SAT電験3種講座 機械 質問回答(電験3種 平成23年 機械 問16 過去問解説 直流電動機の界磁電流と負荷特性)

直流電動機の例題二問目について質問です。問題の後半「界磁電流を半分にして~制御し制御ししなければならないか」の部分がわかりません。負荷と釣り合った状態とはどんな状態ですか?イメージがわきません。また、どういう意味かも分かりません。またどこの負荷のことですか?回答よろしくお願いします。

電動機というのは要するにモーターのことです。モーターは、電気のエネルギを回転のエネルギーに変える機械ですから、電動機の問題で「出力」というと、機械的出力のことを意味します。

電動機が電気エネルギを機械エネルギに変換する原理は、回転巻線に電流を流した時に発生する磁力と、固定巻線に電流を流した時に発生する磁力どうしの間の吸引・反発力です。

回転巻線に発生する逆起電圧×回転巻線に流れる電流が出力(単位はワット)となります。

以上のことから、問題の条件を考えます。

誘導起電力が200V、回転巻線の電流が20Aということは電力は4000Wです。機械的出力も4000Wです。

回転速度が600rpmから1320になり、「負荷はトルクが一定で回転速度に対して機械出力が比例して上昇する」ということは、機械的出力は2.2倍になることを意味しています。

トルクというのは簡単に言えば回転に要する力のことです。例えば、人間が手で何かを回転させるとき、重い物体をグルグル回すのには大きな力が要りますが、軽い物体なら軽く回せます。

同じ力の人であれば、物体が重ければ重いほど回転させる速度は遅くなることが分かりますから、力×回転数が正味の出力になるという感覚は掴めるかなと思います。

ここでは、力(トルク)が一定ということなので、出力は純粋に回転数に比例することになります。

さて、「界磁電流が半分」ということは、固定巻線に電流を流した時に発生する磁力が半分ということですから、回転巻線におけるファラデーの電磁誘導則の磁束Φが半分になることを意味します。

ただし、回転数が2.2倍になっているので、これも電磁誘導則の「コイルが磁束を横切る速度」が2.2倍ということになり、結局界磁磁束が0.5倍×回転数が2.2倍で、誘導起電力は元の1.1倍です。

電動機の機械的トルクは、回転巻線に電流を流した時に発生する磁力と、固定巻線に電流を流した時に発生する磁力どうしの間の電磁力ですから、界磁電流が半分で元と同じトルクを作るためには回転巻線の電流は2倍必要です。

したがって電機子電流は40Aとなり、電機子の直列抵抗の電圧降下が40×0.4=16V、これと誘導起電力200×1.1を足して236Vが端子電圧、という流れです。

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