電験3種過去問解説 2019年理論問3

磁気回路の問題はとっつき難くて難しいと感じますが、冷静に考えると難しい問題ではありません。

ヒステリシスループのグラフは、横軸に電流による磁界、縦軸に磁性体の磁束密度を取っています。したがって、コイル電流が最大の点は2です。

コイルのリアクタンスはjωL=j×2×π×f×Lですから、コイルにかかる電圧が同じであれば、周波数が低下すると電流は増加します。その際、ヒステリシスループ上の点2は、電流の増大に伴ってさらに右に移動するはずです。したがってヒステリシスループはさらに左右に伸びることになり、面積は大きくなります。この時点で正解は(2)です。

周波数が一定で電源電圧が低下した場合、コイルのリアクタンスは一定ですから、コイルに流れる電流も減少します。すると、上記とは逆になってヒステリシスループの面積は減少します。

コイルの電流が一定の場合、磁性体に与えられる磁界の大きさ自体は変わりませんから、ヒステリシスループの面積自体はほぼ変わりません。

電験3種過去問解説 2019年理論問2

CファラドのコンデンサにQクーロンの電荷が貯まっているとき、極板間電圧は

V=Q/C

で求まります。また、極板面積S、極板間距離d、誘電率εのコンデンサの静電容量は、

C=εS/d

で求まります。

ここで回路を見ると、左の3直列のコンデンサは、極板の形状と大きさは全て同一であることから、静電容量の比は上から順に

3/2:3/3:3/5

となります。一方、V=Q/Cの式より、直列コンデンサ(=流れた電荷量は全て同じ)の極板間電圧は静電容量Cの逆数の比になることが分かりますから、左の3直列のコンデンサの電圧比は、上から順に

2/3:3/3:5/3

となります。ここで電圧比を整数に直すと、分母が全て3なので

2:3:5

と分かります。これらの合計が10kVですから、コンデンサの極板間電圧は上から順に

2kV:3kV:5kV

です。

電界の強さは、二点間の電圧差をその距離で割った値なので、EAの大きさは、

2kV÷2mm=1kV/mm

となり、この時点で正解は(3)しかありません。

EBの求め方も同じです。真ん中の2直列のコンデンサの静電容量比は、

2/4:2/6

ですから、電圧はこの逆比の

4/2:6/2=4:6

です。したがって真ん中上側コンデンサの極板間電圧は4kVです。

これより、EBの値は

4kV÷4mm=1kV/mm

となります。

 

電験3種過去問解説 2019年理論問1

電位を計算する問題です。

点電荷Q[C]があるとき、そこから距離r離れた点における電位の絶対値は、誘電率をεとして

Q/4πrε

で求められます。これは、1Cの単位電荷に発生するクーロン力とその単位電荷を無限遠(r=∞)から距離rの点まで持ってくる仕事(クーロン力×距離)で定義されますが、この計算には積分が必要なため、電験3種の場合は単に式を覚えておけばOKです。

これに則って各々の電位差を求めていきます。(差を比べやすいよう、分母を6にして通分した値にしました)

(a)VAB=(Q/4πr)・|1/2-1/3|=(Q/4πr)・1/6

(b)VAB=(Q/4πr)・|1/1-1/3|=(Q/4πr)・4/6

(c)VAB=(Q/4πr)・|1/0.5-1/1.5|=(Q/4πr)・8/6

(d)VAB=(Q/4πr)・|1/1-1/1.5|=(Q/4πr)・2/6

以上より、電位差が最小のものは(a)、最大のものは(c)と求まります。正解は(2)です。