SAT電験3種講座 機械 質問回答(電験3種 平成25年 機械 問4 誘導電動機の性質)

平成25年度機械問4について、よく理解できないので詳細な解説を教えてください。宜しくお願いします。

電気回路の受動素子には、抵抗・コイル・コンデンサの3種類があり、

  • 抵抗は両端にかかる電圧と電流が時間的に同一のタイミングで
  • コイルは両端にかかる電圧に対して電流が時間的に90度遅れて
  • コンデンサは逆に90度進んで

流れます。電圧×電流=電力ですが、電圧と電流に90度の位相差が生じるコイルとコンデンサは、いったん電力を受け取るものの、それを磁気エネルギや静電エネルギに変換して蓄え、そしてまた電源側に送り返すことにより、実質的な電力(有効電力)を消費しません。

さて、誘導電動機を始めとした電動機は、電線をコイル状に巻き、そこに発生する磁界を利用して力を生み出しています。したがって、電動機を電気回路に置き換えると、本質的に大きなコイルと、銅線内部の抵抗で表すことができます。ここで、いくら電動機やその他の電気機器といえども、

  • 抵抗は電力を消費し、コイル(やコンデンサ)は電力を消費しない

という原則が変わることはありません。したがって、もしも誘導電動機の内部回路を100%超伝導のコイルや部材で構成し、電気的にも100%コイル成分のみの回路にしたとすると、これは有効電力が完全にゼロとなり、全く回転しないことになります。

モーターが回転するということは、必ず力×距離の仕事を生んでいますから、無効電力100%の装置が仕事は発生させないのです。つまり、誘導電動機内部の巻線等による抵抗成分が小さければ小さいほど、巻線等に生じるジュール熱による損失は増えますが、それじゃあ完全にゼロΩの超電導材料を使って構成すると、その誘導電動機は回転力を生まないのです。

誘導電動機は、固定されたコイルの中に回転コイルを置き、固定コイルによって生じる磁束が回転コイル内を貫き、それによって回転コイルに生じる電流が二次的に作り出す磁束と、固定コイルが作る磁束の間で力を発生します。上で説明した通り、誘導電動機がどれだけの機械的出力を生み出すかは、回転コイルが持っている抵抗値に依存します。このとき、誘導電動機の一次側から見て、二次側すなわち回転コイルで消費される電力は、滑りの値とイコールになります。滑りが1、つまり回転がゼロのときは、誘導電動機に流れ込む有効電力は全て回転コイルが持っている抵抗に消費されます。軸を固定して回転が止まったままモーターに電源を入れっぱなしにすると、モーターが焼けてしまうのはこれが原因です。

また、滑りが0の場合は、固定コイルが作る回転磁界と二次コイルの回転速度が同一なので、二次コイルに発生する電圧がゼロですから回転コイルで消費される電力も当然ゼロです。

問題を見ましょう。滑り0.01で定格運転をしているので、電動機の入力電力を1とすると、0.99が機械出力、0.01が回転コイルの銅損であることが分かります。二次回路の損失が30倍になったということは、0.01×30=0.3が回転コイルの銅損であり、残り0.7が機械出力ということになります。

したがって、最初が機械出力0.99、後が0.7ですから、0.7÷0.99=約70%が答えということになります。

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