SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成26年 理論 問5 コンデンサ回路におけるキルヒホッフの法則)

平成26年度 理論 問5について、よく理解できないので詳細な解説を教えてください。宜しくお願いします。

まず、キルヒホッフの電流則の拡張として、電流を電荷量に置き換えて解きます。

上の10μFに左から右に流れる電荷量をQ1、20μFに左から右に流れる電荷量をQ2、下の10μFに左から右に流れる電荷量をQ3とします。

まず、b点において、キルヒホッフの電流則(の拡張、電荷の保存則)より、

  • Q1+Q2+Q3=0

次に、コンデンサの両端に生じる電圧を求めると、コンデンサに流れた電荷量Q、静電容量C、電圧Vの間にはQ=CVの関係があることを利用して、

  • 上の10μF:V1=Q1÷0.00001(左側が+)
  • 20μF:V2=Q2÷0.00002(左側が+)
  • 下の10μF:V3=Q3÷0.00001(左側が+)

の電圧が発生することが求まります。

ここで、接続された電池とコンデンサ両端の電圧の関係から、

  • V1-V2=Q1÷0.00001-Q2÷0.00002=20V・・・①
  • V2-V3=Q2÷0.00002-Q3÷0.00001=10V・・・②
  • V1-V3=Q1÷0.00001-Q3÷0.00001=30V・・・③

という関係が成り立ちます。

  • ①式の両辺に0.00002を掛けると、2Q1-Q2=0.0004・・・④
  • ②式の両辺に0.00002を掛けると、Q2-2Q3=0.0002・・・⑤
  • ③式の両辺に0.00001を掛けると、Q1-Q3=0.0003・・・⑥

ちなみに、④⑤⑥は独立した3式に見えますが、2式から残りの1式を導出できるので、実質は2つの式です。ここでもう一つ、Q1+Q2+Q3=0を利用します。

ここで①式に、Q1+Q2+Q3=0を変形したQ1=-Q2-Q3を代入すると、

  • -2Q2-2Q3-Q2=-3Q2-2Q3=0.0004・・・⑦

⑥式にQ1=-Q2-Q3を代入すると、

  • -Q2-Q3-Q3=-Q2-2Q3=0.0003・・・⑧

⑦式-⑧式を求めると、

  • -3Q2-2Q3+Q2+2Q3=-2Q2=0.0001

となり、Q2は-0.00005クーロンであることが求められます。つまり、20μFのコンデンサには、右から左に0.00005クーロンの電荷量が流れることが分かりますので、コンデンサの両端に発生する電圧は、V=Q/Cより、0.00005÷(20×10^-6)=2.5Vとなります。

 

次に、重ね合わせの原理を用いた解き方です。

まず、上側の20Vの電源を残し、下の10Vをショートさせた回路を考えます。するとこれは、20Vの+端子から上の10μFにつながり、中の20μFと下の10μFが並列になった30μFを経由して20Vの電源のマイナス端子に至る回路になります。コンデンサに電荷Qが流れ込んだとき、その両端に発生する電圧Vと静電容量Cの間にはQ=CVの関係がありますから、10μFと30μFの直列回路に電流が流れた際、コンデンサの両端に発生する電圧は静電容量に反比例します。したがって10μFと30μFの両端に発生する電圧は3:1になりますから、上の10μFには左側を+にして15V、中の20μFと下の10μFには右側を+にして5Vの電圧が発生します。

次に、下側の10Vの電源を残し、上の20Vをショートさせた回路を考えます。するとこれは、10Vの+端子から上の10μFと中の20μFの並列、合計30μFを通り、下の10μFを経由して電源のマイナス端子に至ります。これも上と同様にして、10Vのプラス端子-30μF-10μF-マイナス端子というコンデンサの直列回路になりますから、30μFと10μFの電圧比は1:3となり、上の10μFと中の20μFには左側をプラスとして2.5V、下の10μFには右側をプラスとして7.5Vの電圧が発生することがわかります。

以上の二つを重ね合わせて20μFのコンデンサに発生する電圧を求めると、20Vを残した回路では右側を+として5V、10Vを残した回路では左側を+として2.5Vが発生しますから、それらを差し引きして右側を+として2.5Vが答えとなります。

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