意味していますから、その前と同じだけの力を生み出すためには、回転コイルに流す電流を2倍にしなくてはいけないわけです。