電験3種理論P130に関しての質問です。半導体npnの動作について説明があり、pnpの動作はnpnの逆という説明がありましたが、逆で考えても電流が流れる原理がわからなかったので順を追って説明して頂けますか?
まず前提として復習しますと、P型半導体は、電子が不足して電子の抜けた穴(ホール)が常に存在している半導体、そしてN型半導体は電子が過剰で常に自由電子が動き回っている状態の半導体です。PNP型半導体は、これらをP-N-Pと接合して作られたもので、真ん中のN型領域は極めて薄く作られています。
さて、この半導体のP-N接合に順方向電圧を掛けます。すなわち真ん中のN型領域(ベース)にマイナス、左側のP型領域(エミッタ)にプラスの電圧を掛けます。すると、ベースに流れこんだ電子はエミッタに向かって動き、エミッタ領域のベース直近にあるホール(電子が不足して抜けた穴)と再結合して電流が流れます。
この状態において、ベースからエミッタに流れ込む電子に対して、それと結合するためのホールがベース直近にどんどん集まってきています。
ホールは電子が抜けた穴ですから、相対的な電位が+であるため、電子が引き寄せられます。ベース領域は極めて薄く作られているため、エミッタ内部のベース領域付近に集まってきたホールは、極めて薄いベースを通り抜けてP型半導体であるコレクタ領域に存在している電子をも引き付けてしまいます。これにより、コレクタ領域に存在している電子がベースを通り抜けてエミッタに流れ込んでしまうため、結果的にコレクタとエミッタの間にも電流が流れることになる訳です。
以上のような感じで、ベース電流の増加→エミッタ領域のベース寄りにどんどんホールが集積→ホールが電子を引き寄せる力がコレクタ領域にまで及び、コレクタ領域の電子がベースを通過してエミッタに流れ込む、というようなイメージを持っていただければ宜しいかと思います。