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SAT一陸特講座 質問回答(短絡導波管で反射が起こる理由)

導波管短絡でなぜ反射が発生するかを理解することができません。短絡=インピーダンスゼロ=電流が流れて電波は戻ってこないように思います。導波管が開放(オープン)の場合なら反射して戻ってくるイメージはつくのですが短絡の場合が理解できません。

おっしゃる通り、電気回路に照らし合わせて考えると、短絡されている=電圧はゼロで電流が流れてそこで消滅、とならないのはおかしい、という感覚は大変良く分かります。実はこれが、集中定数回路的な考え方と分布定数回路的な考え方の最も大きく異なる点で、直感的に理解しにくい点です。

これを理解するためには、導波管の中を伝達する波が、エネルギー(電力 )を持って振幅する電圧と電流の変化である、という点を踏まえる必要があります。

電気回路では、電力を消費するのは抵抗のみで、コイルやコンデンサは静電エネルギや磁気エネルギの形で一時的に電力を蓄えることは出来るものの、電力を消費して熱に変えるということはしません。これは導波管でも同じで、もし導波管を伝ってくる電磁波を吸収して熱に変えたければ、導電性抵抗体のようなものを導波管と結合させ、そこで電力を吸収して熱に変換させる必要があります。これを利用して抵抗体の温度から電力を測定する方法もあります。

しかし、導波管を開放したり短絡した場合、そこに抵抗は存在しませんから、伝わってきた電磁波の電力が消えて無くなる行き場はありません。ではどうなるかというと、開放端や短絡端において、100%はね返って戻っていくしか無い訳です。

実は、これは高校物理に出てくる「固定端反射」と同じです。短絡導波管は、短絡されている壁において電圧の振幅がゼロとなるので固定端反射になります。なお、開放導波管は自由端反射になります。

詳しい波動の様子は、他所様のサイトですが

http://wakariyasui.sakura.ne.jp/p/wave/housoku/koteijiyuu.html

http://www.wakariyasui.sakura.ne.jp/2-1-0-0/2-1-2-4koteitannjiyuutann.html

この辺りを参考にして頂ければイメージが付くのではないかと思います。

SAT一陸特講座 質問回答(電子回路における負荷抵抗と信号の受け渡し方法)

トランジスタとFETの説明で、出力の電流の変化を、電圧に変化させるために負荷抵抗をいれるとの説明がありました。通常、高周波信号は、電流変化と電圧変化のどちらで取り扱うべきものなのでしょうか。

信号の変化といえば、電圧の変化のことを言っていることが多いと感じます。また、信号を電流変化で取り出すことがダメな点があればお教えください。

おっしゃる通り、通常、信号の受け渡しと言えば電圧の変化で定義します。

何故かと言えば、電圧の出力は放っておいても(端子を開放した状態にしていても)何も起きませんが、電流出力にすると、端子を開放すれば端子間抵抗が非常に大きな値となり、そこに無理やり電流出力を流そうとするとV=RIより極めて高電圧が発生してしまい、取り扱いづらいからです。

大電流を測定するために用いる変流器は、原理上電流出力にせざるを得ないため端子開放は厳禁であり、このことは強電関係の資格試験でも良く出ています。

高周波信号は、普通は電圧出力でも電流出力でもなく、電力で取り扱います。これは、極めて高い周波数の交流信号に対して電圧や電流を測定することが難しいということと、信号の受け渡しにおいて必要なのはエネルギー(=電力)であり、線路インピーダンスが変わっても不変である電力を基準にして考えるのが合理的という事情があります。

SAT一陸特講座 質問回答(デジタル変調のシンボルレートと周波数成分)

シンボルの意味、つまり「1回のデジタル変調」の意味(1回とは、BPSKは1ビット;2値、QPSKは2ビット;4値のことでしょうか?)と、「シンボルレートが大きいほど、高い周波数成分をもち、帯域幅が広くなる」という解説が、今ひとつ理解できませんでした。

1回とは、BPSKは1ビット;2値、QPSKは2ビット;4値のことでしょうか?

