SAT電験3種講座 機械 質問回答(他励式直流電動機の性質)

電験3種電気主任技術者テキスト機械編のP7の項目でテキスト上から3行目「界磁電流は、電機子とは無関係~(省略)~逆起電力が大きくなるため回転数は低下する」と書いてあり、ここの部分は、電機子が強い磁界を通過すると、逆起電力も大きくなって回転数は低下するのかなと思ったのですが、DVDでは(DISK1 34:27)では、励磁増加すると回転数は低下すると書いてあり、励磁は増加するとコイルの磁界が強くなり回転数は増加するイメージがあるのですが、フレミングの左手と右手の法則は同時に存在するので、コイルの磁界が増加した分だけその時に通過する力も大きくなり、逆起電力が上昇して回転数が下がると考えたら いいのでしょうか?

基本的には、その考え方で間違いはありません。

電動機の出力は、電機子の逆起電圧×電機子電流(電圧×電流なので単位はワット)で求められます。さらに、この逆起電圧は、電機子に外部から与えられた界磁磁束の強度×回転数で求められます。(フレミングの右手の法則とファラデーの電磁誘導の法則)

ここで、他励電動機において励磁を増加させると、回転数がそのままであれば逆起電力が増加してしまうため、回転数を下げて逆起電力を下げるように働き、その結果回転数が低下するわけです。

とはいえ、電動機の回転数を決定するのは、現実的にはそれ以外の要素もあります。例えば、機械的負荷が、回転数に関わらず一定トルクなのか、それとも回転数に比例してトルクが必要なのか、あるいはその逆なのかによって電動機の回転特性は大きく異なってきます。

しかし、そこまで考えると複雑になりすぎてしまうため、電験3種の試験では、特殊な状況は考えず、基本的な原理を押さえておけば大丈夫、ということになろうかと思います。

励磁は増加するとコイルの磁界が強くなり回転数は増加するイメージがあるのですが、

はい、確かに電動機の励磁が強くなると回転力が強くなるから回転数も上昇するイメージがあるのは分かります。

フレミングの左手と右手の法則は同時に存在するので、コイルの磁界が増加した分だけその時に通過する力も大きくなり、逆起電力が上昇して回転数が下がると考えたら いいのでしょうか?

ここは、電源電圧が一定であるというのがポイントです。

電機子巻線に流れる電流は、電源電圧から電機子の逆起電圧を引いた差の電圧を、回路の巻線抵抗で割った値になります。

従って、何をどうやっても逆起電圧は電源電圧以上にはなりえません。(電動機を発電機として使用する場合は別です)

従って、界磁を強くして逆起電圧を大きくすると、必ず回転数は下がり、電源電圧以下の逆起電圧になるように動くわけです。

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