平成29年度電験3種問題解説・電力問15

【解答】(5)(3)

(a)

求める燃料消費量をxとすると、発生した総電力量は、

  • 44000×1000×x×0.42(単位:ジュール)

で求められます。また、発電出力は、1W×1s=1Jであることから、

  • 600×106×60×60×24(単位:ジュール)

となるので、

  • 44000×1000×x×0.42=600×106×60×60×24

を解いて、xは約2805(単位:トン)が求まります。

(b)

2805トンの重油に含まれる炭素の質量は2805×0.85=2384トン、水素は421トンです。

これらの燃焼には、化学反応式より

  • 炭素1molに対して酸素2mol
  • 水素4molに対して酸素2mol

が必要なことが分かります。言い換えると、

  • 炭素12gに対して酸素32g
  • 水素4gに対して酸素32g

が必要ということになります。したがって、

  • 炭素…2384×(32/12)=6357トン
  • 水素…421×(32/4)=3368トン

合計9725トンの酸素があれば完全燃焼できることになります。ここで、1m3の空気に含まれている酸素の質量が求まれば必要な空気量が計算できます。

空気中の酸素濃度が21%であることから、22.4Lに含まれている酸素は

  • 32×0.21=6.72[g]

と求まり、1m3の空気だと、1m3=1000Lであることから、

  • 6.72×(1000/22.4)=300[g]=0.3[kg]

となります。これより、必要な空気量は、

  • (9725×1000)÷0.3=32.4×106[m3]

と求まります。

「平成29年度電験3種問題解説・電力問15」への2件のフィードバック

  1. お世話になっております。
    SAT電験第3種受講生です。
    この問題の解説部分で、
    ***
    これより、必要な空気量は、
    (9725×1000)÷0.3=32.4×106[m3]
    と求まります。
    ***
    0.3kgは1m3中の酸素量で、
    9725×1000kgが完全燃焼させるのに必要な酸素量であることは理解しています。
    分からない点としては、
    (完全燃焼させるのに必要な酸素量)÷(1m3中に含まれる酸素量)
    = 完全燃焼させるのに必要な理論空気量
    となることです。
    単位変換も逐一つけて説明してくださると助かります。
    御手数ですがよろしくお願い致します。

    1. コメント有り難うございました!

      空気というのは、大雑把に言えば、窒素が約80%、酸素が約20%含まれる気体です。したがって、

      ・1m^3の空気があるとき、その中に含まれる酸素は0.2m^3

      ですし、

      ・1kgの空気があるとき、その中に含まれる酸素は0.2kg

      です。燃焼の反応で使われるのは酸素だけで、窒素などは一切関与しませんから

      と、ここまで書いていて何が問題なのか気付きました。

      >(完全燃焼させるのに必要な酸素量)÷(1m3中に含まれる酸素量)
      = 完全燃焼させるのに必要な理論空気量

      の部分ですが、厳密には、

      (完全燃焼させるのに必要な酸素量[m3])÷(1m3中に含まれる酸素量[m3])
      =(完全燃焼させるのに必要な理論空気量の倍数)

      となります。「倍数」と書いたのは、1m3の空気の中に含まれる酸素が0.3kgですから、必要な酸素はその何倍の体積であるか、という意味です。この値がもし100倍であれば、必要な空気量は100×1m3となり結局その倍数の値がそのまま必要空気量となるので、それを略している、という次第です。

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