はい、その通りです。BPSKは、位相のずれが0度か180度かの2値で、それぞれを2進数の1か0かに対応させます。

QPSKは、位相のずれが0・90・180・270度の4値で、それぞれを2進数の00、01、10、11に対応させるわけです。

「シンボルレートが大きいほど、高い周波数成分をもち、帯域幅が広くなる」

周波数は、周期の逆数の値です。これは理解いただいているかと思います。例えば1秒間に1回波形が変化すれば1Hz、1秒間に4回変化すれば4Hzということになります。

シンボルレートが大きいということは、1秒間あたりに送れるデータ量が多いことを意味しますので、それだけ波形の変化の頻度も多くなります。したがって、シンボルレートが大きいほど高い周波数成分を持つ、ということになります。

SAT一陸特講座 質問回答(デジタル変調の概念)

概観的な質問です。

多重通信の流れが分かりません(各セッションの繋がりが掴めません)

アナログ通信(アマチュア無線国家試験で出てくる送受信機のブロック構成図など)との比較で、デジタル変調や多重接続がどの部分にあてはまるのでしょうか。符号化することが、デジタル変調でしょうか?

まず、アナログ情報をデジタル情報に;ここが符号化?ここで符号化したデジタルデータをQAMなどでデジタル変調?デジタル変調した信号を、電波に乗るようにさらに変調(BPSKとかQPSKとか)それを、多重接続方式(TCMAやCDMA、OFDM方式)で電波に乗せて、その信号を復調して、符号化されたデジタル信号へ、これを、さらに、復調(デジタル-アナログ変換;ここの方式名は?)して、アナログ信号???といった順序でしょうか?

できれば、代表的な多重通信で、入力信号が、相手側に出力されるまでのブロック構成図を描いていただけますでしょうか。また、その時の処理している信号がアナログなのかデジタルなのかの区別もお教えください。また、空間を伝送中の搬送波はAM、FM、PM波のいずれかになるのでしょうか(アマチュア無線の経験しかなく、どうしてもSSB単信のイメージと比べると信号処理の手順がわかりません)

まず、デジタル変調とアナログ変調の違いですが、デジタル信号(1か0か、もしくはそれらの組み合わせの00、01、10、11など)で搬送波(平たく言えば高周波信号、要するにアンテナから電波となって飛んでいく高周波信号)を変調すれば、それがAMだろうとSSBだろうと、あるいはFMだろうとデジタル変調になります。

符号化というのは、送りたいデジタル信号を、何らかの規則に従ってデジタル符号に変換する操作です。…と言っても抽象的なので、具体的な例を挙げます。

コンピュータの画面上で、「abcdefg….」といったアルファベットを入力し、それをデジタル無線で相手まで転送することを例に挙げます。

もちろん電波の形が直接「a」とか「b」になる訳ではないので、「a」「b」…に対応したデジタル信号に変換します。良く使われているのはASCIIコードと呼ばれていて、たとえば「a」であれば16進数の61、「b」なら16進数の62といった具合です。これを2進数に直すと、16進数の61は01100001、16進数の62は01100010となります。ここで初めて、例えば「01100001」が送られてくればそれはアルファベットの「a」である、という共通認識ができました。これが「ASCII符号化」です。

この信号をのまま電圧変化に変えて、例えば「0V-5V-5V-0V-0V-0V-0V-5V」として振幅変調や周波数変調を掛けて電波に乗せれば相手にデータが伝わりますが、これでは効率が悪いため、例えば0Vと5Vだけではなく、0Vが00、1Vが01、2Vが10、3Vが11…のような決まりを作れば、「01100001」は「1V-2V-0V-1V」の電圧変化で済みます。つまり信号を圧縮することができ、従来の半分の時間でデータを送ることが出来るようになります。これも符号化の一種です。このように、何かの決まり事を作ってデータの形を返還することが符号化で、符号化の結果データを送るための時間を圧縮できたり、暗号化したりすることができるようになります。

