電験3種過去問解説 平成30年理論問16

(a)

トランジスタは、もっとも単純に考えれば、B→Eに流れる電流のhFE倍の電流がC→Eに流れる素子です。また、B→E間はPN接合と同様、約0.7Vの電圧降下を持ちます。

これを念頭に置いて問題の条件を見ると、「ベース電流はR2を流れる直流電流より十分小さく無視できる」ため、トランジスタのベース電圧は、単純にR1とR2の分圧で決定されることが分かります。したがって、ベース電圧は

  • 10×82/(18+82)=8.2[V]

と決定されます。また、B→Eの電圧降下を考えると、REの両端の電圧は7.5Vです。

したがって、

  • 7.5V÷1mA=7.5kΩ

となり、答えは(3)と求まります。

(b)

理論計算でも求められますが、エミッタホロワ回路のトランジスタの入力インピーダンスは非常に高いということを知っていれば、入力から見たインピーダンスは、事実上ほぼR1とR2の並列抵抗となり、(82×18)/(82+18)=14.76≒15[kΩ]となり、答えは(2)と求まります。

【理論計算をする場合】

トランジスタの入力インピーダンスを求める方法は次の通りです。(図にしました)

まずhieである2.5kΩの両端をvとすると、ib=v/2500となります。また、REには題意より101ibが流れるので、REの両端に発生する電圧v’は101ib×7500=757500ibとなります。

トランジスタの入力インピーダンスは、(v+v’)をibで割ればいいので、これを求めると760000となり、約760kΩと求まります。この760kΩと18kΩと82kΩの並列が入力インピーダンスですから、14.48≒15kΩとなり答えが求まります。

「電験3種過去問解説 平成30年理論問16」への1件のフィードバック

  1. 理論計算とのギャップがありすぎて、(82×18)/(82+18)=14.76≒15[kΩ]となる理由がいまいち理解しきれません。
    「エミッタホロワ回路のトランジスタの入力インピーダンスは非常に高いということを知っていれば、入力から見たインピーダンスは、事実上ほぼR1とR2の並列抵抗となり」とあるのですが、もう少しかみ砕くことはできないでしょうか?

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