SAT電験3種講座 理論 質問回答(PN接合ダイオードに順方向電流が流れる理由)

DVD46P型半導体とN型半導体の25分頃の説明に関して、P型半導体とN型半導体を接合し、そこに電池を繋いだら、マイナスより電子が流れこみ、N型領域に電子が供給されて、N型領域の電子がP型の方へ押し出され、P型のホールと接合部分付近で、カップルが成立する。そして、カップルで成立したものが、電池のプラス極に流れている。と理解しました。

しかし、電池を繋ぐ前の説明では、需要と供給が一致して、不足した穴と余った電子がペアになり、プラスマイナス0となり、消えると説明がありました。なので、接合部分でカップルとなった電子は、消えてなくなるはずで、プラス極に流れないのでは?とも考え、よくわかりません。詳しく、説明をお願い致します。

P型半導体は、電子が不足気味、N型半導体は電子が余剰気味、という性質を持っています。ここでP型半導体に電子を注入すると、電子が不足した孔(ホール)に電子は入り込みますが、それと同時に別の部分から外部に電子が放出されるという動作を行います。

つまり、不足している電子を注入しても常に別の部分から同じだけ流出するので、常に電子不足を維持しています。N型半導体も全く同じで、余っている電子を取り出すと、外部から同じだけ電子が流入し(そもそも、そうしないと回路として電流が流れない)、常に電子余剰を維持します。

さて、外部に回路をつながない状態でPNを接合すると何が起こるかというと、接合面付近で需要と供給が一致し、余剰電子が存在しない、つまり自由に動き回る電子が無いのでそのままでは電流が流れない領域(空乏層)が発生します。

この状態で、外部に回路をつないで、N型領域に電子を流し込み、P型領域から電子を吸い出そうとすると、N型領域から押し出された電子は空乏層に流れ込みます。そしてP型領域に達すると、P型領域内のホールと電子が結合(再結合と呼びます)するのですが、上に書いたような理由で電子が再結合すると同じ分だけ外部に電子が流出するため、P型領域の電子不足は常に維持され、そして回路電流も流れる、という動作になります。つまり、「接合部分でカップルとなった電子は、消えてなくなる」のですが、それと同時に外部に電子が吸い出されるため、P型領域のホールは消滅しない訳です。

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