上の例で示したような手法でデータ送信にかかる時間を短くすれば、残りの時間を他の送信者が利用することができます。また、例えば「01100001」の信号を送るとき、ある送信者は0を500Hz、1を750Hzに置き換え、別の送信者は0を1000Hz、1を1250Hzに置き換え、またある送信者は0を1500Hz、1を1750Hzに置き換え…という符号化を行うことにより、同時に複数の送信者が同じ電波を利用して信号を送り、受信側では周波数フィルタ(BPF)を使うことで送信者ごとに信号を分離することができます。このような原理を利用して同じ帯域を複数の伝送路が共用するのが多重接続で、これを多地点から同時に行う(携帯電話の基地局と移動端末との関係がこれです)のが多元接続です。

まず、アナログ情報をデジタル情報に;ここが符号化?

はい、アナログ信号をデジタル信号という「何らかの規則に従って別の信号に変換」していますので、これも符号化です。詳しく言えば、アナログ信号をサンプリングしてデジタルデータに変換し(ここは符号化ではなく標本化です)、その標本化したデジタルデータを何らかの規則で転送しやすいデジタル信号に変えるところで符号化を行っています。

ここで符号化したデジタルデータをQAMなどでデジタル変調?

はい、デジタルデータで搬送波に変調を掛けているので、これはデジタル変調です。

デジタルの形にしてしまうと、離散的なデータ(例えば0V、1V、2V…とか500Hz、750Hz、1000Hz…のような飛び飛びの値)にできますので、多重化などが容易にできるわけです。(この例でいえば、0V、1V、2V・・・の間に、0.5V、1.5V、2.5V…などの値をとる別の信号を挿入できる。)

デジタル変調した信号を、電波に乗るようにさらに変調(BPSKとかQPSKとか)

いえ、BPSKとかQPSKは位相変調の方式で、搬送波の位相を変えることで信号を伝送するものです。BPSKやQPSKは位相だけを変調していますが、これに振幅変調も掛け合わて一度に伝送できる信号量を二したものがQAMと思っていただければ結構です。

アマチュア無線の知識でいえば、PM変調(位相変調)した信号をAM変調したものがQAMという感じです。

(アマチュア無線の音声通信で、AM系のSSBとFM変調以外は馴染みが無いですが、実は昭和40年代のFM無線機では、音声信号でPM変調したものを逓倍してFM波にして送信している無線機も存在しました。PM変調波を積分するとFM変調になります)

それを、多重接続方式(TCMAやCDMA、OFDM方式)で電波に乗せて、

多重接続方式は、上に挙げたように「同じ帯域を複数の送信者が共用する方式」のことで、信号を圧縮する符号化を行うことで時間的に余裕を持たせ、その間の時間に別の通信を入れるのがTDMA、複数の信号をそれぞれ別々の符号化を行って混合して送り、受信側で逆符号化を行うことで個別の信号を取り出すのがCDMA、複数の信号をそれぞれ別々の周波数に符号化し、それを合わせて送って受信側で別々の周波数成分を取り出して復調するのがFDMAと思っていただければ結構です。OFDMは理論的にはちょっと難しい概念なのですが、ある周波数帯域を細分化し、細分化した周波数をそれぞれ別個の信号で変調してからそれらを併せて送信し、受信側で細分化された個別の変調波を上手く取り出す技術という感じです。

その信号を復調して、符号化されたデジタル信号へ、これを、さらに、復調(デジタル-アナログ変換;ここの方式名は?)して、アナログ信号???といった順序でしょうか?

