法規24章の例題について解説をお願いします。
この問題は、理論で出てきた有効電力と無効電力、皮相電力の関係と、電力で出てきた、抵抗とリアクタンスを含む線路の電圧降下の簡略式を使います。
まず、求めやすい値から求めます。工場の負荷が2000kW、最初の力率が0.6ということから、皮相電力や無効電力を求めることができます。有効電力をP、無効電力をQ、皮相電力をX、電圧と電流の位相差をθとすると、
- P=Xcosθ
- Q=Xsinθ
- tanθ=sinθ/cosθ
より、
- Q=Ptanθ
という式が成り立つことが分かります。また、
- (sinθ)^2と(cosθ)^2を足すと1
ですから、P=2000kWのとき、
- Q=Ptanθ=P(sinθ/cosθ)=P(√(1-0.6^2))/0.6=2666.7[kVar]
と求まります。電圧降下の簡略式は、線路の電流をI、送電線の抵抗をr、送電線のリアクタンスをxとして、
- √3I(rcosθ+xsinθ)
でした。題意より、力率改善後において、送電端は6600V、受電端が6300Vですから、電圧降下は、
- √3I(rcosθ+xsinθ)=300V
です。また、負荷で消費される有効電力は、三相電力の式から
- 有効電力P=√3×受電端電圧×負荷電流×cosθ
- 無効電力Q=√3×受電端電圧×負荷電流×sinθ
なので、
- 300=(有効電力×r÷受電端電圧)+(無効電力×x÷受電端電圧)
と変形することができます。ここでr=0.5Ω、x=1Ωを代入すると、
- 300=(2000000×0.5÷6300)+(Q×1÷6300)
となるので、ここから
- Q=890[kVar]
が求まります。したがって、
- 2666.7-890=1776.7[kVar]
が、電力用コンデンサによって吸収された無効電力値ということになります。