平成29年度電験3種問題解説・電力問16

【解答】(5)(1)

(a)

等価回路を考えれば、すぐに答えが求まります。

3線一括の場合、対地静電容量は3Ceです。2線を接地した場合の対地静電容量は、Ce +2Cmです。このとき、

  • 3 Ce…充電電流90A→Ceひとつに対する充電電流は30A
  • Ce +2 Cm…充電電流45A→2 Cmに対する充電電流は15A→Cmに対する充電電流は7.5A

ということが分かります。充電電流はコンデンサのサセプタンスに比例しますから、これはそのまま静電容量に比例します。したがって、静電容量比は30:7.5となり、Ce / Cmの値は4.0と求まります。

(b)

対地静電容量Ceひとつに流れる充電電流は30Aです。

線間静電容量に掛かる電圧は、定格の三相電圧を加えたことから線間電圧はEとなるため、定格電圧の1/√3で測定した場合の√3倍になります。したがって、2か所の線間静電容量に流れる電流は7.5×√3≒約13Aとなります。

これらのベクトル和を求めるのですが、線間静電容量に流れる電流の位相は、対地静電容量に流れる電流に対して±30°であるため、図のようにベクトル合成することで合成電流を求めることができ、

 

30+13cos30°+13cos30°≒52.5と求まります。

「平成29年度電験3種問題解説・電力問16」への2件のフィードバック

  1. ***
    等価回路を考えれば、すぐに答えが求まります。
    ***
    具体的にどのような等価回路になるかお手数ですが御記載お願い致します。

    1. コメント有り難うございました。
      等価回路ですが、次のようになります。
      まず、
      「受電端を開放した状態で、送電端で3つの心線を一括」
      した場合、心線3本は結合されますから、心線相互間の静電容量Cmは全て両端が短絡された状態となるため、無視することができます。そして、心線と外皮との間に存在するCeについては、心線3本それぞれが外皮との間に持っている3個のCeが並列になった形になるので、結果として静電容量は3Ceです。
      次に、
      「2つの心線の受電端・送電端を接地し、受電端を開放」
      した場合、接地された2本の心線と外皮の間のCeは、やはり両端が短絡されているので無視できますし、接地された2本の心線同士の間に存在するCmも同様に無視できます。すると、接地されていない1本の心線から見ると、まず外皮との間のCe、そして接地されていることから外皮と同じ電圧である2本の心線との間に存在する2個のCmが並列に接続されている回路になります。
      したがって、この場合の静電容量は、Ce+2Cmという事になります。

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