はい、そんな感じです。

できれば、代表的な多重通信で、入力信号が、相手側に出力されるまでのブロック構成図を描いていただけますでしょうか。また、その時の処理している信号がアナログなのかデジタルなのかの区別もお教えください。

音声信号をデジタルで多重化して送る場合の基本的な概念は、

アナログ信号ー【A/D変換】ー(デジタル信号)ー【符号化】ー(別の符号化された信号と一緒に)【多重化】ー【デジタル変調】ー(電波)-【デジタル復調】ー【逆符号化】(重なって送られてきた複数の信号から目的の信号を分離抽出)-デジタル信号ー【D/A変換】ーアナログ信号

という感じになります。

また、空間を伝送中の搬送波はAM、FM、PM波のいずれかになるのでしょうか(アマチュア無線の経験しかなく、どうしてもSSB単信のイメージと比べると信号処理の手順がわかりません)

上で説明しました通り、空間を飛んでいる電波は、BPSKやQPSK、16PSKなどで変調されていればPM波、16QAMなどで変調されていればAM+PM波という感じになります。

説明の途中で、例として「ある送信者は0を500Hz、1を750Hz、別の送信者は0を1000Hz、1を1250Hz、またある送信者は0を1500Hz、1を1750Hz」という例を挙げましたが、この方法で単純にFM変調すればそれはFM波となりますが、FM波は周波数の利用効率が悪いという欠点があるため、このような方式は実際に使われることはありません。(アマチュア無線のパケット通信はこの方式ですが、パケット通信は多重化しているわけではないのでちょっと違いますかね。)

以上、返信が大変遅くなってしまったお詫びという訳ではありませんが、具体的な例を挙げて分かりやすく解説してみたつもりです。

参考になりましたでしょうか。

SAT消防設備士講座 質問回答(テキスト問題訂正)

消防設備士4類共通テキスト 第2章法令 P97 問題5に対する質問です。解答は○になっていますが、テキストP82にて、「地階・無窓階の場合は、床面積100㎡以上で」に劇場が記載ありません。劇場も含まれるのでしょうか?

この問題は、原稿を起こす際にミスがあったようで、ご指摘の通り地階の劇場は300㎡が基準です。正答は×となります。

チェックが隅々まで行き届かずご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ございませんでした。お詫びの上、以下のように訂正いたします。

「正解:× 劇場は特定防火対象物ですから、300㎡が設置基準です。キャバレーやカフェー、ダンスホール、飲食店などが地階・無窓階にある場合は設置基準が100㎡と厳しくなりますが、劇場は300㎡のままと規定されています。」

第二種電気工事士講座

2月10~12日の3日間で、SATの第二種電気工事士講座を収録しました。収録は実技試験対策→座学の順序でした。内容的には、

  • 筆記試験対策のお勉強
  • 実技試験に向けての蘊蓄
  • 最初のうちは電線の剥き方、ナイフの使い方などの基本中の基本から丁寧に示しつつ、候補問題をNo.1から順に作っていく

という感じになったかと思います。

第二種電気工事士は、ほとんど工具を持った事がない人から、電気理論はじゅうぶん分かっているけど実技試験のやり方が分からなくて二の足を踏んでいる方まで幅広くいらっしゃると思います。特に実技試験がネックになるかと思いますので、言われた通りにやれば絶対合格できるように解説したつもりです。さらに、以前は年に1回しか受験できなかったものが、近年からついに年2回受験可能となりました。「たかが電工」なんて上から目線でバカにする人もいますが、二電工を持っていないとできない作業は多いですし、電気について分かった積もりでいても意外と分かっていなかった点などもあるかと思います。別に買えと言うつもりはないですが、二電工を受験される方が一人でも多く電気についての理解を深め、正しい知識を持ったうえで合格していただければ幸いなことです。

DVD中での言い間違いなど

試験の内容と直接は関係ない部分について、ご指摘がありました。

「松川地熱発電所は、秋田県ではなく岩手県にあります」

Σ(゚口゚;

そう、確か秋田県に旅行に行ったときに見かけたという話で「秋田県にあります」と喋った気がしますが、松川地熱発電所は秋田じゃないです。岩手県です。

大変失礼いたしました…。